ご質問ご回答Q&A

ウォーターサーバー営業は台数より置き場所と補充担当を聞く

給水場所から考える法人導入

ウォーターサーバーの営業では、台数、月額、ボトル本数から話をはじめたくなります。導入費用を聞かれることも多く、料金表を見せれば商談が進むように感じるからです。

ただ、法人や店舗で使う場合、相手の困りごとは台数だけに限りません。どこに置くのか。誰が使うのか。誰が補充するのか。空ボトルをどこに置くのか。こうした導入後の動きが見えないと、安い提案でも決まりにくくなります。

宮本岳さん(仮名、法人向けウォーターサーバーの営業を担当)は、以前、月額料金と無料レンタルの条件を先に説明していました。担当者はうなずいていましたが、最後に「置いた後の管理が見えません」と言いました。

ウォーターサーバー営業では、台数を決める前に、置き場所と補充担当を聞きます。水を飲めるかどうかより、職場で無理なく使い続けられるかが導入判断に関わるからです。

こんな人におすすめの記事です。

  • 料金説明の後に法人担当者の返事が止まりやすい方
  • 台数提案をしても設置後の不安で見送られる方
  • 職場で使い続けてもらえる聞き方を作りたい方

サーバーの提案は、置き場所、使う人、補充担当が見えた時に社内説明が進みやすくなります。これから一つひとつ見ていきましょう。

台数だけでは決まらない理由

台数は見積で使います。しかし、台数だけ先に決めると、相手は導入後の動きを想像できません。1台で足りるのか、2台必要なのかは、人数だけでは決まりません。使う時間帯、設置できる場所、補充する人、空ボトルの置き場でも変わります。

宮本さんの商談では、担当者が最初に「社員は40人です」と言いました。宮本さんは、40人ならこの台数という目安を出しました。ところが担当者は、現場の休憩室の写真を見ながら首を横に振りました。

担当者は「ここに置くと通路が狭くなります」と言いました。問題の中心は人数より置き場所でした。宮本さんは台数の話に入る前に、職場のどこで水を飲むのかを聞く必要があったのです。

私はこの商談で送られてきた現場の休憩室の写真を見ました。机の横にコピー用紙の箱が積まれ、入口近くに清掃用具がありました。担当者は写真の右端を指して「ここは人が通ります」と説明しました。サーバーを置ける場所は、図面の空白というより、人が毎日通る場所だったのです。

宮本さんは次の商談で、台数表を見せる前に「社員の方が水を取りに行くなら、どの通り道を使いますか?」と聞きました。担当者は「休憩室の奥だと遠いので、会議室前なら立ち寄れます」と答えました。

この一言で、台数の話も変わりました。案は休憩室1台から、会議室前1台と社員用の補充時間を決める形に変わりました。相手が使う場所から聞くと、台数は職場の動きに合った提案材料になります。

置き場所と補充担当の分岐

ウォーターサーバーの迷いは、いくつかに分かれます。価格が高いのか、置き場所がないのか、補充が面倒なのか、衛生管理が不安なのか。相手がどこで迷っているかで、聞く質問は変わります。

宮本さんは、次のように分けました。

相手の迷い 聞く質問
置き場所 社員の方が一番自然に立ち寄る場所はどこですか?
補充担当 ボトルが空になった時、最初に気づくのはどなたですか?
衛生管理 今の給水や飲み物で、清掃や管理に困る場面はありますか?

この表は、相手を分類するために使いません。質問を合わせるためのものです。置き場所で迷っている相手に料金だけ説明しても、判断材料は増えません。補充担当で迷っている相手に機種の色を見せても、導入後の不安は残ります。

先に見るのは、何台置けるかより、誰がどこで無理なく使えるかです。

宮本さんは、置き場所の話が出た後に、補充担当も聞きました。担当者は「総務が気づくと思います」と答えました。宮本さんはそこで終わらせず、「総務の方は、どのタイミングなら補充しやすいですか?」と聞きました。担当者は「朝の郵便物を取りに行く時なら見られます」と答えました。

この返事があると、提案書には「朝の郵便物確認時にボトル残量を見る」と書けます。料金表の前に、運用の一文が入ります。

料金説明の前に聞く会話

料金の話に入る前に、職場で使う場面を一つ聞きます。長いヒアリングにする必要はありません。

宮本さん「月額の前に一つだけ確認してもよいですか?」
担当者「はい」
宮本さん「社員の方が水を取りに行くなら、どの通り道が一番自然ですか?」
担当者「会議室前ですね。休憩室の奥だと行かない人が出そうです」

この二往復で、見積の前提が変わります。人数だけの台数から、社員が実際に通る場所に合わせた台数を考え直せます。

宮本さんは続けて「ボトルが空になった時、最初に気づくのはどなたですか?」と聞きました。担当者は「総務の佐伯さんです」と答えました。ここで初めて、補充担当が見えました。

その後の提案では、宮本さんは料金表の上に「会議室前に置き、総務が朝に残量を見る案」と書きました。担当者はその一文を見て、「これなら社内で話せます」と言いました。台数と料金が、職場の動きに結びついたからです。

料金表を出す前に、使う場所と補充を見る人を聞きます。

導入後の不安を先に扱う

ウォーターサーバーの商談では、導入後の小さな不安が後から出てきます。水は便利そうでも、交換が重たいのではないか。空ボトルが邪魔にならないか。来客用と社員用が混ざらないか。こうした不安を後回しにすると、担当者は社内で説明しにくくなります。

宮本さんは以前、料金の安さを説明した後に不安を聞いていました。すると担当者は「安いのは分かりますが、管理が増えるのが心配です」と答えました。ここで初めて管理の話に戻るため、提案が後手になります。

今は、最初から「置いた後に面倒になりそうなことはありますか?」と聞きます。担当者は「空ボトルの置き場ですね」と答えました。宮本さんは、その言葉を提案書にも残しました。「空ボトルは会議室横の収納にまとめ、週一回の回収時に確認する」と書いたのです。

この一文があると、導入後の管理が見えます。担当者は上司に、月額だけでなく、置き場所と補充の流れまで説明できます。

また、使う人も確認します。社員だけなのか、来客も使うのか。来客も使うなら、受付に近い方がよいのか、社員導線とは分けるのか。ここを聞かずに台数を決めると、設置後に「思ったより使われない」という話になりやすいです。

宮本さんは、社員用と来客用を分ける必要があるかを聞いたことで、1台の置き場所を変えました。受付横を避けて、会議室前に置く案です。来客にも社員にも見え、補充担当も確認しやすい場所でした。

社内説明に使う一文

法人担当者が社内で説明する時、料金だけだと弱くなります。「安いから置きたい」の一文だけで終わらせず、「どこに置き、誰が見て、どう使うか」まで必要です。

宮本さんは、提案書の冒頭を「月額〇円のウォーターサーバー」ではじめるのをやめました。代わりに「会議室前で社員と来客が使いやすく、総務が朝に残量を確認できる案」と書きました。

この一文なら、上司は導入後の様子を想像できます。担当者も「置き場所はどこなのか」「誰が管理するのか」と聞かれた時に答えられます。

もちろん、料金も伝えます。ただ、料金は使う形が見えた後に出す方が伝わります。使う形がないまま安さだけを出すと、社内では「本当に使うのか」という話に戻ります。

宮本さんは、この順番に変えてから、見積後の質問が変わりました。以前は「もっと安くなりますか?」が多かったのですが、今は「補充の回数はどれくらいですか?」と聞かれるようになりました。価格だけでなく、使い続ける条件を相手が考えはじめたのです。

さらに、担当者は導入後の社内案内文まで相談してきました。「社員には、どう伝えれば使ってもらえますか?」という質問です。宮本さんは、機種の特徴を並べず、「会議室前で水を取れるようにしました。空になったら総務が朝に確認します」と短く書く案を出しました。

この案内文を見た担当者は、「これなら長くならずに回せます」と答えました。営業側が作ったきれいな説明より、職場でそのまま使える言葉になったからです。ウォーターサーバーの提案では、導入後に社員に何と伝えるかまで見えると、担当者の不安はかなり減ります。

宮本さんは、納品前の確認も一つに絞りました。「会議室前の通路幅だけ、もう一度見ていただけますか?」です。ボトル本数、色、キャンペーンを一度に確認せず、置ける場所だけを先に決めました。その確認後、担当者は上司に「通路は確保できます」と報告できました。

営業Q&A

料金を先に聞かれた時も場所から聞きますか?

価格を急がれる場面です。

回答

料金は答えます。その上で「月額を正しく見るために、どこに置く想定かだけ確認してもよいですか?」と聞きます。置き場所が分かれば、台数や補充回数の説明もずれにくくなります。

補充担当が決まっていない会社にはどう聞きますか?

導入後の管理者がまだいない場面です。

回答

担当者をその場で決めてもらおうとしなくて構いません。「最初に空になったことに気づきそうなのはどなたですか?」と聞きます。正式な担当者ではなく、気づく人から話をはじめると答えやすくなります。

見積前に見る職場の動き

ウォーターサーバー営業では、台数や料金の前に、置き場所と補充担当を聞きます。社員が自然に立ち寄る場所、空になった時に気づく人、空ボトルの置き場が見えると、見積の理由も伝わります。職場で使い続ける形が見えた時、台数と料金は判断材料になります。

  • 社員が自然に立ち寄る置き場所
  • 空になった時に気づく補充担当
  • 社内説明に使える導入後の一文

次の相談では、台数表を出す前に「どこに置くと、社員の方が自然に使えますか?」と聞いてください。その答えから、相手の職場に合う提案を作れます。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

最新記事 by 木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント) (全て見る)

 
営業適正