大阪転勤が決まったが大阪弁が怖い。大阪はどんなところ?
●質問
大阪転勤が決まりましたが、大阪弁が怖いです。
私は東京生まれで東京育ちです。
関西の方と縁がなく今まで関西弁を話す方と接したことはありません。
大阪弁はきついイメージがあり怒られている気がして苦手です。
大阪はどんなところでしょうか?
● 回答
あなたは大阪転勤が決まったけれど大阪弁が怖いと感じていらっしゃるのですね。
今まで東京で育ってこられて急に大阪に行けと言われても、文化も違うし言葉も違う。聞き慣れない大阪弁に対して怖いと思ったり、苦手意識を持つのも当然だと思います。
私は和歌山出身で、社会人一年目は大阪で過ごしました。30代になって名古屋から大阪への転勤も経験しました。それらの経験を踏まえてお話ししますね。
大阪転勤はなぜ怖いのか
大阪転勤が怖い、嫌だと思っているのはあなた以外にもおられます。私の知人で東京出身のAさんが、会社で大阪転勤を打診された時の話です。お酒の席でAさんは上司から「実は今大阪に欠員が出てるんだ。Aさんに行ってもらう可能性がある。」と言われたそうです。すぐさまAさんは「ちょっと大阪は苦手でして。あまり私に合わない気がします。」と返事したそうです。結局Aさんは大阪転勤になりませんでしたが、「大阪転勤が嫌な理由は何なの?」と私が聞いたところ「関西のノリにあまりついていけないと思ってるんです。」とおっしゃっておられました。ほかにも大阪のイメージについて、「図々しい」「人の気持ちに土足で入ってきそう」「あつかましい」「おせっかい」と聞いたことがあります。
大阪弁というと、例えば「なんでやねん」「ええかげんにせえ」「なにいうてんねん」「あほか」など、東京に住む方にとっては「ちょっときついな」と思うこともあるでしょう。大阪弁は東京で暮らしていてもテレビやラジオなどタレントさんやお笑い芸人が話しているのを耳にするかもしれません。
「もうかりまっか」「ぼちぼちでんなぁ」など会話のキャッチボールのつもりで日常が漫才のようになっていることが多いのが大阪弁の傾向だと思います。実際に、大阪の街を歩いていて大阪のおばさま同士で話しているのを聞くとツッコミとボケの絶妙な会話が繰り広げられていることがあります。
しかし同じ職場で直接、同僚から大阪弁で言われるとなると「きつく」感じてしまうのかもしれません。大阪弁を話す人にとってはフレンドリーに話しているつもりでも、聞き手が誰になるかによって感じ方は変わるものです。細かなイントネーションの違いや言葉の選び方の違いが標準語と異なることがあり戸惑う原因になるのでしょう。
大阪の経済からみる大阪転勤とは?
では、大阪の経済とはどのようなものなのでしょうか?
大阪は、天下の台所、あきんどの町、商都などとよばれ、業界をリードする名だたる企業が次々と生まれ育ってきました。
大阪には進取の精神を受け継ぎ、日本経済の発展に大きな役割を果たしてきた企業が少なくない。松下電器産業や住友金属工業、川崎製鉄をはじめ、戦後の高度成長を支えた大手商社のうち、伊藤忠商事、丸紅、住友商事、日商岩井、トーメン、日綿実業、兼松江商はいずれも大阪の企業であり、阪急、阪神、南海、近鉄、京阪の五社は、東京の公営鉄道中心に対して大阪に私鉄王国を築いた。流通革命の旗手となったダイエー、ジャスコ、ハトヤは、間違いなく大阪の経済的土壌の中から生まれ育った企業である。また、サントリー、グリコ、日清食品、デサント、アシックス、美津濃といった業界をリードする企業も続々と育ってきた。
ただ大阪の商業、卸売業や小売業をめぐる動向は決して安閑とできるものではない。経済産業省(旧:通商産業省)が3年おきに調査している『商業統計表』によると、大阪府は現在全国2位と大きな比重を占めているが、3 位の愛知県が肉薄してきている。
出典:大阪ブランド情報局 商業の歴史に大阪あり
大阪府を含む関西地域の経済規模は全国に対して2割弱ものシェアを占めています。
関西地域(近畿経済産業局管内/福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)の全国におけるシェアをみると、総面積は8.3%(2019年10月1日現在)ですが、輸出通関額(2019年)が21.1%、百貨店・スーパー販売額(2019年)が19.5%、製造業事業所数(2019年6月1日現在)が19.2%、製造品出荷額(2018年)が16.6%、総人口(2020年1月1日現在)が16.9%、域内総生産(2017年度)が15.9%となっており、関西地域の経済規模は全国に対して2割弱を占めていると言えます(図1)。
また、主要国の名目GDP(図2)をみると、関西はオランダ(世界18位)に次ぐ経済規模となっています。
出典:経済産業省 近畿経済産業局 関西経済の現状と今後の見通し
大阪の都市圏は、大阪府を含む奈良県、兵庫県、京都府、和歌山県と言われています。私の経験からも、大阪の拠点で勤務している方は、奈良市、神戸市、京都市、和歌山市から通勤されている方はたくさんおられます。1~2時間圏内で十分通勤できるエリアだからです。したがって、あなたが着任するであろう拠点も、全員が大阪在住の方とは限りません。
私の体験談
私もかつて大阪転勤を経験したものの1人です。たしかに転勤すると決まった時は「ちょっと怖い」と感じた記憶があります。マウントを取られるのではないかなどとびくびくしたのを覚えています。和歌山出身の私がそう思うのですから東京出身だともっとびくびくしてしまうかもしれませんね。
しかし、実際に大阪で働いてみると、大阪のBさんが「今日は顔がつかれてるなぁ」「なんか今日はいいことあったんか?」など気にかけてくださったのがとってもありがたく感じました。単身赴任で孤独だった私に、Bさんが気軽に声をかけてくれたことで、仕事中でも気分転換できたことを覚えています。
ときには悩んでいることをBさんに話すと、「それはこういう考え方もあるんちゃうか」「ぼくやったらこうするかなぁ」と新たな視点や意見をくださりました。親身に相談に乗ってくださることもあり、感謝してもしきれないくらいです。
たしかに大阪弁がきつく感じたり、大阪が怖いイメージもあるかもしれません。ただ、人間と人間の会話ですので、場所が違えど、どのような姿勢で向き合うかという根本的なことが大切だと私は思います。職場の同僚に対しても、お客様に対しても同じことだと私は思っています。
東京エレクトロン元社長の東哲郎氏が大阪に転勤になった際のエピソードを語った記事がありました。
私は1984年10月1日付で大阪支社に転勤となった。もう少しシリコンバレーにいたかったという気がしたが、大阪支社はぜひ働いてみたい場所でもあった。
支社長代理として田中一芳さんがいたからだ。風貌が米国の俳優カーク・ダグラスに少し似ていて、親しみやすいボス。みんな「カークさん」と呼んでいた。私も以前から知る人で、兄貴分のような存在だった。
大阪支社を中心とする関西では営業もサポート要員も製品の知識、技術を必死に学んでいた。本社よりレベルは上との自負があったと思う。顧客の要求が会社の方針と違っても、なるほどと思えば本社にかけ合い実現する。そういう積み重ねが「田中さんに任せれば安心」という空気を顧客の間に生んでいた。
私も見習って懸命に勉強した。次第に顧客とのつながりが深まった。米国に出張する顧客から「東さん、ついて来てよ」と頼まれたりした。大阪では「お前アホか」と東京の感覚ならぐさっとくる言葉が飛び交う。それは親しみの印、信頼の証しでもある。怖がらず、相手の懐に飛び込むことでいい関係ができる。
関西の顧客から届く声は貴重だった。「最近の東京エレクトロンは顧客と疎遠」「もっと社会に役立つ半導体の使い道を」。会社への苦言もあったし、私への助言もあった。「チームのため自分を犠牲にすることも必要」「方針をしっかり伝えたら、あとは部下に任せよ」などなど。
そんな風に大阪で過ごしたのは2年。次は東京勤務だ。
出典:2021/04/10 日本経済新聞 朝刊 40ページ
大阪転勤が怖いを克服するには?
とはいえ「まだ怖さは払しょくできません」という方もおられるでしょう。
大阪転勤が怖いを克服するための対処法をご紹介します。
- あなたが東京にいるうちに大阪出身者と会話してみる。
あなたの同僚や知人でで大阪弁を話す方と接して慣れるところからやってみましょう。耳が慣れてくれば実際大阪に行っても苦手意識は消えていくでしょう。 - あなたの気持ちを伝える。
あなたが大阪に着任したときの挨拶で「私は大阪弁は慣れておらず怖い印象がありますが皆様お手柔らかに」というフレーズを入れるのです。職場はどっと笑いが起きるでしょう。そして皆さんがあなたへの対応の仕方を気にかけると思います。 - 関西の方に東京のイメージを聞いてみる。
逆手に取った対処法ですが、関西の方は東京のイメージを「冷たそう」「話がもりあがらなさそう」「干渉しなさそう」と思っていることがあります。実際はそんなことないとは思いますが、意見を聞いてみると、先入観のようにイメージが先行するものなのだとわかるかもしれません。
あなたが大阪転勤で活躍して頂けると嬉しく思います。応援しています。
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木村まもる(逆転営業アカデミー 売上UPマジシャン)
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