営業ヒアリングシートテンプレート【作り方と注意点】例文・ひな形
営業で顧客を訪問する際、カギになるヒアリングシート。ヒアリングシートとは基本的な質問項目を、顧客に聞くためのひな形を指します。営業になってはじめてヒアリングシートを作りたい、テンプレートを見たい、使う上での注意点を知りたい方のために解説する記事です。最初の一歩として読んでいただき、実践的な営業ヒアリングシート作りに役立ててください。
営業ヒアリングシートとは
営業ヒアリングシートは質問事項が書かれた用紙のこと。大きく分けて三つの種類があります。
- アンケート用紙:(例)イベントブースで来場者に書き込んでもらうチェックリストのようなもの。
- 商談で営業マンが書き込むシート:(例)商品を説明する前に、顧客の情報を網羅するため、商談で聞き取るための用紙。
- 後方部隊へ引き継ぐため顧客情報シート:(例)契約後にアフターフォローの部隊に詳細な顧客情報を引き継ぐための用紙
本記事では「2:商談で営業マンが書き込むシート」を営業ヒアリングシートと定義付けします。
営業ヒアリングシートは、身近な場面で見かけることがあります。カーディーラーで車を買う時に、クリップボードを持って営業マンが希望を聞いてくれたことはありませんか?クリップボードにはさんでいるのは営業ヒアリングシートです。A4用紙1枚の紙などに聞くべき項目が網羅されています。営業ヒアリングシートがないと、話題が本筋からそれてしまったり、重要なポイントを聞きそびれる可能性がありますね。営業ヒアリングシートは、お客様と中身の濃い商談ができる、重要な営業ツールといえます。
イメージしやすいように、営業ヒアリングシートテンプレートを3つお見せします。
1:予算や決裁権をヒアリングする例
予算感や決裁権者の情報は商談において重要な情報のひとつですよね。棒読みにならないように会話のペースにあわせて聞きたいですね。
2:事前調査をもとにヒアリングする例
事前調査すべき最低限の項目を網羅しているシートです。事前調査していなければ顧客の抱えているニーズを想定しづらくなってしまいます。
3:受注見込みを記載しやすい例
1日の商談件数が多い営業マンに適したシートです。受注見込みの度合いに応じて、顧客ごとに商談後の対応の力の入れ具合をコントロールしやすいからです。
営業ヒアリングシートを使う理由ランキング
営業ヒアリングシートを使う理由をランキング形式にまとめました。
3位 的確な提案ができる
ヒアリングシートに沿って顧客の情報を聞き取ることで、より的確な提案が可能です。事前に営業マンが調査したことや仮説との整合性を確かめたり、顧客の詳細な要望をキャッチできるからです。聞き取った情報に対してズバッと資料を見せると、顧客は「ピンポイントで提案してくれて、わかりやすい営業マンだ」と感じるでしょう。要望を聞けていなければ提案が的外れになります。提案を弓に例えると、営業ヒアリングシートで的を明確にできるといえます。
2位 新人営業でも商談に行くハードルが下がる
営業ヒアリングシートがあれば新人営業でも商談に行くハードルが下がります。いわゆるメンタルブロックが外れるのです。質問項目が列挙されているので、会話の流れを組み立てやすくなるからです。先輩から脈々と受け継がれてきた営業ヒアリングシートがあれば、なおさら頼もしいツールと言えるでしょう。これから営業ヒアリングシートを作るという方は、試行錯誤をしていく中で洗練されていきます。新人営業は、ちょっとした雑談でさえたどたどしくなりがち。顧客訪問したけれど十分な会話ができていないと、社内での評価が下がってしまいかねません。商談に必携の営業ツールといえますね。
1位 抜け漏れなく聞ける
商談の合間にちらっと手元の営業ヒアリングシートを見るだけで、抜け漏れなく聞けます。営業マンが聞いた内容を項目ごとに記載することで頭の中が整理され、聞いていない項目は空白で一目瞭然だからです。顧客との会話が盛り上がって、話したいことから脱線するのはよくあること。顧客の予算感を聞きそびれていれば、提案の際に「そんなに高い商品はいらないよ」といわれかねません。営業マンの記憶や勘だけに頼らず、抜け漏れなく聴けるのは最大の特徴と言えるでしょう。
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営業ヒアリングシートを作る前にやるべきこと
何も準備せずヒアリングシートを作りはじめると、パソコンの前でただ時間が過ぎてしまいます。次の3つをおさえましょう。
聞き取る項目を書き出そう
聞き取りたい項目で思いつくものを、すべてあげてみましょう。抜け漏れなくヒアリングするためです。同行した際、上司や先輩が顧客にどのような質問をしていたか思い出してみてください。事前にインターネットで調べればわかる項目と、顧客に聞かないとわからないことがあるはず。あれこれ考えすぎずに、白紙の紙にとりあえず書き出しましょう。
用紙のサイズを決める
ヒアリングシートをせっかく作っても、使いにくいサイズだと困りますよね。クリップボードや手帳など、あなたが使いやすい用紙サイズを決めましょう。クリップボードであればA4サイズが多いはず。会社のコピー機で印刷できる用紙サイズが望ましいですね。
書く項目を決めて、シートを作る
書き出した項目から、シートに書き込む項目を決めて、シートを作りましょう。重要な質問項目から順に選ぶのがコツです。商談の流れに合わせて、上から順番に聞けるよう、シートを作るとよいでしょう。選ばなかった項目はどこかにメモをしておきましょう。ヒアリングシートを更新する際に役立つかもしれません。
営業ヒアリングシートテンプレート・入れるべき質問項目とは
ヒアリングシートに入れる質問項目は業界・企業・営業マンによって大きく変わります。扱う商品や顧客層が異なるからです。基本的な構成は「現状・課題・予算」の3点。ほかにも「過去・現在・未来」「理想・現状・課題・予算」などパターンは数え切れません。チェックポイントをまとめましたので参考にしてください。
営業ヒアリングシートテンプレートです。商談の流れや業種によって扱うテーマが異なるので、あなたのシート作りの参考にしてください。
コピペ用
- 理想
- 現状
- 課題
- 解決策
- 決め手
- 競合
- 決裁者・決裁手順
- 納期・スケジュール
- 予算
下記のように質問項目を口語調で記載するほうが現場で質問しやすい方もおられるでしょう。
コピペ用
- 現在の状況は?
- どうしたいか?
- なにが課題か?
- どう取り組んでいるか?
- どうすれば解決するか?
- 競合は?
- 決裁者・決裁の手順は?
- 納期・スケジュールは?
- 予算は?
下記は縦2列で現状と理想を聞き取るための営業ヒアリングシートテンプレートです。顧客企業名や商談日を記入する欄も入れるとよいでしょう。
コピペ用
- 事業内容
- 従業員規模
- 売上
- 利益
- 組織
- 課題
- 予算
経済産業省ホームページに参考になりそうなヒアリングシートがありました。あなたの営業の専門分野と違ったとしても、ヒアリングシート作成のための気づきにつながる項目はあるかもしれません。
これらの営業ツールは、知的資産経営に対するヒアリングから評価までのスキルアップに向けて重要な観点を網羅的に取りまとめており、金融機関における継続的な活用により目利き能力や評価スキルが磨かれ、中小企業の成長性や事業価値を見極めた融資拡大を期待したい。
出典:経済産業省 知的資産経営評価融資をどう考えるか
コピペ用
- 会社名
- 代表者名
- 担当者名
- 連絡先
- 事業内容
- 経営者の経歴・資質
- 経営者の事業戦略
- 経営者の営業力
- 経営者の財務管理能力
- 主たる製品名
- 製品用途
- 製造体制
- 技術の特徴
- 競合及び競合の強み弱み
- ノウハウの存在
- 販売先(見込)
- 販売先の導入メリット
営業ヒアリングシート使うときの注意点
営業ヒアリングシートを作り、商談で使う際に気をつけたい注意点を5つまとめました。
営業マンは調査員ではない。
営業ヒアリングシートを作ると顧客企業を調査する気持ちになりがち。煙たがられないように気をつけましょう。
型にはまった聞き方をしない。
ヒアリングシートの順番通りに四角四面に聞きすぎるとぎこちなくなります。会話の流れに沿って聞きましょう。
質問項目はなるべく事前に記憶する。
ヒアリングシートを見て聞いてばかりいるとたどたどしく見えます。質問項目は頭に入れておき、聞けたことをシートに書いていくのがコツです。
聞いたことを丁寧に書き込まない。
商談中は殴り書きで構いません。自分があとで読める程度の文字で書きましょう。丁寧に書き込むのは商談の後の会社への報告時です。商談中は大切な要点を書き込みましょう。
ヒアリングシートがすべてではない。
質問項目を一つひとつ聞くだけが営業ではありません。商談の雰囲気や顧客との会話の流れをスムーズに進めるテクニックが必要です。ヒアリングシートがあれば、何もかも解決するわけではありません。
営業ヒアリングシートの5つの誤解
営業ヒアリングシートを使う際にありがちな誤解を5つまとめました。
ヒアリングシートを見せながら聞き取りする。
顧客にヒアリングシートを見せながら聞き取りするのは気をつけましょう。主導権が営業マンではなく顧客になってしまうからです。営業マンが具体的に聞きたい項目でも、顧客が割愛してしまう場合があります。ヒアリングシートは営業マンが見える状態にしておきましょう。
シミュレーションをしていない。
ヒアリングシートに頼ってしまうばかりで、事前準備や商談のシミュレーションをしないとうまくいかない場合があります。商談は顧客の会話の流れに合わせて話を進める必要があり、本筋は営業マンが想定しておくべきだからです。すべての商談で営業ヒアリングシートが使えるわけではありません。
ヒアリングできたことで自己満足している。
営業ヒアリングシートの項目を隅から隅まで聞けても成果があがるとは限りません。ヒアリングのやり方や会話のテンポなど気をつけるべきところは他にもたくさんあるからです。
営業マンがしゃべってばかりいる。
営業ヒアリングシートがあったとしても営業マンばかりしゃべっていると、顧客ニーズは引き出せないことが大半です。顧客が8割話さないとニーズはあぶり出せないからです。とくにオンライン商談の場合、顧客にしゃべらせないと集中力が途切れてしまいます。提案に入るまでは質問メインで会話するつもりで商談しましょう。
ブラインドタッチがニガテなのに回答を入力している。
たどたどしくパソコンにキーボード入力していると気づかぬうちに顧客の不満につながります。スムーズに入力できなければ顧客を待たせることになるからです。ブラインドタッチができない人は手書きで書く方がよいでしょう。
まとめ
営業ヒアリングシートのテンプレートや作り方・注意点について見てきました。いかがでしたか?参考にしていただき、あなたにとって最適なヒアリングシートを作ってみてくださいね。ヒアリングシートができて商談スキルが身につけば、成果が出やすくなります。
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木村まもる(逆転営業アカデミー 売上UPマジシャン)
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