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営業提案書を直す時は機能追加より相手の言葉を残す

社内で読まれない提案書

営業提案書を直す時、機能や実績を足したくなることがあります。もっと詳しく書けば伝わる。比較表を増やせば納得してもらえる。そう考えて、提案書がどんどん厚くなる場面です。

湯浅祐一さん(仮名、法人向け請求書発行システムの営業を担当)は、提案書を直すたびに機能説明を増やしていました。請求書作成、承認、送付履歴、入金確認。相手が迷うほど、資料は詳しくなりました。

それでも担当者の返事は変わりません。「内容は分かりました。社内で確認します」。湯浅さんは、提案書の量を増やしていましたが、相手が最初に話した困りごとを一文で残せていませんでした。

営業提案書を直す時は、機能を足す前に、相手が使った言葉を一文残します。提案書は、相手が社内で話すための材料でもあるからです。

こんな人におすすめの記事です。

  • 提案書を詳しくしても社内確認で止まりやすい方
  • 機能説明と相手の困りごとのつながりが薄くなる方
  • 次回提案で何を直せばよいか迷う方

相手の言葉が残っている提案書は、読み手が自分の困りごととして受け取りやすくなります。この記事では、提案書を厚くする前に直す一文を解説します。

これから一つひとつ見ていきましょう。

詳しい提案書が読まれにくい理由

詳しい提案書にも役割があります。相手が比較したい時、社内で説明したい時、細かい仕様を確認したい時には必要です。

ただ、相手の困りごとが冒頭に入っていない提案書は、読む人にとって商品説明からはじまります。すると読み手は、自分に関係のない話として読み飛ばします。

担当者は商談の最初に「月末に請求書の確認が経理担当に集まることがある」と話していました。けれど提案書の冒頭は「請求書発行を効率化するシステムのご提案」でした。正しい内容ですが、相手の言葉が消えています。

湯浅さんから、この提案書のPDFが届きました。一ページ目は表紙、二ページ目から機能一覧がはじまります。私は湯浅さんに「担当者が最初に困っていると言った一文は、どこに入っていますか?」と聞きました。返事は「入れていません」でした。最後のページまで、担当者の言葉は一つもありません。

相手の言葉が消えると、社内で読む人は、なぜ今この提案を読むのかが分かりません。

湯浅さんは、次の版で冒頭を変えました。「月末に請求書の確認が経理担当に集まることを減らすための提案」と書いたのです。すると担当者は、社内共有のメールでその一文をそのまま使いました。提案書が担当者の説明材料になった瞬間でした。

この時、担当者は提案書を印刷して、冒頭の一文に赤線を引きました。湯浅さんは、その赤線を見て、相手が社内で使いたい中心は説明の多さではなく、困りごとの言葉だと気づきました。

その後の打ち合わせでは、経理担当者も参加しました。経理担当者は「月末に集中すると、確認順を決めにくくなります」と話しました。この一文も提案書の後半に残しました。

相手の言葉を一文で残す順番

相手の言葉を残す時は、長く引用しません。商談中の発言から、社内でそのまま使える一文にします。

湯浅さん「前回、『月末に請求書の確認が経理担当に集まることがある』と話されていました。提案書の冒頭は、この困りごとからはじめてもよいですか?」
担当者「はい。そこが一番説明しやすいです」
湯浅さん「では、機能一覧の前に、その一文を置きます」

この確認で、提案書の役割が変わります。営業側が言いたい機能を並べる資料から、相手が社内で困りごとを伝える資料になります。

提案書で先に見るのは、機能の多さより、相手の言葉が冒頭にあるかです。

相手の言葉を一文にすると、先に出す機能も決まります。月末の確認集中が困りごとなら、最初に出す機能は承認待ちの一覧です。送付履歴や入金確認は後で構いません。

湯浅さんは、提案書の二ページ目も並べ替えました。以前は全機能を一覧にしていましたが、今は「承認待ちの一覧」「確認漏れを知らせる通知」「後で送付履歴を見る画面」の順番です。相手の困りごとに近い順で並べると、機能名が対策として読まれます。

担当者はその順番を見て、「この順なら経理担当にも説明できます」と言いました。提案書を読む人が増える時ほど、相手の言葉から順番を作る意味が出ます。

機能追加でぼやける提案

提案書を直す時、営業側は不足を埋めようとします。説明不足、実績不足、比較不足。足りないものを探すほど、ページは増えていきます。

しかし、ページが増えるほど、相手が最初に話した困りごとは埋もれます。読者は全部を読んでくれるとは限りません。最初のページで自分の困りごとが見えなければ、機能一覧はただの情報になります。

湯浅さんも、以前は通知機能の説明を2ページ増やしました。けれど担当者が社内で聞かれたのは、「結局、どの困りごとが解決するのですか?」という一点でした。そこで困りごとの一文が必要だったのです。

あなたも、提案書を直すたびに説明を足していませんか? その前に、商談中に相手が話した困りごとを一文にして冒頭へ入れてください。

機能を足す前に、相手の言葉を冒頭に残します。

ページを増やすこと自体に問題があるわけではありません。問題は、増やしたページが相手の困りごとから離れていくことです。通知機能を説明するなら、どの確認漏れを知らせるのか。入金確認画面を説明するなら、誰が何を確認するのか。冒頭に相手の言葉があれば、ページを増やしても説明は同じ困りごとにつながります。

社内で読まれる提案書の形

社内で読まれる提案書は、担当者以外の人も読む資料です。上司、現場担当、経理担当など、商談に同席していない人も読みます。

同席していない人は、営業側の説明を聞いていません。だから、最初に商品の特徴を読んでも、なぜ必要なのかが分かりにくいのです。

相手の言葉を一文で残すと、同席していない人にも読む理由が伝わります。「月末に請求書の確認が経理担当に集まることを減らすため」と書いてあれば、読み手は自社の困りごととして読みはじめられます。

湯浅さんの提案書では、その一文の下に、確認が集中する場面を短く書きました。月末の午後、営業担当から請求書の修正依頼が入り、経理担当が承認待ちの一覧を見直す。上司がその場で気づかず、翌日に再確認する。この流れを入れたことで、機能説明が具体的になりました。

担当者の行動も変わりました。以前は提案書を送った後、上司の返事待ちでした。今は、担当者が「この一文で上司に説明してみます」と言い、翌日には現場担当者にも確認を取りました。

湯浅さんは、この変化を見てから、提案書を送った後のフォローも変えました。確認状況をまとめて尋ねるのをやめ、「冒頭の一文は、上司の方に伝わりましたか?」とだけ聞きます。相手は提案書全体より、社内で使った言葉について返事ができます。

この聞き方なら、次回の修正点も見えます。上司に伝わらなかったなら、一文の言い方を直します。現場担当者に伝わらなかったなら、現場の動きを一つ書き足します。

明日の提案書で直す一箇所

明日の提案書で直すなら、全部を変える必要はありません。冒頭の一文だけ見ます。

相手が最初に困っていたこと

商談中に相手が最初に話した困りごとを探します。確認が月末に集まる、承認に時間がかかる、担当者が変わると引き継げない。相手の言葉をそのまま拾います。

社内で使える短い一文

その言葉を、社内で使える短い一文にします。難しい表現に置き換えません。相手が話した言葉から離れないようにします。

機能説明の順番

最後に、その一文に関係する機能から説明します。全部を平等に並べず、相手の困りごとに近い順番にします。

湯浅さんは、この一箇所を直してから、提案書の見直し時間が短くなりました。足す資料を探す前に、冒頭の一文が相手の言葉になっているかを見るだけで、直す場所が絞れるからです。

さらに、湯浅さんは、提案書を送る前に担当者に一度だけ確認するようにしました。「この困りごとの書き方で、社内に出して違和感はありませんか?」という確認です。担当者は、言い方が強すぎる時はその場で直してくれます。これにより、社内で読まれる前に、相手の言葉とのずれを減らせます。

提案書は、営業側が完成させて渡すものに見えます。けれど、相手の社内で使われるなら、冒頭の一文は担当者と一緒に決めて構いません。担当者が自分で選んだ言葉なら、そのまま上司に読み上げられます。

営業Q&A

相手の言葉をそのまま書くと幼く見えませんか?

提案書の表現を整えたい場面です。

回答

そのまま長く貼る必要はありません。相手の言葉を短く残し、文として読みやすく整えます。専門用語に置き換えすぎると、相手の困りごとから離れてしまいます。

提案書の機能一覧はどう扱いますか?

資料量をどこまで減らすか迷う場面です。

回答

減らすことだけを目的にしません。冒頭の一文に関係する機能から順番に見せます。残りの機能は後半や別紙に回しても構いません。

冒頭に残す相手の言葉

営業提案書を直す時は、機能を足す前に、相手が使った言葉を一文残します。冒頭に困りごとがあると、社内で読む人も自分の話として受け取りやすくなります。提案書は、営業側が説明する資料である前に、相手が社内で話す材料です。

  • 商談中に相手が最初に話した困りごと
  • 社内で使える短い一文
  • その一文に近い機能からの説明

次に提案書を直す時は、ページを増やす前に、冒頭の一文が相手の言葉になっているかを見てください。そこが相手の言葉になっていれば、あとのページは順番を入れ替えるだけで済みます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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