事務から営業に異動【実例と傾向】不安な人の逃げ方・勝ち方

事務から営業に異動【実例と傾向】不安な人の逃げ方・勝ち方

あなたは事務として働き、営業は避けたかったのにやらざるを得ない状況になり、営業未経験なのにどうしようと不安になっているはずです。

  • 事務から営業になった人はどのような人なのか?
  • どうやって営業としてやっていけるようになったのか?
  • 不安からどのように抜け出したのか?

知りたいですよね?

本記事では

  • 営業になる自分を受け入れて前に進みたい。
  • 実例を知って営業として進む方向を見つけたい。
  • 迷っている自分に終止符をうちたい。

事務から営業に異動

そんなあなたに、わかりやすく事務から営業に異動した人の実例と傾向を伝え、不安な人の逃げ方・勝ち方を解説します。私は今まで営業を18年間経験し、数多く事務から営業に異動する人をみてきました。私の経験もあわせてお伝えしていきますね。

事務から営業に異動。不安になる7つの理由

事務から営業になる人にとって、さまざまな不安が襲ってきます。今まで与えられてきた仕事をこなすだけ、という人も多くいます。営業になるには「課題が山積み」と感じてしまう。一つひとつみていくことで不安の原因を明らかにしていきましょう。ポイントは戦わずに逃げること。解説していきますね。

自分は事務向きで、営業向きではない

「私は事務向きなので、営業には向いていない。」と落ち込む。本人が自分の能力を閉じ込めてしまっているパターンです。他人からは違った評価をされても、自分には営業が向いていないと思い込んでいるだけ。自分が見えている範囲は限りなく狭いのに、決めつけてしまってはもったいないですね。

「向いていないものは向いていないんです!」と意固地になる人もいるでしょう。営業に向いていない人などいないのです。営業の業務を一つひとつ分解していけば事務職に通じるところが多々あります。本記事を読んで学んでいってくださいね。

単調な仕事しかできない

「事務として毎日決まった単調な仕事しかしていないので不安。」というパターン。資料作成・見積作成・売上伝票の管理など、ひとくちに事務といっても千差万別。企業によっても部署によっても業務は異なります。単調な仕事のようにみえて、あなたは複雑な業務も知らず知らずのうちにやっているはず。あなたが気づいていないだけなのです。

ノルマのプレッシャーに耐えられない

「売上ノルマをもって営業できる自信がありません。」というプレッシャーから不安になるケース。営業には売上目標が必ずついてまわります。事務にも個人目標が課せられているはずです。生産性や書類作成スピード・社内コミュニケーションなど数字として把握しにくいものはありますよね。上司から評価されているに違いありません。事務から営業に異動になったAさんは次のようにいいます。「評価されるのが上司からお客様に変わっただけ。お客様にどれだけお役に立てたかが売上実績だと捉えればツラくありません。」と。重圧を耐えることなんか必要ありません。重く捉えすぎないのがコツですね。
事務から営業に異動

家庭と仕事を両立できるのか不安

「営業になるとお客様の都合にあわせたりして、家庭と両立できるのか。」と不安に感じてしまう。
営業といえば次のようなイメージかもしれません。

  • 「お客様の指定した時間に約束する。」
  • 「お客様の都合を最優先する。」
  • 「お客様が求める以上のはやさで対応する。」

窮屈になってしまいますよね。すべて誤解です。

  • あなたの都合のよい時間で約束する。
  • あなたの都合を加味して作業する。
  • あなたの都合がつくはやさで対応する。

このようにやらないと営業としては続かない。お客様都合ばかり考えると夜遅くの時間しか約束が取れなかったりして困りますよね。もともと営業事務だったBさんは、子供2人の母。Bさんの都合のつく時間をお客様に伝えて商談予定を組んでいました。お客様側もBさんの申し出を快く受け入れてくれていました。

「お客様の都合にあわせなくてもいいの?」という質問もあるでしょう。たしかに会う頻度が多くなったり、メリットもあります。「ヒマな営業マン」「売れていない営業マン」という印象を無意識のうちにもってしまうのです。お客様を優先せず、自分の都合と折り合いをつけてやっていきましょう。

社外の人と接したことがない

「ずっと社内で仕事をしてきたので社外の人とうまく話せるだろうか。」と不安になる人もおられるでしょう。長年、社内で事務をやってこられて、社外からの電話に出ることもなかった方は、不安に感じてもおかしくありません。でもあなたは、いままで社内の人とはコミュニケーションをしてきていますよね?まったく人と会話せずいままでやってきたわけではないはずです。

営業がお客様とコミュニケーションをとるのも会話のひとつ。今までとなんら変わりないのです。相手がどのような状況なのかを聞いて、課題を解決する作業はいままでも経験しているのです。
事務から営業に異動

うまく商品説明できるか不安

「営業といえば商品説明でお客様を説得できるかですよね。自分にできるか不安。」と悩んでしまう。多くの企業では営業になると商品説明の仕方は教わっても、営業手法までは学びません。あなたがそのように思ってもムリはありませんね。うまく商品説明する必要などありません。うまくやろうと思えば思うほど、お客様に見透かされます。お客様を説得する必要もありません。「説得されている。」と警戒されてしまいます。どうするのかというと、お困りごとを聞いて解決策は何かを明らかにして、必要な情報をお伝えする。これだけなのです。シンプルですよね。

人前に出ると緊張してしまうので不安

「あがり症で人前にでると緊張するから事務をやってきたのに。営業なんて。」と不安になる。あなたは、人前にでると緊張するほうですか?かくいう私もいまだに人前に出ると緊張しますよ。緊張は誰にでも起こりますし、当然のこと。

営業はお客様相手に会話をするお仕事。人前にでるのは確かです。案外、お客様は営業のことを見ていません。お客様は自分にしか興味が無いのです。自分に関わりのあることなら興味をもちますが、関わりがないことは興味をもちません。営業のことを気にしていないのです。

今後、ますます事務が営業に異動になる人は多くなるでしょう。デジタルトランスフォーメーションの社会とよばれ、アナログからデジタルに移行していきます。事務業務は見直されて不要な業務はカット。営業がカンタンに入力できれば営業事務が入力不要になる。一般事務・営業事務がどこに配属されるのか。企業から見れば営業は選択肢のひとつになります。

日本の大手金融機関がデジタルトランスフォーメーション(DX)で人手に頼った業務を削減する。日本経済新聞の調査で、約4万人規模の業務量が浮くことが分かった。支店の事務から営業などに配置転換する。

出典:2021/11/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ 金融、業務削減4万人分、大手13社、DXで生産性向上、雇用流動化・再教育が課題。 

事務から営業にされた人の不満ランキング

3位:定時に退社できない

「事務の仕事はルーチン作業で退社時間にきっちり帰れる。営業になると残務処理で定時に帰れない。」という不満。あなたなら、どのように解決しますか?事務にも繁忙期・閑散期はありますよね。年末・大型連休・キャンペーンなど要因はさまざま。営業にも繁忙期・閑散期があります。繁忙期に受注が集中してしまうと時間内に業務が終わらなくなってしまいますね。一人で処理しきれない分は誰かにやってもらいましょう。営業はチームでやると負担が格段に減ります。自分だけで背負う必要はないのです。もう一つは、閑散期と繁忙期の差を極力減らす工夫です。

広告会社で事務から営業に配置転換したCさんは、必ず定時に退社。どうしているか尋ねたところ、「自分の許容量を超えた仕事は翌日にやるか、誰かに依頼している。」と。自分一人でやらないことですね。

2位:いまの役職を降りないといけない

「事務チームでは課長職だった。営業に異動するにあたって、降格を申し出ました。」という不満。事務で担っていた役職を降りないと営業に行けないという方もおられるでしょう。あなたは今の役職をどうしますか?申し出るか申し出ないかは個人の自由。人がとやかくいうことではありません。役職を外せば気楽に出発できるでしょうし、役職をもったまま異動すればハリがあるでしょう。

1位:事務として定年まで働きたかった

「定年まで事務として悠々自適に働きたかった。」という不満。「営業になどなりたくなかった。」と思う方もおられるでしょう。一つの企業にとどまるのであれば、配置転換は受け入れざるを得ません。選択肢はいくらでもあるので、事務として他の企業に転職するのも手。ムリに営業をやる必要はありません。ひとついえるのは、自由自在に自分を変化させる人は同じ場所でも生き残っていくということ。稲盛和夫さんがおっしゃるアメーバ経営のように、一人ひとりが変わることが求められます。

一般事務なのに営業させる企業3つの傾向

業績不振・赤字体質の企業

業績がよくない、赤字が続いている企業は事務から営業に配置換えを考えがち。既存の営業体制では目標予算に実績が届かず、営業マネージャーが苦肉の策として打ち出すからです。経営層からプレッシャーがかかり、営業人員を増やすことで売上げアップを狙う対策。事務にとっては寝耳に水になりますよね。
事務から営業に異動

企業買収で体制が変わる

企業の体制が大きく変わるきっかけは、企業買収・事業売却・吸収合併・M&A・ホールディングス化など表現はさまざま。いまあなたがいる会社や事業体が他社とあわさることは企業変革の重大局面。事業がまるごと変わるとなれば、管理部門は吸収先に集約。管理部門にいたすべてのメンバーは配置転換が必至。顧客ニーズやトレンドによって企業は常に変化を求められる時代といえますね。

採用難・人材不足が続いている

求人を出しても採用できない、営業人員が欠員したままで人材が不足している。多くの企業が成長する過程でぶち当たる課題。企業に魅力がなければいい人材は獲得できない。人材を育てる文化がなければ営業マンがやめて欠員になる。となると、いまいる人材を営業にあてこむしかない、と考えがち。営業適正を勘案することなく配置転換させるマネージャーも実在します。私がもといた会社でも同じように人材不足が続き、事務から営業になった方がおられます。

人材不足になると事務作業を効率化しようとクラウド型システムを導入したがるのが企業の傾向。システム系営業マンもこぞってPR合戦。実際に導入となると営業マンは慣れるのに苦労します。導入後しばらくすると経営層は数字を可視化出来てよかったと実感。多くの事務作業はなくなり、事務メンバーの配置転換もしやすくなるのです。スマホ・タブレット・ノートパソコンを各自にもたせ、いつでもどこでも仕事ができる環境をつくる企業も。私がかつて在籍していた会社でも、全社員にノートパソコンを支給していました。企業にとっては3つのメリットがあります。

  • 顧客対応がリアルタイムでできる。
  • フリーデスク、ノマドワーク、テレワークに対応できる。
  • クラウド型ツールと併用することで生産性を可視化しやすい。

大手保険会社である太陽生命保険でも事務から営業に大量に配置転換を図りました。これからの時代、同様の事例が続くと予想されますね。

太陽生命保険は支社で働く一般職約500人の仕事内容を、事務から営業・サービスへとシフトさせた。タブレット端末の導入などで事務作業が大幅に減ったためだ。

出典:2021/11/10 日本経済新聞 朝刊 6ページ 学び直しで配置転換に備えを(中外時評)

内勤から営業に異動すると苦労する人のパターン3選

あなたは事務から営業になると苦労すると感じていませんか?どのような人が苦労しがちなのか、みていきましょう。

失敗を極端に恐れる

  • お客様から嫌われるのがこわい。
  • 完璧に業務をこなせないと不安。
  • 答えがわからないと動き出せない。

など、行動する前から失敗をこわがってしまう人は苦労しやすい傾向があります。事務業務ではマニュアルを与えられ、指示された通りに動いてきたという方は少なくありません。失敗を恐れることはなかったのです。マニュアル通りに業務を進めて支障がでたなら「マニュアルに書いてあったのに」と主張するでしょう。営業でマニュアルは多くの場合、存在しません。お客様との商談は「ナマモノ」。でも営業の文化は存在する。「営業ならこうするでしょう」という文化が。営業を難しくしている原因はここにあるのです。はじめから完璧に営業できる人などほんのわずか。失敗して当たり前。極端に失敗を恐れることはありません。失敗したら学んで進めばいいのです。

「事務では優秀だったね」といわれたくない

  • 事務では活躍していたのに。
  • 事務ならミスしなかったのに。
  • 営業より事務のほうが優秀だったね。

と、他人からいわれないかびくびくする。このような人は苦労しやすいです。営業の仕事と事務の仕事は重なる部分もありますが、多くは異質。事務が資料を作成しても、営業は資料をどのようにお客様に話すかを考える。担う役割が違うので動きも変わります。営業として動く前から、自分の中で事務としての働きぶりと比較して落ち込んでも結果は何も変わりません。他人から実際にいわれたのであればアドバイスを求めればいいのです。「私はこのようにやりたいと思っています。○○さんならどうされますか?」という感じに。

私のかつての同僚のGさんは営業事務から営業に異動。ハキハキとした声で電話口で対応することで全国の社員にも知れ渡っていました。支社間での電話のやり取りで「Gさんの声は素敵ですね。」と評判だったのです。Gさんは営業になるとき、事務の高い評価に営業として追いつけるか悩んでいました。しばらく成績は低迷していましたが、他の営業マンのマネをすることでメキメキと力をつけていきました。

「営業未経験だから難しい」とあきらめる

  • 営業経験がないからお客様とうまく話せない。
  • 営業をやったことがないから交渉できない。
  • ずっと事務だったからお客様のニーズがわからない。

などと、はじめからあきらめるパターン。

営業未経験だから、やったことがないことばかりなのは百も承知。動きながら本人が体感しないと、他人からのアドバイスは役に立たないのです。自転車にのったことがない人に、競輪選手が高度な技術を教えるようなもの。企業の管理者側から見れば、手がつけられない人の烙印を押してしまうでしょう。

厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagというホームページ。一般事務・営業・営業事務など、しごと能力プロフィールを公開している。なかでも、営業として注目したいのは次の5つ。

  • 傾聴力
  • 説明力
  • 説得
  • 交渉
  • 複雑な問題解決

本記事では住宅・不動産営業と営業事務を比較したい。数値別にみると、傾聴力は営業事務3.9、営業が4.4と近い。説明力は営業事務3.6、営業4.0と近い。

営業事務と一般事務では数字に開きが大きいと見て取れる。一ついえることは、営業事務は営業として活躍できる土壌が整っている点。お客様との実際の現場でのやり取りが、スムーズにできるようになりさえすれば、力を大いに発揮できるといえるでしょう。

営業事務と営業の能力の違い

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag 営業事務

事務から営業に異動すると給料はどうなる?

営業に異動で給料があがる?

あなたは営業に異動すると給料はあがりますか?実例を見てみましょう。

  • Jさんの場合:「転勤のない一般職で入社。営業に異動が決まり総合職に職種を変更。給料が10%程度あがりました。」
  • Rさんの場合:「営業事務としてお客様との電話対応を中心に業務。営業に異動となりお客様への訪問など業務は拡大。しかし給料はあがりませんでした。」

営業になったからとはいえ、一概に給料があがるとはいいきれません。給料があがるケースは次の3点が考えられます。

  • 一般職から総合職へなど職種の変更。
  • 等級のアップに伴う昇給。
  • 配置転換による昇給上限の撤廃。

企業ルールによって大きく異なるのであらかじめチェックしておくとよいかもしれませんね。
事務から営業に異動

異動でも給料が変わらない企業とは?

  • 企業内で明確な昇給基準が設けられていない企業。
  • 企業内の政治的な人事で給与が決まっている企業。
  • 個人目標・チーム目標を達成しても給料は変わらない企業。

などの企業は異動でも給料は変わらないでしょう。私の知人の会社は、「経営層に気に入られた人が昇給・昇格する。」ので納得いかないと不満を漏らしていました。現代において、いまだに古い体質の企業が存在することに驚かされます。営業部署として声をあげる、営業マネージャーに直談判してもらうなど長期的な視点に立って対策を講じていくことが求められるでしょう。

営業Q&A

質問1 事務から営業に異動と聞かされ転職したいです。

事務職で8年間勤めてきました。個人面談で上司から営業への異動を伝えられました。驚きと悲しみの気持ちでいっぱいです。いっそのこと転職してしまいたいなと思っています。どう思いますか?

回答1

営業への異動と聞いて悲しまれているのですね。ずっと事務としてやっていくおつもりだったなら驚かれるのもムリはありません。転職も一つの選択肢です。現勤務先にとどまりたい気持ちと、事務職として続けたい気持ちを、天秤にかけてみましょう。どちらに傾きますか?そもそも今の会社に入社した動機は何だったのか?から考えてみると糸口がつかめるかもしれません。
事務から営業に異動

質問2 事務から営業に転籍希望。志望動機・自己PRをどうするべき?

私は事務職として3年間勤務しました。社内で書類作成など事務作業をするより、社外でお客様と話すほうがあっていると思っています。もしかしたら、珍しいかもしれません。今の会社は好きなので、社内で転籍希望を出そうと思っています。志望動機や自己PRをどうするかで悩んでいます。事務として決められたとおりにやってきただけで何もとりえはありません。何かアドバイスあればよろしくお願いします。

回答2

事務から営業に転籍するための志望動機・自己PRについての質問ですね。自分を見つめ直す時間をもってみてはいかがでしょうか?

  • 近場に旅行にいってみる。
  • 1日自宅にこもってみる。
  • スマホを見ずに過ごす。

普段の生活から少し距離をおいてみると、あなた自身の内面に意識が剥きやすくなるのではないでしょうか?試してみてくださいね。

まとめ

事務から営業に異動になった人の実例と傾向・逃げ方・勝ち方についてみてきました。いかがでしたか?

  • 事務から営業になった人が不安になりやすい7つの理由を知って、
  • どのような不満が想定されるかをおさえ、
  • どのような人が苦労しやすいのかを知ると、

不安から一歩抜け出せるはずです。

営業に異動になる人について、さらに詳しく書いているブログがあります。よろしければ下記を参考にしてくださいね。

営業に異動した不安を すぐ解消できる

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2003年、22歳から営業マンとして18年の実績。お客様からの〝たった一言〟をきっけかに営業ノウハウを体系化。1000件以上の顧客との商談実績。500人以上の営業相談に応じてきた実績。経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に好評がある。

 
営業適正