上司と営業同行

上司と営業同行【成功法則】 嫌・やりたくないけど失敗しないコツ

営業になったあなたは、研修の合間に上司や先輩と商談の現場に同行することがあるはず。
新人営業・若手営業にとって、営業同行は一つの研修ともいえます。この記事では、営業同行の目的・事前準備・当日の流れ・失敗しないコツや注意点など、営業同行にまつわることを新人営業・若手営業のあなたのために徹底解説します。エピソードをまじえてお伝えしますので、リラックスして読み進めてください。

目次

営業同行とは

営業同行とは

営業同行とは新人・若手営業と同行者が、一緒に顧客を訪問して営業することを指します。同行者とは、上司・先輩・後輩・提携先担当者・経営層など、状況によってさまざま。この記事では、上司と営業同行するあなたに役立つ内容をお伝えします。
上司と営業同行
私の営業経験は18年以上。新人営業として複数の上司と同行した経験があり、上司の立場で部下との同行も経験しています。失敗談や営業同行にまつわるエピソードをご紹介しながら、部下としてあなたと同じ視点で、わかりやすく解説します。

企業の課題の一つでもある人材育成の観点から、上司との営業同行は新人営業の教育の一つといえます。厚生労働省のデータが示している通り、企業が新人を指導する人材が不足していたり、人材育成を行う時間がないなどの課題があります。配置転換・人事異動・転職・新卒などではじめて営業になった人にとっては、上司との同行を通して学べる機会が限られているといえるでしょう。

 ・ 人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答した事業所は75.9%(25年度70.7%)であり、前回に比べて増加している。

 ・ 問題点として最も多い回答は「指導する人材が不足している」(52.2%)であり、「人材育成を行う時間がない」(48.8%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(40.0%)と続く。
出典:厚生労働省 平成26年度「能力開発基本調査」

上司との営業同行が嫌・やりたくない理由

上司と営業同行
営業同行は、あなた一人で営業するのではなく、同行してもらう人と一緒に行う作業です。他人と一緒に行うわけですから、不満が出たり嫌になったりすることは当然のこと。同行してもらうのは他でもなく上司。上司との営業同行が嫌になるのは、どんな理由が挙げられるでしょうか。

  • 見られているのが苦痛・ストレス。
  • 必要以上に気をつかって疲れる。
  • 上司が口うるさくて細かいことまで突っ込んでくる。
  • 自分なりのやり方があるのに、上司から否定される。
  • 無能な上司から学べることがなく、ムダに感じる。
  • パワハラぎみの発言が多い上司なので、ビクビクしてしまう。
  • 自分が段取りを組んだのに、好き勝手に上司に変えられる。

など、人によってさまざま。本人の問題も当然ありますが、上司に問題がある事例も多々あります。パワハラぎみの上司は、私も過去に同行してもらった際に口うるさくいわれて、やる気を削がれた経験があります。営業同行が嫌であっても、やりたくなくても、必要に迫られればやらざるを得ません。あきらめてしまえば、そこで終わりです。この記事を参考にして、乗り切っていきましょう。

上司との営業同行の段階(ステップ・流れ)

上司と営業同行
上司との営業同行とひとくくりにしても、分解すると3段階のステップがあります。同行される側の新人営業マンのレベルに応じて、一段ずつ上がっていくイメージです。

  1. 上司(先輩)の営業を見る。
  2. 上司(先輩)に営業を見てもらう。
  3. 上司(先輩)を営業ツールとして活用する。

上司の視点で表現すると「やり方を見せて、やらせてみて、ひとり立ちさせる」というのが3段階のイメージです。これらは具体的に何を指すでしょうか。段階ごとに見ていきましょう。

上司(先輩)の営業を見る

営業研修してすぐのあなたはまだ自信がなく、お客様とどのように話せばよいか戸惑うことでしょう。「パンフレットに書いている意味はなんとなくわかるけど」という方もおられるはず。上司や先輩の営業のやり方を新人が見ることからはじまります。上司が商談でお客様と話すのをあなたが見ることで、次のようなメリットが挙げられます。

  • お客様にどのような質問を投げかけているかを学べる。
  • 資料を出すタイミングや説明の仕方を学べる。
  • 専門用語の意味が深く理解できる。
  • 座学や社内での研修だけでは気づけないことに気づける。

上司は「立て板に水」のことわざのようにお客様とスラスラ会話するはず。あなたは、会話のペースについていけないこともあるでしょう。私自身は過去に、上司と同行した時、理解できなかったフレーズがいくつも出てきて、必死にメモをしました。商談後に「◯◯ってどういう意味ですか?」などと聞いていました。商談の中でよく話題に上がる専門用語は、次に聞いた時に意味がわかるように、覚えるクセをつけましょう。

上司(先輩)に営業を見てもらう

上司と営業同行
あなたが上司や先輩に営業を見せてもらう期間がおわり、営業として第一歩を踏み出す時、上司と同行し、あなたの営業を見てもらうことになるでしょう。あなたは「自分にできるのか」「うまく話せるのか」など、緊張やドキドキで頭がいっぱいになるかもしれません。商品知識が完全でない中でも「現場で話すことによって覚えられる」という感覚の上司は多いはず。親ライオンが子ライオンを、崖から突き落とすようなイメージですね。営業同行で上司や先輩に営業を見てもらうことで。どんなメリットがあるでしょうか。

  • 準備万端で臨むようになる。恥をかきたくないし、評価されると思うと真剣に商品知識を頭に入れたり、顧客情報を調べたり、主体的に取り組みはじめます。
  • 訪問目的が明確になる。なんとなく営業活動・顧客訪問するのではなく、目的を明確にして訪問する意識になります。
  • 上司から指摘されてはじめて気づくことがある。人間誰しも自分が見えている世界は限られているものです。第三者からアドバイスをもらえるのは貴重。あなたの成長につながります。

営業を上司に見てもらうのは勇気のいることですが、上記のようなメリットがあるのです。私は勉強になった上司との営業同行を、今でも鮮明に覚えています。

上司(先輩)を営業ツールとして活用する

上司や先輩に見てもらう時期を経て、ひとり立ちし、営業活動をはじめてからは営業同行を一つの営業ツールとして活用します。時と場合によって、必要性があるから同行してもらう、というイメージです。営業ツールとしての目的は以下のようなものが挙げられます。

  • 確実にクロージングするため。あなた一人では太刀打ちできない場合・具体的な補足をしてもらいたい場合・競合から切り替えの大チャンスなどで、切り札として上司の同行を使う目的です。
  • キーパーソン・キーマンと会うため。商談が成約に近づくためには取引先の上席との商談が必要と分かった際に「上司を連れて参りますので」と上司の同行を口実にして取引先の上席との機会を探る目的。
  • 金額交渉をスムーズにするため。大口顧客の金額交渉で、最終局面の具体的な交渉が必要なケース。

いずれも「ここぞ」という場面です。主導権はあなたにあり、上司に何をして欲しいかが明確になっています。訪問目的が会社の方針とマッチしているのは当然で、上司との事前のすり合わせは欠かせません。

上司と営業同行

上司との営業同行の目的

先ほどの章でも少し触れましたが、営業同行の目的についてこの章で掘り下げていきます。上司から「明日◯◯社に行くからついてくるように」といわれたから行くだけでは「受け身」ですよね。あなたが上司と同行する目的をもつのかもたないのかで、得られる成長は大きく変わります。上司から見ても新人のあなたがどのような姿勢で営業活動しているのか、評価をする機会の一つであることを忘れてはいけません。目的が何もなければ成長しにくくなり、同期や後輩に追い抜かされる要因にもなります。目的をもつことはステップアップのカギになるのです。

上司がどのように会話しているのか知るため

上司と営業同行
上司と同行した際は、「上司がどのようにお客様と会話しているか」細かくみましょう。上司のスキルをあなたが吸収する感覚ですね。会話のスキルを得られれば、あなたの営業活動はどんどんやりやすくなります。どのような点に着目すればよいでしょうか。次のようなものが挙げられます。

  • 雑談ネタに何を使っているか。
  • 業界の傾向や公にはいえないウラ話をどのように話しているか。
  • 商品・サービスのコンセプトをどのように伝えているか。
  • 自社の成り立ちやこだわりポイントをどのように語っているか。

上司といっても一人の人間です。上司一人ひとりに個性があり、話し方もさまざま。体系化された営業マニュアルがない企業であればなおさらです。私は過去に同行した上司が、商品のコンセプトについて熱く語ってくれたのを聞いて感動した経験があります。思いを込めて話せる人から話を聞けるのは貴重ですし、自分のセールストークにも活かせます。

自社商材を理解するため

上司が話しているのを聞いて学んだうえで、あなたが主体的にお客様の前で話すと自社商品の理解は深まります。自社商材の理解が深まりやすいポイントや場面は次のようなものが挙げられます。

  • 新人営業マン自身が説明をやってみてわかることがある。
  • 訪問直前の打ち合わせで上司から指摘されたことで不足していた知識に気づける。
  • 商談の中で上司が何を補足で話してくれたかを振り返り、自分の足りない部分に気づく。

などです。目の前のリンゴを食べてみないと、味がわからないのと一緒で、動きながら身につけていくことはたくさんありますね。直前の打ち合わせ・振り返りの重要性をあらためて感じます。

お客様から受けた質問の答え方を知るため

商談の現場に出ると予想しなかった質問を、お客様から受けるのはよくあること。あなたが答えに詰まったとき、上司が助け舟を出してくれるでしょう。お客様から受ける質問は次のようなパターンがありえます。

  • 一問一答の答え。この質問にはこの回答と決まっているいるケースです。「料金の振り込みはの締め支払いは?」とお客様から聞かれて「月末締めの翌月末支払い」と答える基本的なパターン。新人若手営業マンとしては、答えられるようにあらかじめおさえておきたいですね。
  • お客様の状況によって答え方が変わる質問にどう答えているか。大型の受注金額なら割引の可能性がある、など状況によって答え方が変わる質問もあります。その場での回答に困るケースです。上司がどのような言い回しをしているのか注目してみましょう。
  • 伝わりやすい話し方。あなたは相手に納得してもらえる話し方や、聞き方をしていますか?上司が事例を使ったり、わかりやすい表現は使ったり、工夫しているポイントをつかみましょう。

これらのポイントを意識しておくだけで、得られる情報は格段にあがっていきます。

上司との営業同行の事前準備

上司と営業同行するにあたって具体的に何を準備すればよいのでしょうか。あなたはチェックリストなどできちんと整理できていますか?

多くの場合営業活動は本人に任されています。あなたが気づいていようがいまいが時間は刻々と流れる。手取り足取りすべてを教えてくれる営業部署は、限りなく少ないと肝に銘じておく必要があります。上司との営業同行の事前準備について詳しく見ていきましょう。

商談の訪問目的を決め、上司と共有する

上司と営業同行
お客様を担当することになったあなたは、さっそく商談に行きたいところですが、まず訪問目的を決める必要があります。訪問目的を決めた上で、商談の流れや資料の準備につながっていくからです。

1回の商談で成約までもっていく場合は成約が目的。今回はヒアリングまでで、次回にプレゼンテーションしたいのであれば「次回プレゼンアポ取得」が目的になります。訪問目的がブレてしまうと上司との認識のすり合わせや、どの資料を準備するのかにも影響します。

あらかじめ上司に顧客の状況を共有し、訪問目的が何かを伝えましょう。上司の認識が「実は◯◯が目的だと思っていた」と誤解が生じると、準備する資料が変わってくる可能性があります。

私は過去に、目的を「交渉と金額提示」のつもりで上司に伝えて些細なハプニングになったことがあります。訪問直前になって「交渉までにとどめよう」と上司からいわれ、交渉のためのヒアリング項目を精査し直したのです。訪問後に上司と打ち合わせて、妥当な金額をプレゼン資料にまとして、後日お客様に提出し成約に至りました。訪問目的の認識がずれていると当日になってドタバタしかねません。あなた一人で訪問するときも、同様で訪問目的は必ず明確にしましょう。

訪問目的に応じた説明や、ヒアリング・反論想定をしていく必要があり、最も重要なことの一つといえます。反論想定とはお客様から疑問や懸念をいわれた時に、どのように切り替えすかを指します。

営業資料を準備する

訪問目的が決まれば、どのような商談の流れにするか・反論想定・資料の準備を行います。ここでは資料の準備についてご紹介します。ひとくちに資料といっても企業によってさまざま。次のようなものが挙げられます。

  • パンフレット
  • 会社概要
  • 参考資料
  • サンプル
  • ヒアリングシート
  • 図表
  • 新聞記事
  • お客様の声
  • パワーポイント
  • 動画データ

などです。説明で使う資料はもちろんですが、お客様から反論があった時に使う資料が何かを明確にしておくと、安心して商談に望めます。どのタイミングで何を出すのかが、はっきりしていると堂々と話せるでしょう。

私は過去に上司との同行の際、営業資料の準備不足で焦った経験があります。同行の当日になって「パワーポイントのココとココは消して、コレを追加して」といわれたのです。よくあることですし、上司は簡単に一言で済みますが、修正するのは私。出発までの限られた時間の中、バタバタで修正して間に合わせました。
上司と営業同行
他にもこんな事例がありました。お客様は2人と聞いていたので資料を各2部用意してクリップでとめていたら、「5部用意してホチキスでとめてくれ」と訪問直前に上司からいわれたのです。訪問は朝9時で現地に朝から直行のスケジュールでした。朝急いで会社に寄って追加の印刷をして、ホチキスが見当たらなかったのでコンビニで買ってホチキスどめしました。上司は「お客様2人の予定でも3人になるかもしれないし、我々の分で2部いるでしょ。だから合計5部。」と。「なるほど」と思ったのと同時に、前日に確認しておけばよかったと後悔しました。

この文章を読んでおられるあなたには、些細なことに思われるかもしれません。本人は綱渡りのようなヒヤヒヤした感覚なのです。用意した営業資料について前日に上司に「◯◯と△△の資料を◯部用意してクリップでとめています」などとチラッと見せておくと安心ですね。

上司との待ち合わせ日時・場所・経路を情報共有する

上司と営業同行
上司との同行前日までに待ち合わせ日時・場所・経路の情報を上司に伝えましょう。上司によっては、「打ち合わせしながら行きたい」「電車じゃなくて車で行きたい」など考え方があるからです。忙しい上司であれば、営業同行の商談直前にまとめてお客様の情報を聞きたいという人もいます。案件によっては、他人に聞かれたくない機密情報なので電車移動では話しにくいという場合も。次のポイントは最低限おさえましょう。

  • 15分前に現地に到着できるスケジュールで上司に共有する。
  • インターネットの乗換案内で検索して経路を上司に共有する。
  • 現地集合の場合は現地の地図と集合場所を上司と共有する。
  • 「一方的に上司に伝えた」で終わらず、チャットor電話or応答などで上司から了解を得る。

資料の準備がせっかくきっちりできていても、当日の待ち合わせや移動でつまずいてしまうと、ドキドキしたまま商談が始まってしまうことも。焦らなくても済むように、準備したいものです。

上司のタイプを想定する

上司との営業同行では、上司のタイプを想定しておきましょう。上司のタイプとはたとえば次のようなものが挙げられます。

  • 新人営業が多少準備不足でも臨機応変に対応するタイプ。
  • 100%資料が揃っていないと不満をいうタイプ。
  • 新人が前に出すぎると嫌な顔をするタイプ。

事前に見定めるには先輩や同僚から、上司についての情報を得るといいですね

私の場合はパワハラ上司との同行の際に、私が前に出すぎて上司から「私の言葉をさえぎるな」といわれた経験があります。正直いかりがこみ上げてきました。その件があって以降、パワハラ上司との同行は限りなく減らすよう工夫しました。

上司をうまく乗りこなすのも営業マンにとって必要。あなたの上司の今までの行動や様子から、何を求めてきそうかイメージしておけば、ヒントが見つかると思います。

同行の前日は早く寝る

上司と営業同行
同行の前日は早く寝て、睡眠をしっかり確保しましょう。同行当日は慣れないことで気を使い、とても疲れるからです。商談に集中するためには休息が必要。睡眠不足で臨むと、お客様の話を聞きそこなってしまったり、大事なポイントを外してしまいかねません。同行前日は準備のために、他の仕事がはかどりにくいもの。前日に早く退勤すると決めておくことで、心にゆとりがある状態で事前準備できます。前日に遅くまで飲みに行って2日酔い、なんてことにならないように気をつけましょう。当日は急な頼まれごとが多くなりがちです。同行の前後のスケジュールを、詰め過ぎないようにしておくのもポイントですね。

上司との営業同行 当日の流れ

事前準備ができたらいよいよ営業同行の当日を迎えます。あなたの緊張は高まっていることでしょう。この章では、同行当日の流れを見た目・事前打合せ・誰が話すのか・振り返りの順でみていきます。

ビジネスマナー・見た目を整える

上司と営業同行
朝起きたら鏡を見て自分の見た目を整えましょう。第一印象でお客様に与えるイメージは重要だからです。誰が見ても文句なし、という見た目にできると理想的。

  • 髪型
  • ひげ
  • メイク
  • スーツ
  • くつ
  • ワイシャツ
  • ネクタイ
  • カバン
  • 名刺入れ
  • ボールペン

誰かにチェックしてもらうのも一つの手です。

ビジネスマナーは

  • あいさつ。参考のYouTubeをご覧ください。
  • 名刺の渡し方。参考のYouTubeをご覧ください。
  • 入室順。上司が先に入室が基本。上司が部下を立ててゆずってくれる場合あり。
  • 席順。上司が上座(出入口より最も遠い席)が基本。上司が部下を立ててゆずってくれる場合あり。

を最低限おさえておきましょう。できていなければ上司から指摘されたりお客様を不快な気分にさせかねません。

私の経験で修理していたのは上司と服装を合わせること。営業同行の前日に上司に「明日の服装は?」と聞いていました。服装を合わせるだけで、同行する者同士の呼吸があった気になるからです。お客様の目から見ると、服装が揃っていると見た目にもしっくり来ますよね。春・秋ならクールビズでワイシャツのみノーネクタイもありえます。

上司と連絡が取れない時は、ジャケットとネクタイを身につけて行きました。上司が身につけていなければ自分は外せるから安心です。逆にあなたがネクタイを忘れて上司はネクタイを締めている状況だと気まずくなりがちです。基本的なことですが、つまづきポイントですので、しっかりおさえておきましょう。

直前打ち合わせ・やること

上司と営業同行
上司によっては、商談前に直前の打ち合わせをする場合があります。会社の会議室や、現地付近のカフェなどで行うのが一般的。最低限として下記を確認されることでしょう。事前打ち合わせが必要だとあなたが感じている場合は、あなたから上司に申し出ましょう。

  • 訪問目的。上司の認識との最終のすり合わせを行いましょう。
  • お客様の状況。数字などの客観的な情報とあなたの所感を伝えましょう。
  • 懸念事項。商談を進めるにあたって障害となり得ることを共有しましょう。
  • 反論想定。想定できるお客様からの反論に対してどのように答えるかを共有しましょう。
  • 営業資料。どのような営業資料を準備しているか上司に見せて確認しましょう。

あなたが担当者として、気づいていること・思っていることを含めて、話しておきましょう。商談の流れをどのように持っていくか、打ち合わせできていないと、不安なまま商談をスタートすることになります。

上司からもらったアドバイスで、軌道修正することもあるでしょう。私の経験では直前の打ち合わせで「同業他社の事例の情報収集をしてみては?」と上司から助言が。同僚に電話でいいヒントをもらえて、商談がうまく進みました。

理想的な上司との営業同行とは

上司と営業同行
理想的な上司との営業同行とは、上司が部下の準備した内容をもとに質問をして、部下に気づきを与えることです。部下が気づいて行動するようになれば、主体的に取り組むようになるからです。上司は部下の発言を否定せずに、部下が気づいていないことに質問をして、引き出していく手法です。事前事後の打ち合わせも含めると、一件4時間はかかるのですが、部下の成長が期待できる手法の一つです。

私が過去に新人営業だった時に上記のような充実した同行を経験しました。難攻不落のお客様のアポイント取り、1時間かけて上司と事前打ち合わせして、商談で無事成約に、結びついたのです。反論想定をしっかり準備して「こういわれたらこう切り返す」と決めて商談で綺麗に反応できて成約につながりました。このような充実した営業同行は、上司も部下も骨の折れる作業ですが、成果は期待できると私は思います。

新人営業?上司?のどちらが話すのかを決める

事前打合せをして商談の流れが決まれば、新人営業か上司のどちらが話すのかを決めましょう。営業同行で上司についてきてもらうときは担当者であるあなた(新人・若手営業)が話すのは基本です。担当者としての責任があり、お客様との人間関係をつくり、あなた自身の成長が会社にとっての財産だからです。

うっかり「上司が話してくれるだろう」と思っていると、「君が話すんだよ」と上司からいわれ、戸惑う展開になりかねません。私の過去の経験でも、上司が商談中に「ここからは木村がご説明します」と急に振られて、ビックリしたことが。たどたどしく話してお粗末な結果に。このようにならないためにも、「上司には出させない」というつもりで構えましょう。上司に話してもらうにしても、「パンフレットの説明は私がやります」と伝えるなど、積極性を見せることがポイントです。

すべて上司が話してくれるという場合は、商談した内容の記録を取ったり、日報の報告はあなたが行いましょう。

事後の振り返り、お礼のメールを送る

営業で商談が終わったら、振り返り行います。商談後すぐに内容をおさらいすることで、気づきが得やすいからです。上司からあなたに下記のような投げかけが想定できます。

  • 商談の流れを振り返る。
  • よかったことは何か?
  • 気になったことは何か?
  • 改善したいことは何か?
  • 今日または明日何をやるのか?

このような振り返りをしないと、営業のスキルはなかなか上達しにくいのです。あなた自身が気づくことも重要です。振り返りは営業同行するときにやるのではなく、単独で訪問するときも振り返る習慣をつけましょう。

営業同行が終わって、見積もりを提出したり宿題をもらっていたり、引き続きお客様とのやり取りを継続することもあるでしょう。上司に進捗報告を欠かさず、行いましょう。できれば営業同行が終わった当日に、お礼のメールを送りましょう。「同行いただき、ありがとうございました。」などと簡単で構いません。

上司との営業同行が失敗する理由・失敗しないコツと注意点

上司と営業同行
上司との営業同行で失敗したくない人はいるはず。あなたもそのように思っておられるかもしれません。失敗する理由や注意点をあらかじめ知っておくことで、対策をとったり、避けて通れたりするもの。この章ではそれらについて、解説していきます。

事前の情報共有をしていない

上司と営業同行
お客様の情報や商談の流れを、事前に上司と情報共有していないと失敗します。馬が合わないという例えのように、あなたと上司の歩調が合わないからです。同時に、お客様との歩調も合わなくなります。お客様があなたに伝えた情報が、まったく上司と共有されてないとなると、お客様は不安になるでしょう。「あれだけお話ししたのに、この営業マンは社内の意思疎通ができていない」と無意識に感じます。

上司だけが持っている(あなたが知らない)情報を、商談の場で上司が口にすることもあるでしょう。今はじめて聞いたことであっても、動揺せずにお客様に目を向けておきましょう。ある営業マンは、商談中に上司が自分の知らないことを話しだしたため、顔を何度も見てしまったことがあり、上司から「商談中に上司の顔を見ないように」と指摘を受けました。理由は簡単で、上司がおかしなことを言い出したとお客様に思われるから、でした。その営業マンはそれを聞いて「なるほど」と納得、それ以降は同行者の顔や目を見ることはなくなりました。

事前に手を打っている情報共有はすべてやっておくつもりで、準備をしておきましょう。

営業同行の成功が目的になりお客様が見えなくなる

新人営業マンがお客様に目がいかず、営業同行を成功させることに気がいってしまうと失敗します。営業同行があろうがなかろうが商談の主役はお客様だからです。

  • 上司に気に入られたい。
  • 評価・給料の査定に響くのが気になる。
  • お客様より上司を攻略したい。
  • とにかくこの場を乗り切りたい。
  • 無難にこなしたい。

など、気になることを挙げだすとキリがありませんよね。訪問目的が明確になっていてもこれらが頭を離れないかもしれません。集中できない状態の営業マンはよい成果を出せないものです。気になっていることをポストイットに書き出しておく、などして頭の中から一旦出してみましょう。

上司との営業同行は新人・若手営業マンにとっては「評価される場だ、営業同行の成功が目的で問題ないのでは」、という意見もあるでしょう。もちろん気持ちは理解できます。目の前のお客様にプラスして、上司もお客さまになっている状態になります。上司にとっても、営業同行は商談の成功が目的。商談を成功させることによって、あなたが適正な評価を受けられるのです。

お客様からすれば上司もあなたも会社の代表です。上司がいたとしても、たとえていえば上司を透明人間のような感覚で感じて、あなたが主体的に商談を動かしていきましょう。

上司との営業同行を乱発する

上司と営業同行
上司との営業同行を乱発すると、失敗しやすくなります。お客様にとって上司と同行が珍しくなくなり、ありがたみを感じなくなるからです。ここぞという勝負の時に、上司との同行を活用しましょう。

ある営業マンは毎回のように上司と同行でお客様に訪問。当初は営業マン自身が商談の主導権を握って進めていました。次第にお客様は上司とだけ話すようになってしまいました。上司もセットで営業に来ることが当たり前になったのです。その後その営業マンは単独での訪問がしづらくなったといいます。

メリハリをつけて上司との営業同行を営業ツールの一つとして活用しましょう。

営業Q&A

質問1:上司との営業同行は話せないので不満

私は保険業の営業マンです。上司が毎回のようにお客様の訪問についてきます。商談はほとんど上司が話していて、私が話せないので不満です。

私は一人で訪問したいのですがなかなかさせてくれません。私が話せるようになるにはどうすればよいでしょうか?

回答1

同行する上司ばかり話して、あなたが話せないので不満なのですね。
あなたのお気持ちよくわかります。私も過去に同じような経験がありました。
上司と営業同行
上司との営業同行から卒業することをオススメします。自分が話さずにはいられない上司との同行を、過去に私も経験してきました。その上司と同行している限り、自分の出る幕がないといった感じでした。私はその上司との同行を避けるために、理由をつけてあえて営業同行しないように心がけました。上司に訪問してもらうまでもありません。といって、上司を持ち上げつつ営業同行を避けたのです。

ある営業マンも同じようなことで悩んでいました。上司との営業同行ばかりで単独営業させてくれない、という不満でした。直接上司に聞いても、「新人だから営業同行するのが当然でしょう」といい放ったそうです。結局その営業マンは、上司の予定表を見ながらアポイント入れて単独訪問をしはじめました。次のような方法もあります。

  • 上司のやり方を徹底的に真似して「今回は私が話してみます」と伝えて主導権を握る。
  • 上司がいなくてもできる営業力を身につける。
  • さらに上の上司に相談して単独営業できるように仕向ける。

「そう簡単にいわれても」とあなたに思われるかもしれません。上司と一緒に営業同行をしている限り今の状況は変わらないと思います。どのようにすれば営業同行から早く卒業できるかを考えてみましょう。

質問2:事務職やエンジニアと営業同行するときの注意点は?

私は研修を経て営業マンとしてひとり立ちしました。近日中に事務職やエンジニアと同行することが決まっています。

今まで事務職やエンジニアと同行したことがないので、どのような点に注意すればよいか、気になっています。

事務職は営業現場を見せる研修の一環としてで、エンジニアは納品後のご挨拶のため同行の予定です。

回答2

事務職とエンジニアの営業同行の予定があり注意点を気にされているのですね。
次のようなことが挙げられます。

事務職との営業同行については、営業同行する目的を上司に確認しましょう。「営業現場を見てもらい、営業と事務の連携を強化したい」などがありえます。営業事務は内勤になり商談の場面に出ることは少ないはずです。商談の場でどのように営業ツールを使っているのかがわかれば、より営業が使いやすいような資料の準備につながるでしょう。
上司と営業同行
エンジニアとの同行は、上司との営業同行と同じように、事前の情報共有を欠かさず行いましょう。お客様の状況や課題についても、事前に時間を設けて打ち合わせするとよいでしょう。お互いの認識がずれていると、商談の場面で食い違いが起きてトラブルになりかねません。部門をまたぐような相手と営業同行するときは、誤解が生じやすく、細心の注意が必要です。エンジニア側が考えていることもあらかじめ聞いておきましょう。

質問3:営業同行に男女で行くときの注意点

営業同行に女性の先輩社員と一緒に訪問する予定です。
今まで、女性の社員と営業同行したことがなく、少し緊張しています。

客先まで移動時間がかなりあるので、何を話していいかも迷っています。
営業同行に男女で行くときの注意点があれば、教えてください。

回答3

上司と営業同行
営業同行に男女で行く時に、どのような注意点があるか気にされているのですね。
私も過去に、何度も男女で営業同行したことがあります。
次のようなことは気をつけておきましょう。

  • 業務に関連する話題だけ話す。
  • プライベートなことを聞かない。
  • セクハラ・パワハラ・モラハラ発言をしない。

客先まで移動時間が長いようですの雑談の話題が尽きるでしょう。車移動であればラジオ・音楽をかけたりするなど気分転換しながら移動しましょう。

質問4:上司と営業同行するデメリット

私は営業マンになったばかりで上司と営業同行の毎日です。

上司はパワハラといえるような発言を頻繁に行います。

正直いって上司と営業同行するのは苦痛です。
上司と営業同行するデメリットについて教えてください。

回答4

上司と営業同行するデメリットについて知りたいのですね。
私自身もパワハラ上司と営業同行してぐったり疲れた経験があります。
上司と営業同行
私が大切にしていたお客様に営業同行したとき、パワハラ上司は訪問後に「お客様が喋りすぎだ」とあざけ笑いされた経験があります(実際はもっとひどい言い方でしたが。)。他にも同じような経験が何度もあり、その上司と営業同行をやりたくないと感じました。

そのパワハラ上司は他の営業同行の際にも会社のたたずまいを見るなり、会社の規模の小ささについて小馬鹿にされたことがあります。上司の人間性にとてもガッカリしました。

営業同行するたびに叱責されると、ストレスでしかありません。新人営業にとって商談が苦手意識に変わっていくこともあります。

パワハラ上司との営業同行は百害あって一利なし、デメリットだらけです。ときには「断る」ことも必要です。一刻も早く営業力を身に付けて営業同行から卒業しましょう。

質問5:オンラインで営業同行する際、必要なことは?

今までの上司との営業同行は現地に訪問していました。

今回担当したお客様からオンライン商談を求められて、オンラインでの営業同行を予定しています。

対面での営業同行と、オンラインでの営業同行の違いがあれば、教えてください。

回答5

対面とオンラインの営業同行の違いについて知りたいのですね。
上司と営業同行
一番の違いは、オンラインの営業同行は移動時間を上司とともにしないことです。商談開始時間になってはじめて上司が画面上に現れるからです。

対面の営業同行であれば車移動や電車移動など上司と話しながら、商談の事前準備をすることもあるでしょう。オンライン商談の場合は現地集合するような感覚です。商談開始直前ではなく、前日や前々日までに事前打ち合わせを上司と行いましょう。

準備する内容は対面での営業同行と同じです。営業資料についてはオンラインで示せるようにあらかじめ確認しましょう。

オンライン商談ツールによっては同じ会議室で商談をした場合に、2台のノートパソコンから入ると、音に支障をきたす場合があります。支障とはハウリングのことで「ブーン」「キーン」など、不快な音が発生することを指します。あらかじめ試してみるなど、商談でトラブルにならないようにセッティングしておきましょう。

テレワークと対面のどちらでも対応できるように心がけておくことです。総務省のデータでもテレワークの頻度について示されています。社会情勢が変化しても柔軟に応じていける力を身に着けましょう。

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。
実施頻度によって、常時テレワークと、テレワーク勤務が週1~2日や月数回、または1日の午前中だけなどに限られる随時テレワークがあり、実際は様々な形態で導入されています。
出典:総務省 テレワークの主な形態
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/18028_01.html

まとめ

上司との営業同行について具体的に一つひとつ見ていきました。いかがでしたか?注意するポイントさえおさえておけば、営業活動に集中しやすいはずです。上司との営業同行で得られるものもありますが、「上司の経験があるからできること」もきっとあるでしょう。再現性のある営業力を学ぶことも視野に入れていきましょう。無料のメール講座をご用意しておりますので、下記をクリックしてお申込みください。
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下記の記事も参考にしてください。

営業同行が今まで嫌だった私は、仕事・上司のどっちが嫌?

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2003年、22歳から営業マンとして18年経験。2017年の配置転換を機に営業ノウハウを体系化。1000件以上の顧客との商談実績。500人以上の営業相談に応じてきた実績。無形商材・有形商材の営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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