営業の先輩からゴルフに誘われますが、やりたくないと思っています。
●質問
営業の先輩からゴルフに誘われますが、やりたくないと思っています。
営業マンはゴルフをやらなければいけませんか?
私は営業部署に配属になり、上司や先輩方はゴルフをしている人が多いです。
取引先にもゴルフをされる方がいて一緒にプレーすることがあるようです。
私はゴルフに全く興味が無く、運動もあまりしてきませんでした。
アドバイスをいただけるとうれしいです。
● 回答
先輩からゴルフに誘われて、やらなければいけないか気になっておられるのですね。
ゴルフに全く興味がなく運動もしてこなかったということであれば、その質問は当然だと思います。
次のような視点であなたに当てはめて考えてみてください。
仕事上の付き合いのゴルフが業績に関係があるか?
あなたは職場の上司や先輩、取引先にもゴルフをされる方がおられるということですよね。
仕事上の付き合いでゴルフをしないことによってあなたの営業としての売り上げや業績・評価に問題があるか、関係があるかという視点で考えてみてください。
たとえば、取引先の顧客が普段は話してくれないけれど、ゴルフ場でなら本音を話してくれる場合は売り上げに直結する可能性があります。ゴルフを業務の一環として割り切ってやる必要があるかもしれません。あくまでゴルフは業績・売り上げをあげる道具やツールのような感覚です。
しかし、ゴルフ以外に顧客と十分接点が取れてゴルフ無しでも影響がないのであれば、あなたがやりたくないゴルフをあえてやる必要はないと私は思います。またそれによって、職場の上司があなたの評価を上げたり下げたりすることはあるでしょうか?もしあるとするならばいわゆるゴルフハラスメント(ゴルハラ)に該当する可能性があります。多くの場合、社内業務に直接ゴルフが関係することはないと私は思います。
ゴルフを断ることで人間関係が悪化するか?
あなた以外の上司や同僚が皆こぞってゴルフをしている場合、やっていないあなただけ取り残されたように感じる可能性はあります。たとえば、話題についていけないと、気分が悪くなることもあるでしょう。もしあなたが出世したいと思っておられるのなら、上司と楽しく会話している同僚がうらやましく見えるかもしれません。
しかし、出世に興味がない人や、話題についていけなくても気にならないという人であれば、わざわざ休みの日まで職場や取引先の人間といて人間関係をつくる必要はないと感じると思います。
実際、私は後者のタイプです。出世にあまり興味が無くゴルフをしないタイプでしたが、社内の人間関係は何の問題もありませんでした。ゴルフ以外で十分なコミュニケーションを取れれば問題ないと私は思います。職場での雑談や、休憩時間、ランチ、飲み会、営業会議、営業同行、個人面談などの時間を活用しましょう。誤解を恐れずに言いますが、ゴルフくらいで人間関係が悪化するようではそもそもその職場に問題があると私は思います。
ゴルフに楽しみを見出せるか?
たとえば、職場で仲の良い同僚からゴルフに誘われて「この人とならゴルフで楽しめそうだ。」と思えるならご一緒してもいいと思います。
私が過去に関わっていたAさんのエピソードをお話しします。
Aさんは私よりも年上の営業マンでゴルフ自体に興味はない方でした。あるとき、職場の仲間四人でゴルフに誘われて、仲の良い同僚だったので急遽参加したそうです。Aさんがいざゴルフに行ってみると、すっかり魅力にはまってしまいそこからゴルフグッズを買い集めるようになりました。クラブやパター、バッグ・ゴルフウエアからシューズに至るまで全身をゴルフショップで揃えておられました。その後は仕事終わりの22時なのに「今から打ちっぱなしに行ってくる。」と大変熱心になっていきました。
一方で、私の経験ではやってみてもハマることはありませんでした。当時、Aさんが楽しそうにしていたので、Aさん同伴でゴルフショップに行って、私のクラブとバッグを買いそろえました。数十万円は使いました。私はその後、2回ほど打ちっぱなしで練習しましたが、球になかなか当たらず上達せずギブアップ。わずか半年ほどで中古のゴルフショップに売って数万円にしかならずガッカリしたのを覚えています。私もゴルフに楽しみを見いだせなかった一人です。
ゴルフをやりたくない人の意見としては、朝が早い、拘束時間がながい、上司のお膳立てをするのが嫌、接待ゴルフはこりごり、媚びを売りたくない、休みを無駄にしたくない、お金を無駄にしたくない、など様々意見があるようです。
日本経済新聞に掲載されていたゴルフ人口の変化です。ここ10年でみても4割減と縮小の一途をたどっています。
ただ日本生産性本部(東京・千代田)のレジャー白書によれば、ゴルフ人口は19年に580万人と10年で4割減。ゴルフ場の経営環境は厳しい。プレー層の拡大と収益安定の間で難しい判断が続く。
出典:2021/02/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ
ゴルフに誘われた時の断り方を用意できているか?
ゴルフに誘われてやりたくないと思っている方が困る原因として断り方が分からないというのがあります。たとえば、私自身が今までゴルフを誘われたときの断り方をいくつかお伝えします。理由は例えば、「スポーツが苦手」「球技が苦手」「お金がない」「休日は家族と過ごしたい」「腰痛持ち」などです。あなたがどのような理由にされるとしても、周りの人はそれほど気にしないと私は思います。断るときに悪い印象を与えないことさえ抑えておけば問題ないと思います。
具体的なフレーズとしてたとえば、「私は腰痛持ちでして、体をひねる動作があまりできないので、残念ながらゴルフは辞退させていただきます。お誘いいただいてありがとうございます。機会があればゴルフのお話を今度聞かせてもらえると嬉しいです。」のように断ってみましょう。「理由」+「あなたの気持ち」+「感謝」+「聞かせてください」という流れで伝えられると相手も気分がいいでしょう。
ゴルフの話題についてあなたが聞く姿勢があるか?
職場でゴルフの話題が出ている時に、あなたがそっぽを向いてしまうと、しらけることもあるでしょう。あなたがゴルフをやりたくないとしても話題を聞くことはできると思います。全く耳をかさないのもありですが、できれば「どんな感じだったのですか?」など投げかけてみましょう。営業商談の練習だと思って質問を投げかけるとラクにできるかも知れません。
以上、考えるときの視点についてお話ししました。
一方で、「ゴルフにいきたくないけど、いかなくてはいけない。どうすればいいのか?」と感じる方もおられるでしょう。
プレーしたくないということであれば、見学させてもらうのがお勧めです。ゴルフコースを雑談しながら見学するだけであれば、ゴルフグッズをそろえる必要はありませんし、事前の準備もいりません。一緒に回れば、みなさんがどんな感じでプレーしているかつかめて、話題にものっていけると思います。ただし、一度だけなど限定しておくほうがよいと思います。なぜなら、雑用係やキャディーがわりとして毎回のように誘われると困ってしまうからです。気を付けましょう。
ゴルフが好きな方からすると、コースに出るのは次のような楽しみがあるようです。広い芝生のコースを早朝の朝日とともに楽しめる、都会の喧騒をはなれ非日常をあじわえる、小鳥のさえずり・虫の鳴き声が聞こえる・風が心地よく感じリラックスできる、仲間たちと話しながらプレーする楽しさ、職場では話せない腹を割った気楽な話ができる、すがすがしく美味しい空気を吸えて開放感がある、ゴルフの勝敗にこだわる楽しさ、個人のスコアを伸ばせる魅力などです。
下記は日本経済新聞のローソン竹増貞信社長の記事の引用です。三菱商事で畜産部の肉類の営業をされていたそうです。ビジネスパートナーと信頼関係を結ぶうえで大事なこととして次のように語っておられます。
「海外駐在でも誘いを断らないことを心がけました。仕事の顔だけでなく、プライベートの姿も知ってもらおうと考えました。会社の帰りにゴルフをしたり、家族連れで食事をしたりして、現地のコミュニティーに飛び込みました」
出典:2021/06/17 日本経済新聞 夕刊 2ページ
あなたがゴルフと適度な距離感をとってやっていけると、ストレスなく過ごせるのではないでしょうか。
やらなくてはいけない、とあまり深くむずかしく考えずに、上記のポイントを客観的に検討してみてください。
木村まもる(逆転営業アカデミー 売上UPマジシャン)
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