ご質問ご回答Q&A

上司から「余裕のない顔」と言われ動揺。どう克服する?

●質問

営業になってはじめて上司に同行してもらって営業に行きました。

上司から「余裕のない顔」と言われて動揺しています。

第一印象がよくないと売れないと思っています。

克服するにはどんなことが必要でしょうか?

● 回答

上司から「余裕のない顔」と言われて動揺して、どう克服するか知りたいと思っていらっしゃるのですね。

たしかに、営業としての第一印象は重要です。克服したいと思って当然だと思います。いくつか方法をお伝えしますね。

  1. 表情
    あたたかく、優しい表情を心がけましょう。たとえば子供や赤ちゃんを見たときに、心がホッコリして自然と笑顔になることがありますよね。それと同じように、穏やかで心優しいという雰囲気でお客様と接することをお勧めします。無理に明るく振る舞う必要はありませんが、仏頂面のようなムスッとした表情は厳禁です。朝、顔を洗う時に、鏡にニコッとして自分の笑顔を見てみましょう。繰り返していくうちに「余裕のない顔」から脱出できると思います。

  2. 声のトーン・大きさ
    営業での声のトーンはやや低めがおすすめです。甲高い声は、余裕が無く売りつけられる印象をもちやすいので避けましょう。やや低い声であればお客様に安心感をもってもらえることが多いです。
    声の大きさは対面で普通に聞こえる声であればOKです。極端に声を張って元気よくというのを意識する営業マンもおられますが、売り込み感が出てしまいますので避けましょう。

  3. 身だしなみ
    さわやかで、清潔感があると感じてもらえる身だしなみを心がけましょう。営業マンの身だしなみは身体と服装に分けられます。身体でいうと、髪型、ひげ、まゆ毛、鼻毛、爪。ひげは顎の下の剃りのこしに気を付けましょう。
    服装は、ワイシャツ・ジャケット・スラックスにしわがないか、スラックスの折り目があるか、靴のかかとが擦り減ってないか、靴の手入れはできているか、を確認しましょう。
    恋人に会いに行くときに自分をピカピカにしておくような感覚で見直してみるとよいかもしれません。姿見など全身のうつる鏡で自分の全身をバッチリ見てから出社するよう心がけましょう。
    自分の身だしなみがきちんとしていないと、焦ってしまい余裕のない顔になりやすくなってしまいます。

  4. 姿勢
    背筋を伸ばしてあごは引くところからやってみましょう。できれば胸をはっておくと堂々として見えます。たとえば目上で尊敬している人にお会いするときと同じようにシャキッと姿勢を正すイメージです。猫背のように背中が丸まっていると自信がなさそうに見えてしまうので注意しましょう。「姿勢は顔とは違うでしょ」と思う方もおられるかもしれません。しかし、顔は上半身の一部と考えると、余裕のある雰囲気を出すためにも姿勢はポイントになります。

  5. 身振り手振り
    お客様が手を組んだら、スーッと手を組んでみるなどお客様の真似をする(シャドーイング)というのを使ってもよいでしょう。ただ、そればかり意識すると気が散ってしまうので気を付けましょう。はじめは、ラクに自然に意識せずにいきましょう。話すときの自分の癖がつよいと余裕のない顔に見えてきてしまいます。androidなどのスマートフォンで動画撮影して自分で見てみるのもよいでしょう。iPhone13Proなどは動画の画質がクリアで、自撮り撮影してみると気づけるポイントも多々あるでしょう。

  6. アイコンタクト
    ネクタイの結び目を見るところから始めてみましょう。それでもお客様から見ると話を聞いてもらえているという感覚になります。お客様の目を見続けるのは苦手という方もおられるので、たまに目をみるくらいで構いません。かといって、まったくお客様の目を見ないというのは禁物です。たとえばお医者さんでカルテばかりをみて患者さんの話を目を見ないで聞く方を想像してみてください。患者さんとしてはお医者さんに目を見て聞いてもらえると安心するものです。とはいえ、目を見るのがしんどいときは資料に目をやったり目を外しても構いません。キョロキョロしてしまうと余裕のない顔になってしまいますので注意しましょう。

  7. 聞く力
    あいづちや共感をしながらじっくりとお客様の話を聞きましょう。「おぉーこの営業マンはしっかり話を聞いてくれる」とお客様が感じてもらえるようになるのを目指します。はじめは、お客様に8割はなしてもらうつもりで気軽に質問しながらすすめていくとよいでしょう。お客様との人間関係をつくっていくために、聞く力を身に着けていきましょう。聞く力がついてくると、余裕のない顔からもっと抜け出せると思います。

下記は、アース製薬で営業のリーダーをされている原島さんの記事の引用です。

営業の成否は、取引先との人間関係が影響するケースも多い。原島さんは第一印象で話が合わなかったと感じる人と交渉する場合には、相手をいろいろな角度から観察して共通点や似た価値観を探していくよう心がける。
出典:2021/09/06 日経産業新聞 15ページ

あなたが余裕をもってお客様に接することができれば、お客様の些細な変化にも気づけるようになってくると思います。東洋紡で工業用フィルムの営業をされている森田さんの記事が日経産業新聞に掲載されていました。

森田さんが営業現場で心がけるのは、取引先の小さな変化をキャッチすることだ。なぜ商談の時にあんな雑談をしたのか、今日はいつもと少し違う表情が多かったなど相手の言動の背景をよく考える。
取引先の中には、他社製品への不満や東洋紡への要望をストレートには言わない人もいる。「ちなみに東洋紡さんはどうなんですか」などと雑談の中で遠回しに尋ねてきたら、そこに潜む相手のニーズをくみ取る。
出典:2021/09/17 日経産業新聞 15ページ

なかには「こんなこといっぺんに出来ないよ。」と思う方もいるかもしれません。たしかに何もない状態からすべてをやるのは難しいかもしれません。ただ、営業は積み重ねです。ひとつ出来れば、身について次から自然にサクッとできるようになってきます。まず一つやってみましょう。

一方で、「第一印象などあまり考えなくてよい」という意見もあるでしょう。すでにそれができている方はそう思うのかもしれません。しかし、営業初心者がはじめの一歩を踏み出すにあたって、上司からとやかく言われずに進んでいくというのは大切です。モチベーションを保って営業を続けていくためにも、第一印象はおさえておくことを私はお勧めします。

過去に私が関わってきた方で、名刺の出し方がへっぴり腰になっている方がおられました。営業同行の前に話している中で私が気づいて、ちょっと練習してみたらシャキッとした姿勢で名刺を出せるようになりました。本人は言われるまで気づかなかったそうですが、ちょっぴり意識するだけで第一印象は随分とよくなるのです。彼の場合は、人から言ってもらえたのがポイントだったようです。

余裕のない顔だと第一印象は残念ながら良くないと思います。このようなポイントをおさえてみて、誰か相談できる人や同僚、仲間に聞いてみると新たな気づきがあるかもしれません。

そのようにできれば、上司から指摘されるようなことはなくなってくると思います。ほかにもポイントはありますが、今回お伝えしきれなかったので今後ブログでお伝えしていきたいと思います。

まず、あなたが気になったポイントから見直してみてくださいね。

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2003年、22歳から営業マンとして18年の実績。お客様からの〝たった一言〟をきっけかに営業ノウハウを体系化。1000件以上の顧客との商談実績。500人以上の営業相談に応じてきた実績。経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に好評がある。

 
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