ご質問ご回答Q&A

AIがあるから営業はいらないと言う意見を聞いて、心配です。

●質問

営業に異動になることになりましたが、雑誌で「もう営業はいらないのではないか」と言う意見を聞いたことがあります。

営業はAIに取って代わられるのではないかと心配しています。これから営業をやっていく身としては気になる意見です。

これからの営業はどのようになっていくのでしょうか?

● 回答

営業は決して無くならないと私は思います。たしかにAIが発達して、インターネットは個人のてもとにあるスマートフォンですぐに検索できる環境になってきました。以前に比べて、営業や販売員にとってかわられる部分は大きくなったようには思います。しかし、営業はのこりつづけると私は思っています。

なぜなら、営業は専門のアドバイザーであるからです。その商品サービスの分野に詳しい専門家が営業職だからです。

例えば、先日、私はノートパソコンを買いたいと思ってパソコンショップに行きました。はじめて入ったパソコンショップだったのですが、ノートパソコンがたくさん展示されており、いかにも専門店といった雰囲気でした。

さっそうと販売員さんが私に近づいてきて「なにかお探しですか?」と聞いてくれました。私は「自宅にデスクトップパソコンがあるのですが、万が一、壊れたときが不安なのでノートパソコンも買いたいと思っているのです。」と話しました。

私は「デスクトップパソコンの性能はこれこれで・・・」と具体的にいまの状況を販売員に説明しました。そして私は「私が欲しいノートパソコンはこういう性能で・・・」と欲求をくわしく販売員に伝えました。「一番の目的はオンラインセミナーができるものが欲しい」と伝えたのです。

すると販売員さんは「わかりました。すこしお待ちください。」と言って、いったん事務所に入っていったのです。数分わたしが待っていると「おまたせしました。これがお勧めです。」と、ズバリ私の求めていた性能のパソコンを提案してくれたのです。事務所で同僚の販売員と相談してくれたのでしょう。それは、私がいままで知らない名前の会社の製品でした。

「その会社を私は知らないので不安なのですが」と話したところ「実はパソコン業界でこの会社は老舗でして、自作パソコンの愛用家から圧倒的に支持されている会社なのです。」と教えてくれました。じっくりと詳しく話を聞いて私は納得し、安心しました。私が頼んだので、ほかのパソコンも見せてくれましたが、勧めてくれたパソコンが最も条件にピッタリあっていました。

私はそのノートパソコンに決めました。この販売員さんから買いたいと思い、一晩かんがえて翌日、私はパソコンショップに出向き、その販売員から買いました。もし、私がスマホだけで情報収集していたら、おなじ商品を買っていなかったことでしょう。

私が何を言いたいかというと、”私はパソコンを検討している初心者だ”ということです。なんとなく自分で調べてはいるものの、専門家からみると、何もわかってない状況、何も知らない状況なのです。そこにズバッと提案してくれた、素晴らしい販売員だと思いました。そこには自信もみなぎっていました。この人にこれからも相談したいなと思いました。

その販売員から、「売りたい」という気持は感じられませんでした。むしろ、「私の役に立ちたい」という気持ちを感じたのです。”販売員と営業マンは話が違うでしょ”と思う人もいるでしょう。しかし商売の本質という観点から見ると販売員も営業マンも同じようなことが言えると私は思っています。

いっぽうで、話は変わりますが、AIというと最近はスマホやパソコンでAIチャットが提案してくれるサービスがあります。例えば、スマートホンを新規契約をする際などに見かけた方もおられると思います。私はいくつかAIチャットで商品を買おうとしたことがありましたが、結局購入までいたらなかったのを覚えています。

AIチャットは私のメッセージに返答してくれるものの、私の求めている商品にたどり着けなかったのです。私が感じていること、思っていることと見当違いの回答されてしまったのです。その会社はテレビCMでバンバン宣伝しているような一流企業です。

AIが人間の気持ちや思っていることを理解したり、共感したりするレベルに達するには、しばらく時間がかかるでしょう。確かにAIが普及するというのは大きな社会の変化であると思います。これからは5Gも始まるというなかではとくにそう思います。

しかし、過去を振り返ってみるとどうでしょうか。思い出してみてください。パソコンが普及し始めた時、携帯電話が普及した時、スマートフォンが普及し始めた時も同じように「営業マンはもういらないのではないか」と、それぞれそのタイミングで語られました。しかし、今も営業マンはなくなっていません。

顧客のほとんどは常日頃からあなたの商品サービスの分野について考えていないのだと私は思います。その分野について初心者であることが多いのです。ところがあなたは、常日頃からあなたの商品サービスの分野についてよく考えている専門家です。ですから、あなたは専門アドバイザーとして自信を持つことです。

書店に行くと、”もう営業はいらない”という書籍を出版されている著者もおられます。AIが情報の全てを支配し、消費者のあらゆるニーズをうめていくという意見は部分的にはごもっともかもしれません。それには条件があって、しっかりとその分野に詳しい消費者であって、有能なAIであることが条件です。すべてのAIと消費者がその条件にマッチするとは私は思いません。むしろマッチしないパターンの方が多いでしょう。また、多くの会社が他社と差別化をするために営業マンを引き続き用いていくのは当然のことだと私は思います。

そういうなかで、ひとつだけ最後にお伝えしたいことがあります。 それは「AIに取って代わられない営業になることが大切だ」ということです。もしそれができれば、AIに使われるのではなく、むしろAIを使う側になっていくのです。

厳しいことを言うようですが、あなたが営業として成長して、AIに負けない能力を身に付けるということが大切になります。 あなたが本来持っている力を引き出しましょう。

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2003年、22歳から営業マンとして18年経験。2017年の配置転換を機に営業ノウハウを体系化。1000件以上の顧客との商談実績。500人以上の営業相談に応じてきた実績。無形商材・有形商材の営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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