営業ヒアリング

【営業ヒアリング】顧客の問題を明確化するステップとは

あなたはアプローチが終わったあと、どうしますか?はい。ヒアリングに入りますよね。しかし、多くの営業マンがヒアリングをうまくできないことがあります。「ヒアリングシートがあるから大丈夫」と思われる方もいるかもしれません。でも、ただ順番にヒアリングシートの項目を聞いていくだけでは、相手からすると「これはなんなの?尋問?」と感じてしまい、本音を話そうとしてくれません。

ヒアリングの目的は、「あらかじめ用意した項目を聞く」ことではなく、「問題点を明確にし、どういう方向に進みたいのか」を確認することです。このことを意識して、どのようにヒアリングを進めていくかを解説していきます。

このブログを最後まで読んでいただくと、ヒアリングの進め方がわかるだけでなく、ヒアリングが楽しくてたまらなくなるでしょう。

問題点の洗い出し

問題点の洗い出し
まず、問題点の洗い出しです。ヒアリングの最初に聞くべきことは、まず「現在の状況」です。これは当たり前のことですが、問題はその聞き方です。

たとえば、「今どんな感じですか?」といきなり聞いても、「どんな感じって言われても…」となるのは明らかです。その場合、その業界の一般的な悩みを事前に調べておき、それに関連する質問をしてみると良いでしょう。

保険業界であれば、「ところで御社は新規の顧客獲得において、新人の教育がうまくいかないといった悩みはありますか?」など、業界特有の問題について尋ねてみましょう。

この段階ではアプローチ次第であり、アプローチがうまくいっていれば、「そうなんだよ、今そこに困っているんだよ」と話が進むこともあります。そうではなくても、「いや、そういうことはないんだけど、むしろここに問題があって…」といった流れになるでしょう。相手に「この営業マンはうちの業界のことを理解しているなあ」と思わせることがポイントです。

問題点の深堀り

問題点の深掘り
次は問題点の深堀りです。問題点を聞き出したら、それをより詳しく掘り下げていくことが必要です。ただし、その前に共感を示すことが必ず必要です。共感は非常に重要な要素です。「そうですよね、大変ですよね。本当に新規の顧客獲得は永遠の悩みですよね」と、相手の話した問題点に対して共感を示しましょう。

その上で、「ちなみに、いつからそういった問題点に悩まれているんですか?」と、悩みが始まった時期について尋ねます。「う~ん、2年ぐらい前かな」と相手が答えた場合は、「2年前なんですね。ちなみにその2年前に何かあったんですか?」と話を進めていきます。自然な流れで会話を進めることが重要です。

要点ごとに共感を示し、相手の心を緩ませ、本音を引き出すことがポイントです。

将来的にどうしたいのか

将来的にどうしたいのか
ある程度問題点を聞き出せたら、次は将来的にどうしたいのかを尋ねましょう。「では、これまでのお話を踏まえて、将来的に今の問題点を解決して、どのようにしていきたいですか?」といった感じで質問します。そして次に、「それはいつまでに達成したいですか?」と尋ねます。この2つを聞き出しましょう。

  • 「いつまでに達成したいですか?」
  • 「う~ん、今年いっぱいぐらいかな…」
  • 「今年いっぱいなんですね。ちなみに、今年中というのはなぜなんですか?」と質問を進めます。

このように、たどり着きたいゴールはどこなのか、いつまでに達成したいのか、なぜその期間なのかを聞き出すことが重要です。なぜなら、顧客はあいまいな問題を抱え、あいまいな解決を望んでいることが多いからです。それを明確にさせることで、「え?ひょっとしてうちの会社って…ヤバい?」と思わせることで、顧客は真剣にあなたの話を聞こうとしてくれます。問題点と解決ポイントをハッキリさせることが、1つ目のポイントとなります。

未来を想像させる

未来を想像させる
顧客が問題点を認識し、その問題点に真剣に向き合う姿勢を持ったら、次は未来を想像させます。ただし、ここでポイントとなるのは、最悪な未来を想像させてから最高な未来を想像させることです。顧客は現状に納得のいかない状況を経験しています。そこで、その状態がこのままずっと続くとしたら、どうなるのかを想像してもらいましょう。

たとえば、「新規顧客獲得の低迷がもう2年も続いているとのことですが、このままの状態が続くとしたら、どんなことになりそうですか?」と尋ねます。顧客が「う~ん、下手したら廃業になるかもしれません」と答えた場合は、「ああ、そうですか…。そうなると、どんな気分になりますか?」と質問を進めます。ここでも必ず共感を示すようにしましょう。

次に、問題が解消されて大成功な未来を想像してもらいます。「一方で、それらの問題が改善されて、商談の度に新規契約が取れていくとしたなら、気分的にはどうですか?」と質問します。顧客が「それはうれしいですね!」と答えた場合は、「ですよね。しかも、それが希望通りの今年中に達成できたら、気分はどうですか?」と進めます。顧客が「それはもう最高ですね!家族みんなで正月に旅行にでも行きますよ!」と答えたら、ハッピーな未来を想像させ、モチベーションを上げてもらいます。

このように、地獄を見た後のハッピーな未来を想像させることで、顧客の気分がさらに高まります。ディズニーランドに行こうと思ったら大雨だったのに、現地に着いたら嘘のように晴れたような感じです。もしそうなったら、あなたはどんな気分ですか?

以上が解説です。

通して練習してみましょう

顧客との会話
これまでの内容を踏まえて、一度通して練習してみましょう。

  • あなた「ところで、◯◯さん、保険の加入のお仕事をされているとのことですが、新規顧客を獲得するのがやっぱり難しかったりしますか?」
  • 顧客「まあ…そうですね」
  • あなた「ああ、やっぱりそうなんですね。難しいですよね。たとえば、一番契約が取れていた時を10としたなら、今はどれぐらいですか?
  • 顧客「う~ん、2~3っていうところかな。月によっては0の時もあるよ」
  • あなた「ああ、それはけっこう少ないですね。いつぐらいからそのぐらいの数字なんですか?」
  • 顧客「う~ん、いつから? そうやなあ、去年の末ぐらいかな」
  • あなた「あ、去年の末からですか、なるほど。ちなみに、その時に何かあったんですか?」
  • 顧客「う~ん、そうやなあ、その時にちょっと大きな怪我して、しばらく営業に行けなかったのよね」
  • あなた「え、お怪我されたんですか。それはお辛かったですね。今は大丈夫なんですか?」と共感しながら進めます
  • 顧客「ああ、まあ、もう今は大丈夫なんですけど」
  • あなた「ああ、よかったです。よく頑張られましたね。でも、それからちょっとよくない方向に向かっている感じなんですね。ちなみに、今の状況に対して何かしら対策を検討されたりしたんですか?」
  • 顧客「いやあ、とくにこれといって…」
  • あなた「ああ、そうなんですね。とくに何もされなかったのは何か理由があるんですか?
  • 顧客「まあ、なんとなくいつかなんとかなるかなあ、と思って」
  • あなた「あ、そうなんですね、なるほど。とはいえ、今ちょっとなかなかいい兆しが見えないところかと思うのですが、この状況はいつまでになんとかしたいなあといった展望はありますか?」
  • 顧客「まあ、遅くても今年中にはなんとかしたいですね」
  • あなた「ああ、今年中ですよね。早くなんとかしたいですよね。ちなみに、その今年中というのは何か理由があるんですか?」
  • 顧客が「まあ、なんとなくです」
  • あなた「なるほど、今ちょっと先が見えない状態ですもんね。では、仮に今の状態が来年も続くとなると、どんな感じですか?」
  • 顧客が「いやあ、それはちょっとまずいですね」
  • あなた「まずいですか?このまま続いちゃうと、どんなまずいことになりますか?」
  • 顧客「いや、それは考えたくないけど、廃業とかいうことになりそうです」
  • あなた「それはかなりまずいですね。ぜひとも避けたいですね。もしそんな感じになっちゃったら、気分はどうですか?
  • 顧客が「そんなのいい訳ないですよ、最悪ですよ!」
  • あなた「ですよね、最悪ですよね。では、一方で今年中に今の状況が解消されて、新規契約がバンバン取れるようになったら、どうですか?」
  • 顧客が「そうなりたいですね」
  • あなた「ですよね、そうなったら気分はどうですか?」
  • 顧客「最高ですね!正月に家族で旅行に行きますよ!
  • あなた「ああ!いいですね!最高ですねそれ!どこに旅行行きましょう?」

このように、顧客との対話の中で問題の洗い出しや深堀、地獄の未来と幸福の未来を想像させる流れで問題を認識させます。

まとめ

いかがでしたか?
なんとなくイメージつきましたでしょうか?
繰り返し、ポイントをお伝えします。

  • 問題の洗い出し
  • 深堀り
  • 地獄の未来
  • 幸福の未来

のような流れで問題をしっかりと認識してもらい

  • そのまま続くとどうなるか?
  • 解決されるとどうなるか?

をしっかりとイメージしてもらいましょう。そうするとこの後のクロージングが、信じられないぐらいスムーズにいきます。もう顧客の頭の中は8割方あなたの方に傾いています。ぜひ試してみてください。

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2003年、22歳から営業マンとして18年経験。2017年の配置転換を機に営業ノウハウを体系化。1000件以上の顧客との商談実績。500人以上の営業相談に応じてきた実績。無形商材・有形商材の営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
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