営業で上司確認と言われたら社内で使う一文を作る
上司確認で止まる前の伝え方
営業で相手から「上司に確認します」と言われると、そこで商談が止まったように感じます。営業側は、資料を送る、見積を直す、返事を待つ、という動きに入りがちです。
ただ、上司確認という言葉の中身は一つではありません。誰に伝えるのか。何を伝えるのか。いつ返事をもらうのか。ここが曖昧なままだと、相手も社内で話しにくくなります。
営業で上司確認と言われたら、資料を増やす前に相手が社内で使う一文を作ります。一文が決まると、待つ時間の中身が見えます。
この記事では、上司確認で商談が止まりやすい時に、担当者が上司に切り出せる一文を面談中に作り、次の連絡につなげる進め方を解説します。上司確認は断り文句と決めず、社内で伝える準備を一緒に作ります。
返事待ちで終わった面談
小野寺健さん(仮名、社員研修の提案を担当する営業担当者)は、担当者から社内確認の話が出ると、すぐ資料を送っていました。研修内容、費用、実施日程をまとめれば、上司も分かりやすいと思っていたのです。
ところが、返事はなかなか来ません。小野寺さんは一週間後に連絡し、「ご確認いかがでしょうか」と聞きました。担当者は「まだ話せていません」と答えました。
原因は、資料の不足だけではありませんでした。担当者は、直属の上司に伝えるのか、部門長に伝えるのか、どの言葉で切り出すのかを決められていませんでした。
営業側が資料だけを渡すと、相手は社内で話す役を一人で背負います。上司確認の場面で大事なのは、資料の量より、社内で一言目に何を伝えるかです。
一文を作ってから資料を送る
上司確認では、先に資料を送るよりも、担当者が上司に話す一文を面談中に作ります。長い説明ではなく、「なぜ今この相談をしたいのか」が一息で言える文です。
| 資料だけ渡す時 | 一文を作る時 |
|---|---|
| 研修内容を全部送る | 新人が電話対応で止まる場面から話す |
| 確認できたかだけ聞く | 朝礼後に話せた範囲だけ聞く |
| 費用資料を増やす | 費用の理由を短い言葉に直す |
この表で見るのは、確認事項の多さではありません。担当者が社内で最初に言える一文があるかどうかです。承認者、説明文、次回予定といった営業側の整理語を増やすと、担当者が実際に話す言葉から離れます。
小野寺さんの場合、一文は新人の電話対応から練習時間の必要性に入る形でした。直属の上司に話す時も、この入り方なら十分です。
上司確認では、相手が社内で使う一言目を面談中に決めます。資料は、その一言を支える形で送ります。
一言目を一緒に作る会話
小野寺さんは、次の面談で社内確認の話が出た後、すぐ資料を送る話に入りませんでした。まず、上司に切り出す一文を一緒に作りました。
小野寺さん「確認する相手は、直属の上司ですか、部門長ですか」
担当者「直属の上司です」
小野寺さん「直属の上司ですね。最初に伝えるなら、研修内容より現場で困っている場面からでよいですか」
担当者は「現場で困っている場面からの方が話しやすいです」と答えました。小野寺さんは、その言葉を受けて一言目を一緒に作りました。
小野寺さん「では、『新人が電話対応で止まりやすいので、先に練習時間を作りたい』という言い方なら伝えられそうですか」
担当者「それなら話せます」
この会話では、現場で困っている場面という言葉を変えていません。後で課題、教育テーマ、改善ポイントと言い換えすぎると、担当者が上司に話す一言目がぼやけます。
一言目が決まると、送る資料も短くできます。研修の全メニューではなく、新人が電話対応で止まる場面、練習時間、費用の理由を順にまとめれば足ります。
催促に見えない次回連絡
一文を作らずに連絡すると、次回の電話やメールは催促に見えやすくなります。「確認できましたか」と聞くだけでは、相手も返しにくいのです。
小野寺さんは、面談中に次に連絡する時刻を決めました。「週明けの朝礼後なら、直属の上司に話せそうですか」。担当者は「月曜の午後なら返事できます」と答えました。
そこで、小野寺さんは次回連絡を月曜の午後にしました。文面も、「上司確認はいかがでしょうか」ではなく、「新人の電話対応の件、朝礼後に話せた範囲だけ教えてください」としました。
この一文なら、催促だけに見えません。面談中に上司に切り出す言葉を作っているため、相手は何を返せばよいか分かります。
次に連絡する時刻は、営業側が急ぐためではなく、相手が社内で話すタイミングを決めるために聞きます。
月曜の午後に連絡した時、小野寺さんは長い前置きを入れませんでした。朝礼後に話せた範囲だけを聞く一文にしたのです。担当者は「直属の上司には話せました。費用の理由だけもう少し短くしたいです」と返しました。
ここで、小野寺さんは相手の言葉を変えません。費用の理由と出たなら、次の連絡も費用の理由です。予算感、投資対効果、稟議材料と言い換えすぎると、担当者が困っている一点から離れます。
資料を短くする判断
上司確認の後に送る資料は、長いほど親切とは限りません。相手が社内で話す一言目とずれている資料は、読む人を迷わせます。
小野寺さんは、以前の資料に研修の全項目を入れていました。今は、社内で使う一文に合わせて資料を三つに分けます。現場で困っている場面、練習時間、費用の理由です。
この三つなら、直属の上司も読みやすくなります。新人が電話対応で止まる場面を見て、練習時間の必要性を見て、最後に費用の理由を見る流れです。
担当者が部門長に伝える場合は、同じ資料をそのまま使いません。相手が変われば、一文の焦点も変わります。部門長なら、現場で困っている場面に加えて、研修後に誰が確認するかを入れます。
資料を短くする時は、削る順番も決めます。最初に削るのは、研修メニューの細かい説明です。次に削るのは、営業側が話したい実績の羅列です。残すのは、担当者が上司に伝える一言目を支える内容です。
小野寺さんの資料なら、冒頭は「新人が電話対応で止まりやすい場面」になります。次に「半日の練習時間」、最後に「費用の理由」です。三つに絞ると、直属の上司も何を判断すればよいか分かります。
断りが出た時の聞き方
上司確認の後に断りが出ることもあります。その時も、すぐ再提案に入らず、社内で言いにくかった一文に戻って確認します。
小野寺さんは、担当者から「今回は見送ります」と言われた時、「どの言葉が上司に伝わりにくかったですか」と聞きました。担当者は「費用の理由です」と答えました。
そこで小野寺さんは、費用の理由を長く説明しませんでした。「今回は費用の理由が伝えにくかったのですね。では、練習時間を半日にした場合だけ比較します」と返しました。
断りの後でも、社内で言いにくかった言葉を見れば、次の会話は作れます。断りをひっくり返すのではなく、担当者が話しにくかった部分を一つ聞くのです。
次回面談に残す社内の言葉
商談記録にも、上司確認とだけ書かないようにします。新人の電話対応から練習時間の必要性に入る一文を残します。
小野寺さんは、次回面談の冒頭でも同じ言葉を使いました。「前回は、新人の電話対応を直属の上司に話す流れでした」と確認しました。担当者は、前回の社内会話を思い出しやすくなります。
営業で上司確認と言われたら、資料を増やす前に、上司に切り出す一文を一緒に作ってください。待つだけの時間を、次に話すための準備に変えられます。
小野寺さんは、次回面談の前日に「明日は、費用の理由を半日版で確認します」と送りました。前回の返事から続いているため、担当者も準備しやすくなります。社内で話せた範囲がそのまま次回面談の入口になるのです。
もし約束した時刻を過ぎても連絡がない時は、相手を責める文面にしません。「直属の上司に話せた範囲だけ、今日の夕方に一言いただけますか」と聞きます。面談中に作った一文を使うため、催促ではなく確認として届きやすくなります。
この確認で返事が来たら、営業側はすぐ次の提案を広げません。相手が話せた範囲を受け取り、次に詰まった言葉を一つだけ聞きます。社内で止まった一点が分かれば、資料も次回面談も短くできます。
返事がまだない場合でも、確認する範囲は広げません。「上司に話す前で止まっていますか、それとも費用の理由で止まっていますか」と二択で聞きます。相手が答えやすい形に戻すことが、次の面談を作る入口になります。
次回面談では、追加資料の説明から入らないことも大事です。小野寺さんは、担当者が社内で話せた部分を先に聞き、その後で費用の理由だけを短く直しました。社内で使う一文が残っていると、説明の直し方も一か所に絞れます。
営業Q&A
上司確認と言われたら脈なしでしょうか?
断られる前触れに見えて、次の言葉に迷う場面です。
回答
脈なしと決めず、上司に切り出す一文を一緒に作ります。相手が社内で話す準備を一緒に作れるなら、次の連絡につながります。
資料はどこまで送ればよいですか?
丁寧に見せようとして、資料を増やしたくなる場面です。
回答
相手が上司に伝える一言目を支える範囲に絞ります。研修なら、現場で困っている場面、練習時間、費用の理由の順で短くまとめます。
待つ前に社内の一言を作る
営業で上司確認と言われたら、上司に切り出す一文を一緒に作ります。資料を増やす前に社内で使う一言目をそろえると、次回連絡が催促だけになりません。
次の商談では、社内確認の話が出たら、「最初にどの言葉で伝えると話しやすいですか」と聞いてください。相手が答えた言葉をそのまま資料と次回連絡に使いましょう。
木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント)
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