司法書士の営業がうまくいかない一人社長へ|質問だけで顧問契約が決まる3つのコツ
相続登記の相談を受けても、その場限りで終わってしまう。会社設立の相談から顧問契約に発展しない。そんな悩みを抱える司法書士業の一人社長は少なくありません。士業の営業は、業務の説明力ではなく質問力で決まります。専門知識をどれだけ正確に話しても、お客様の心は動きません。お客様自身に困りごとを語ってもらい、ご自身の口で「お願いしたい」と言ってもらう質問の流れが、契約への最短ルートです。この記事を読んでいただくことで、初回相談から自然に契約へつながる商談の組み立て方が分かります。最後までご覧ください。
こんな人におすすめの記事です。
- 相続・登記の単発相談ばかりで継続依頼につながらない一人社長
- 業務内容を丁寧に説明しているのに料金で他事務所と比較される一人社長
- 無料相談から有料案件への切り替えがうまくできない一人社長
これから一つひとつ見ていきましょう。
司法書士の営業がうまくいかない理由
司法書士の一人社長から相談を受けて気づくのは、ほとんどの方が「業務の説明」で頑張っているという点です。相続登記の流れ、必要書類、報酬規程、納期の目安。どれも正確で丁寧。それでもお客様は「ちょっと考えます」と帰ってしまうのです。
あなたも、丁寧に説明したのに反応が薄かった経験はありませんか? それはお客様が業務内容を知りたかったのではないからです。お客様が本当に話したかったのは、相続でもめている家族の事情、急に会社を継いだ不安、登記を放置してしまった後ろめたさなど、もっと個人的な状況だったのです。
説明ではなく、質問から入る
私は22年で1,000件以上の商談に立ち会ってきましたが、士業の営業ほど「逆転営業」の効果が出やすい分野はありません。
理由はシンプルです。お客様は法律の専門家に対して身構えており、自分の状況を理解してもらえるか不安だからです。先に深く聞いてもらえれば、その時点でほかの事務所より一歩抜けることができるのです。
コツ1:業務説明より先に現状を50%の時間で聞く
初回相談の60分があるとします。最初の30分は業務の話を一切しません。お客様の現状を聞くことだけに使います。
名刺交換のあと、いきなり本題に入らない
相続のご相談で来られたお客様にも、すぐ「どんな相続ですか?」と聞きません。お会いしてくださった経緯から少しそらします。
「今日はわざわざありがとうございます。お電話では今日お時間取ろうなんてありがたく言っていただきましたけど、なぜ今日お時間取っていただけたのですか?」
ここで返ってくる答えに、お客様の温度感が現れます。「妹に勧められて」「以前ご縁のあった方からのご紹介で」というだけのときと、「もう放置できないと思って」と返ってくるときでは、商談の進め方が変わるのです。
そういうなかで、と現状の質問へ橋渡し
お客様の人柄に触れたら、「そういうなかで、いまの状況を一度教えていただいてもいいですか?」と切り替えます。
ご家族の構成、お父さまが亡くなられた経緯、相続人の関係、放置していた期間、これまで自分で動いてみたこと。司法書士業務に直接関係しないようでいて、すべてが商談の核心につながります。
使う質問は3つだけです。
- たとえば? → 話を具体的にしてもらう
- なぜ? → 動機や事情を引き出す
- ということは? → お客様自身にまとめてもらう
この3つを繰り返すうちに、お客様は自分の言葉で困りごとを整理しはじめます。お客様自身が「やはり放っておけない」と気づいた瞬間が、契約への扉が開く合図です。
欲求と直面を分けて聞く
現状の中に「もう片付けたい」「家族で揉めたくない」という欲求が混ざって出てきます。聞き流さず、改めて分けて聞きます。
「現状はわかりました。じゃあそういうなかで、本当はどうしていきたいですか?」
そして直面のひと押し。「いまのままで、本当に解決まで進められますか?」「ご自身でやろうとして、うまく進んでこなかったのではないですか?」
ここで逃がさないのです。お客様の心の中で「自分ひとりじゃ無理だ」と感じてもらえれば、業務の説明はもう要りません。
コツ2:とりあえず情報だけへの切り返し
司法書士の初回相談でよく出るのが、「とりあえず情報だけ聞かせてください」「他事務所も比較したいので」というひと言です。これを断り文句として受け取ると、商談はそこで止まります。
反論は聞いてほしいサイン
お客様の反論は、突き詰めれば「時間がない」「お金がない」「メリットが感じられない」の3つしかありません。そして反論の本質は拒絶ではなく、「自分の状況をわかってほしい」というサインなのです。
タジタジしてはいけません。反論が出た瞬間、内心で「来た来た、掘れるぞ」と感じられるようになると、士業の営業は一気に楽になります。
共感→労い→提案の3段階
反論には3段階で対処します。
- 共感+具体質問でいなす
- 具体的に聞いた上で労う
- 実はそういう方にこそ、と切り返す
「そうですよね、いろんな事務所の話を聞いて比べたいですよね。具体的にはどんな点を比べてみたいとお考えですか?」
「ご自身でしっかり調べておられるのですね。本当に大事なことだから、納得いくまで比べたい気持ちはよくわかります。」
「実はそういう方にこそ、もう少し具体的にお話を聞かせていただきたいのです。情報としてだけでもお役に立てる部分があると思いますので。」
具体的に聞き込まずに「うちはこういう強みがあって」と言うと、お前が私の何をわかっているのか、と心の中で引かれてしまいます。必ず3段階を踏むのです。
料金の話は最後で構わない
「先生のところはおいくらですか?」と早めに聞かれることもあります。これも反論の一種です。
「お見積りは最後にお伝えしますね。その前にもう少し状況を教えていただけると、本当に必要な範囲だけのご提案ができますので」と返せば、お客様もそれもそうだと話を続けてくれます。
価格を先に出すと、業務範囲も決まらないまま比較されてしまいます。聞き終えてから、お客様の状況にぴたりと合った金額をお伝えするのが、結果として一番納得いただけるのです。
コツ3:テストクロージングは意思確認の関所
現状を十分に聞き、解決策を簡単に示したあと、契約に進む段階です。ここで「ご依頼いただけますか?」とは絶対に聞きません。
感じられましたか、で意思を確かめる
「ここまでお話をお聞きいただいて、どのように感じられました?」
これがテストクロージングの入口です。テストクロージングは契約を迫る技術ではなく、お客様の意思を確認する関所の手形です。
「進めていただきたいですね」「やはり頼んだほうがいい気がしてきました」と返ってきたら、もう一段掘ります。「具体的にどこがそう思われましたか?」「ほかにも理由はありますか?」
お客様自身がプラス評価を口にすればするほど、決断は固まっていきます。
ファジーに小さな声で
人は決断を嫌がります。だから「契約しますか?」とは聞きません。
「ということは、前向きに進めていこうっていうような感じですかね?」と、ぼやっとした言い方で、声のトーンを少し落として聞きます。
お客様は「はい、まあ、そうですね」と小さく返事をします。それで充分です。小さな「はい」を一度いただければ、人はその方向で動きはじめるのです。
売らないと決める勇気
テストクロージングの結果、お客様にまだ迷いがあるなら無理に進めません。「次のお電話のタイミングで、もう一度お聞かせください」と言って、後日のクロージングに送ります。
押せば押すほど、お客様は引きます。私はいつも自分に「売らないと決める勇気」を言い聞かせているのです。タイミングを待てる司法書士が、最後に長くお付き合いできる先生として選ばれます。
商談の組み立てを変えた一人社長のビフォー・アフター
2人の司法書士業の一人社長の声をご紹介します。
- Aさん(司法書士業の一人社長) 「以前は相談を受けると、すぐ業務の流れと料金を説明していました。お客様は『考えます』と帰られるばかりで、その後の連絡もなかったのです。質問の順番を変えてからは、最初の30分でご家族の事情まで聞かせていただくようになりました。料金の話をする頃には『先生にお願いします』と先に言われるようになったのです。」
- Bさん(司法書士業の一人社長) 「会社設立のご相談から顧問契約に進まないのが悩みでした。いまは設立の話を聞きながら、社長の創業の動機、今後の事業展開、いまの不安を質問で深く聞いています。設立後の継続サポートのお話を出すと、ご自身から『そこも先生にお願いしたい』と言われるようになったのです。」
Aさん、Bさんに共通しているのは、業務説明よりも先に質問の時間を作ったという点です。
ビフォー・アフターにギャップがあればあるほど、人は興味を持つもの。あなたも次の初回相談で、最初の30分は質問だけで進めてみましょう。
営業Q&A
●質問 無料相談から有料案件への切り替えで毎回つまずきます
初回30分の無料相談を提供していますが、ほとんどの方が情報だけ聞いて帰ってしまいます。
有料の正式依頼に切り替えるタイミングが分からず、いつも気まずい雰囲気で終わります。
切り替えの自然な流れがあれば教えてください。
● 回答
無料相談から有料案件へ切り替えるコツが3つあります。
- 無料相談で業務説明をしない
- 直面の質問で本気度を確かめる
- テストクロージングで意思確認をする
無料相談を「業務の解説タイム」と捉えていると、お客様も「無料で全部教えてもらえる場所」と認識します。
無料相談は質問の場と決めてください。お客様の状況・ご家族の事情・進めてこられなかった理由を聞き切ります。次に直面の質問。「ご自身で進めて、本当に最後まで行けますか?」と問いかければ、お客様の本気度がはっきり出ます。最後にテストクロージング。「ここまでお話しさせていただいて、どのように感じられました?」と聞き、「先生にお願いしたほうがよさそうですね」という言葉が出てから、お見積りと有料案件の話に進みます。
無料相談はサービスではなく、お客様と先生がお互いを見極める時間です。質問の時間に変えれば、有料案件への切り替えは自然に起こるのです。
●質問 他事務所と比較されると料金で勝てません
相続登記でも会社設立でも、相見積もりが当たり前になっていて料金勝負になりがちです。
ベテラン事務所より高くなることもあり、価格で断られることが続いています。
料金を下げずに選ばれる方法はありますか?
● 回答
料金で比較されないコツは次のとおりです。
- 先に料金を出さない
- 業務範囲をお客様に語ってもらう
- ご自身の言葉で評価点を口にしてもらう
同じ「相続登記10万円」でも、何の解決策が含まれた10万円なのかが伝わらなければ、ただの数字として比較されてしまいます。
料金は最後にお伝えします。先に質問でお客様の事情を引き出し、必要な業務範囲を明確にします。次に「ということは、こことここまでをお願いしたいというお話ですね?」とお客様自身に確認してもらいます。最後にテストクロージングで「ここまでで、どのように感じられました?」と聞き、お客様自身の言葉で「ここまで丁寧に聞いてもらえる事務所はなかなかない」と評価してもらえれば、料金は比較対象から外れるのです。
価格は数字で比較されるが、聞いてもらえた体験は比較できない。これが士業の営業の核心です。
●質問 顧問契約や継続案件にどう発展させればいいですか?
会社設立や相続登記は単発で終わってしまい、顧問契約まで進みません。
「またお願いしますね」と言われても、その後ご連絡がないことがほとんどです。
関係を続けるために何ができますか?
● 回答
継続案件に発展させるコツを順にお伝えします。
- 登記完了後の「成果確認」を必ず入れる
- 採用してよかった理由を再質問する
- 未来の困りごとを質問で先取りする
関係が続かないのは、登記が終わった瞬間に商談が終わってしまっているからです。
登記完了の連絡時に「無事終わりましたね。改めて、どんな変化がありますか?」と成果確認を入れます。次に「ところで、今回うちにお任せいただいた決め手は何でしたか?」と採用理由を再質問します。お客様自身が言葉にすることで、関係が言語化され深まります。最後に「これから事業を続けていくなかで、商標とか役員変更とか、登記関係でまた出てきそうなことありますか?」と未来の困りごとを質問で先取りすれば、自然に「では、その時もお願いします」と継続が決まります。
フォローアップは売り込みの場ではなく、お役立ちの確認の時間です。確認の積み重ねが顧問契約に変わるのです。
まとめ
司法書士の営業がうまくいかない一人社長へ、質問だけで顧問契約が決まる3つのコツを解説しました。いかがでしたか? 業務説明から質問へ切り替えるコツがつかめたはずです。
あなたが今日からやること
- 業務説明より現状ヒアリングを50%
- 反論には共感→労い→提案の3段階
- テストクロージングでの意思確認
焦っているだけではどうにもなりません。
まずは次の初回相談で、最初の30分を質問だけで進めてみましょう。
応援しています。
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