ご質問ご回答Q&A

上司が年上の部下を呼び捨てにします。どう思いますか?

●質問

36歳の上司が45歳の部下のことを呼び捨てにしています。

年齢が上の相手に対しては敬語で接するものだと私は思っています。

上司であれば年上の部下でも呼び捨てにしてもいいのでしょうか?どう思いますか?

● 回答

上司が年上の部下に対して呼び捨てにしていいのか気になっておられるのですね。

例えば「田中!この書類はどうなってるんだ!」「鈴木!会議の資料はまとめたのか!」などと聞くとあまり気分が良くないと私は思います。

とはいえ上司である立場の人に「呼び捨てにするのはどうかと思います。」というのもなかなか勇気がいることですよね。ですのであなたが疑問に思って当然だと思います。私も年齢が上の相手に対しては敬語で接するものが当然だと思っています。

せっかくのご質問ですのでいくつか事例をご紹介してお話ししていきたいと思います。

上司Aさん36歳、部下Bさん43歳の場合

上司のAさんは普段から発言力があり部下に厳しいことで有名でした。社内でも指折りの厳しい上司として知られていました。
年齢の上下にかかわらずビシバシと意見を出したり口を挟んでくるタイプ。Aさんの言うことは100%正解という文化の中で、部署のメンバーは業務を進めていました。

部下のBさんは転職してまだ営業には不慣れな状態で自信もなさそうにしていました。Aさんから「B!昨日のお客さんとの商談の報告がないじゃないか!どうなってるんだ!」と名前を呼び捨てにされ、追求される日々でした。

Bさんは額に汗かきながら「昨日は契約が取れませんでした。申し訳ありません。」と言ってどんどん萎縮して行きました。最終的には他の理由もあって退職をしてしまいました。

必ずしも部下に対しての呼び捨てがわけではないでしょうが、威圧的な雰囲気をずっと続けていると部下としてはモチベーションが続かないと思います。これは年上の部下でやろうが年下の部下であろうが年齢には関係ないのかもしれません。

主従関係がはっきりしている組織ではこのような呼び捨ては上司の方が気をつける必要があるのではないかと私は思います。

日本産業新聞に年上の部下についての記載がありました。

忘れられがちなのが「上司マネジメント」の問題だ。日本の上司層は、中途採用やポストオフ(役職定年)などで年齢が逆転した年上の部下へのマネジメントを極めて苦手とする。年上の部下をもった若い上司が、必要以上に厳しくマイクロマネジメント(細かい管理)をしたり、反対に完全に放置したりする例が後をたたない。
出典:2021/05/25 日経産業新聞 11ページ

日本の上司は全般に部下に対するフィードバックが苦手だ。特に自分より年上の部下に対して、マネジメント放置の状態に陥ったり、逆に細かすぎる報告を求めたりしてしまう傾向がある。
出典:2021/01/12 日経産業新聞 11ページ

上司Cさん26歳、部下Dさん48歳の場合

某運送会社のお話です。

上司のCさんは26歳にして現場の責任者としてリーダー職につきました。話は分かりやすく従業員からも親しまれていました。

部下のDさんは48歳で前職の業界とは異なる運送会社でのチャレンジでした。

Cさんは「D!間に合わないぞ!」とDさんを呼び捨てにしました。時間に追われる運送会社の業務の中で、敬語を省略してスピーディーに業務を進めていく必要があるとCさんは考えていたからです。

しかし業務が一息ついた時には、CさんはDさんに話しかけ「Dさん、お仕事には慣れてこられましたか?」と労っていたそうです。

このような事例では業務上迅速な対応が求められるため、呼び捨てにしていて、部下へのフォローも行っていてバランスが取れているのではないかと思います。

一方で「年上の部下のことを呼び捨てにする上司ばかりじゃないでしょう。」という意見もあると思います。もちろんその通りです。次の事例でご紹介します。

上司Eさん35歳、部下Fさん47歳の場合

上司であるEさんは年上の部下であるFさんに対して常日頃から気を使っていました。

Fさんの営業活動について、口を挟むことはあまりなく、Fさんが考えて行動したとおりに任せていました。
Fさんを呼び捨てにするということはなく、営業会議などでは必ず初めにFさんに話を振って和やかなムードにしてから議題について話し合うような流れにしていました。ときおり冗談でFさんをからかって笑わせたりすることもされていました。Fさんとの距離を縮めようと、Eさんなりに努力していたのだと思います。

ただ、ここぞという時にEさんはFさんに対して、個別に理由や根拠を伝えながらわかりやすく伝えて行動を修正してもらうようにしていました。

Fさんはベテラン社員でプライドも高い、必要以上に干渉されることを嫌う、という特徴があることをEさんはよく理解していたのでしょう。
時には、Fさん以外のメンバーに対して厳しい口調で話し、Eさんに気づいてもらえるように促すこともされていました。

上手く年上の部下を立てながら、軌道修正させるべき時は個別に話すように工夫していたのだと思います。

日本経済新聞にこのような記載がありました。
部下の一人、永井一嘉(51)は後藤よりも年上。だが、「仕事では厳しいこともびしっと言ってくれる。リーダーに年齢は関係ない」と事もなげに話す。
2021/02/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ

ここぞという時に厳しいことをびしっと言える度量が上司に求められているのだと思います。

まとめ

3つの事例を見てきましたが、あなたの上司が、年上の部下に対して呼び捨てにしている意図やその前後のフォローができているかを見てみると良いと思います。

そして、あなたがいつか年上の部下を持った時にどのように接するべきなのかを、良い手本として、また反面教師として活用するのが良いのではと私は思います。

一方で、行き過ぎた呼び捨ての仕方や上司の対応はしかるべき窓口に相談してもいいかもしれません。

また、あなたがいつか年下の上司思った時に、その上司が発言した内容は「もしかして自分のこと言ってるんじゃないか?」とアンテナを立てると良いと私は思います。それがあなたの行動の軌道修正やあなたの成長につながってくと私は思うからです。

今あなたが経験していることを将来に役立てられるように考えていきましょう。

The following two tabs change content below.
2003年、22歳から営業マンとして18年経験。2017年の配置転換を機に営業ノウハウを体系化。1000件以上の顧客との商談実績。500人以上の営業相談に応じてきた実績。無形商材・有形商材の営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

最新記事 by 木村まもる(逆転営業アカデミー 売上UPマジシャン) (全て見る)

 
営業適正