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営業で説明後に首を傾げられたら使う場面に戻る

「なるほど」しか返ってこない商談

商品説明をした後、相手が首を傾げる場面があります。営業側は、説明が足りなかったのだと思い、機能や事例をもう一度話したくなります。

高橋怜央さん(仮名、店舗向け防犯カメラの営業を担当)は、まさにその癖がありました。相手が首を傾げると、資料の別ページを開き、録画範囲、保存日数、カメラの性能を一つずつ足していました。

ところが、担当者は資料を見ながらも返事が短くなります。「なるほど」「分かりました」と言うだけで、導入後の話には進みません。高橋さんは、理解されていないと思って説明を増やしましたが、相手の迷いは機能から少し離れたところにありました。

営業で説明後に首を傾げられた時は、理解できたかを詰める前に、使う場面に戻ります。相手は説明そのものより、自分の現場で使えるかを考えていることがあるからです。

首を傾げた相手には、追加説明を重ねる前に、使う場面を一緒に言葉にする質問が必要です。この記事では、説明後に相手が迷った時の聞き方を解説します。

こんな人におすすめの記事です。

  • 商品説明をした後に相手の返事が短くなる方
  • 理解確認をすると相手がさらに黙ってしまう方
  • 提案前に相手の使う場面を聞き直したい方

これから一つひとつ見ていきましょう。

理解不足と決めつける前の一拍

相手が首を傾げると、営業側は不安になります。説明が分かりにくかったのか。資料の順番が悪かったのか。もっと具体例を出せば納得してもらえるのか。そう考えるのは自然です。

ただ、首を傾げる理由には、理解不足以外の迷いもあります。相手は、説明を聞きながら自分の職場に置き換えています。誰が使うのか。どのタイミングで使うのか。今のやり方とぶつからないのか。そうした場面が見えない時にも、首は傾きます。

高橋さんの商談では、担当者が防犯カメラ提案資料のページを見ながら首を傾げました。高橋さんは、すぐに機種比較のページを開きました。ところが担当者が見ていたのは、設置後に店舗スタッフが何を確認するかでした。

私はこの商談の録音を聞きました。紙をめくる音が止まったところに印を付けると、機種比較の前、設置後の確認手順のページでした。担当者はそこで「これ、店舗だと誰が確認しますか?」と聞いています。高橋さんは答えずにカメラの画質の説明へ移り、担当者の返事はそこから最後まで「なるほど」だけでした。設置後に誰が確認するかは、この日は決まらないままです。

高橋さんは後日、この場面を振り返りました。自分は説明を足していたけれど、相手は自社で使う場面を探していた。そう気づいたことで、首を傾げた相手に返す言葉が変わりました。

それまでは「ここまでで分かりにくい点はありますか?」と聞いていました。今は「いま聞いていて、自社で使う場面として浮かびにくいのはどこですか?」と聞きます。質問の向きが、理解度から使う場面に変わったのです。

この変更後、担当者の返事も少し変わりました。以前は「確認します」で終わっていましたが、次の商談では「店舗で使う場面なら、閉店前のレジ確認です」と自分から場面を出しました。高橋さんは、その場面に合わせて設置後の確認方法を一つに絞りました。説明を増やさず、相手が使う場面を一緒に探した結果です。

さらに、担当者は社内で聞く相手も決めました。本部だけで抱えず、店舗の副店長に「閉店前に確認できますか?」と聞くことにしたのです。相手側が次に聞く人を決められた時、提案は営業側の資料から、相手の社内会話に入っていきます。

使う場面に戻る質問

説明後に相手が迷った時は、次のように短く聞きます。

高橋さん「ここまでの説明で、使う場面が思い浮かばないところはありますか?」
担当者「設置後の確認です。各店舗で見る人が決まっていません」
高橋さん「各店舗の確認担当ですね。では、機能の話に入る前に、その担当を決めるところから整理しましょう」

この二往復では、相手を責めていません。「理解できていないのですか?」と聞いていません。相手が自分の職場に置き換えた時に、どこで止まったのかを聞いています。

理解確認は営業側の不安を減らします。使う場面の確認は、相手の判断材料を増やします。

もちろん、説明が分かりにくい時もあります。その時でも、使う場面から聞けば、どの説明を補えばよいかが分かります。相手が各店舗の確認担当で止まっているなら、画質の違いより、設置後の確認例を見せましょう。

説明を足すほど遠くなる場面

説明を足すほど商談が遠くなる場面があります。相手が使う場面で迷っているのに、営業側が商品の特徴を増やしてしまう時です。

高橋さんは以前、首を傾げた相手に3つの導入事例を見せていました。小売店、飲食店、倉庫の事例です。どれも使える資料です。ただ、担当者が知りたかったのは、自社の店長が設置後に何を確認するかでした。

導入事例は、相手の場面とつながった時に役立ちます。つながる前に並べると、相手は他社の話として聞くだけになります。

高橋さんは、導入事例を見せる前に一枚の余白を作りました。そこには、相手の会社名や部署名を書く代わりに、「設置後に誰が映像を見るか」「どの時間帯を確認するか」「最初の一週間で何を記録するか」の三つだけを置きました。商談中に相手と一緒に埋める欄です。

担当者は、その余白を見て「ここなら店長に聞けます」と言いました。ここで初めて、他社事例を見る意味が出ます。自社の使う場面が先に見えたので、他社事例を自社の動きと比べられるようになったからです。

あなたも、相手の顔が曇った時に、資料のページを増やしてしまうことはありませんか?

資料を足す前に、相手が使う場面を一つ聞きます。

首を傾げた場所の見方

相手の首の動きだけを見ると、ただの反応に見えます。大事なのは、その動きがどの言葉の後に出たかです。

高橋さんの場合、相手はカメラ性能の説明中にはうなずいていました。首を傾げたのは、設置後の確認手順に触れた時です。つまり、相手の迷いはカメラそのものより設置後の使い方にありました。

この違いを見ないまま説明を足すと、相手の迷いから離れます。反対に、首を傾げた場所を拾うと、次に聞く一問が決まります。

高橋さんは、商談後に録音を聞き返し、相手が短く返事をした場所を二つだけ書き出しました。一つは設置後の確認担当、もう一つは店長の負担です。この二つを次回に確認したいと伝えたところ、担当者は「閉店前の確認を先に見てきます」と自分から動きました。

相手側の動きが変わったことが大事です。営業側の説明がうまくなったからというより、担当者が社内で確認する内容を持てたから、次の商談に進みました。

この時の高橋さんは、次回提案の冒頭も変えました。以前はカメラの目的を書いていましたが、次回は「閉店前に確認できる形を決める」と書きました。相手が首を傾げた場所からはじめたので、担当者も読みながらうなずきやすくなりました。

首の動きを拾う短い流れ

明日の商談では、難しい型を作らなくて構いません。説明後に相手が首を傾げたら、止まった言葉、使う場面、次に確認する相手の順で見ます。

止まった言葉

まず、どの言葉の後に相手が止まったかを見ます。機能名、料金、導入後の流れ、社内説明。止まった場所が分かれば、説明を足す場所も絞れます。

使う場面

次に、自社で使う場面として浮かびにくい点を聞きます。使う人、使う時間、確認する担当者、報告先などです。

次に確認する相手

最後に、相手が社内で誰に確認すれば前に進むかを決めます。担当者一人の理解で終わらせず、次の会話につながる相手を一人だけ見ます。

高橋さんは、この順番に変えてから、説明後の沈黙で慌てなくなりました。相手が首を傾げる動きには、失敗の印だけでなく、自社に置き換えて考えている印も含まれると分かったからです。

もし相手が「まだ具体的には分かりません」と答えたら、その返事も材料になります。高橋さんは「では、使う場面を決めるために、誰の一日を見ればよさそうですか?」と聞くようにしました。すると相手は、カメラ性能の評価より先に、社内で確認する一人を選びます。

営業Q&A

理解できましたかと聞いてはいけませんか?

説明後の確認で迷う場面です。

回答

聞いても構いません。ただ、それだけだと相手は「はい」と答えやすくなります。迷いを拾いたいなら、「使う場面として浮かびにくいのはどこですか?」と聞けば、相手は具体的に答えやすくなります。

相手が首を傾げただけで聞いてよいですか?

相手の反応を深読みしすぎる不安です。

回答

決めつけずに聞けば大丈夫です。「いま少し考えておられるように見えました。自社で使う場面で気になる点はありますか?」と、見えたことを断定せずに扱います。相手を責める確認にせず、考えている場面を一緒に探しましょう。

説明を足す前に聞く職場の置き換え

営業で説明後に相手が首を傾げたら、説明を足す前に使う場面に戻ります。止まった言葉を見て、自社で使う場面を聞き、次に確認する相手を決めます。相手の迷いは、説明不足というより、使う場面の不足から出ることがあります。

  • 首を傾げた直前の言葉
  • 自社で使う場面として浮かびにくい点
  • 次に確認する相手の一人

次の商談では、相手が首を傾げた瞬間に資料を増やさず、「どの場面で使うか」を一つ聞いてください。そこから説明を組み直せば、相手の判断材料に近づきます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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