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作業服営業は価格より着る人の動きと交換時期を聞く

着る人の動きから選ぶ提案

作業服の商談では、カタログを開くと色や価格の話になりやすいものです。担当者も「丈夫なものがいいです」「安い方が助かります」と言います。けれど、実際に着る人がどんな動きをするのかを聞かないままでは、納品後に不満が出ます。

高山莉奈さん(仮名、作業服販売会社で法人相談を担当する営業担当者)は、工場向けの作業服提案でカタログ説明から入っていました。生地の厚さ、洗濯のしやすさ、単価を順番に話します。担当者は聞いてくれますが、試着後に「現場から動きにくいと言われました」と戻ってくることがありました。

高山さんが変えたのは、商品名より先に、着る人の動作を聞くことです。しゃがむ、腕を上げる、荷物を持つ、機械の下をのぞく。作業服は体の動きと一緒に選ぶものだからです。

作業服営業では、商品名や価格より先に、着る人の動作と交換時期を聞きます。誰がどの動きをするかが見えると、試着の見方も追加発注の確認も具体的になります。

作業服の商談は、丈夫さの説明だけでなく、現場でどの姿勢を取るかを聞くところから始まります。ここでは、動作、汚れ方、交換時期を聞いて提案につなげる流れを扱います。

こんな人におすすめの記事です。

  • 作業服の提案が価格比較だけになってしまう場面
  • 試着後に現場から動きにくいと言われる場面
  • 追加発注や交換時期を先に確認したい場面

カタログ説明で止まる理由

高山さんは、以前の商談でカタログの上から順番に説明していました。素材、サイズ展開、在庫、単価。説明は間違っていません。けれど、担当者が現場へ持ち帰った時に、着る人の動きと合うかまでは分かりませんでした。

現場で困るのは、色や価格だけではありません。しゃがんだ時に背中が出る。腕を上げると肩が突っ張る。夏場に汗が抜けにくい。洗濯後に乾きにくい。こうした不満は、カタログだけでは見えません。

担当者も、現場の細かな動作をすべて把握しているとは限りません。営業側が質問しなければ、担当者は価格と納期の話だけで進めてしまいます。

最初に聞く三つの場面

高山さんは、最初に聞く内容を商品から現場へ変えました。見るのは、動作、汚れ方、交換時期です。

見る場面 聞く一言
動作 着る人が一番多く取る姿勢を聞く
汚れ方 汚れる場所と洗濯の回数を聞く
交換時期 いつ買い足すかを聞く

この三語は、本文でも後段でも変えません。動作は着る人が一番多く取る姿勢、汚れ方は汚れる場所と洗濯の回数、交換時期はいつ買い足すかとして扱います。

高山さんの案件では、着る人が一番多く取る姿勢はしゃがむ動きでした。汚れる場所は袖口とひざ、洗濯は週三回。交換時期は繁忙期前の二ヶ月前でした。

試着前に聞く会話例

高山さんは、試着品を出す前に次のように聞きました。

高山さん「作業中に一番多い姿勢は、しゃがむ動きでしょうか。それとも、腕を上げる動きでしょうか」
担当者「しゃがむ動きです。低い棚の確認が多いです」
高山さん「しゃがむ動きですね。では試着では、ひざと背中の出方を見ましょう」

続けて、汚れ方を聞きました。

高山さん「汚れやすい場所は袖口ですか、ひざですか」
担当者「ひざです。床に近い作業があります」
高山さん「ひざですね。洗濯は週に何回ぐらいでしょうか」

この会話では、しゃがむ動き、ひざ、洗濯回数を変えません。後で作業性、摩耗部位、メンテナンス頻度と広げすぎると、担当者が現場へ伝える言葉から離れます。

試着前に見る動作を決めると、試着後の感想も「動きやすいかどうか」だけで終わりません。ひざ、背中、袖口など、確認する場所が具体的になります。

現場からの反応を受ける順番

試着後、高山さんは「着心地はいかがでしたか」と広く聞くのをやめました。代わりに、最初に決めた動作、汚れ方、交換時期の順に確認します。

担当者は「しゃがむ時はよかったですが、袖が少し引っかかると言われました」と話しました。高山さんは、袖が引っかかるという言葉をそのまま受けました。腕まわりの可動域、作業効率などへ言い換える前に、どの動作で袖が引っかかったのかを聞きます。

高山さん「袖が引っかかるのは、腕を上げる時ですか。それとも荷物を持つ時ですか」
担当者「荷物を持つ時です」
高山さん「荷物を持つ時ですね。では、試着の二枚目は袖口の形を変えて見ましょう」

この順番なら、現場の反応が次の提案に直結します。営業側が別の商品をすぐ並べるのではなく、現場が使った言葉をもとに変える箇所を決めます。

高山さんは、袖口の形を変える前に、誰がその違和感を言ったのかも聞きました。同じ違和感が現場の全員から出ているのなら、全体の作り替えを考えます。荷物を持つ担当者だけなら、次に試す枚数はその人数分で足ります。担当者は「荷受け担当の二人だけです」と答えました。

そこで高山さんは、荷受け担当の二人だけに別型を試してもらう提案にしました。全員分を替えるより、現場の不満が出た動きに合わせて試せます。担当者も社内で説明しやすくなりました。

この確認をしないと、営業側はすぐ在庫のある別商品をすすめてしまいます。けれど、現場で起きているのは全体の不満なのか、一部の担当者の動作なのか。ここを分けるだけで、提案の押しつけ感は減ります。

追加発注まで先に聞く

作業服は、最初の納品で終わりではありません。繁忙期前、入社時期、破れやすい時期に買い足しが出ます。だから、交換時期を初回商談で聞いておきます。

高山さんは、見積の最後に「次に買い足す時期はいつごろですか」と聞きました。担当者は「六月の繁忙期前です」と答えました。そこで、初回納品から逆算して、五月上旬にサイズ確認をする予定を入れました。

追加発注の話を急に持ち出す前に、交換時期を先に聞いておくと、次回の連絡は用件だけで済みます。

高山さんは、納品後の連絡でも同じ三語を使いました。「しゃがむ動き、ひざの汚れ、六月前の買い足しについて確認します」と伝えます。担当者は、何の連絡かすぐ分かります。

納品から一週間後、高山さんは現場の責任者に着用時の様子を聞きました。責任者は「低い棚の確認では問題ありません。ただ、荷物を肩に載せる時に袖口が気になる人がいます」と話しました。高山さんは、低い棚の確認と袖口の違和感を分けて扱いました。

ここで全員分を別商品へ替えると、話が大きくなりすぎます。高山さんは、責任者が気にすると話した人と、試着で袖の引っかかりを伝えた荷受け担当の二人を突き合わせました。同じ二人でした。そこで新しい型は足さず、試着の結果をそのまま袖口の形の判断に使いました。

この確認があると、追加発注前の不安も減ります。担当者は、初回納品で何を見て、次に何を変えるのかを社内で説明できます。作業服の営業では、納品後の現場観察も次の注文につながる大事な会話です。

現場で使う人が増える時も、交換時期から聞き直します。新しい人のサイズだけでなく、その人が同じ動作をするのかを確認します。新人だけ別の作業を担当するなら、同じ作業服でよいとは限りません。

高山さんは、追加発注の前に「新人の方も低い棚の確認をしますか」と聞きました。担当者は「新人は梱包台が中心です」と答えました。ここで、しゃがむ動きとは別の動作が見えます。

そこで高山さんは、新人用の試着では梱包台での腕の上げ下ろしを見ることにしました。既存社員と新人で同じ作業服を使うとしても、試着で見る動作は違います。動作、汚れ方、交換時期を聞いておけば、同じ商品を提案する場合でも説明の根拠が変わります。

担当者からは「そこまで分けてくれると現場に聞きやすいです」と言われました。高山さんは、その言葉を次回の訪問理由にしました。次回は、梱包台での腕の動きと袖口の確認を行います。価格表を持っていくだけではなく、現場で見る項目を決めて行く訪問になりました。

次回訪問では、試着する人を三人に絞りました。低い棚を確認する人、荷物を肩に載せる人、梱包台で腕を上げる人です。同じ工場でも、見る動作が違えば、同じ一着の評価も変わります。

高山さんは、三人の感想をまとめる時にも、動作、汚れ方、交換時期の順で聞きました。感想を自由に聞くだけでは、好き嫌いの話で終わります。見る順番をそろえると、担当者は「どの部署に何枚必要か」を決めやすくなります。

作業服営業で大事なのは、現場の声を集めすぎることではありません。使う動作に合わせて必要な声を聞くことです。高山さんは、全員へのアンケートをやめて動作ごとの三人確認に変えたので、追加発注の数量も決めやすくなりました。

営業Q&A

作業服営業では最初に価格を聞いてよいですか?

法人担当者から予算を先に聞かれ、価格表から話したくなる場面です。

回答

価格は必要です。ただし、先に着る人の動作を聞きます。動作が分かると、価格の差を何で見るのかを説明しやすくなります。

現場の人に直接会えない時はどう聞きますか?

担当者だけが商談に来ていて、実際に着る人の声を聞けない場面です。

回答

担当者に、現場で一番多い姿勢、汚れやすい場所、次に買い足す時期を聞きます。分からない場合は、試着後にその三語だけ確認してもらう約束をしてください。

現場の動きから選ぶ一着

作業服営業では、商品名や価格より先に、着る人の動作、汚れ方、交換時期を聞きます。三語が決まると、試着で見る場所も、次に買い足す時期の連絡も決めておけます。

次の商談では、カタログを開く前に「一番多い姿勢は何ですか」と聞いてください。その答えを試着、見積、納品後の確認まで同じ言葉で使いましょう。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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