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営業で反応が薄い時は褒める前に見えた動きを聞く

薄い返事の裏にある聞き残し

営業で相手の反応が薄いと、こちらはすぐ不安になります。うなずいてはくれる。資料も見てくれる。けれど返事は「そうですね」だけで、次の会話に進まない。そんな商談はありませんか?

村田航さん(仮名、法人向け備品販売を担当する営業担当者)は、商談の途中で相手の返事が短くなるたびに、褒め言葉を足していました。「さすがですね」「すごいですね」と言えば空気が明るくなると思っていたからです。

ところが、相手の反応は変わりませんでした。担当者は笑顔を返すものの、発注の話には進みません。村田さんは、褒め方が足りないのだと考え、さらに言葉を増やしていました。

営業で反応が薄い時は、褒める前に相手の見えた動きを聞きます。反応の薄さを気分の問題だけで見てしまうと、相手が迷っている場所を見逃します。

この記事では、営業中に返事が短くなった時、どの動きを見て、どんな一言で会話を深めるかを解説します。反応が薄い時に見る中心は、相手の目線、手元、返事の間の三つです。

この記事は、次のような営業場面に役立ちます。

  • 相手の返事が短くなると焦って話を足す方
  • 褒めても会話が深まらず困っている方
  • 商談中の手元や目線を次の質問に変えたい方

褒め言葉だけが増える商談

褒めること自体は悪くありません。逆転営業でも、相手の良い点を発見しようとする姿勢は大事です。ただし、何を見て褒めているのかが曖昧だと、お世辞に聞こえます。

村田さんは、担当者が資料の配送欄で手を止めた時にも「いいですね」と言っていました。担当者は配送欄を見ているのに、営業側は自分の場を保つために褒めていたのです。

相手が薄く返す時、営業側はもっと明るく、もっと元気に、もっと大きく反応しようとしがちです。けれど、相手は明るさを求めているとは限りません。自分の状況を分かってほしいのかもしれません。確認したい条件があるのかもしれません。

ここで褒め言葉だけを重ねると、相手は「こちらの話を見ていない」と感じます。表面上は会話が続いても、商談の中身は前に進みません。

まず見るのは、相手の動きです。資料のどこで止まったのか、返事の前に何を見たのか、手元のペンが動いたのか。この観察があって初めて、褒める言葉も質問も相手に合います。

薄い反応で見える三つの動き

反応が薄い時に見る動きは、目線、手元、返事の間です。この三つを分けて見ると、相手が黙っている理由を決めつけにくくなります。

見る動き 次に聞く一言
同じ欄に目線が戻る その欄で確認したい点を聞く
ペンや資料を持ったまま止まる 書き留めたい条件を聞く
返事の前に間が長くなる 考えている対象を二択で聞く

この表を使う時は、本文の例も同じ対応で扱います。同じ欄に目線が戻ったなら、その欄で確認したい点を聞きます。手元が止まったなら、書き留めたい条件を聞きます。別の動きを勝手に混ぜると、読者も現場で迷います。

村田さんの商談では、担当者の目線が配送欄に二度戻りました。そこで必要だったのは、相手の明るさを褒める言葉より、配送欄で確認したい点を聞く一言でした。

観察した動きを言葉にする時は、評価を混ぜません。「迷っていますね」「不安そうですね」と言うと、相手の内側を決めつけたことになってしまいます。まずは、見えた事実だけを短く伝えます。

村田さんなら「配送欄をもう一度見ておられました」と言えます。そこから納品日と受け取り担当を分けて続けるため、相手は自分の確認点を選びやすくなります。

手元が止まった時も同じです。「メモしたい点がありそうですね」と決めつけず、「ペンを持ったまま止まっていました」と事実を置きます。その後に「書き留めたいのは金額ですか、社内確認の相手ですか」と聞きます。

反応の薄さは、相手の気持ちを決めつける合図ではありません。次に聞く場所を示す合図です。

配送欄で止まった会話例

村田さんは、次の商談で褒め言葉を一度止めました。担当者が配送欄に目線を戻したため、表の一行目に合わせて聞きました。

村田さん「配送欄をもう一度見ておられましたが、納品日ですか、それとも受け取り担当ですか」
担当者「受け取り担当です」
村田さん「受け取り担当ですね。では、当日に誰が受け取るかを先に確認しましょう」

この会話では、担当者の言葉を後で変えていません。受け取り担当と出たなら、後段でも受け取り担当として扱います。途中で担当者名簿や現場管理者と言い換えすぎると、相手が話した一点から離れます。

担当者は、この一言の後で「納品日は大丈夫ですが、倉庫の人が午前中にいない日があります」と話しました。村田さんはそこで初めて、午前着と午後着の違いを説明しました。

説明の順番が変わっただけです。けれど、相手が止まった配送欄から入ったため、説明は確認として受け取られました。

返事を明るさで処理しない姿勢

反応が薄い時に、営業側の明るさだけで処理しようとすると、会話は浅くなります。相手は言葉にする前の確認で止まっている時もあります。

村田さんは以前、「そうなんですね」と返されたらすぐ商品説明に移っていました。今は、返事が短い時ほど、相手が見ていた場所を一つ聞きます。

たとえば、価格欄なら「金額そのものですか、支払い時期ですか」と聞きます。納品欄では、納品日と受け取り担当を分けて尋ねます。使う部署の欄なら「最初に使う部署ですか、補充する人ですか」と聞きます。

選択肢は、どちらも同じ述語につながる形にします。納品日も受け取り担当も「確認したい点」として読めます。これなら相手は答えやすくなります。

褒める言葉は、相手の動きを見てから出すと、観察に基づいた言葉になります。

営業ロープレで直す一動作

この癖は、商談前のロープレで直せます。練習するのは長い台本ではありません。相手の返事が薄い場面で、すぐ褒める前に一度だけ手元を見る動作です。

村田さんは、相手役に「そうですね」と短く返してもらいました。その瞬間に、資料のどこを見るかを声に出します。配送欄、価格欄、利用部署欄。見た場所を一つ言ってから質問します。

村田さん「いま価格欄を見ていましたね。金額そのものと支払い時期なら、今日先に見る欄はどちらですか」
相手役「支払い時期です」
村田さん「支払い時期ですね。そこから確認します」

この練習で大事なのは、褒め言葉を禁止することではありません。褒める前に、相手の動きと質問を合わせることです。相手の動きを見ずに褒めるから、言葉が浮いて聞こえます。

あいづちも同じです。「なるほど」「そうなんですか」と返すだけで終わらせず、その後に相手の具体語を一つ拾います。受け取り担当なら受け取り担当、午前中にいない日なら午前中にいない日です。

営業コミュニケーションは、好意、質問、共感の順で回ります。好意があっても質問が相手の動きと合わなければ、共感は届きにくくなります。

相手の言葉を変えない確認

反応が薄い商談ほど、相手が出した言葉をそのまま扱います。担当者が受け取り担当と答えたなら、受け取り担当です。後で倉庫責任者、現場窓口、納品担当と勝手に変えると、話の焦点がずれます。

村田さんは、提案書の冒頭にも受け取り担当と書きました。「受け取り担当が午前中にいない日の納品確認」です。これなら、前回の商談で何を話したかがすぐ思い出せます。

もし担当者が納品日と答えたなら、納品日を中心にします。支払い時期と答えたなら、支払い時期を中心にします。相手の答えごとに、後段で使う言葉を変えずに通します。

ここを守るだけで、商談後の連絡も変わります。「先日の件はいかがですか」とぼかさず、「受け取り担当が午前中にいない日の納品確認です」と書けます。相手も何に返せばよいか分かります。

次の商談では、相手の反応が薄くなったら、褒める前に相手の目線と手元を見てください。そして、見えた欄に合わせて一問だけ聞きましょう。

商談メモにも、この順番を残します。反応が薄かった、で終わらせず、配送欄に目線が戻った、ペンが止まった、返事の前に三秒空いた、と書きます。次回の準備では、その記録から聞く一問を作れます。

上司に相談する時も変わります。「反応が薄かったです」だけでは対策が広くなります。「配送欄で止まり、受け取り担当が気になると答えました」と言えれば、次に確認する資料や納品条件を具体的に直せます。

営業Q&A

相手の反応が薄い時に褒めてもよいですか?

場を明るくしたくなり、先に褒め言葉を出したくなる場面です。

回答

褒めても構いません。ただし、先に相手の動きを見ます。相手が黙って資料を見ている間は、褒め言葉を足さないでおきましょう。褒めないと冷たく見えるのではと心配なら、見えた動きをそのまま口にすれば十分です。

返事が短い相手には何を聞けばよいですか?

うなずきはあるものの、次の話題に進まない場面です。

回答

相手が見ていた場所を二択にします。「納品日ですか、受け取り担当ですか」のように、どちらも確認したい点として読める形にしてください。選びやすくなると、短い返事の中身が見えてきます。

動きを見てから出す一問

営業で相手の反応が薄い時は、褒める前に見えた動きを聞きます。目線、手元、返事の間を分けて見ると、相手が言葉にできていない確認点を拾いやすくなります。

  • 褒め言葉だけが増える商談
  • 目線、手元、返事の間
  • 相手の言葉を変えない確認

次の商談では、相手が短く返した瞬間に、資料のどこを見ているかを一つ見てください。その場所に合わせて一問だけ聞き、出てきた言葉を最後まで同じ言葉で扱いましょう。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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