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営業ヒアリングのコツは理由より使用場面を先に聞く

使用場面から深まる営業ヒアリング

営業ヒアリングで相手が話してくれない時、営業側は理由を聞きたくなります。「なぜ困っているのですか」「なぜ今考えているのですか」と聞けば深掘りできそうに見えます。けれど、相手がまだ場面を思い出していない段階で理由を聞くと、答えはぼんやりします。

相手の頭の中に、まだ仕事場面の映像が出ていないからです。理由は、場面の後に出てきます。誰が、いつ、どの作業で、どんな手間にぶつかったのか。その景色が見えてから理由を聞くと、相手は自分の言葉で話しやすくなります。

営業ヒアリングのコツは、理由を急がず、先に使用場面を聞く姿勢です。現場の一場面が出ると、欲求、課題、解決策の順番も崩れにくくなります。

この記事では、営業ヒアリングで理由から入ると止まりやすい理由と、使用場面から聞く順番を解説します。オンライン教材販売の架空事例を使い、提案前にどこまで聞けばよいかを見ていきます。

ヒアリングで場面を聞く順番を整えたい方へ向けた記事です。

  • ヒアリングで相手の答えが短くなりやすい方
  • 理由を聞いても一般論しか返ってこない商談が多い方
  • 提案前に相手の使用場面を具体化したい一人社長

理由から聞くと止まる会話

理由を聞くこと自体が悪いわけではありません。逆転営業でも「なぜ?」は大事な質問です。ただし、使う順番を間違えると、相手は答えを作ろうとしてしまいます。

たとえば法人研修の教材相談で、「なぜ教材を変えたいのですか」と聞いたとします。相手は「社員の学習を進めたいからです」と答えるかもしれません。間違いではありませんが、その言葉だけでは提案の入口が見えません。

ここで営業側が機能説明へ進むと、動画本数、管理画面、受講率レポートの話になります。相手は聞いてくれますが、自分の現場に引き寄せて考える前に情報が増えます。会話は丁寧でも、判断材料はまだ浅いままです。

理由を聞く前に、相手が教材を使う場面を聞きます。「どの部署の、どの研修で使う場面を想定されていますか」。この一問なら、相手は抽象的な理由ではなく、実際の研修時間や担当者を思い出します。

最初に聞く使用場面

使用場面を聞く時は、大きな目的から入らない方が答えやすくなります。目的は「教育を強化したい」「新人を育てたい」と広くなりがちです。先に場面を聞くと、相手は一日の中の具体的な作業へ戻れます。

聞き方は短くします。「実際に使うとしたら、誰が最初に開く画面でしょうか」。この質問なら、受講者、教育担当、現場リーダー、管理者の誰が主役なのかが見えてきます。

次に聞くのは、時間です。「朝礼前、業務後、月初の研修日など、使いやすい時間はどこですか」。時間帯が出ると、教材の長さ、通知の出し方、確認する人の負担が具体化します。

使用場面は、相手の現状を目の前に出すための入口です。理由を聞く前に場面を聞くと、相手の言葉が短い結論から仕事の動きへ変わります。

迷いを分ける二つの枝

使用場面が見えた後は、迷いを二つに分けます。ひとつは、はじめられるかどうかの迷いです。もうひとつは、続けられるかどうかの迷いです。この二つを分けると、同じ教材相談でも聞く質問が変わります。

はじめられるかどうかで止まっている相手には、「初回だけなら、誰が受講開始を案内しますか」と聞きます。導入初日の動きが見えると、相手は最初の一歩を考えやすくなります。

続けられるかどうかで止まっている相手には、「2週目に受講が止まった時、誰が気づけると助かりますか」と聞きます。これは教材の良し悪しではなく、社内で続ける仕組みの話です。

この枝分かれをしないまま説明を続けると、相手の迷いは混ざります。はじめる不安と続ける不安が混ざったまま、営業側だけが機能を増やしてしまうのです。

教材販売の商談で変えた順番

高瀬 優さん(仮名、オンライン教材販売業の一人社長)は、以前、教材の特徴と管理機能を丁寧に説明していました。相手の人事担当者は熱心に聞いてくれましたが、最後は「社内で検討します」で止まりました。

振り返ると、この商談では「なぜ教材を変えたいのですか」を早い段階で聞いていました。相手は「新人の定着をよくしたいからです」と答えましたが、どの部署の、どの時間に、誰が使うかまでは話していませんでした。

次の商談では、理由の前に場面を聞きました。営業側: 最初に教材を開くのは新人さんですか、それとも教育担当者ですか。相手: 最初は教育担当です。営業側: では、その方が教材を開くのは研修前日ですか、当日の朝ですか。相手: 前日の夕方です。

ここで相手の言葉が変わりました。「前日の夕方だと、現場リーダーへの共有が遅れそうです」と自分で言い出したのです。営業側は機能説明を足さず、前日夕方に何を共有すれば現場リーダーが困らないかを一緒に考えました。

この会話で、提案の中心は教材本数から運用場面へ移りました。相手は「新人の定着」という大きな理由ではなく、研修前日の共有という具体場面で判断できるようになりました。

現状から欲求へ進む質問順

逆転営業では、現状、欲求、課題、解決策の順番を大事にします。使用場面を聞くのは、現状を丁寧に見るためです。現状が薄いまま欲求を聞くと、相手は理想論で答えやすくなります。

まず現状です。「いまはどの研修で、誰が、どの時間に確認していますか」。次に欲求です。「その場面がどう変わると助かりますか」。その後に課題です。「変える時に、誰が一番困りそうですか」。最後に解決策です。

この順番なら、営業側の提案は後出しジャンケンになります。相手の現状を見てから、使いやすい形を出せるからです。先に機能を出してから合う理由を探す流れとは違います。

ヒアリングは質問数を増やす作業ではなく、相手が考えやすい順番を守る作業です。順番が整うと、短い質問でも相手の答えは深くなります。

深掘りに見える急ぎ質問

営業側がやりがちな急ぎ質問があります。「なぜですか」「具体的には何ですか」「課題は何ですか」を続けて聞く形です。一見すると深掘りに見えますが、相手は詰められているように感じる場合があります。

相手が答えに迷った時は、さらに理由を重ねません。場面へ戻ります。「その困りごとが出るのは、月初ですか、月末ですか」「誰から最初に相談されますか」。場面を狭めると、相手は思い出しながら話せます。

深掘りとは、相手を追い込む動きではありません。相手が自分の現場を思い出せるように、聞く範囲を小さくする進め方です。

提案前に見る一つの合図

提案へ進む前に見る合図は、相手の言葉に部署名や時間帯が入ったかどうかです。新人、現場リーダー、人事担当、前日の夕方、2週目、月初。こうした言葉が出れば、相手は自分の場面で考えています。

まだ「社員教育」「受講率」「定着率」だけで話しているなら、提案は少し早いです。言葉が大きい時は、営業側も大きな説明をしやすくなります。そこで一問だけ置きます。「その中で、最初に困るのは誰でしょうか」。

部署名や時間帯が出たら、提案は短くできます。「前日の夕方に教育担当が現場リーダーへ共有しやすいよう、最初の1週間だけこの通知を使いましょう」。相手の場面に合わせた提案なので、余計な機能説明を減らせます。

提案前の合図は、相手の言葉が大きな目的から具体的な場面へ移った瞬間です。ここを見てから話すと、ヒアリングと提案がつながります。

次回確認へつなぐ一問

商談の最後は、次回確認へつなげます。初回で全部を決めようとしません。使用場面が見えたら、次回までに相手が社内で確かめる一点を決めます。

オンライン教材なら、「前日の夕方に共有できる担当者が誰か」「2週目に受講が止まった時に誰が見るか」のどちらかです。両方を頼むと重たくなります。

営業側は、相手が確かめやすい一問に絞ります。「次回までに、教育担当者が前日の夕方にどこまで準備できそうかだけ見ていただけますか」。この一問なら、相手も社内で動きやすくなります。

社内確認でずれた時の聞き直し

次回、相手が社内確認をしてくると、最初の想定と違う答えが返ってくる場合があります。教育担当が使うと思っていたのに、現場リーダーが先に確認する。前日の夕方ではなく、月曜朝の朝礼前しか時間がない。こうしたずれは失敗ではありません。

ずれが出たら、営業側は提案を大きく作り直す前に、場面をもう一度小さく聞きます。「では、月曜朝に現場リーダーが見るなら、最初に確認したいのは受講状況ですか、未受講者の名前ですか」。相手は社内で出た言葉をもとに答えられます。

この聞き直しがあると、ヒアリングは一回限りの質問ではなくなります。相手の社内確認で出た新しい場面を受け取り、次の提案へつなげる流れになります。

この場面では、確認相手が変わるたびに提案を足さない姿勢も大切です。営業側が先回りして機能を並べると、相手は社内で出た言葉をもう一度整理できません。ずれた場面を一つ受け取り、その場面で誰が何を確認するかだけ聞くと、提案の土台が戻ります。

営業Q&A

ヒアリングで理由を聞かないと、浅い質問になりませんか?

理由を聞くことは大切ですが、順番を急ぐと相手が答えを作ってしまう場合があります。

回答

先に使用場面を聞いてから理由を聞きます。誰が、いつ、どの作業で困っているかが見えると、理由は自然に深まります。理由を避けるのではなく、相手が考えやすい順番に置きます。

使用場面から整える営業ヒアリング

営業ヒアリングのコツは、理由を急いで聞く動きではありません。先に相手が使う場面を聞き、誰が、いつ、どの作業で困るのかを具体化します。

使用場面が見えると、はじめられるか、続けられるかという迷いも分けやすくなります。提案前には、相手の言葉に部署名や時間帯が入ったかを見てください。

次の商談では、「なぜですか」の前に「実際に使うのはどの場面ですか」と聞いてください。相手の仕事場面が見えると、あなたの提案は説明ではなく、お役立ちの支援へ変わります。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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