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営業の振り返りで相手の発言が増えた場面を見る

相手の発言が増えた場面を見る営業の振り返り

商談後のノートに「説明が長い」とだけ書いても、次の一問は決まりません。入退室カード管理の相談で本当に記録したいのは、営業側の反省文ではなく、相手が急に具体的に話しはじめた場面です。

相手が「はい」と短く返していた時間から、「席替えの時です」と言葉が増えた時間へ移る。その変化を見つけると、商談の見え方が変わります。説明の良し悪しではなく、会話が動いた理由を見られるからです。

営業の振り返りは、反省点を増やすより、相手の言葉が増えた瞬間を見つけることから入ります。うまく話せたかではなく、相手が自分の状況を話しやすくなった場面を拾います。

最初に見るのは、商談全体の点数ではありません。相手の発言が短かった時間と、急に長くなった時間の差です。この差を見れば、営業側が何を足すべきかより、何を聞いた時に相手が話しはじめたかが分かります。

点数化だけで見落とす会話の動き

商談後に点数をつけると、振り返りは整理しやすくなります。準備、説明、質問、クロージングなどに分ければ、自分の弱い部分も見えます。

しかし、点数化だけでは相手の動きが見えにくくなります。営業側の説明は七十点でも、相手が一番大事な不安を話していなければ、次の商談は浅くなります。反対に、説明はぎこちなくても、相手が具体的な場面を話したなら、そこには前進があります。

振り返りでは、自分の出来を採点する前に、相手の発言量が変わった場所を見ます。短い返事が続いた後、急に相手が長く話したところ。そこで営業側が何を聞いたのかを確認します。会話が動いた場面を拾うと、営業の振り返りは反省から観察へ変わります。

入退室カード相談で残った一言

ナツキさん(仮名、小規模オフィス向け入退室カード管理業の一人社長)は、商談後にいつも「説明が長かった」と書いていました。確かに機能説明は多めでしたが、それだけでは次の商談で何を直すかが曖昧でした。

ある商談では、相手が最初は短く返していました。「はい」「そうですね」「一度見ます」。ところが、営業側が「カードを返し忘れるのは、退職時ですか、席替え時ですか」と聞いた時だけ、相手の発言が増えました。

相手は「席替えの時です。隣の部署へ移るだけだと、カードをそのまま使ってしまいます」と話しました。ここで初めて、相手が見ていた困りごとはカード紛失ではなく、部署移動時の権限変更だと分かりました。

振り返りでは、「説明が長かった」とだけ書くのをやめました。営業側: 席替え時という言葉が出た。相手: 隣の部署へ移るだけだとカードを使い続ける。営業側: 次回は紛失対策ではなく部署移動の権限変更から聞く。この形で記録しました。

相手の名詞が増えた場所

相手の発言が増えたかどうかは、長さだけではありません。固有の名詞が出たかを見ます。部署名、担当者名、曜日、場所、作業名、画面名。こうした名詞が増えると、会話は一般論から現場の話へ移っています。

入退室カードの商談なら、セキュリティという大きな言葉より、総務、隣の部署、夜間、社員証、退職日、席替え日といった言葉が大事です。名詞が出るほど、相手は自分の場面で話しています。

営業側は、商談後にその名詞だけを抜き出します。文章にしなくても構いません。どの質問の後に名詞が出たかを見るだけで、次に聞く入口が見えてきます。相手の名詞が増えた場所は、次の商談で深掘りする入口です。

発言が短くなった場所も見る

発言が増えた場所と同じくらい、発言が短くなった場所も大切です。相手が急に短くなったなら、理解できなかったのか、関心が薄れたのか、まだ言いにくい事情があるのかを考えます。

ただし、発言が減ったからといって、すぐ自分を責めないようにします。営業側の説明が悪かった場合もありますが、相手が社内事情を言いにくかっただけかもしれません。

見方は、前後の差です。どの話までは名詞が出ていたか。どの話から「そうですね」だけになったか。ここを見れば、次回は同じ説明を長くするのではなく、話しにくくなった場所を小さく聞けます。

商談前の仮説と照らす

振り返りは、商談後だけで完結しません。商談前に持っていた仮説と照らすと、学びがはっきりします。自分はカード紛失が主題だと思っていた。実際に相手が話したのは部署移動だった。このズレが次の準備です。

仮説が外れた時、営業側は落ち込む必要はありません。むしろ、相手が具体的に話してくれたからズレに気づけたのです。仮説を直せる商談は、結果に関係なく次へ活かせます。

商談前の仮説、相手が増やした名詞、次に聞く入口。この三つを並べると、振り返りは自分への評価ではなく、商談理解の更新です。

次に試す質問を一つだけ書く

振り返りで改善点をたくさん並べると、次回の商談が重くなります。話し方、資料、価格説明、導入事例を全部直そうとすると、結局いつもの進め方に寄ってしまいます。

書くのは、次に試す質問を一つだけです。入退室カードなら、「部署移動の時、権限変更は誰が確認していますか」。この一問があれば、次の商談では相手の具体場面から入れます。

一問に絞るのは、改善を小さくするためではありません。実際に使える形へ落とすためです。商談前に読める一問なら、忙しい日でも準備に組み込めます。振り返りは、次に試す一問へ変えた時に現場で使えます。

一人で見返す時の順番

一人で営業していると、誰かに商談を見てもらう機会は少なくなります。その場合も、振り返りの順番を決めておくと続けやすくなります。

最初に相手の発言が増えた場面を一つ探します。次に、そこで出た名詞を拾います。最後に、次に試す一問へ変えます。この順番なら、長い分析文を書かなくても商談の学びを保てます。

反省を先に書くと、気持ちが重くなります。観察を先に置くと、次に使える材料が見えます。一人社長ほど、自分を責めるより、相手が話してくれた場所を丁寧に拾う方が続けやすいです。

短い連絡文へつなげる

振り返りで拾った言葉は、商談後の連絡文にも使えます。長いお礼文を書くより、相手が話した具体場面を一つ入れます。

たとえば「本日は、席替え時にカード権限が残りやすい点を伺いました。次回は、部署移動時の確認者から整理します」と書きます。これは売り込みではなく、相手の発言を受けた確認です。

連絡文に相手の名詞が入ると、相手は商談を覚えやすくなります。営業側も、次の会話を自分の説明ではなく相手の言葉から入れます。

相手の訂正が入った場面

振り返りで見落としやすいのが、相手が営業側の理解を少し直した場面です。「紛失ではなく、部署移動です」「退職者ではなく、兼務者です」「夜間ではなく、土曜だけです」。こうした訂正は、商談が深くなった合図です。

訂正が入ると、営業側は間違えたと感じるかもしれません。けれど、相手が直してくれたから現場の本当の言葉へ近づけます。振り返りでは、訂正されたことを反省としてではなく、相手が教えてくれた判断材料として記録します。

次の準備では、訂正後の言葉を入口にします。部署移動なら権限変更、兼務者なら二つの部署をまたぐ使い方、土曜だけなら休日出勤の管理です。相手の訂正を拾うと、次の質問は自然に具体化します。

資料ページの前後で見る反応

資料を使った商談では、どのページを説明したかより、どのページの前後で相手の言葉が増えたかを見ます。入退室カードなら、カード発行のページでは反応が薄く、権限変更のページで部署名が出るかもしれません。

営業側が良いと思うページと、相手が話しやすくなるページは違う場合があります。だから振り返りでは、資料の出来を評価する前に、相手の発言が増えたページを一つだけ印をつけます。

その印があると、次の商談で資料を最初から読み上げずに済みます。相手が話しやすかったページから入り、前回出た名詞を使います。資料は説明する順番ではなく、相手の言葉を思い出す手がかりです。

時間帯で見る発言の変化

商談の中で、時間帯の言葉が出たかも見ます。朝、昼休み、退勤前、月末、土曜などの言葉は、相手の現場が動いている証拠です。入退室カードなら、誰がいつカードを使うかが見えてきます。

時間帯が出た場面を見ると、次の質問は機能名ではなく運用の一場面からはじめられます。「退勤前にカード確認が重なるのですね」と確かめれば、相手はまた現場の流れを話しやすくなります。

この一文だけでも、振り返りは次の聞き方へつながります。

時間帯は、営業側があとから作れる情報ではありません。相手が商談中に出した現場の手がかりです。だから、振り返りでは数字より先に、その時間の言葉を記録します。

短く書けば、次回前にも読み返せます。

このメモには、相手の名詞、会話が動いた質問、次に試す一問だけを書きます。三つに絞ると、翌日の準備でもすぐ読み返せます。

営業Q&A

営業の振り返りで反省点を書かないと、改善が甘くなりませんか?

反省を書かないと、自分の悪かった点を見逃すのではと感じる人もいます。

回答

反省点は後で見ても構いません。最初に相手の発言が増えた場面を見ると、次に何を聞けばよいかが具体化します。自分の評価だけで終わらず、商談で使える一問へ変えることが大切です。

発言が増えた場面から整える営業の振り返り

営業の振り返りでは、自分の反省点を増やす前に、相手の発言が増えた場面を見ます。どの質問で名詞が出たか、どの話から返事が短くなったかを見ると、会話の動きが分かります。

商談前の仮説と、商談中に出た相手の名詞を照らします。ズレが見えたら、それを次に試す一問へ変えます。長い反省文より、一つの質問に変える方が現場で使いやすくなります。

次の商談後は、うまく話せたかより、相手の言葉が増えた場面を一つだけ探してください。そこを拾う振り返りが、営業を反省会から次回準備へつなげます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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