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営業で沈黙が続く時は待つ姿勢を先に整える

沈黙中に見る相手の考える姿勢

商談で相手が黙ると、営業側は不安を感じます。答えに詰まっているのか、断る理由を探しているのか、興味がないのか。判断できないまま時間だけが過ぎると、つい説明を足したくなります。

岡田航さん(仮名、法人向け什器販売業の営業担当者)は、オフィス移転を検討する会社に椅子とデスクの提案をしていました。担当者が資料を見たまま黙るたびに、岡田さんは「価格は調整できます」「納期も相談できます」と続けていました。

ところが、担当者は「少し考えていました」と答えました。岡田さんが説明を足した時間は、相手が社内の席数や使う人を考える時間を遮っていたのです。営業で沈黙が続く時は、すぐ言葉を足す前に、相手が考えている姿勢を見ます。

この記事では、沈黙中の待ち方を、表情、手元、次に聞く一文から整理します。沈黙は失敗の合図とは限りません。相手が自分の判断に入っている時間として扱うと、商談の受け止め方が変わります。

この記事は、次のような商談に近い方向けです。

  • 相手が黙ると焦って説明を足してしまう方
  • 沈黙後に何を聞けばよいか分からない方
  • 提案後の間を成約前の判断時間として扱いたい方

沈黙を埋めたくなる営業側の癖

岡田さんは、相手が黙るたびに資料の別ページを開いていました。機能、色、納品事例、割引条件。話せる材料はたくさんあります。だからこそ、黙っている時間を放っておけませんでした。

ただ、相手は聞いていなかったわけではありません。資料の座席図に指を置き、会議室の人数を数えていました。隣の担当者に目を向け、何かを確かめるようなしぐさもありました。

この時、営業側が言葉を足しすぎると、相手は考える作業を中断します。逆転営業では、相手が自分で感じ、考え、行動する流れを大切にします。沈黙は、その考える流れの途中にあることも多いです。

待つ姿勢は、何もしない態度ではありません。 相手の表情、手元、隣の人との目線を見て、次に聞く場所を選ぶための時間です。

岡田さんは、沈黙を怖がるほど、相手の様子を見落としていました。見落としていたのは、黙っている時間そのものより、その間に相手がどこを見ていたかです。

説明を足す待ち方と考えを支える待ち方

説明を足す待ち方 考えを支える待ち方
相手が黙ると別の機能を話す 相手が見ている資料の場所を確かめる
価格や納期をすぐ補足する 考えている条件を短く聞く
沈黙を失敗として扱う 判断中の時間として受け止める

この違いは、商談の空気を大きく変えます。説明を足す待ち方では、営業側が主導権を取り返そうとします。考えを支える待ち方では、相手がどこで迷っているかを見ます。

岡田さんは次の商談で、担当者が資料を見たまま止まった時、三秒ほど待ちました。相手は座席図の通路幅を指でたどっていました。岡田さんは「通路幅のところを見ておられますね」と伝えました。

担当者は「車椅子を使う社員がいるので、そこが気になっています」と答えました。岡田さんは「車椅子を使う社員の通りやすさですね」と受けました。ここで、話すべき内容は通路幅と使う人の動線に変わりました。

相手がどこを見ているかを言葉にすると、沈黙は質問の入口になります。 売り込む時間として埋めず、相手の考えを知る時間として扱えるのです。

沈黙後に聞くロープレ

ロープレでは、岡田さんは沈黙後の一文だけを練習しました。以前は「こちらの型番なら価格を抑えられます」と話していました。練習では、「いま資料のどのあたりが気になっていますか」と聞く形に変えました。

相手役が黙ったら、岡田さんはすぐに言葉を重ねません。相手役の目線が図面に向いたら、「図面を見ながら考えておられますね」と短く伝えます。相手役がうなずいた後で、「使う人数、通路幅、配置後の動きのうち、いま気になるのはどれについてですか?」と聞きました。

本番では、担当者が「会議室から出る時に椅子がぶつかりそうです」と言いました。岡田さんは「会議室から出る時に椅子がぶつかりそうなのですね」と受けました。

ロープレの質問文と本番の発言は役割が違います。練習では資料のどこを見ているかを聞き、本番では会議後の動線で感じる不安を中心にしました。

その後、岡田さんは商品の幅を説明する前に、「その動きが起きるのは朝の出社時、会議後、夕方の片づけのどれについてですか?」と聞きました。担当者は「会議後です」と答えました。

ここまで聞くと、説明の順番は変わります。椅子の機能一覧に入る前に、会議後に人が動く場面、椅子を引く幅、通路に置く棚の位置を先に見ます。相手の沈黙が、具体的な商談の材料に変わりました。

岡田さんは、沈黙が怖くなくなったわけではありません。今でも黙られると少し緊張します。ただ、その時間に相手の手元を見る習慣をもつと、焦って説明を足す回数が減りました。

沈黙後に聞く一文は、相手の考えを急がせず、考えている場所を一緒に見るために使います。 その一文があるだけで、営業側の焦りも落ち着きます。

待つ姿勢を崩さない見方

目線と手元の変化

相手が黙った時、まず見るのは資料のどこに目線があるかです。価格表を見ているのか、図面を見ているのか、導入後の手順を見ているのか。見ている場所によって、次に聞く内容が変わります。

岡田さんは、担当者がペンで座席図を囲んだ時、「そこを気にされていますか」とだけ聞きました。相手は「この列の人が出にくそうです」と答えました。短い問いでも、相手の考えが出てきます。

隣の人に向けた目配せ

商談に複数人がいる時、黙った人が隣の人を見ることがあります。その目配せは、決められない合図とは限らず、社内で確かめたい相手を見ている合図かもしれません。

岡田さんは、担当者が総務部長を見た場面で、「総務部長に確かめたい点がありますか」と聞きました。担当者は「搬入日の調整です」と答えました。そこで納品日より、搬入当日の人員と時間帯を確認しました。

沈黙中に見る場所を決めておくと、営業側は慌てにくくなります。目線、手元、目配せ。これらは相手が考えている場所を知らせてくれます。

もちろん、黙っている相手をじっと見続ける必要はありません。資料に視線を落としながら、相手の動きをやわらかく見るだけで十分です。待つ姿勢は、相手に圧をかけない形で作ります。

岡田さんは、提案後に十秒ほど間が空いた時も、すぐ次のページを開かなくなりました。「少し考える時間を取っていただいて構いません」と伝え、相手が見ている場所を確認しました。相手は「レイアウトの変更が必要か考えていました」と答えました。

この答えが出てから、岡田さんはレイアウト変更の話に入りました。営業側が待てたことで、相手は自分の迷いを言葉にできたのです。

オンライン商談での間の扱い

オンライン商談では、沈黙がさらに長く感じます。画面越しでは相手の手元が見えにくく、通信の遅れもあります。だからこそ、営業側の表情と声の落ち着きが大事です。

岡田さんはオンライン商談で、資料共有中に相手が黙ると、以前は画面を切り替えていました。今は「いま資料を見ながら考えていただいていると思います。気になるところが出たら、そこから一緒に見ます」と伝えます。

この一文を置くと、相手は無理にすぐ返事をしなくてよくなります。営業側も、沈黙を埋めるための説明を減らせます。

画面上で相手がうなずいたら、「いまのところで近いものがありましたか」と聞きます。首をかしげたら、「引っかかったのは費用、席数、搬入日程のどれについてですか」と聞きます。選択肢は相手が答えやすい範囲に絞ります。

オンラインでは、相手の反応を対面より少し大きく受け取る意識も役立ちます。相手が小さくうなずいたら、「そこは近いのですね」と受けます。相手が画面の外を見たら、「社内で確認する相手を思い浮かべていますか」と聞くこともあります。

ここでも、目的は相手を急がせることではありません。相手が今どこで考えているかを知ることです。質問の本質は、相手のことを知るためにあります。

岡田さんは、オンライン商談後のメールでも、沈黙中に出た内容を使いました。会議室から出る時の椅子の動きに関する不安を冒頭に置き、通路幅と搬入日の確認事項を短く並べました。

担当者はそのメールを総務部長に転送しました。総務部長からは「会議後の動線なら、現場で見たいです」と返ってきました。沈黙を待った時間が、社内で話す材料になったのです。

営業Q&A

沈黙が長い時は何秒くらい待てばよいですか?

相手が黙った時に、待ちすぎかどうか迷う場面です。

回答

秒数だけで決めず、相手の目線や手元を見ます。資料を読んでいるなら少し待ち、考える場所が見えたら「そこが気になりますか」と短く聞きます。

沈黙後に相手が何も言わない時はどう聞けば自然ですか?

相手の考えている内容が見えない時の確認です。

回答

「いま引っかかっているのは、費用、使う人、日程のどれについてですか」と、答えやすい範囲で聞きます。相手が選びやすい入口を置くと、考えていた内容が出やすくなります。

判断を支える次の一文

営業で沈黙が続く時の待ち方を解説しました。黙った時間を埋めるより、相手の目線、手元、目配せを見て、考えている場所を短く聞くことが鍵です。

  • 資料のどこを見ているかの確認
  • 考えている条件を急がせない待ち方
  • 沈黙後に使える短い質問

次の商談で相手が黙ったら、すぐ次の説明に入らず、相手が見ている資料の場所を確認してください。そこから聞く一文を選べば、沈黙を不安な時間にせず、お客様の判断を支える入口にできます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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