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営業で声が震える時は最初の一文を短くする

声を張る前に決める最初の一文

営業で声が震える日は、第一声を出す前から体に力が入ります。明るく話そう、元気に見せよう、失礼がないようにしよう。そう考えるほど、声は上ずりやすくなります。

高橋健太さん(仮名、法人向け複合機販売業の営業担当者)は、初回訪問の玄関前で何度も深呼吸していました。受付で社名を言うだけなのに、声がかすれ、担当者に聞き返されました。

高橋さんは、声量が足りなかったというより、最初の一文が長すぎました。会社名、訪問理由、資料の説明、紹介元の話まで一息で言おうとして、声が先に崩れていたのです。営業で声が震える時は、声を張る前に、最初の一文を短くします。

この記事では、声の震えを気合いで止める話ではなく、言い出し、間、相手の返事を受ける順番を解説します。声は大きさだけで信頼されるものではなく、相手が返事をしやすい短さで整います。

この記事は、次のような商談前に役立ちます。

  • 初回訪問や電話で第一声が震える方
  • 緊張すると説明を一気に話してしまう方
  • 元気な声より落ち着いた入り方を作りたい方

声が震える時に起きる説明の詰め込み

高橋さんは、受付で「本日十時に総務部の田口様とお約束しております高橋と申します。複合機の入替えについて資料をお持ちしました」と続けて話していました。文としては丁寧です。ただ、緊張した状態では長すぎました。

相手は、まず名前と約束だけ分かれば受付できます。そこに資料、入替え、用件まで重ねると、営業側の息が先に切れます。声の震えは、気持ちの弱さだけが原因ではありません。言い出しの量が多い時にも起きます。

高橋さんは、最初の一文を「十時に田口様とお約束している高橋です」に変えました。受付の方が応じた後に、礼を短く返しました。

この短さに変えると、高橋さんは声を作ろうとしなくて構いません。相手の返事を待つ時間ができるので、次の言葉を急がずに済みます。

第一声の目的は、全部を説明する点にはありません。 相手が次に返せる入口を作ります。

最初の一文に入れる情報

声が震える時ほど、一文に入れる情報を絞ります。高橋さんは、名前、約束、相手の名前だけにしました。訪問理由は、担当者に会ってから短く伝えます。

電話でも同じです。「先日資料をお送りした件で、複合機の入替えについて確認したくお電話しました」と言うと長くなります。高橋さんは「先日資料をお送りした高橋です。いま一分だけよろしいでしょうか?」と短くしました。

この一文なら、相手は「はい」「いまは難しいです」「何の件ですか」と返せます。返事が返ってくれば、営業側の呼吸も整います。

最初の一文は、相手が返事をするための幅を残します。 幅があるから、営業側も次の言葉を相手に合わせられます。

逆転営業では、話す量より相手が話せる状態を大事にします。第一声でも同じです。先に見るのは、相手が返事を出しやすい短さです。

受付前のロープレで見る言い出し

高橋さんは、商談前のロープレで声の大きさを採点していました。けれど、本番で崩れたのは言い出しの長さでした。そこで、ロープレの見る点を絞りました。

練習では、まず約束の時間と相手の名前だけを声に出します。次に、相手が返した想定で、一拍置いてから礼を言います。

この流れだけを確認します。声を大きくする練習、笑顔の練習、資料説明の練習を一度に重ねません。見る点が増えるほど、高橋さんは本番で自分の声ばかり気にしていました。

現場で見ていると、緊張する営業担当者ほど、練習量を増やすほど不安になりやすいです。練習が悪いのではありません。見る点が多すぎると、本番でどこを直すか分からなくなるのです。

声の震えを直したい時は、最初の一文と返事を待つ一拍だけを練習します。 一点に絞るから、体も言葉も落ち着きます。

相手の返事を受けた後の二文目

第一声が短くなると、二文目も変わります。高橋さんは、担当者が席に着いた後、以前はすぐに資料を開いていました。緊張で早く用件に入りたかったからです。

新しい流れでは、高橋さんは「今日は、入替えそのものより、今の機械で困っている時間を先に伺いたいです」と伝えました。相手は「時間ですか」と返しました。

高橋さんは「はい。印刷待ち、保守窓口への連絡、請求確認のどれで止まることが多いですか?」と聞きました。相手は「保守窓口への連絡です」と答えました。

この二文目は、長い商品説明ではありません。相手が答える範囲を決める一文です。第一声を短くした後に、二文目で聞く範囲を置くと、声は説明に追われません。

声が震える人は、早く本題に入らないと迷惑だと考えがちです。けれど、相手にとって助かるのは、長い説明を聞くことではなく、自分の困りごとを言いやすい入口がある点です。

声量より先に整える間

声の震えを止めようとして、声量だけを上げると、相手には急いでいるように伝わります。高橋さんも、最初は大きな声で挨拶すればよいと思っていました。

ところが、総務部の担当者は、落ち着いた声で短く入った時の方が話しやすそうでした。高橋さんが一文ごとに少し間を置くと、担当者は「実は保守窓口への連絡が面倒で」と話しはじめました。

間は、相手の返事を待つための時間です。営業側の沈黙を隠すために資料をめくると、相手は考える時間を失います。高橋さんは、相手が視線を落とした時に、次の説明を急がないようにしました。

声を張るだけでは、相手の考える時間は増えません。 一文を短くし、返事を待つ間を取ることで、相手が自分の状況を話しやすくなります。

この間を作れると、営業側の声も整います。相手の返事があるので、次の言葉を自分だけで抱えなくて済みます。

訪問後に残す声の確認

商談後、高橋さんは声が震えたかどうかだけを振り返りませんでした。振り返ったのは、相手が最初に返事をした場面です。

担当者は、短い第一声の後に「お待ちしていました」と答えました。その後、「保守窓口への連絡が面倒で」と自分から困りごとを話しました。高橋さんは、この二つを振り返りの材料にしました。

声そのものを反省し続けると、次回も自分の声ばかり気になります。相手がどこで返事をし、どこで自分の困りごとを話したかを見ると、次に残す練習が決まります。

高橋さんは、次の訪問前にも同じ一文を声に出しました。ただし、同じ一文を棒読みで使うわけではありません。相手の名前、約束の時間、訪問理由に合わせて短く作ります。

声の震えは、完全になくすものと考えると苦しくなります。震えても、相手が返事をしやすい短い一文があれば、商談は始まります。そこから、相手の言葉を一つ受ければ十分に前へ進めます。

営業の第一声は、相手の返事を受ける入口です。 入口が短くなるほど、声は商談の流れに乗りやすくなります。

電話営業で同じ一文を使う練習

高橋さんは、訪問だけでなく電話でも同じ考え方を使いました。電話では顔が見えない分、声の震えが自分にも相手にも分かりやすくなります。だからこそ、言い出しを短くして、相手の返事を先に受ける流れが助けになります。

以前の高橋さんは、「先日お送りした資料の件で、複合機の入替えや保守契約について確認したく、ご担当の方はいらっしゃいますでしょうか」と一息で話していました。途中で息が浅くなり、最後の方ほど早口になっていました。

短く直した後は、資料を送った者であることと担当者につないでほしいことだけを伝えました。相手が取り次げるかどうかを先に聞く形です。用件の詳しい説明は、担当者につながってからで十分です。

担当者につながった後も、高橋さんは「一つだけ確認です。今の機械で止まりやすいのは、印刷待ち、保守窓口への連絡、請求確認のどれについてですか?」と聞きました。ここでも、相手が答えられる範囲を置いています。

電話では沈黙が怖くなります。けれど、短い一文の後なら、相手が返事を探している時間だと分かります。高橋さんは、返事を待つ間に資料を読み上げず、受話器の向こうの反応を待ちました。

相手が保守窓口への連絡だと答えた時、高橋さんは「保守窓口への連絡で止まりやすいのですね」と受けました。その一文があるだけで、次の説明は保守連絡に絞れます。声の震えを隠すために話し続ける流れから離れられます。

電話の練習でも、高橋さんは録音して全部を直そうとはしませんでした。見るのは、最初の一文が短いか、相手の返事を待ったか、相手の言葉を受けたかの三点です。三点だけなら、翌日も続けられます。

訪問でも電話でも、第一声は相手の返事を受ける入口です。媒体が変わっても、声を大きく見せるより、相手が返せる短さを作る方が商談は前に進みます。

営業Q&A

営業で声が震えたら謝った方がよいですか?

第一声がうまく出なかった時の不安です。

回答

すぐに長く謝るより、短く言い直します。「失礼しました。十時にお約束している高橋です」のように、名前と約束だけに戻すと、相手も受けやすくなります。

声を大きく出す練習は不要ですか?

発声練習と商談の入り方を分けたい場面です。

回答

発声練習は役立ちます。ただ、商談直前は声量より一文の短さを確認します。相手の返事を待てる長さにすると、声の大きさだけに頼らずに入れます。

返事を受ける短い入口

営業で声が震える時の整え方を解説しました。長い説明を言い切る力より、最初の一文、返事を待つ一拍、二文目で聞く範囲を見ます。

  • 名前と約束だけに絞る第一声
  • 相手の返事を待つ一拍
  • 二文目で決める聞く範囲

次の訪問前に、最初の一文を紙に長く書かず、名前と約束だけで声に出してください。相手の返事を受けてから二文目に入るだけで、声は説明の重さから少し離れます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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