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営業相槌は言葉数より相手が続けやすい受け止めで決まる

相手の話が続く営業相槌

営業相槌を増やすと、話を聞いている印象は出ます。ただ、返事の数が多いだけでは相手の話は深まりません。相手が一文を話すたびに「なるほど」「確かに」と返しても、次に何を話せばよいかは相手に残ります。

営業相槌で大切なのは、返事の量ではありません。相手の言葉を受け止め、その後に話しやすい範囲へ進めます。営業相槌は、営業側が反応を見せるためではなく、相手が次の一文を出しやすくするために使います。

返事だけで終わる相槌は、会話の終点になります。相手の言葉を短く引用し、どの場面の話かを範囲にして返すと、会話は続きます。相槌の役割は、相手の発言を評価せず、相手がもう少し話せる形に整える点にあります。

この記事では、営業相槌を言葉数ではなく受け止めと次の質問で整理します。架空の店舗照明設備の相談をもとに、返事だけで止まる流れ、受け止めの一文、商談後の練習まで見ていきます。

商談で話を遮りたくないのに、相槌の後で沈黙が生まれやすい方へ向けた内容です。

  • 営業相槌が多いのに相手の話が続かない方
  • 返事の後にすぐ説明へ入りやすい方
  • 一人社長として商談中の聞き方を直したい方

返事だけの相槌で止まる流れ

相槌が返事だけになると、会話はその場で閉じます。相手が「店内が暗い気がします」と言った時に「なるほど」と返すだけでは、何が暗いのか、いつ暗いのか、誰が困っているのかは残りません。

返事を増やしても、相手の言葉を次の話題へつなげなければ、営業側は結局説明へ入ります。相手は自分の話を続ける手がかりを持てず、営業側の提案を聞く立場へ戻ります。

相槌は会話の飾りではなく、相手の言葉を次の質問へつなぐ短い橋渡しです。この役割に変えると、返事の種類が変わります。

短く引用して範囲を絞る

相手が話した言葉を短く引用すると、相手は自分の発言が使われたと分かります。その後で範囲を絞ると、次に話す内容も見えます。

「暗い気がするのですね」だけで終えるより、「暗いと感じるのは、入口、レジ前、奥の棚のどこですか」と続けます。相手は感覚の話から、場面の話へ進めます。

短く引用してから範囲を絞ると、相槌は反応ではなく質問の準備になります。営業側が急いで説明しなくても、相手の話が具体化します。

照明設備相談のやり取りの例

石田圭一さん(仮名、店舗照明設備販売業の一人社長)は、小売店の店長から照明交換の相談を受けました。以前は店長が「最近、売場が暗く見える」と話すと、すぐに器具の種類と明るさの数値を説明していました。

石田は返し方を変えました。店長が「夕方になると奥の商品が見えにくい」と話した時、石田は「奥の商品が見えにくいのですね。困るのは品出し、接客、閉店作業のどれですか」と聞きました。

店長は「接客です。色が分かりにくいと言われます」と答えました。石田はその言葉を受けて、明るさの数値ではなく、色の見え方と接客時の立ち位置から説明しました。

この反応で、商談は照明器具の性能説明から、お客様が商品を選ぶ場面の話へ変わりました。相槌の後に範囲を絞ったことで、相手の言葉が提案の中心になりました。

相手が続けやすい三つの受け止め

営業相槌は、共感、引用、範囲の三つに分けると使いやすくなります。共感は相手の負担を受け止める言葉。引用は相手の一語をそのまま使う言葉。範囲は次に話す場面を絞る言葉です。

受け止め 次につなぐ一文
共感 それは毎日の作業で気になりますね
引用 奥の商品が見えにくいのですね
範囲 困るのは接客、品出し、閉店作業のどれですか

三つを同じ順番で使うと、相槌は長くなりすぎません。相手の話を受け止めてから、話す範囲を見える形にできます。

説明前に置く一拍

相手が困りごとを話した直後、営業側は解決策を言いたくなります。けれど、相手の話がまだ広い段階で解決策を出すと、説明が早くなります。

説明前には一拍置きます。「今の話だと、困っているのは色の見え方ですね」と短く受けます。その後で「来店客から言われたのは、商品名、色、値札のどれですか」と範囲を絞ります。

説明前の一拍は、沈黙を埋めるためではなく、相手の言葉を提案の入口にするためです。ここで相手の答えを待てると、説明の出し方が変わります。

相槌を増やしすぎない境界

相槌を増やしすぎると、相手の話を支えるどころか、営業側の反応が目立ちます。相手が一文を話すたびに返事を重ねると、相手は営業側の顔色を見ながら話す感覚になります。

境界は、相手が次の言葉を探しているか、営業側の返事を待っているかです。相手が考えている時は待ちます。営業側の返事を求めている時だけ、短く受け止めます。

相槌は数を増やすより、相手の次の言葉が出る間を残す方が会話に合います。待つ時間も相槌の一部として扱います。

練習で使う一文

営業相槌を直す練習では、長いロープレより一文の練習が合います。相手役に困りごとを一つ話してもらい、営業側は共感、引用、範囲の順で返します。

たとえば相手役が「最近、問い合わせ後の返事が遅いと言われます」と話します。営業側は「毎回言われると負担ですね。返事が遅いと言われるのですね。遅れるのは見積、納期、在庫のどれですか」と返します。

この練習では、きれいに話すより、相手の言葉を使って範囲を絞れるかを見ます。実際にやってみると、すぐ説明へ入る癖が見えます。そこを一つ直すだけで、商談中の反応が変わります。

クロージング前の相槌

クロージング前にも相槌は使えます。相手が「社内で話してみます」と言った時、すぐ日程を詰めると急がせている印象になります。

まず「社内で話すのですね」と短く受けます。その後で「一番説明しにくいのは、費用、工事時間、効果のどれですか」と聞きます。これなら次の連絡は催促ではなく、相手が説明しにくい点を支える連絡になります。

相槌で相手の言葉を受け止めると、最後の一押しも変わります。申込を迫るより、相手が次に話す相手と迷っている点を見つけられます。

商談後に残す相槌の記録

相槌を改善するには、商談後に長い反省を書くより、相手の言葉と自分の返しを一組だけ残します。相手が長く話した一文、営業側がすぐ説明へ入った一文、この二つを並べます。

石田は商談後、「奥の棚の商品が夕方は見えにくい」という相手の発言と、「照度は何ルクスです」という自分の返しを並べました。そこから、数値説明の前に接客場面を聞く一文を作りました。

記録で見るのは、相槌の多さではなく、相手の言葉を次の質問へ使えたかです。一組だけ残せば、次の商談で直す箇所がはっきりします。

席位置や目線から返す相槌

店舗や設備の商談では、相手の言葉を場所と目線に分けると話が続きます。暗い、見えにくい、使いにくいという言葉だけでは広すぎます。どこに立った時か、誰が見た時か、どの時間帯かを短く返します。

「暗いのですね」とだけ受けるより、「奥の棚を見る時に暗いのですね」と返す方が、相手は次の説明をしやすくなります。さらに「店長が見る時と来店客が見る時では、気になる点は同じですか」と続けると、判断する視点も分かれます。

相槌で場所と目線を入れると、提案は設備名から入らず、相手が困る場面から入れます。これにより、営業側の説明は短くても商談の中身は濃くなります。

電話商談で使う相槌

電話では表情が見えないため、相槌の入れ方がさらに大切になります。声だけで反応を伝えようとして返事を増やすと、相手の話す余地が減ります。

電話では、声の調子へ反応するより、相手の言葉を短く拾います。「夕方の奥の棚ですね」と受けてから、「来店客から言われたのは色、価格札、商品名のどれですか」と聞きます。これなら、画面や現場が見えなくても話す範囲がそろいます。

石田は電話相談でも、最初から資料を送る話にしませんでした。相手が困っている場所と目線を一つずつ聞き、資料にはその棚の写真欄と接客時の見え方だけを入れました。相槌が資料作りまでつながった例です。

電話後の資料も、相槌で拾った言葉から作ります。相手が「奥の商品」と言ったなら、資料の見出しも奥の商品から入ります。営業側の説明項目ではなく、相手が口にした場面を先頭に置くと、資料を開いた時にも商談の続きとして読まれます。

資料を送った後の連絡でも、同じ相槌を使います。「奥の商品について、店長の見え方と来店客の見え方で違いはありましたか」と聞けば、資料確認の催促ではなく、相手の判断を支える会話になります。

返答が短い時も、相槌を増やして埋めません。「来店客の見え方ですね」と受け、次に「困るのは色の違い、値札、商品名のどれですか」と一つだけ絞ります。短い返事の後ほど、質問の範囲を見える形にして、具体的に話せる余地を残します。

営業Q&A

営業相槌は、共感の言葉を多く入れれば十分ですか?

共感だけでは、相手が次に話す範囲が見えない時があります。

回答

共感した後に、相手の言葉を短く引用し、話す範囲を絞ります。相手が困っている場面を選べる形にすると、会話は説明待ちではなく相談の流れになります。相槌は量より、次の質問へつながる形で使います。

短い受け止めを次の質問に変える

営業相槌は、返事を増やすほど良くなるものではありません。相手の言葉を短く受け、その言葉から次に話す範囲を示すと、相手は続けやすくなります。

店舗照明設備の相談では、暗いという感覚を「奥の商品が見えにくい」と短く引用し、困る場面を接客、品出し、閉店作業に分けました。その結果、照明器具の性能説明ではなく、接客時の見え方を中心に話せました。相槌は営業側の反応を見せるためではなく、相手の言葉を次の質問へ変えるために使います。

次の商談では、相手の発言にすぐ説明を重ねず、一語だけ引用してから範囲を絞ってください。短い受け止めの後に相手がもう一文話せれば、商談は売り込みから相談へ近づきます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
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