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営業で緊張する時は資料前に相手の予定を聞く

資料を開く前に聞く今日の予定

営業で緊張する時、資料を早く開きたくなります。紙面を見れば話す順番があるので、少し安心できるからです。ところが、資料を先に開くほど、相手の今日の都合が見えにくくなります。

西村航さん(仮名、業務用冷蔵庫販売業の営業担当者)は、飲食店への初回商談で緊張していました。店長が席に着いた瞬間にカタログを開き、冷却性能、サイズ、納品日を順番に説明しました。

店長は「今日は仕込みの合間なので長くは聞けません」と言いました。西村さんは説明を短くするつもりでしたが、どこを削るか決めていなかったため、結局どのページも少しずつ話してしまいました。営業で緊張する時は、資料を開く前に、相手が今日使える時間を聞きます。

この記事では、緊張を無理に消す話より、緊張したままでも商談を崩しにくくする順番を解説します。資料を支えにする前に、相手の予定、今日決めたいこと、後で見ればよいことを分けます。

この記事は、次のような商談前に役立ちます。

  • 緊張すると資料説明を急いでしまう方
  • 相手の時間が短い商談で話す量に迷う方
  • 資料の順番に頼らず相手の予定から入りたい方

緊張した営業が資料に逃げる場面

西村さんは、資料を開くと気持ちが落ち着くと考えていました。商品ページには説明する順番があり、写真もあります。自分の言葉だけで話すより楽に感じたのです。

けれど、相手は資料の順番で考えているわけではありません。飲食店の店長は、ランチ前の仕込み、スタッフの配置、搬入できる時間を気にしていました。冷蔵庫の性能を聞く前に、今日どこまで決める話なのかを知りたかったのです。

西村さんが資料を開いた時、店長の視線は時計に向いていました。私はこのような場面を現場で何度も見てきました。営業担当者は説明を急ぎ、相手は時間を気にし、どちらも悪気がないまま会話が噛み合わなくなります。

そこで西村さんは、資料を開く前の一文を決めました。「今日は何分くらいお時間をいただけますか?」と聞きました。店長は「10分くらいです」と答えました。

資料を開く前の一問は、営業側の緊張を相手の予定に合わせる役割をもちます。 予定が分かれば、説明を全部抱えなくて済みます。

最初に分ける三語

西村さんは、商談の入口で三語だけ確認しました。時間、目的、後日確認です。この三語を聞くと、資料のどこを見るかが決まります。

時間は、今日使える分数です。目的では、今日知りたい内容を置きます。後日確認では、今日決めなくてもよい項目を分けます。三語を分けると、相手は商談を受けやすくなります。

店長が10分と答えた後、西村さんは「今日は、入替えできる時間、庫内の広さ、費用感のどれを先に見たいですか?」と聞きました。店長は「入替えできる時間です」と答えました。

この時点で、資料の性能ページを長く読む必要はありません。搬入時間と工事時間に関わるページだけを見せればよいのです。緊張した時ほど、全部を説明するより、相手が選んだ一語から入ります。

時間、目的、後日確認を分けると、資料は読み上げる対象から、相手の予定を確かめる材料に変わります。

ダメな入り方を直す短いロープレ

西村さんは、商談前に短いロープレをしました。見るのは、カタログを開く速さです。緊張すると、椅子に座る前から紙を広げてしまう癖がありました。

練習では、西村さんが「今日は冷蔵庫の入替えについてご案内します」と伝えた後、すぐ資料に手を伸ばさないようにしました。続けて「先に、今日使えるお時間だけ伺ってもよろしいですか?」と聞きました。

相手役が「10分です」と答えたら、西村さんは「ありがとうございます。10分なら、入替え時間と庫内の広さを先に見ます」と伝えました。ここで初めて資料を開きます。

ロープレの目的は、きれいに話す点にはありません。緊張した時に、資料へ手が先に伸びる癖を止め、相手の予定を一問だけ聞けるかを見ます。

緊張した日の練習は、資料を開く前の手の動きと一文だけに絞ります。 そこが変わると、商談の入口が売り込みに寄りにくくなります。

相手の予定から決める説明量

店長は、入替えできる時間を先に知りたいと答えました。西村さんは、その答えを受けて、見積りの中心を搬入時間に置きました。

その後、カタログの工事欄だけを開きました。性能の細かい数値は後日に回し、店休日に搬入する案と営業前に搬入する案を比べました。

西村さんは、以前なら冷却性能から話していました。今回は相手が選んだ入替え時間から入ったので、説明量が半分以下になりました。短くした分、商談が薄くなったわけではありません。相手が今知りたい点に近づいたのです。

相手の予定を聞くと、営業側も安心できます。10分しかないなら10分で見る点を決める。30分あるなら、現場の寸法や費用感まで見られます。分数があることで、緊張した頭でも順番を作れます。

逆転営業では、お客様に話してもらう入口を大事にします。資料説明の前でも同じです。相手の予定を聞くことで、今日の会話は相手の現実からはじまります。

後日確認に回す勇気

10分の商談では、すべてを決めようとしなくて構いません。西村さんは、費用の詳しい見積りを後日確認に回しました。店長も、その方が聞きやすそうでした。

緊張している営業担当者ほど、一回で全部伝えようとします。相手にまた時間を取ってもらえないかもしれない、と不安になるからです。けれど、全部を話すほど、相手は何を持ち帰ればよいか分からなくなります。

西村さんは「今日は入替え時間を合わせました。費用は、設置場所の幅を見てから短くお送りします」と伝えました。店長は「それならお願いします」と答えました。

この終わり方なら、後日の連絡理由があります。相手が今日選んだ入替え時間に関わる費用を確認する連絡です。営業側の都合だけで送る資料ではありません。

後日確認に回す項目を決めると、短い商談でも次の会話が相手の予定につながります。

緊張を振り返る時の一項目

商談後、西村さんは緊張したかどうかだけを振り返りませんでした。見る項目を、資料を開く前に相手の予定を聞けたか、の一点にしました。

できた日は、説明が長くなりにくくなります。できなかった日は、資料の一ページ目から話しすぎていることが分かります。振り返りが一点なら、次の商談前にも直しやすいです。

西村さんは、商談後に店長が最初に知りたいと選んだ点だけを残しました。この記録があると、次回の見積りも入替え時間を中心に作れます。

緊張は、商談が終わった後にも自分を責める材料になりやすいです。声が上ずった、資料をめくる手が速かった、説明が早口だった。見る点が多いほど、次に何を直すか分からなくなります。

まずは、相手の予定を聞いたかだけで十分です。そこができれば、資料の出し方、説明量、後日確認の範囲まで自然に決まります。

短い商談でも深くなる会話

西村さんは、短い商談ほど浅くなると思っていました。ところが、相手の予定から入ると、短くても深い会話になります。

店長は、入替え時間の話から「朝の仕込み前に庫内を空にするのが難しいです」と話しました。西村さんは「仕込み前に空にするのが難しいのですね」と受けました。

この一言が出ると、冷蔵庫の大きさに加えて、スタッフの出勤時間、食材を一時的に置く場所、工事日に誰が立ち会うかが見えてきます。資料を全部読むより、店長の予定から聞いた方が商談は具体的になりました。

緊張する営業担当者にとって、相手の予定を聞く一文は避難場所ではありません。相手が仕事を止めずに話せる入口です。西村さんは、その入口を使ったことで、資料説明だけの10分から、次の準備につながる10分へ変えられました。

相手の予定に合わせる姿勢は、遠慮ではありません。相手が今日考えられる範囲で、役に立つ会話を作ります。

この後、西村さんは店内の動線も一緒に見ました。冷蔵庫を入れる場所だけでなく、仕込み中にスタッフが通る幅、食材を一時的に置く台、搬入時にどの扉を使うかを確認しました。

店長は「そこまで見てもらえるなら、営業前の方がよさそうです」と答えました。西村さんは、営業前の搬入を希望していると受け、見積りに入れる条件を営業前の搬入、庫内の広さ、設置場所の幅に絞りました。

この会話は、冷蔵庫の性能を否定しているわけではありません。性能の前に、相手が今日困っている予定を受けています。予定を受けるから、性能説明も相手の仕事に合う順番で使えます。

緊張した商談でうまく話すことだけを目標にすると、自分の出来不出来ばかり見ます。相手の予定を聞くことを目標にすれば、商談の評価は相手が話しやすくなったかで見られます。

営業Q&A

営業で緊張したら資料を見てもよいですか?

話す順番を忘れそうな時の不安です。

回答

見ても構いません。ただ、資料を開く前に相手の予定を一問だけ聞きます。使える時間が分かれば、見るページを絞れます。

相手の時間が短い時は商談を延期すべきですか?

10分しかないと言われた時の判断です。

回答

今日見る点を一つに絞れるなら、そのまま進められます。全部を説明せず、今日決める点と後日確認に回す点を分けましょう。

最初に置く一問

営業で緊張する時の資料の使い方を解説しました。先に見るのは、相手の予定、今日の目的、後日確認に回す項目です。

  • 資料を開く前に聞く使える時間
  • 時間、目的、後日確認の三語
  • 相手の予定から決める説明量

次の商談では、資料を手に取る前に「今日は何分くらいお時間をいただけますか」と聞いてください。その一問があるだけで、緊張した日でも説明量を相手の予定に合わせられます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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