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営業で本音が出ない時は小さな出来事から聞く

本音の前に聞く小さな出来事

商談で相手の本音が出ないと、営業側は質問を増やしたくなります。「本当はどう思っていますか」と聞いても、相手はすぐ本音を話せるわけではありません。聞き方が大きすぎると、相手は答える言葉を探せなくなります。

岡本亮さん(仮名、業務改善ツール販売業の一人社長)は、初回デモ後に「本音を教えてください」と聞いていました。相手は「よさそうです」と答えましたが、導入には進みませんでした。営業で本音が出ない時は、気持ちを直接聞く前に、相手が最近困った小さな出来事から聞きます。

この記事では、業務改善ツールの初回相談を例に、本音を聞けない理由、出来事から入る質問、相手の言葉を使った次の確認を整理します。深掘りしようとして相手を固くさせたくない方向けの内容です。

  • 相手がいつも無難な返事で終わる方
  • 本音を聞こうとして会話が止まりやすい方
  • 初回相談で相手の困りごとを具体化したい方

大きな質問で止まる理由

岡本さんが使っていた本音を求める聞き方は、営業側には誠実な質問に見えます。けれど、相手にとっては答える範囲が広すぎます。何について、誰の立場で、どこまで話すのかが決めにくいからです。

相手は、まだ営業側を完全には信用していません。社内の失敗、上司への不満、現場の混乱をいきなり話すのは勇気がいります。だから、まずは安全に話せる出来事から入ります。

本音は、気持ちを直接聞いた瞬間に出るものではありません。相手が最近の出来事を話すうちに、困ったこと、避けたいこと、変えたいことが言葉になります。

小さな出来事から入る質問

岡本さんは、質問を変えました。「最近、入力作業で少し時間がかかった場面はありましたか」と聞きます。相手は「月曜の朝、請求データの確認で止まりました」と答えました。

ここで岡本さんは、すぐ機能説明をしません。「月曜の朝に止まった時、誰が最初に気づきましたか」と聞きました。相手は「経理担当です」と答えました。

この二つの質問で、困りごとの場所が見えました。入力作業全体ではなく、月曜朝の請求データ確認です。担当者名も出ました。相手の本音に近いのは、抽象的な感想より、この具体的な出来事です。

大きすぎる質問 出来事から入る質問 見える材料
本音はどうですか 最近止まった作業はありますか 困った場面
課題は何ですか 先週時間がかかった確認は何ですか 時間の詰まり
不満はありますか 誰から問い合わせが増えましたか 困っている相手
導入したいですか 変えられたら楽になる作業は何ですか 次の判断材料

相手の言葉を短く受ける

相手が請求データ確認で止まった話を出したら、その場面名を縮めすぎません。岡本さんは「月曜の朝の請求データ確認ですね」と短く受けました。

ここで「業務フローのボトルネックですね」と言い換えると、相手の普段語から離れます。相手が使った言葉をそのまま短く受けると、話の続きが出やすくなります。

本音を聞く前に、相手の言葉を短く受けると、相手は自分の話が理解されたと感じやすくなります。説明を増やすより、言葉を受ける方が次の質問に進めます。

短いロープレ会話

岡本さんは、次の会話を練習しました。岡本さんが「最近、作業が止まった場面はありますか」と聞くと、担当者は「請求データで止まりました」と答えました。

岡本さんは「請求データの確認ですね。その時、確認が止まったのは入力前ですか?入力後ですか?」と聞きました。担当者は「入力後です。数字が合わない時に確認先が分からなくなります」と答えました。

この会話で、相手は導入したいかどうかを答えていません。それでも、導入判断に関わる本音が見えています。困っているのは入力作業の量より、数字が合わない時の確認先でした。

困った場面、確認先、次の動き

岡本さんは、この記事の中核を三語にしました。困った場面、確認先、次の動きです。この三語を途中で言い換えず、表でもQ&Aでも同じ順番で使います。

困った場面は、月曜朝の請求データ確認です。確認先は、数字が合わない時に誰に聞くかです。次の動きでは、経理担当者が迷わず確認できる流れを作ります。

困った場面、確認先、次の動きがそろうと、本音は感情論ではなく、商談で扱える判断材料になります。

三語 岡本さんが聞くこと 提案前に見ること
困った場面 いつ、どの作業で止まりましたか 作業名と時間帯
確認先 誰に聞くと進みますか 担当者と承認者
次の動き 次に一つ変えるなら何ですか 導入前に試す一手

言いにくさを否定しない受け方

相手が本音を出しにくそうな時、営業側は「遠慮しないでください」と言いがちです。けれど、遠慮を否定されると、相手はさらに話しにくくなります。

岡本さんは「まだ言葉にしにくいですよね。最近の一場面だけで大丈夫です」と受けました。これなら、相手は強い不満を告白しなくても、出来事から話せます。

読者への助言でも、無理に本音を聞き出そうとしなくて構いません。相手が答えられる出来事から一つ聞きます。そこで出た言葉を受け取り、次の質問を短くします。

次の質問を広げない判断

相手が話し始めると、営業側はもっと聞きたくなります。岡本さんも、以前は「ほかにもありますか」と続けていました。これでは、相手はまた考え込んでしまいます。

一つの出来事が出たら、その場面を深く見ます。月曜朝の請求データ確認なら、確認先と次の動きだけを聞きます。別の部署や別の作業へ広げるのは、次回で十分です。

本音が出ない商談では、広く聞くほど相手の負担が増えます。範囲を絞って聞くと、相手は自分の言葉で答えやすくなります。

提案につなげる一文

岡本さんは、提案に入る前に一文だけ置きました。「今日の話では、困った場面は月曜朝の請求データ確認で、確認先が見えにくいことでした」と言います。

この一文があると、提案は機能説明から始まりません。相手が話した出来事から始まります。岡本さんは、その後で「まずは確認先を固定する使い方だけ一緒に見ます」と伝えました。

相手は、自分の本音を営業側に利用されたのではなく、自分の困りごとを整理してもらったと感じやすくなります。逆転営業では、相手の言葉を使って、相手が判断しやすい形にします。

提案後も、困った場面、確認先、次の動きの三語を変えません。機能名が増えても、この三語に戻れば、相手は何を見ればよいか迷いにくくなります。

沈黙を待つ聞き方

本音に近い話を聞く時は、相手が少し黙ります。岡本さんは以前、その沈黙を怖がって説明を足していました。相手が考えている途中で説明を足すと、相手は営業側の話を聞く側に戻ります。

岡本さんは、相手が黙ったら三秒だけ待つようにしました。長く感じますが、相手が出来事を思い出すにはその時間が要ります。待った後で、「最近の一場面だけで構いません」と添えます。

ここでは、沈黙を失敗扱いしません。相手が考えている時間なら、営業側が先回りして答えを作らずに待ちます。岡本さんは、相手が話し出すまで資料をめくらず、同じ姿勢で待ちました。

本音を聞く商談では、質問の言葉だけでなく、相手が思い出す時間を守る姿勢も信頼になります。

初回デモで使う順番

初回デモでは、機能を見せる前に一場面を聞きます。岡本さんは、最初の五分で「最近止まった作業」を聞き、その後でデモ範囲を決めました。すべての機能を見せるのではなく、請求データ確認に関係する画面だけを見せます。

この順番にすると、相手は画面を見ながら自分の仕事を思い浮かべられます。岡本さんが「この画面なら、経理担当者が確認先を見つけやすいです」と言うと、担当者は「それなら月曜朝に使えそうです」と答えました。

相手の本音は、デモの後に評価として聞くより、デモ前の出来事から拾う方が扱いやすいです。デモ後に聞くと、相手は営業側への気遣いで褒めがちです。デモ前に出来事を聞けば、見る画面の意味が先に決まります。

初回デモは、機能を全部見せる時間ではなく、相手が話した一場面に必要な画面を一緒に見る時間です。

同席者に伝わる言葉

本音に近い出来事が出たら、同席していない人にも伝わる言葉にします。岡本さんは「請求データ確認が大変です」とまとめず、「月曜朝に数字が合わない時、確認先が分からなくなる」と書きました。

この一文なら、上司も現場担当も場面を想像できます。相手が社内で説明する時にも、業務改善という抽象語より伝わりやすくなります。

同席者に伝わる言葉を作る時も、困った場面、確認先、次の動きの順番を変えません。岡本さんは、相手が話した言葉を短く受け、そのまま次回の提案冒頭に使いました。

営業Q&A

本音を聞くと相手に嫌がられませんか?

いきなり本音を聞くと、相手は答えにくくなります。特に初回相談では、気持ちを広く聞くより、最近の一場面を聞く方が自然です。

回答

「最近止まった作業はありますか」のように、出来事から聞きます。出てきた言葉を短く受け、困った場面、確認先、次の動きの順で一つずつ確かめましょう。

一場面から聞く次の商談

営業で本音が出ない時は、相手の気持ちを広く聞かず、最近の小さな出来事を一つ聞きます。岡本さんのように、困った場面、確認先、次の動きを同じ順番で見れば、相手の言葉が商談の判断材料になります。

次の初回相談では、感想を求める定型句から入らず、「最近少し止まった場面はありますか」と聞いてください。相手が答えた一場面から、売り込みに見えない提案の入口を作れます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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