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営業質問台本では説明順より相手の答えを先に使う

答えから組む営業質問台本

商談前に台本を作ると、安心できる反面、会話が台本どおりに進まない時があります。用意した順番にこだわるほど、相手の答えより次に話す文を追ってしまいます。あなたも、準備した言葉を全部言おうとして、相手の一言を拾いきれなかった経験はありませんか。

営業質問台本は、説明の台本ではありません。相手が何を答えたら、次にどの問いへ進むかを決めておくためのものです。台本で守るのは話す順番ではなく、相手の答えをもとに会話を進める順番です。

商品説明の流れを細かく書くほど、営業側は読み上げる感覚になります。相手は自分の話を聞かれているより、決まった説明を聞かされていると感じます。質問台本は、相手の言葉が出た後に使う分岐表として作ると商談に合います。

この記事では、営業質問台本を作る時に、説明順から相手の答え順へ変える方法を解説します。架空の業務用冷蔵庫保守の相談をもとに、台本の作り方、商談中の使い方、終わった後の直し方を見ていきます。

台本を作っても本番で会話が硬くなりやすい方へ向けた内容です。

  • 営業質問台本を読むだけの商談にしたくない方
  • 説明の順番を準備しても相手の答えに合わせられない方
  • 一人社長として商談前の準備を短く整えたい方

説明順の台本で止まる会話

説明順の台本は、営業側には分かりやすいです。会社紹介、サービス内容、料金、導入手順、最後に質疑。順番は整っています。しかし、相手の悩みが料金ではなく導入後の担当者負担にある時、この流れでは相手の関心から外れます。

相手が「夜間に止まった時が怖いです」と言った直後に、料金プランの説明へ進むと、相手の言葉は会話に使われません。営業側は準備通り進めていますが、相手には自分の不安が横に置かれたように見えます。

台本は会話を固定する紙ではなく、相手の答えを受けて次を選ぶ地図です。この前提に変えると、準備する文の種類も変わります。

相手の答えから分ける分岐

質問台本で最初に書くのは、営業側が話したい順番ではありません。相手の答えがどの方向へ分かれるかです。現状の困りごと、変えたい状態、決裁者へ伝える材料。この三つを分岐として用意します。

たとえば最初の問いを「今の冷蔵庫保守で、一番困っている場面はどこですか」にします。相手が故障対応と答えたら、夜間連絡へ進みます。点検記録と答えたら、監査資料へ進みます。入替時期と答えたら、停止できる時間へ進みます。

同じ最初の問いでも、相手の答えによって次の質問を変えるために台本を作ります。説明文を増やすより、分岐ごとの次の問いを短く準備します。

冷蔵庫保守相談の会話例

佐藤航平さん(仮名、業務用冷蔵庫保守業の一人社長)は、飲食店向けに厨房冷蔵庫の保守契約を提案していました。以前の台本では、点検内容、駆けつけ時間、料金、契約期間の順に説明していました。

相手の店長は途中で「深夜に止まった時が心配なんですよ」と話しました。佐藤さんは「深夜対応は別プランで用意しています」と返し、そのまま料金説明へ進みました。店長は「持ち帰って考えます」と答え、会話は止まりました。

台本を変えた後は、佐藤さんが「深夜停止が一番気になるのですね。止まると困るのは、仕込み前、営業中、閉店後のどこですか」と聞きました。店長が「仕込み前です」と答えると、佐藤さんは「では、朝6時までに復旧の見通しが分かると、仕込みの判断は変わりますか」と続けました。店長は「そこが分かれば助かります」と応じました。

この会話では、料金説明より先に、相手が困る時間帯が見えました。営業側は資料の順番を変え、駆けつけ時間ではなく朝の仕込み判断に必要な連絡内容を先に示しました。台本は暗記用ではなく、相手の答えから次の問いを選ぶために役立ちました。

最初の問いを一つに絞る準備

質問台本を作る時、最初の問いを増やすと本番で迷います。現状、予算、時期、決裁者、比較先を一度に用意すると、相手の答えを待つ前に営業側の頭が忙しくなります。

最初の問いは一つにします。「今、一番困っている場面はどこですか」。この問いなら、相手は自分の言葉で話せます。営業側も、相手の答えをもとに分岐を選べます。

最初の問いを一つに絞るほど、台本は短くなります。短い台本の方が、相手の表情、言葉の強さ、迷う時間を見やすくなります。

台本に入れる三つの分岐

台本に入れる分岐は、現状、欲求、次の判断です。現状は今困っている場面。欲求はどう変えたいか。次の判断は、誰が何を見て決めるかです。

相手の答え 次に聞く問い
故障対応が不安 止まると困る時間帯はどこですか
費用が気になる 月額と緊急時の費用のどちらを先に比べたいですか
社内説明が難しい 決裁者へ一番伝えにくい点はどこですか

この分岐があると、台本は読み上げ資料ではなく会話の選択肢になります。相手の答えが変われば、営業側の次の一文も変わります。

読み上げないための余白

台本を読み上げないためには、余白を作ります。各分岐に書くのは、質問文一つと、相手が答えた後の短い受け止めだけです。説明文を長く入れると、本番でどうしても読もうとします。

たとえば「仕込み前なのですね。では朝6時までに知りたい情報は、復旧時間、代替保管、スタッフ連絡のどれですか」と書きます。ここまでなら見ながらでも会話に戻れます。

台本の余白は、相手の言葉を書くための余白ではなく、相手の答えに合わせて営業側が考えるための余白です。全部を埋めるほど、会話の余地は減ります。

決裁者へ渡る言葉の準備

一人社長の商談では、目の前の相手が決裁者とは限りません。店長、現場責任者、経理担当が聞いた内容を別の人へ伝える場面があります。質問台本には、決裁者へ渡る言葉も準備します。

「深夜対応があります」ではなく、「朝の仕込み前に復旧見通しが分かる体制です」と伝える形です。相手が社内で使える言葉になれば、提案は説明資料から判断材料へ変わります。

ここでも台本は説明文の暗記ではありません。相手がどの言葉なら社内で話しやすいかを聞き、その言葉に合わせて資料の冒頭を整えます。

資料を出す前の問い

質問台本に資料を出すタイミングまで書いておくと、商談中の迷いが減ります。相手が困っている時間帯を話す前に資料を出すと、資料は説明の主役になります。相手が困る場面を話した後に資料を出すと、資料は判断の補助になります。

業務用冷蔵庫保守なら、最初からプラン表を見せません。まず「止まると困る時間帯はどこですか」と聞き、相手が仕込み前と答えてから、朝の連絡体制だけを見せます。資料全体を見せるのではなく、相手の答えに合う一部分から入ります。

資料を出す合図は、営業側の説明順ではなく、相手が判断したい場面を話した後です。この合図を台本へ入れると、資料の使いすぎを防げます。

資料を出す前に、相手が見たい範囲を言葉にしてもらうと、同じ資料でも読まれ方が変わります。料金表を先に見る相手には月額と緊急費用の欄だけ、朝の仕込みが不安な相手には復旧見通しの連絡例だけを示します。

相手役を入れた台本練習

一人で台本を読む練習だけでは、相手の答えに合わせる感覚が育ちにくいです。できれば、短い時間で相手役を入れて練習します。相手役には、価格、夜間停止、社内説明のどれか一つだけを答えてもらいます。

営業側は、用意した説明へ進むのではなく、相手役の答えに合う分岐を選びます。うまく言えなかった一文は、台本に追加します。うまく言えた説明文を増やすより、詰まった分岐だけを直す方が本番に近づきます。

練習後は「相手役の答えを使って次の問いへ進めたか」を見ます。ここが見えれば、台本は読み物から練習で使うものへ変わります。

言えなかった一文の残し方

商談後に振り返る時は、長い反省文を書かなくても構いません。残すのは、言えなかった一文だけです。たとえば「朝6時までに何が分かると助かりますか」と聞けなかったなら、そのまま次回台本へ入れます。

言えなかった一文は、相手の答えに近い言葉で書きます。営業側のきれいな言葉へ直しすぎると、本番で口から出にくくなります。相手が話した言葉を短く引用し、その後に次の問いをつなげます。

この残し方なら、毎回の商談が次の台本改善になります。文章を整えるより、次に聞く一文を増やす。この積み重ねが、質問台本を現場に合う形へ近づけます。

商談後に直す台本の一点

商談後に台本を直す時、全部を書き換えると続きません。直すのは一箇所だけです。相手が一番長く話した答えと、営業側が話しすぎた場面を並べます。

たとえば相手が仕込み前の不安を長く話したのに、営業側が月額説明を続けたなら、次回の台本では料金分岐を後ろへ回します。話しすぎた理由が分かれば、次の商談で止める場所も決まります。

台本を直す目的は、きれいな文章にするためではありません。次回、相手の答えを使う場面を増やすためです。

営業Q&A

営業質問台本は細かく作った方が安心しませんか?

細かい台本は安心材料になりますが、本番では書いた文をそのまま読み上げてしまいます。

回答

質問文は短く、相手の答えごとの分岐だけを用意します。現状、欲求、次の判断の三つに分ければ、会話中も使いやすくなります。説明を暗記するより、相手の答えを受けて次に何を聞くかを決めておく方が、商談の空気に合います。

相手の答えを次の問いへつなぐ準備

営業質問台本では、説明の順番を守るより、相手の答えを先に使う準備が大切です。最初の問いを一つに絞り、答えごとに次の問いを分けると、台本は会話を止めずに支えます。

業務用冷蔵庫保守の相談では、料金説明より先に仕込み前の困りごとを聞いたことで、相手が社内へ伝えやすい言葉まで整えられました。質問台本は、営業側が話す紙ではなく、相手の答えを次の判断材料へ変えるための準備です。

次の商談前には、説明文を増やす前に最初の問いを一つだけ書いてください。その答えが三方向に分かれた時、どの問いへ進むかまで決めると、台本は本番で使える形になります。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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