ご質問ご回答Q&A

塗料販売営業は色より塗る場所と乾く時間を聞く

塗る場所と乾く時間から選ぶ塗料

「同じ白でも、どれを比べればいいですか」。塗料販売の商談では、相手が色見本を見ながら手を止める場面があります。使用後にどんな不安が出るかまで聞くと、色の話は現場の話に変わります。

宮本彩さん(仮名、塗料販売店で外壁塗装材料の相談を担当)は、以前、色、価格、耐久年数を順に説明していました。カタログの違いを丁寧に話せば、相手は選びやすいと思っていたのです。

ところが、工務店の担当者は最後に別の不安を話しました。「午後に日が当たる壁です」「乾く前に雨が来ると困ります」「新人がローラーで塗る日があります」。宮本さんは、色を選ぶ前に、塗る場所と乾く時間と作業する人を聞いていませんでした。

塗料販売営業では、色より先に塗る場所、乾く時間、作業する人を聞きます。同じ白い塗料でも、現場の条件が違えば説明する順番が変わるからです。

相手が選びたいのは色だけではなく、現場で失敗しにくい材料です。この記事では、塗料販売営業で現場条件から提案を組み立てる方法を解説します。

こんな人におすすめの記事です。

  • 塗料販売で色見本や価格表から説明してしまう方
  • 工務店や職人の現場条件を聞く順番を作りたい方
  • 材料説明を現場で使いやすい提案につなげたい方
  • 見積後の確認電話で同じ説明を繰り返しやすい方

これから一つひとつ見ていきましょう。

色見本だけでは決まらない理由

塗料は、色が最初に見える商品です。白、グレー、ベージュ、茶色。色見本を広げると、相手もすぐ比較できます。営業側も、そこから話す方が入りやすいでしょう。

しかし、現場で困るのは色だけではありません。西日が当たる外壁なのか。午前中だけ作業できる場所なのか。乾く前にほこりが付きやすい通路なのか。新人が塗るのか、慣れた職人が塗るのか。ここが違うと、同じ色でも選ぶ塗料は変わります。

宮本さんは、倉庫の外壁相談で白系の塗料を3種類並べました。価格差も説明しました。けれど、担当者は最後に「午後から日が当たる面です」と言いました。日当たりが強い場所なら、色だけでなく、乾く時間や塗り継ぎの見え方も確認する必要がありました。

塗料販売営業で先に見るのは、塗る場所、乾く時間、作業する人です。この三つが分かると、色見本の説明も現場に近づきます。相手は、見た目の好みだけでなく、当日の作業を思い浮かべながら選べます。

宮本さんは、色見本を出す前に、現場を一つだけ聞くようにしました。「今回塗るのは、日が当たる面ですか、陰になりやすい面ですか」。この一問で、相手は色より先に場所を話しはじめます。

三つに分ける現場条件

宮本さんは、塗料の相談を三つに分けました。塗る場所、乾く時間、作業する人です。この三つは、記事の後半でも同じ言葉で扱います。

現場条件 先に聞くこと
塗る場所 日当たり、風、通行量
乾く時間 次の作業までの時間
作業する人 慣れた職人か新人か

この三つを分けると、色見本の見方が変わります。塗る場所が西日を受けるなら、色あせや熱の受け方を話します。乾く時間が短いなら、次の作業までにどれくらい待てるかを聞きます。作業する人が新人なら、塗りムラが出にくい扱い方を見ます。

宮本さんは、倉庫外壁の相談で次のように聞きました。

宮本さん「今回塗る場所は、午後から日が当たる面ですか」
担当者「そうです。西側の壁で、午後はかなり明るいです」
宮本さん「西側の壁で午後はかなり明るいのですね。乾く時間は、次の作業までどれくらい取れますか」
担当者「翌朝には足場を動かしたいです」

この会話では、色名を先に決めていません。塗る場所と乾く時間を先に見ています。すると、色の説明も、見た目だけでなく作業日の条件に結びつきます。

塗る場所、乾く時間、作業する人を分けると、色の好みと現場の都合を一緒に見られます。

売場で見る手元と缶の持ち方

塗料の相談では、相手の言葉だけでなく、売場での手元も見ます。宮本さんは、担当者が色見本だけを見るのか、缶の重さやローラーの扱いも見るのかを観察するようにしました。

担当者が缶を持ち上げて「これ、現場で運びやすいですか」と聞いた時、宮本さんは価格の話を止めました。ここで相手が気にしているのは、色より作業する人です。

宮本さん「運びやすさを見ているのですね。作業は慣れた職人さんだけですか? それとも新人さんも入りますか?」
担当者「新人も入ります。ローラーの跡が出ると直しが増えます」

この返事が出ると、説明は変わります。色の違いより、扱いやすさ、乾く時間、塗り直しが起きた時の見え方を先に話します。

売場で相手が見ている箇所は、現場で不安に思っている箇所です。

宮本さんは、相手が色見本から缶に視線を移した時、「作業する人の扱いやすさも見ますか」と聞くようにしました。この一問なら、相手の動きに沿っています。無理に質問を増やすのではなく、目線が止まった箇所を確認するだけです。

この聞き方に変えました。すると担当者の反応も変わりました。以前は「この色で見積をください」で終わっていた相談が、「新人が塗るなら、ローラー跡が出にくい方で見たいです」と具体的になりました。

価格を出す前の一言

塗料の価格を聞かれた時、宮本さんは金額を隠しません。ただし、価格だけで比べる前に、現場条件を一つ聞きます。

使う一言は、次の形です。

「価格を比べる前に、今回いちばん気になるのは塗る場所、乾く時間、作業する人のどれですか」

この一言を置くと、価格表の見え方が変わります。塗る場所が気になるなら、日当たりに合う説明から入ります。乾く時間が気になるなら、作業予定から入ります。作業する人が気になるなら、扱いやすさから入ります。

宮本さんは、価格を伝える時も条件を添えます。「こちらは少し高くなりますが、西側の壁で午後に日が当たる条件を考えると、塗り継ぎが見えにくいです」「こちらは価格を抑えられますが、翌朝に足場を動かすなら乾く時間を確認した方がいいです」。この伝え方なら、相手は金額と現場条件を合わせて比べられます。

価格だけを先に出すと、安い順の比較になります。現場条件を聞いてから出すと、作業日に合う順の比較になります。塗料販売営業では、この違いが商談の納得を分けます。

見積に添える現場の一文

宮本さんは、見積の最後に現場条件の一文を添えるようにしました。

「西側の壁で午後はかなり明るく、翌朝には足場を動かしたい現場なので、乾く時間と塗り継ぎの見え方を優先した候補です」

この一文には、塗る場所と乾く時間が入っています。作業する人の不安がある時は、「新人さんも入る現場なので、ローラー跡が出にくい扱い方を確認した候補です」と書きます。

見積に現場条件が入ると、担当者は社内や職人に説明しやすくなります。色名と金額だけの見積では、「なぜこの塗料なのか」を別に説明しなければなりません。現場条件の一文があれば、選んだ理由まで一緒に伝えられます。

宮本さんは、後日の電話でも同じ言葉を使いました。「西側の壁で午後はかなり明るい件です」と言えば、担当者もすぐ思い出します。塗る場所、乾く時間、作業する人を残しておくと、次回の会話が最初からやり直しになりにくくなります。

この後、宮本さんは職人に渡す確認文も作りました。「西側の壁で午後はかなり明るく、翌朝に足場を動かす予定です。新人さんも入るため、ローラー跡が出やすい箇所を先に共有してください」。この一文があると、担当者は現場の人にそのまま伝えられます。

塗料販売の営業では、現場で使う言葉まで用意すると商談が進みやすくなります。色名だけなら、担当者はもう一度現場に説明し直さなければなりません。塗る場所、乾く時間、作業する人まで入っていれば、なぜその塗料を選ぶのかが伝わります。

宮本さんは、見積後の確認電話でも「色はいかがでしたか」と聞かないようにしました。最初に聞くのは、「西側の壁で午後はかなり明るい条件は、現場でも同じでしたか」です。条件が同じなら提案を進めます。条件が違えば、色ではなく現場条件から見直します。

この順番なら、相手は「色が好きか嫌いか」だけで判断しません。作業日に間に合うか、誰が塗るか、仕上がりを誰に説明するかまで含めて考えられます。

また、条件が変わった時の聞き直しも簡単になります。雨の予報が早まったなら乾く時間を見直します。新人さんが入らないことになったなら作業する人の条件を見直します。塗る場所が南面に変わったなら日当たりの見方を変えます。

宮本さんは、この三つを見積の確認欄にも書きました。担当者が後から電話してきた時、「変わったのは塗る場所ですか、乾く時間ですか、作業する人ですか」と聞けます。条件の変化を三つに分けると、再提案も早くなります。

営業Q&A

相手が色だけを見たい時も現場条件を聞きますか?

色見本を早く見たい相手に対する対応です。

回答

聞きます。ただし長く聞きません。「色を選びやすくするために、塗る場所だけ教えてください」と添えます。色選びを止めるのではなく、色を見る条件をそろえます。

現場を見ていない時はどう聞けばよいですか?

電話や店頭だけで相談を受ける場面です。

回答

相手が見ている現場を短く聞きます。日が当たる時間、次の作業までの時間、作業する人を一つずつ確認します。分からない点は、現場で見てもらう確認項目にしましょう。

見積前に聞く現場条件

塗料販売営業では、色や価格を説明する前に、塗る場所、乾く時間、作業する人を聞きます。三つが分かると、色見本も価格表も現場で使う判断材料になります。

  • 色見本の前に聞く塗る場所
  • 次の作業から逆算する乾く時間
  • 作業する人に合わせた扱いやすさ

次の相談では、色名を出す前に「今回いちばん気になるのは、塗る場所、乾く時間、作業する人のどれですか」と聞いてください。その答えから、現場で選びやすい提案に変えられます。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

最新記事 by 木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント) (全て見る)

 
営業適正