ご質問ご回答Q&A

造園営業は剪定前に残したい景色と近隣不安を聞く

切る枝より先に聞く庭の希望

庭木の剪定相談では、どこを切るかの話から始まりやすくなります。枝が道路に出ている、隣家の窓に近い、落ち葉が気になる。目に見える困りごとは多く、営業側も作業範囲を急いで確認したくなります。

坂本佳奈さん(仮名、庭木剪定と植栽相談を担当する造園業の営業担当者)は、戸建ての庭を持つお客様から相談を受けました。お客様は玄関横の木を指しながら「思い切って短くするしかないですよね」と話しました。

坂本さんは以前なら、樹種、枝の混み具合、作業時間を見ていました。けれど今回は、すぐに切る範囲を決めませんでした。お客様が本当に迷っていたのは、庭をすっきりさせたい気持ちと、道路からの見え方を残したい気持ちの間でした。

造園営業では、剪定前に残したい景色と近隣への不安を聞きます。 切る量だけを決めるより、お客様が守りたい見え方を押さえた方が、作業後の納得が作りやすくなります。

この記事では、造園営業で剪定範囲を聞く前に、庭の希望と近隣配慮を整理する進め方を解説します。枝を何センチ切るかを決める前に、作業後に見たい場所を確かめる話です。

この記事は、次のような造園営業の場面に役立ちます。

  • 剪定範囲を聞くほど話が広がってしまう方
  • 庭の好みと近隣配慮を同時に整理したい方
  • 作業前後の確認を提案につなげたい方

剪定範囲だけで止まる庭相談

造園の相談では、切る枝、残す枝、作業日を早く決めたくなります。見積に必要な情報だからです。ただ、剪定範囲だけを聞くと、お客様は作業後の姿を思い浮かべにくくなります。

坂本さんも、最初は枝の高さと横幅を測ることから始めていました。お客様はその場では納得しても、後から「思ったより外から見えるようになりました」と言う場合がありました。

庭木は、目隠し、日当たり、季節感、落ち葉、近隣との距離を同時に背負っています。枝を切る判断は、単なる作業範囲ではありません。暮らしの見え方を変える判断です。

だから坂本さんは、最初に剪定範囲を確定しないようにしました。切る枝の話へ入る前に、お客様が残したい景色と、気にしている相手を確認する順番に変えました。

残したい景色を先に聞く

坂本さんは現地で、最初に庭全体を一緒に歩きました。そのうえで、どこから見た庭を残したいかを聞きました。玄関から見る形、道路から見える緑、リビングの窓から見える影。見る場所が変わると、残す枝も変わります。

お客様は、玄関前を明るくしたい一方で、道路から室内が見えすぎることを心配していました。坂本さんは、この二つを別々に書きました。明るさを出す場所と、目隠しを残す場所を混ぜないためです。

現場では、同じ庭木を三方向から見るだけで言葉が変わりました。玄関では明るさ、道路では目線、リビングでは午後の日差しが話題になります。坂本さんはその違いを聞き分けて、作業範囲の前に見え方の優先順位を置きました。

ここで大切なのは、好みを聞く質問を広げすぎないことです。「どんな庭が好きですか」と聞くと、お客様は何から話すか迷います。坂本さんは「帰宅した時に残っていてほしい見え方はどこですか」と聞きました。

造園営業の剪定相談は、作業範囲より先に、残したい景色の位置を聞くと整理しやすくなります。

近隣不安を分けて聞く

庭木の困りごとは、家の中だけでは終わりません。枝が隣家へ伸びる、落ち葉が道路に出る、作業音が気になる、職人の出入りで車を動かす必要がある。近隣への不安も、剪定範囲に影響します。

坂本さんは、お客様に「誰に気をつかっていますか」と聞きました。すると、隣家の窓と道路側の落ち葉が出ました。どちらも同じ近隣不安ですが、対処は違います。

隣家の窓が気になるなら、目線が抜ける高さを急に変えない方がよい場合があります。道路側の落ち葉が気になるなら、道路へ張り出した枝を優先して整える判断になります。

近隣不安を一つの言葉でまとめると、提案はぼやけます。坂本さんは、隣家、道路、駐車位置、作業音のように、相手と場所を分けて聞きました。ここまで分けておくと、作業前の説明も具体的に伝えられます。

現地で歩く順番を決める

坂本さんは、現地確認の歩き方も変えました。最初に問題の木へ直行せず、家の中から見える場所、玄関前、道路側、隣家側の順に見ます。見る順番を決めると、会話が作業者目線に寄りすぎません。

たとえば玄関前で、お客様が「ここは明るくしたいです」と言ったとします。道路側へ移動した時には「ここは見えすぎると困ります」と言うかもしれません。同じ木でも、場所によって希望が変わります。

坂本さんは、それぞれの場所で言葉を短く残しました。玄関前は明るさ、道路側は目隠し、隣家側は枝の越境。三つの言葉があれば、後で剪定範囲を説明しやすくなります。

この順番にすると、お客様も作業後の姿を想像しやすくなります。営業側が一方的に専門用語で説明するのではなく、見ている場所ごとに判断を重ねるからです。

剪定前の短い会話例

坂本さんは、剪定前の聞き方を短くしました。専門的な説明を先に出さず、お客様の視点を一つずつ確認します。

お客様「この木は全部短くした方がいいですか」
坂本さん「短くできます。先に確認したいのは、残したい見え方です」
お客様「道路から中が見えすぎるのは困ります」
坂本さん「では道路側は目隠しを残し、玄関側は明るさを出す方向で見ます」

この会話では、切るか切らないかの二択にしていません。お客様の言葉を受けて、道路側と玄関側を分けています。

坂本さんは、この後に枝の量を説明しました。先に希望の分岐があるため、「ここは残す」「ここは軽くする」という判断が、お客様の言葉につながります。

作業後に見てもらう場所

造園営業では、作業前の合意だけでなく、作業後にどこを一緒に見るかも決めておきます。見る場所が決まっていないと、仕上がり確認が全体の印象だけになりやすいからです。

坂本さんは、玄関前、道路側、隣家側の三か所を作業後の確認地点にしました。玄関前では明るさ、道路側では目隠し、隣家側では枝の越境を見ます。作業前に聞いた言葉と、作業後の確認を合わせます。

お客様は、作業後に道路側へ立ちました。道路から室内が見えすぎないことを確認し、次に玄関前の明るさを見ました。坂本さんは、剪定した枝の量ではなく、最初に聞いた見え方で確認しました。

造園営業の提案は、作業後に確認する場所を先に決めると、仕上がりの納得につながります。 作業量の説明だけで終えず、見てもらう場所をお客様と共有します。

次回相談につなげる一枚

作業後の説明を口頭だけで終えると、次回の相談が振り出しに戻りやすくなります。坂本さんは、確認した三か所を一枚のメモに残しました。写真を並べる場合も、説明は長くしません。

メモには、玄関前は明るさ、道路側は目隠し、隣家側は越境防止と書きました。さらに、次回見る時期として、落葉後と新芽が伸びる時期を添えました。季節で庭の見え方が変わるためです。

この一枚があると、次回の相談は作業内容の売り込みから始まりません。前回残した景色がどう変わったか、近隣不安が減ったか、次に整えたい場所はどこか。お客様の言葉から再開できます。

作業写真を見せる時も、坂本さんは枝の量を先に説明しません。玄関前、道路側、隣家側の順に見せ、最初に聞いた希望と照らして確認しました。

坂本さんは、最後に「次回も同じ三か所から見ます」と伝えました。これにより、お客様は次に何を相談すればよいか分かります。営業側も、前回と違う基準で提案してしまうずれを減らせます。

造園営業では、庭の専門知識だけを見せても、相手の暮らしと結びつかない場合があります。残したい景色、近隣への気配り、作業後に見る場所。この三つをそろえると、剪定は作業量ではなく暮らしの調整として伝わります。

坂本さんは、次の現地確認でも同じ順番を使いました。問題の木へ直行せず、まずお客様が庭を見る場所を確認します。その後で、近隣不安を分け、作業後の確認地点を決めました。

この流れなら、切る枝の説明が後回しになっても商談は遅れません。むしろ、どの枝を残すべきかが分かりやすくなります。庭木を整える営業ほど、先に聞きたいのは残したい見え方です。作業範囲を決めるのはその後で構いません。最後の確認地点まで決めておくと、次回の相談も同じ視点から始められます。

営業Q&A

造園営業で剪定範囲をどう聞けばよいですか?

お客様が、どこまで枝を切るべきか迷っている場面です。

回答

最初に切る量を決めず、残したい景色を聞きます。玄関、道路側、隣家側など、見る場所ごとに希望を分けると、剪定範囲を説明しやすくなります。

近隣への不安はどのタイミングで聞きますか?

枝の越境や落ち葉、作業音などを気にするお客様への対応です。

回答

現地を歩く早い段階で聞きます。隣家、道路、駐車位置、作業音のように相手と場所を分けると、作業前の説明と仕上がり確認に反映しやすくなります。

近隣まで見た剪定相談

造園営業では、剪定する枝を決める前に残したい景色と近隣への不安を聞きます。見る場所を分けると、作業後の納得につながります。

  • 剪定範囲だけで止まる庭相談
  • 残したい景色と近隣不安の分岐
  • 作業後に確認する三つの場所

次の造園商談では、問題の木へ直行せず、玄関、道路側、隣家側の順にお客様と歩いてください。それぞれで残したい景色と気になる相手を一言ずつメモしましょう。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

最新記事 by 木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント) (全て見る)

 
営業適正