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営業で値引きの相談が出たら守る条件から聞く

金額の前に守る条件の見方

営業で値引きの相談が出ると、すぐ金額を動かしたくなります。相手に嫌われたくない。競合に負けたくない。そう考えるほど、営業側は自分から利益を削る話に入ってしまいます。

  • 値引きを求められるとすぐ金額を下げてしまう方
  • 価格以外の判断材料を聞けずに商談が止まる方
  • 利益を守りながら相手の事情を受け止めたい方

森本佳樹さん(仮名、業務用厨房機器販売業の一人社長)は、見積後に「もう少し安くなりませんか」と言われるたび、端数を下げていました。ところが、値引きしても契約率は上がりませんでした。営業で値引きの相談が出た時は、金額を下げる前に、相手が守りたい条件を聞きます。

この記事では、業務用厨房機器の見積後を例に、値引きの前に見る三語、相手の相談を受ける言葉、金額を動かさずに次へ進める聞き方を整理します。値引きを拒む話ではなく、相手の判断を助ける話です。

金額を先に動かす危険

森本さんは、値引き相談を相手の不満だと受け取っていました。だから「少し調整します」と先に答えていました。相手は喜びますが、何が不安だったのかは見えません。

厨房機器の商談では、相手が気にしているのは価格だけとは限りません。設置日、保守対応、初回の使い方、既存機器との入れ替え時間など、守りたい条件があります。

値引きの相談は、金額への不満だけでなく、相手がまだ安心できていない条件のサインです。ここを見ないまま下げると、利益も判断材料も失います。

三語 相手が守りたいこと 営業側が聞くこと
設置日 営業開始に間に合うこと いつ止められないか
保守対応 故障時に困らないこと 誰が最初に連絡するか
使用開始 スタッフが使えること 初日に何を覚えればよいか

設置日、保守対応、使用開始

森本さんは、この記事の中核を設置日、保守対応、使用開始にしました。この三語を途中で変えません。設置日は、機器を入れる日と営業を止められない日です。保守対応は、故障時に誰に連絡するかです。使用開始は、スタッフが初日に使える状態です。

三語を決めると、値引き相談への返し方が変わります。「金額ですね」と受ける前に、「設置日、保守対応、使用開始の中で、今回いちばん守りたいのはどれですか」と聞けます。

設置日、保守対応、使用開始が見えると、値引きの話は価格交渉ではなく、相手の不安を分ける会話になります。

値引き相談を受ける一文

森本さんは、値引きの相談を受けた時、すぐ否定しませんでした。「金額を見ておられるのですね。今回、金額以外で守りたい条件は設置日、保守対応、使用開始のどれが近いですか」と聞きました。

この一文では、相手の値引き相談を受けています。そのうえで、価格以外の条件を一つ選べるようにしています。相手は「設置日です」と答えました。

森本さんは、ここで値引き幅を出しません。「設置日を守るなら、搬入日と既存機器の撤去時間を先にそろえます」と返しました。相手は、金額より先に止められない時間を話し始めました。

値引き前のロープレ

森本さんは、次の会話を練習しました。相手が値引きの相談をしたら、森本さんは「金額を見ておられるのですね。今回、設置日、保守対応、使用開始の中で、先に守りたいのはどれでしょうか」と聞きます。

相手役は設置日を選びました。森本さんは「設置日ですね。営業を止められない時間帯は、昼営業、仕込み、夜営業のどれですか」と聞きました。相手役は「仕込みです」と答えました。

この会話では、森本さんが値引きを断っていません。相手が守りたい条件を先に見ています。価格を下げるかどうかは、その条件をそろえた後で考えればよいのです。

守る条件の見える化

森本さんは、設置日、保守対応、使用開始を一枚の表にしました。見積書とは別に、相手が社内で見るための表です。金額を下げる材料ではなく、判断する材料として出します。

設置日は、搬入日、撤去時間、営業を止められない時間を書きます。保守対応は、故障時の連絡先、対応時間、代替手段を書きます。使用開始は、初日にスタッフが覚える操作、説明時間、試運転の担当者を書きます。

守る条件を表にすると、値引きの前に相手が本当に気にしていることが見えます。

急いで下げない間

値引き相談の場面では、沈黙が重く感じます。森本さんも以前は、沈黙を埋めるように値引き幅を言っていました。けれど、相手は考えている途中かもしれません。

森本さんは、三秒だけ待つようにしました。その後で「金額の前に、設置日を守れるかだけ一緒に見てもよいですか」と聞きます。待つ時間があると、相手は価格以外の不安を出しやすくなります。

急いで下げないことは、相手を突き放すことではありません。相手が買ってから困らないように、先に見る順番を守ることです。

値引きを検討する条件

もちろん、値引きを絶対にしないわけではありません。森本さんは、設置日、保守対応、使用開始を見た後で、条件を変えずに金額を調整できるかを考えました。

たとえば、搬入日をずらして人員を減らせるなら、金額が変わることがあります。保守対応の範囲を標準に戻すなら、金額が変わることもあります。ただし、その時も相手が守りたい条件を壊さない範囲で考えます。

値引きを検討するなら、設置日、保守対応、使用開始のどれを守り、どこを変えられるかを相手と同じ表で見ます。

他社価格が出た時の聞き方

相手が「他社はもっと安いです」と言うこともあります。森本さんは、すぐ他社名や金額を聞きませんでした。「他社案と比べる時、設置日、保守対応、使用開始の中で気になる違いはどれですか」と聞きました。

相手は「保守対応です」と答えました。安い他社案では、故障時の対応時間が翌営業日でした。森本さんの案は当日連絡でした。ここで、価格差の意味が見えました。

他社価格は、相手を奪い合う材料ではなく、相手が何を比べているかを見る材料です。価格だけで比べているように見えても、設置日、保守対応、使用開始のどこかに違いがあります。

社内説明に使う一文

法人商談では、担当者が社内で説明します。森本さんは、担当者が使える一文を渡しました。「今回の案は、設置日を守り、保守対応を当日連絡にし、使用開始の説明を初日に行う内容です」と書きます。

この一文なら、金額が少し高い理由を社内で説明できます。値引きしない理由を押しつけるのではなく、価格に含まれる条件を見える形にします。

森本さんは、担当者に「この三つのうち、社内で一番聞かれそうなのはどれですか」と聞きました。担当者は保守対応を選びました。そこで、保守対応の説明だけを補いました。

決定後のフォロー

契約が決まった後も、値引き相談で出た三語を忘れません。森本さんは、納品前に「設置日、保守対応、使用開始の順に、当日見ることを確認します」と送りました。

相手は、契約後も自分が守りたかった条件を覚えてくれていると感じます。営業側も、納品後に「思っていたのと違う」というズレを減らせます。

値引きに応じるかどうかより、相手が買った後に困らないかが大切です。設置日、保守対応、使用開始を追うと、契約後のフォローも自然になります。

練習で見る一項目

値引き相談への対応は、頭で分かっていても本番で焦ります。森本さんは、練習で一項目だけ見ました。相手の値引き言葉を受けた後、三語に戻せるかです。

相手役が「高いです」と言います。森本さんは「高く感じられるのですね。今回、設置日、保守対応、使用開始の中で、金額と一緒に見たいのはどれでしょうか」と返します。

この練習を繰り返すと、値引き相談を聞いた瞬間に金額に飛びつく癖が減ります。相手を説得する練習ではありません。相手が守りたい条件を聞く練習です。

譲る時に残す条件

どうしても金額を動かす時も、森本さんは何を譲ったのかを曖昧にしませんでした。金額だけを下げると、相手には単なる割引に見えます。次回も同じ値引きを求められやすくなります。

森本さんは「設置日と保守対応はそのまま守ります。使用開始の説明時間だけ、初回30分に絞る形なら金額を調整できます」と伝えました。ここでも、設置日、保守対応、使用開始の三語を使います。

相手は、何が変わり、何が変わらないのかを理解できます。金額を下げても、守る条件まで崩していないことが分かります。営業側も、利益を守る線を説明しやすくなります。

譲る時ほど、条件の名前を残します。設置日を守るのか。保守対応を守るのか。使用開始をどこまで支援するのか。これを言葉にしない値引きは、相手にも営業側にも基準が残りません。

値引きで譲る時は、金額だけを下げず、設置日、保守対応、使用開始のどれを守るかを同じ文で残します。

営業Q&A

値引きを断ると相手に冷たく見えませんか?

いきなり断ると冷たく見えることがあります。まず相手が金額を気にしている事実を受け、その後で守りたい条件を聞くと会話が続きます。

回答

「金額を見ておられるのですね」と受けてから、設置日、保守対応、使用開始のどれを先に守りたいかを聞きます。条件が見えてから、金額を調整できる範囲を考えましょう。

金額の前に見る三語

営業で値引きの相談が出た時は、すぐ金額を動かさず、設置日、保守対応、使用開始を聞きます。森本さんのように、相手が守りたい条件を先に見ると、価格交渉は相手の判断を助ける会話に変わります。

次の見積後には、値引き幅を口にする前に「今回いちばん守りたい条件はどれですか」と聞いてください。利益を守りながら、相手が買った後に困らない提案に進めます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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