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靴店営業は試着後の違和感を歩く場面から聞く

試着後に残る足元の違和感

この記事は、次のような靴店営業の場面に役立ちます。

  • 試着後にサイズや機能の説明を急ぎやすい方
  • お客様が迷った時の聞き方を決めたい方
  • 高単価の靴を押し売りに見せず案内したい方

試着後のお客様が、店内を数歩歩いてから黙る場面があります。販売側はすぐに「サイズは合っていますね」「クッションが良いですよ」と言いたくなります。けれど、そこで説明を急ぐと、お客様の違和感を聞き逃します。

石田真紀さん(仮名、商店街の靴店でウォーキングシューズを販売する店長)は、試着後の沈黙が苦手でした。お客様が迷っているように見えると、機能、素材、価格の順に説明を足していました。

あるお客様から「良い靴なのは分かるけど、通勤で履くかは迷います」と言われました。石田さんは価格が高いからだと考えましたが、話を聞くと、気にしていたのは駅までの坂道と雨の日の滑りやすさでした。

靴店営業では、試着後の違和感をサイズだけで判断せず、歩く場面から聞きます。 足に合うかだけでなく、どこを歩く時に不安が出るかを見るのです。

この記事では、靴店で試着後にお客様が迷った時、歩く場面、違和感、家族への説明をどう聞けばよいかを解説します。靴の説明を、お客様の生活場面に合わせる話です。

試着後に黙る理由

試着後にお客様が黙る理由は、一つではありません。サイズが合わない、色で迷う、価格が気になる、使う日が思い浮かばない。販売側がサイズだけを見てしまうと、迷いの枝を間違えます。

石田さんの店では、通勤用の靴を探す方が多くいました。足を入れた瞬間はよくても、駅まで歩く、雨の日に歩く、帰りに買い物袋を持つ。この場面まで聞くと、選ぶ基準が変わります。

靴の営業で大切なのは、履いた瞬間の感想だけで決めない姿勢です。お客様が実際に歩く場面に質問を向けると、違和感の正体が見えます。

迷いの三つの枝

石田さんは、試着後の迷いを「足の当たり」「歩く場面」「家での説明」の三つに分けました。この三語を決めたことで、接客中に余計な説明を足しにくくなりました。

足の当たりは、つま先、甲、かかとの感覚です。歩く場面は、駅までの距離、坂道、雨の日、立ち仕事の時間です。家での説明は、同じ靴を持っているか、予算内か、誰に見せるかです。

足の当たり、歩く場面、家での説明の順に聞くと、迷いを一つずつ扱えます。 途中で別の言葉に変えると、お客様も何を確認しているのか分かりにくくなります。

サイズ説明を急がない聞き方

お客様が数歩歩いて止まった時、石田さんは「サイズは大丈夫そうですね」と言うのをやめました。代わりに、普段どの道を歩くかを聞きました。

お客様は「駅まで坂道があります」と答えました。石田さんは「駅まで坂道がありますね」と短く受け、靴底の滑りにくさと足首の支えだけを確認しました。

相手が話した歩く場面をそのまま使うと、説明する機能が自然に絞られます。 サイズ、素材、色を全部話す前に、まず歩く場面に関係する説明だけを返します。

試着後の判断分岐

試着後の会話では、お客様の迷いがどの枝にあるかを見ます。枝ごとに聞くことを変えると、接客は押し売りに見えにくくなります。

迷いの枝 聞くこと
足の当たり つま先、甲、かかとのどこが気になるか
歩く場面 駅まで、坂道、雨の日、立ち仕事のどこで使うか
家での説明 予算、手持ちの靴、家族に見せる時の不安

店内での二往復

石田さんは、試着後の短い会話を次のように変えました。ポイントは、店内の感想で止めず、歩く場面に進むことです。

石田さん「今の一足で歩くとしたら、駅までの道で気になりそうな場面はどこですか」
お客様「坂道です」
石田さん「坂道ですね。上りと下りなら、どちらで不安が出そうですか」

この二往復があると、靴底の説明が相手の生活に合います。お客様が「坂道」と言ったなら、その後も「坂道」として扱います。「路面条件」などの言い換えに変えると、店側の説明に聞こえやすくなります。

高い靴をすすめる前の確認

高単価の靴を案内する時ほど、先に確認したい点があります。大事なのは、お客様が困る場面に合うかどうかです。価格を正当化する説明は、その後で構いません。

石田さんは、価格を伝える前に「週に何日くらい通勤で履きますか」と聞きました。お客様が「週5日です」と答えた時、靴底の耐久性と足の疲れに話を絞りました。

ここで注意したいのは、週5日という数字を大げさに扱わない姿勢です。毎日履くなら高い靴が正解だと決めつけず、お客様が何を負担に感じているかを聞きます。

家で迷われる前の一言

靴店の商談では、店を出た後に迷いが戻りやすいです。家族から「似た靴があるよ」と言われる。下駄箱に入るか気になる。予算を思い出す。店内で納得しても、家で別の不安が出ます。

石田さんは会計前に「家で見た時に、気になりそうな点はありますか」と聞きました。お客様は「同じ黒い靴を持っていると言われそうです」と答えました。

石田さんは、その言葉を受けて、手持ちの黒い靴との違いを歩く場面で整理しました。見た目の違いではなく、坂道と雨の日で使う話にしたのです。

この確認を入れると、買うか買わないかを迫る会話になりにくくなります。お客様が家で説明しにくい点を先に聞くため、店内で納得材料をそろえられます。

石田さんは、接客後のメモにも「足の当たり、歩く場面、家での説明」の三語だけを残しました。次回来店時に同じ三語で話せるようにするためです。

別のお客様は、試着後に「かかとは楽です」と話しました。石田さんは「かかとは楽ですね」と受けた後、歩く場面を聞きました。お客様は「職場で立つ時間が長いです」と答えました。

この時も、石田さんは素材の名前を並べませんでした。立つ時間に関係する中敷きと靴底だけを見せました。相手が使う時間を聞いた後なら、説明は短くても納得につながります。

靴店営業で試着後に大事なのは、足の感覚を否定しない姿勢です。お客様が「少し当たります」と言ったら、すぐに「履くうちになじみます」と返さず、どこに当たるかを聞きます。

違和感を聞くと、販売側は売れにくくなると感じるかもしれません。けれど、違和感を先に聞いた方が、お客様は安心して別の一足も試せます。隠した不安があるまま会計へ進む方が、次回来店につながりにくいです。

石田さんは、雨の日に使うお客様には、店の入口付近のマットの上を歩いてもらいました。お客様が「ここだと滑る感じは少ないです」と話したため、石田さんは「滑る感じは少ないですね」と受け、次に坂道で不安が消えないかを聞きました。

別の方は、試着後に「親指の横が当たります」と言いました。石田さんは「親指の横ですね」と受け、すぐ別サイズを出しました。ここで「幅広設計です」と説明を足すより、相手の違和感をそのまま扱う方が安心につながります。

会計前には、家での説明も確認しました。お客様が「家族には高いと言われそうです」と話した時、石田さんは「高いと言われそうなのですね」と受けました。その後で、週5日履くこと、坂道で使うこと、親指の横が当たらないことを短く整理しました。

このように、足の当たり、歩く場面、家での説明を最後まで同じ三語で扱うと、接客の途中で話が散らかりません。お客様も、何を確認して買うのかを自分の言葉で説明しやすくなります。

現場の接客では、お客様の反応が足元に出ます。つま先を何度も動かす、片足だけ体重をかける、鏡を見る時間が長い。石田さんは、その反応を見たらすぐ説明を足さず、「今、どこが一番気になりましたか」と聞くようにしました。

すると、お客様は「左だけ少し当たります」「雨の日の下り坂が心配です」「家族に高いと言われそうです」と話しやすくなりました。どの答えも、足の当たり、歩く場面、家での説明のどれかに入ります。分類を決めておくと、石田さんも次に出す靴や説明を選びやすくなります。

試着後の違和感を聞く姿勢は、値引きの話を避けるためではありません。お客様が本当に迷っている点を先に扱うためです。価格の前に足の当たりが未確認なら、どれだけ安くしても不安は消えません。歩く場面が未確認なら、機能説明だけでは生活に合う判断ができません。

次の試着後には、サイズの説明を始める前に、歩く場面と違和感を一つ聞きましょう。 その答えに合わせて説明を絞ると、お客様は自分の生活に合う靴として判断できます。

営業Q&A

試着後にすぐ買う気がなさそうな時はどう聞けばよいですか?

お客様が鏡を見たまま黙り、会計へ進みにくい場面です。

回答

買うかどうかではなく、歩く場面を聞きます。「駅まで歩く時に気になりそうな点はありますか」と聞くと、価格や見た目以外の迷いを出してもらいやすくなります。

高い靴をすすめる時に押し売りに見えない聞き方はありますか?

お客様に合いそうな上位モデルがあるものの、価格差をどう伝えるか迷う場面です。

回答

先に使う日数や歩く距離を聞きます。その後で、価格差ではなく、相手が困る場面に関係する違いだけを説明しましょう。

会計前に残す納得材料

靴店営業で試着後の違和感を聞く流れを解説しました。サイズや機能の説明を急ぐ前に、足の当たり、歩く場面、家での説明を分けると、納得材料がそろいます。

  • 試着後に黙る理由
  • 足の当たり、歩く場面、家での説明
  • 高い靴をすすめる前の確認

焦ってサイズ説明を足すだけではどうにもなりません。まずは試着後に、お客様が実際に歩く場面を一つ聞いてから案内しましょう。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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