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営業でやることが多すぎる日は次に聞く一つを決める

やることを減らす前の聞く順番

営業の仕事をしていると、見積もり、連絡、資料、商談準備、振り返りが一気に重なる日があります。どれも大事に見えるため、何から手をつけるか分からなくなる方もいるでしょう。

そんな日に最初から全部を整えようとすると、目の前の商談で何を聞くかまでぼやけます。営業でやることが多すぎる日は、作業の数を減らす前に、次に相手に聞く一つを決めます。

三浦健太さん(仮名、厨房機器販売業)は、午前中に修理相談、午後に新規見積もり、夕方に既存顧客の連絡が重なりました。三浦さんはすべてを同じ重さで抱え、商談前の10分で資料だけを増やしていました。

この記事では、営業でやることが多すぎる日を、次の商談で聞く一つ、相手の判断材料、商談後の振り返りから整理します。作業を増やしても営業が進むとは限らず、聞く順番が決まるほど次の動きははっきりします。

この記事は、次の悩みに近い営業担当者へ向けています。

  • 営業でやることが多すぎて商談準備が散らかる方
  • 急ぎの連絡と見積もりを同じ扱いで追ってしまう方
  • 忙しい日でも質問を中心に商談を進めたい方

作業を全部並べる失敗

忙しい日にやりがちな失敗は、やることを全部同じ紙に並べることです。見積もり、電話、資料、納品確認、メール返信。並べるだけなら悪くありませんが、商談で相手に聞くことまで作業の中に埋もれます。

三浦さんも、商談前に見積書の数字を見直し、カタログのページを追加し、メールの返信文まで考えていました。けれど、相手が何で迷っているかを聞く一文は決めていませんでした。

そのまま商談に入ると、三浦さんは厨房機器の性能を順番に説明しました。お客様は聞いてくれましたが、最後に「社内で考えます」と言いました。三浦さんは、どの部分を社内で考えるのか分からないまま帰りました。

やることが多い日ほど、商談の入口は一つに絞ります。 まず見るのは今日の作業量より、相手が次に判断するための質問です。

急ぎと判断材料の分け方

営業の作業には、すぐ処理するものと、商談を前に進めるものがあります。電話を返す、資料を送る、予定を入れる。このような処理は急ぎに見えます。一方で、相手が何を決められずにいるかを聞くことは、商談の判断材料を作ります。

三浦さんは、午後の新規見積もり前に作業を三つに分けました。今日中に返す連絡、商談中に聞くこと、商談後に整える資料です。中核語は、連絡、質問、資料の三語にしました。

この三語を決めたことで、三浦さんはカタログを増やす手を止めました。商談中に聞くことは一つです。「今の厨房で一番止めたくない作業はどれですか?」と聞くことにしました。

忙しい日の優先順位は、作業の多さだけで決めず、相手の判断が進む順番で見ます。 連絡、質問、資料の順で見ると、商談前に詰め込みすぎる癖を減らせます。

商談前10分の確認

今日返す連絡

まず、今日返さないと相手の仕事が止まる連絡だけを確認します。三浦さんの場合は、修理相談の折り返し時間でした。ここは商談前に短く返し、相手を待たせないようにしました。

ただし、連絡を返すことに集中しすぎると、商談準備の時間がなくなります。だから、商談前10分では連絡の本文を作り込まず、返す時刻だけを決めました。

商談で聞く一つ

次に、商談で聞く一つを決めます。三浦さんは、価格、納期、設置場所を全部聞こうとしていました。そこで「今止めたくない作業はどれですか?」に絞りました。

この一問なら、相手は厨房で困る場面を話せます。営業側も、相手の答えに合わせて価格や納期を後から出せます。質問が一つ決まると、資料の順番も自然に決まります。

後で整える資料

最後に、商談後でよい資料を横に置きます。相手がまだ話していない不安まで先回りして資料に入れると、説明が増えます。商談後に整えると決めるだけで、今やる作業は減ります。

三浦さんは、機器比較表の追加を商談後に回しました。代わりに、商談では相手の作業場面を聞き、必要な比較だけ後で作ることにしました。

忙しい日の会話例

商談では、三浦さんは冒頭で「今日は、厨房の中で止めたくない作業を一つだけ聞かせてください」と言いました。相手は「昼の仕込みです」と答えました。

三浦さんは「昼の仕込みですね」と受けました。続けて、「仕込みが止まると困るのは、時間、人数、温度管理のどれについてですか?」と聞きました。相手は「人数です。少ない人数で回しているので」と答えました。

ここで三浦さんは、性能説明に戻りませんでした。「少ない人数で回す時に、どの操作で手が足りなくなりますか?」と聞きました。相手は、洗浄と仕込みが重なる時間を話しました。

三浦さんは、商談後の資料に「少ない人数」「洗浄と仕込みが重なる時間」という相手の言葉をそのまま入れました。作業が多すぎる日に、すべてを処理しようとした時より、相手の判断材料は具体的になりました。

この会話の良さは、忙しい営業側の事情を相手にぶつけていない点です。三浦さんは自分の作業量を説明せず、相手の現場で止めたくない作業を聞きました。相手にとっても、営業が何を知りたいのか分かりやすくなります。

ロープレでは、三浦さんは長い前置きを削りました。「本日はお忙しいところありがとうございます。弊社の機器は省人化に役立ちます」と入る練習をやめ、「今日は、止めたくない作業を一つだけ聞かせてください」と言う練習に変えました。

相手役は、わざと「全部困っています」と答えました。三浦さんはそこで焦らず、「その中でも今日止まると一番困るのはどれですか?」と聞き直しました。同じ質問を繰り返さず、範囲を絞る聞き方に変えたのです。

商談後、三浦さんは振り返りを五つ書かず、一つだけ見ました。「相手の判断材料は増えたか」です。連絡、質問、資料の三語のうち、今日は質問で前に進めたと分かりました。

忙しい日でも、振り返りまで全部を厚く書く必要はありません。まずは、相手の言葉が一つ増えたかどうかを見ます。増えていれば、次に作る資料はその言葉から組み立てられます。

三浦さんは翌日、見積書の冒頭に「少ない人数で昼の仕込みを止めないための案」と書きました。相手は「そこを見たかったです」と答えました。前日にカタログを増やすより、相手の言葉を聞いてから資料を作った方が、読まれる資料になりました。

その後、三浦さんは午前の修理相談にも同じ見方を使いました。修理の返答では、部品名を並べる前に「今止まって一番困っている作業はどれですか?」と聞きました。相手は「ランチ前の洗浄です」と答えました。

三浦さんは、そこでも連絡、質問、資料の順を崩しませんでした。まず折り返し時間を伝え、次に困っている作業を聞き、最後に必要な交換部品だけをまとめました。忙しい日でも、相手の言葉を先に聞くと、余計な資料を作らずに済みます。

夕方の既存顧客への連絡では、「前回の機器で、今も使いにくい時間帯はありますか?」と聞きました。相手は「閉店前です」と答えました。三浦さんは追加提案を急がず、閉店前に何が重なるかを次回聞く予定にしました。

このように、やることが多い日は一日のすべてを完璧に片づける日ではありません。商談ごとに、相手の判断材料を一つ増やす日です。今日の作業が多くても、聞く一文があるだけで営業の会話は散らかりにくくなります。

逆転営業では、営業側の作業を減らすために質問を使うのではありません。相手を知るために質問を使います。結果として、必要な作業と後でよい作業が分かれ、営業側も動きやすくなります。

三浦さんは、別の日にも同じ三語を使いました。連絡、質問、資料です。連絡で相手を待たせない。質問で判断材料を作る。資料は相手の言葉を聞いてから整える。この順番を守るだけで、やることが多すぎる日でも商談の芯はぶれにくくなりました。

増やす準備と絞る準備の違い

増やす準備 絞る準備
資料を先に追加する 商談で聞く一文を決める
全部の連絡を同時に返そうとする 今日返す連絡だけ時刻を決める
不安を先回りして説明する 相手が迷う点を聞いてから資料に入れる

増やす準備は、営業側の安心にはつながります。けれど、相手の判断が進むとは限りません。絞る準備は、最初は少し不安に感じるかもしれませんが、商談で聞くことがはっきりします。

三浦さんは、忙しい日に「何を増やすか」より「何を聞くか」を先に見るようにしました。その変化だけで、午後の商談前に資料を何度も開き直す時間が減りました。

営業Q&A

急ぎの連絡が多い日は商談準備を後回しにしてよいですか?

連絡対応と商談準備が同じ時間帯に重なった時の迷いです。

回答

全部を後回しにする必要はありません。今日返す連絡の時刻だけ決め、その後で商談で聞く一つを先に作ります。資料の細部は、相手の答えを聞いてから整えましょう。

聞く一つを決めても相手が別の話をしたらどうしますか?

予定した質問どおりに進まない時の対応です。

回答

相手が話した内容を受けて構いません。そのうえで「今日一番決めたいのはどこですか?」と聞くと、会話の中心を相手の判断材料に合わせ直せます。

聞く順番から動く商談

営業でやることが多すぎる日の動き方を解説しました。忙しい時ほど、連絡、質問、資料を分け、商談で相手に聞く一つを決めることが鍵です。

  • 今日返す連絡の時刻
  • 商談で聞く一つの質問
  • 相手の言葉から整える資料

次にやることが多すぎると感じたら、作業表を増やす前に、商談で相手に聞く一文を書いてください。その一文を持って商談に入ると、忙しい日でも相手の判断材料から次の動きを作れます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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