税理士の営業がうまくいかない一人社長へ|質問だけで顧問契約が決まる3つのコツ
独立して税理士業をはじめたものの、初回相談からなかなか顧問契約に結びつかない。そんな悩みを抱えていませんか?
税理士の専門性は十分にあるのに、面談で経営者を前にすると、つい税法の説明や料金プランの解説に終始してしまう。本当は、税理士こそ質問の力で顧問契約が自然に決まる職種なのです。
この記事を読んでいただくことで、税理士の一人社長が初回面談から顧問契約まで自然に進めるコツがつかめます。最後までご覧ください。
こんな人におすすめの記事です。
- 独立開業したばかりで、初回相談から顧問契約に進まない税理士
- 料金表を出した瞬間に「検討します」と言われて止まってしまう一人社長
- 説明はしっかりできているのに、なぜか他の事務所と比較されてしまう税理士
これから一つひとつ見ていきましょう。
税理士の営業が止まる本当の理由
税理士の営業がうまくいかない理由は、専門性の不足ではありません。面談が説明型になっているから、契約に至らないのです。
私は22年、1,000件以上の商談に立ち会い、1,000人以上の営業相談を受けてきました。士業の一人社長が陥りやすい型は、ほぼ共通しています。
初回面談で経営者と向き合うと、こうなりがちです。
「うちの事務所はクラウド会計に対応しています」「月額顧問料は◯万円からで、決算料が別途…」と、自分が話したい順序で話してしまう。経営者は静かに聞いていて、最後に「持ち帰って検討します」と言って帰っていく。
あなたも、こういう面談をくり返した経験はありませんか?
これは説明が足りないから決まらないのではありません。経営者の現状を聞ききれていないから決まらないのです。
営業の本質は「お役立ち」と「人助け」。経営者の望みや課題の解決策を一緒に考える時間が、税理士の面談には欠かせないのです。
税理士が質問だけで顧問契約を決める3つのコツ
税理士の一人社長が、初回面談から顧問契約に進めるコツを順番に見ていきます。
コツ1|冒頭で「なぜ今日お会いしようと思われたのですか?」と聞く
初回面談でやるべき最初の質問は、サービスの説明ではありません。経営者がなぜ今日この面談に時間を取ろうと思ったのか、その動機を本人に語ってもらうことです。
「ご挨拶にお伺いいたしました」「私どものことはご存じですか?」と入って、こう続けます。「今日こうしてお時間を取って、お話を聞こうと思われたのは、なぜでしょうか?」。
経営者は最初、ぼんやりした答えしか返してくれません。「いまの税理士に不満があって…」程度です。そこで「ということは、どういうことですか?」と深掘りします。すると、決算月をまたぐ不安、急成長による会計処理の悩み、相続を控えた資産整理の重さなど、本当に困っている話が出てきます。
私がコンサルしてきた50代社労士の一人社長も、面談冒頭で動機を聞くだけで景色が一変しました。業界団体経由の講師依頼が殺到するほど、経営者からの信頼が積み上がったのです。動機を聞くと、自分の話を「自分の言葉で」語ってもらえます。これが顧問契約の出発点です。
コツ2|現状→欲求→課題の順で経営者を深掘りする
動機を聞いたら、経営者の事業を順番に聞いていきます。いきなり税務の話に入ってはいけません。
税理士はつい「いまどんな会計ソフトを?」「年商は?」と切り込みたくなります。でも先に聞くのは、経営者の「人となり」と「事業全体の現状」です。
- 現状を聞く(面談時間の半分を使う)
- 欲求を聞く(現状とは必ず分けて聞き直す)
- 解決策を聞く(いま何をしているか)
- 直面させる(実現できるかを問い直す)
「そういうなかで、いまの事業の現状はどうですか?」「具体的には?」「社員さんの育ち具合は?」
「そういうなかで、本当は事業をどうしていきたいのですか?」「2、3年後にはどこまで行きたいですか?」
「そのために、いま何をされていますか?」「効果はどうですか?」
「それで本当に実現できそうですか?」「このままでいいですか?」
「たとえば?」「なぜ?」「ということは?」の3つの質問で具体化していきます。
経営者は自分の欲求を、はっきり自覚していません。質問されて、自分の口で語ることで、はじめて欲求が言語化されるのです。税理士の面談時間の半分は、現状を聞くために使うのが鉄則です。
不動産仲介業の50代男性は、「物件ではなく暮らしを聞く」アプローチに切り替えただけで、成約率が前月比1.7倍、紹介件数も倍増しました。税理士の面談も同じです。「税務ではなく、経営をどうしていきたいかを聞く」と意識を変えるだけで、経営者の前のめりが大きく変わります。
コツ3|「料金が高い」を「成果不安」と捉え直す
税理士の面談で、最後にぶつかるのが料金の壁です。「他の事務所に比べてちょっと高いですね」と言われたとき、つい価格交渉に持ち込みたくなります。でも、それは違います。
「高い」は断り文句ではなく、「納得していないだけのサイン」です。経営者は価格そのものに不満があるのではなく、その金額を払う価値があるかが見えていないだけ。多くの場合、本音は成果への不安です。
断り文句は、突き詰めると次の3つしかありません。
| パターン | 経営者の発言例 | 裏にある本音 |
|---|---|---|
| 時間がない | 「決算前で忙しくて」「タイミングが合えば」 | 状況を労ってほしい |
| お金がない | 「料金が高い」「いまの事務所より割高」 | 成果が見えれば払える |
| 価値が感じられない | 「他社と比較して検討します」 | 違いがまだわかっていない |
反論への対処は3段階です。共感→労い・褒め→「実はそういう方にこそ」の順です。
- 第1段階:軽く共感「いろいろお考えになることありますものね。具体的には、どこが気になります?」
- 第2段階:労い・褒め「なるほど、そこまで踏み込んで検討しておられるのは、社長として真摯ですよね」
- 第3段階:実は提案「実はそういう方にこそ、月次のタイミングを揃えて、決算前に一緒に対策を組みたい税理士なのです」
WEBデザイン業の30代男性は、「高いですね」を成果不安と捉え直しただけで成約率が24%から52%に上がりました。価格を下げる必要はありません。価値の見え方を変えるだけです。
税理士の一人社長|面談ビフォー・アフター
同じ税理士でも、質問の順番を知っているかどうかで、面談の景色がまったく変わります。私が現場で関わった2人の税理士の一人社長の声を紹介します。
- Aさん(税理士業の一人社長) 「以前は、初回面談で料金表とサービス内容を一所懸命に説明していました。でも『検討します』ばかりで決まらなくて。質問の順番を覚えてからは、面談の半分を経営者の現状を聞くことに使っています。気づくと経営者の方から『で、月いくらでお願いできますか?』と聞かれるようになりました。」
- Bさん(税理士業の一人社長) 「料金交渉が苦手で、値引きしてしまうクセがありました。『高い=成果不安』と捉え直してからは、値引きをやめて、決算前に一緒に対策を立てる伴走者の話を伝えるようにしています。料金そのままで顧問契約が決まる回数が増えました。」
2人に共通しているのは、説明を削った分、経営者の言葉が増えたことです。税理士は「説明する人」ではなく「経営者の伴走者」として面談に立つだけで、契約率が大きく動きます。
営業Q&A
●質問 初回面談で経営者が黙り込んでしまいます
独立して半年の税理士です。初回面談で「いまどんなところでお困りですか?」と質問しても、「特にはないです」「とりあえず話を聞きに来ました」と返されてしまい、そこから先に進みません。何が悪いのでしょうか。
● 回答
いきなり困りごとを聞いていることが原因です。経営者は、はじめて会った税理士に弱みを見せたくありません。
こんなコツがあります。
- 出身地や創業のいきさつから聞く
- 「ところで」で事業の現状にそらす
- 「たとえば?」で具体化を促す
なぜなら、経営者は「お困りごと」よりも「自分が頑張ってきた話」のほうが語りやすいからです。「会社のお名前は、どういう由来でいらっしゃるのですか?」「学生時代は、どんなふうに過ごされていましたか?」と入ってください。
人柄が見えてきたら「ところで、今のお仕事の現状は?」と切り替えます。税務の質問は、経営者の人となりを聞いた後にはじめて意味を持つのです。
●質問 料金表を出すタイミングが分かりません
税理士の一人社長です。初回面談でいつ料金の話を切り出すべきか迷います。早すぎると比較対象にされ、遅すぎると経営者がしびれを切らしてしまいます。
● 回答
料金は経営者から聞かれるまで出さない、が基本です。
- 経営者の感想を先に聞く
- 「いいですね」と言われたら、どこがいいか深掘りする
- 価格は普段より小さめの声で、ファジーに伝える
「お話しさせていただきましたけど、どのように感じられましたか?」と問いかけ、経営者の言葉でこちらのサービスを語ってもらいます。
経営者から「で、料金はいくらですか?」が出てきたら、はじめて伝えるタイミングです。先に料金を出すと比較され、感想を先に聞くと納得が積み上がります。
●質問 他の税理士事務所と比較されると勝てません
大手の税理士法人と料金比較されると、勝てる気がしません。一人で営む税理士はどう面談に臨めばよいのでしょうか。
● 回答
料金で勝とうとしないことです。一人税理士の強みは、経営者の話を深く聞ける時間と、伴走できる距離感にあります。
- 経営者の現状をひとつずつ深掘りする
- 月次のタイミングを揃えて伴走する話をする
- 既存のお客様の変化を具体的に伝える
大手と比べた瞬間、経営者の頭は料金の数字だけになります。だから、料金の話よりも先に、現状と欲求を聞ききって「この税理士に話を聞いてもらいたい」という気持ちを育てるのです。
ある50代社労士の一人社長は、業界団体経由で講演依頼が殺到するほど、経営者からの推薦が積み上がりました。深く聞ける税理士は、経営者の口コミで自然に紹介が広がっていく職種です。
焦って値下げ競争に入らず、現状を聞ききる時間を大切にしてください。
まとめ
税理士の一人社長が質問だけで顧問契約を決めるコツを解説しました。いかがでしたか? 面談で何を変えればよいか、コツが掴めたはずです。
説明する税理士から、経営者の伴走者への切り替え。
- 初回冒頭で「なぜ今日お会いしようと思われたか」を語ってもらう動機の確認
- 現状→欲求→課題の順で経営者を深掘りする質問の流れ
- 料金の壁を「成果不安」と捉え直す反論対処の3段階
焦っているだけではどうにもなりません。
まずは次の初回面談で、料金表を出す前に経営者の動機を聞くことからはじめましょう。
応援しています。
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