提案に刺さる「未来の描き方」

提案に刺さる「未来の描き方」|お客様が聞きたくなる営業トークの作り方

お客様が「聞きたい!」と思う瞬間をつくれていますか?

営業の提案がうまくいかない原因の多くは、「説明のタイミングを間違えていること」にあります。
一生懸命準備しても、お客様が聞く姿勢になっていなければ、どんなに良い提案も届きません。

そこで大切なのが、「提案前の未来の描き方」です。
今回は、お客様の心を自然に前向きにするための9つのステップをお伝えします。

① アプローチの目的

アプローチは「信頼関係を築く準備段階」です。
いきなり説明せず、まずは“お客様が前のめりで聞きたくなる状態”を作ることが大切です。

  • 信頼関係を築くための対話
  • 欲求・課題・ニーズを引き出す会話
  • お客様との“温度差”を埋めるコミュニケーション

② 提案前の質問「なぜこの話を聞こうと思われたんですか?」

提案前にお客様の“動機”を思い出してもらいましょう。
これは聞く姿勢を整える魔法の質問です。

軽い雑談のあとに、自然なトーンで
「なぜ今回この話を聞こうと思われたんですか?」と尋ねます。

お客様が自ら理由を語ることで、再び「聞く準備」が整います。

③ 現状を整理する質問

「今どんな状況ですか?」
「どんな感じでございますか?」

柔らかい言葉で尋ねることで、お客様が自分の現状を話しながら整理していきます。
このプロセスが、次のステップ「欲求の明確化」に自然につながります。

④ 理想・欲求を引き出す質問

現状が整理できたら、「理想の未来」を描いてもらいましょう。

  • 「その現状をどうしたいとお考えですか?」
  • 「それが実現したらどんな変化が起こりそうですか?」

お客様が未来を想像し始めた瞬間、提案の受け入れ体勢が整います。
未来を語るほど、提案は“自分ごと化”されていくのです。

⑤ 課題を明確にする質問

理想を描いたら、次は「何がそれを妨げているのか」を一緒に考えます。

  • 「それを実現するための課題は何になりますか?」
  • 「何が障害になっていると思いますか?」
  • 深掘り:「それはなぜですか?」「例えばどういうことですか?」

このやり取りで、お客様自身が課題の本質に気づきます。
“気づきを共有する”ことこそ信頼を生む瞬間です。

⑥ 解決策の確認

課題が明確になったら、これまでの取り組みを振り返ってもらいます。

  • 「これまでに何か取り組んでこられましたか?」
  • 「どれくらい前からそう思っておられるんですか?」

お客様が「自分で頑張ってきたけど変わらなかった」と気づくと、
あなたの提案に耳を傾ける準備が整います。

⑦ テストクロージング

強く迫るのではなく、やわらかく意思を確認します。

  • 「それを実現したいと思われますか?」
  • 迷いがある場合:「なるほど、そう感じられるのはどんな理由からですか?」

そして、「その理由をも解決できる方法があるとしたらどうですか?」
とつなげることで、プレゼンへの自然な橋渡しができます。

⑧ プレゼンへの流れ

「その方法があるんです。なぜなら○○だからです。」
この一言で、お客様の心が動き始めます。

焦ってカタログを出すのではなく、理由と根拠から伝えるのがポイントです。
最後に「よろしければ具体的なお話を聞かれませんか?」と同意を得てプレゼンへ。

⑨ まとめ|未来を描ける営業は、売り込まずに売れる

アプローチで聞く姿勢をつくり、プレゼン前に動機を思い出してもらう。
そして「現状 → 欲求 → 課題 → 解決策 → 意思確認 → 提案」の流れで話す。

営業の本質は“説明”ではなく“共感”です。
共感があれば、商品を売らなくても信頼で決まります。

未来を描かせる力こそ、提案を成功へ導く最大の武器です。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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