ご質問ご回答Q&A

営業アポメールは候補日より訪問理由を先に書く

候補日の前に置く訪問理由

アポメールで候補日を三つ並べても、返事が来ない日があります。営業側は日程が合わないのだと思い、別の候補日を足します。けれど、相手は日程より、会う理由の薄さで止まっているかもしれません。

中川拓馬さん(仮名、法人向け文書管理サービス業の一人社長)は、新規先へ「ご都合のよい日をお知らせください」と送っていました。相手からの返信は少なく、電話で追う回数が増えていました。営業アポメールでは、候補日を出す前に、相手が会う理由を一文で置きます。

この記事では、法人向け文書管理サービスの初回面談を例に、アポメールで先にそろえる三語、候補日の出し方、返信がない時の次の一文を整理します。相手が会う意味を判断できる形にする話です。

  • 候補日を送っても返事が止まりやすい方
  • アポメールがお願い文ばかりになっている方
  • 初回訪問の理由を短く伝えたい方

日程より先に置く理由

中川さんは、日程調整の文面を丁寧に書いていました。けれど、相手には「なぜ今会うのか」が見えていませんでした。日程が三つあっても、会う理由が薄いと返信は後回しになります。

文書管理サービスの営業なら、会う理由は資料整理そのものではありません。相手が最近困っている保管場所、探す時間、承認者の手戻りのどれかに触れます。中川さんは、最初の一文を「契約書を探す時間が増えている部署向けに、保管場所と承認者の見方を整理しています」と変えました。

アポメールの入口では、こちらの訪問希望より、相手が最近見ている困りごとの名前を先に置きます。その名前があると、候補日は話す場面の提案として伝わります。

先に置く三語 相手が考えること メールに入れる言葉
保管場所 書類がどこにあるか 契約書を探す時間
探す時間 担当者がどれだけ止まるか 月末処理の手戻り
承認者 誰が最終判断するか 部長確認の前に見る点

保管場所、探す時間、承認者

中川さんは、この記事で扱う三語を保管場所、探す時間、承認者に決めました。この三語を途中で別名にしません。保管場所は、紙やデータが置かれている場所です。探す時間は、担当者が書類を見つけるまでの時間です。承認者は、文書管理の変更を判断する人です。

三語を決めると、アポメールの中身が絞られます。「一度ご説明したいです」を避け、「保管場所、探す時間、承認者のどこで止まりやすいかを短く確認したいです」と書けます。相手は、会う前に話す範囲を想像できます。

保管場所、探す時間、承認者がそろうと、アポメールは営業側の都合ではなく、相手の確認作業を助ける文になります。

返事が止まる文面

返事が止まりやすい文面には、共通する癖があります。中川さんの以前のメールは、あいさつ、会社紹介、日程候補、結びの順でした。丁寧ですが、相手が自分の仕事と結びつける場所がありません。

相手は、知らないサービスの説明を聞く時間をすぐには取りません。特に法人相手では、担当者の後ろに上司や同僚がいます。担当者が「この面談は何のためですか」と説明できないと、日程だけでは動きにくいのです。

中川さんは、会社紹介を削りました。代わりに、相手が社内で言いやすい一文を先に置きます。「月末に契約書を探す時間が増えている部署向けの確認です」と書くと、担当者は自分の部署に関係するかを判断できます。

短いメールの形

中川さんが使った文面は、次のような形です。「契約書を探す時間が増えている部署向けに、保管場所、探す時間、承認者の三点を10分で確認しています。来週火曜か木曜の午前に、現状だけ伺ってもよいでしょうか」と書きました。

この文では、候補日が先に出ていません。先に、相手が困っていそうな場面と三語を置いています。その後で、火曜か木曜の午前という狭い候補を出します。

候補日は多いほど親切に見えますが、相手が会う理由を決めていない時は判断を増やします。まず理由を置き、候補日は二つまでにします。

送信前の短いロープレ

中川さんは、送信前に相手役を立てて文面を声に出しました。中川さんが「契約書を探す時間が増えている部署向けの確認です」と読むと、相手役は「うちも月末は探しています」と答えました。

中川さんは次に「保管場所、探す時間、承認者の中で、最初に見たいのはどれですか」と聞きました。相手役は「探す時間です」と答えました。ここで中川さんはサービス説明を足しません。相手が見たい三語の一つが分かれば、面談の入口は十分です。

ロープレで見るのは、文章がきれいかどうかではありません。相手が自分の仕事を思い浮かべられるかです。中川さんは、読むたびに会社紹介を短くし、困りごとの名前を前に出しました。

返信が来た後の受け方

相手から「少し話を聞きたいです」と返ったら、すぐ資料を送らず、話す範囲をそろえます。中川さんは「ありがとうございます。最初は保管場所、探す時間、承認者のうち、探す時間を中心に伺います」と返しました。

これで面談前の期待値がそろいます。相手は、全部の文書管理を見直す話ではなく、探す時間を先に話すのだと分かります。営業側も、当日に資料説明へ流れにくくなります。

返信が来た時ほど、営業側は前に進めたくなります。けれど、アポの目的は面談を取るだけではありません。相手が話しやすい入口を作ります。

返信がない時の一文

返信がない時、中川さんは同じ候補日を送り直しませんでした。「今回は日程のお願いではなく、契約書を探す時間が増えているかだけ伺いたいです」と一文で確認しました。

この一文は、相手を責めていません。返事がないことではなく、確認したい範囲を一つに絞っています。相手は「今は増えていません」と返すこともできます。営業側にとっては断りでも、見込み判別として役に立ちます。

返信がない時は、日程を増やすより、相手が一言で返せる確認範囲に絞ります。ここでも保管場所、探す時間、承認者の三語を崩しません。

電話へ移る条件

メールの返事がないからといって、すぐ電話で詰める必要はありません。中川さんは、相手が既存顧客の紹介先である時、または相手の部署名が分かっている時だけ電話へ移りました。

電話では、メールを読んだかを聞きません。「契約書を探す時間の件で、今の状況だけ伺ってもよいですか」と聞きます。相手が忙しければ、「保管場所、探す時間、承認者のどれが近いかだけでも大丈夫です」と添えます。

電話の目的は、アポを取るだけではありません。相手の見込み度を見分けます。会う理由が見えない相手に無理に候補日を押すと、機嫌の悪い面会になりやすくなります。

担当者が社内に伝える文

法人営業では、担当者が社内に面談理由を伝えられるかが大事です。中川さんは、担当者向けに短い文を渡しました。「契約書を探す時間を減らすため、保管場所、探す時間、承認者を確認する面談です」と書きます。

この文なら、担当者は上司にそのまま伝えられます。サービス名を覚えてもらうより、面談の理由を説明しやすい方が、初回アポは進みます。

ここでも、保管場所、探す時間、承認者の順番を変えません。途中で「管理体制」「社内導線」と言い換えると、担当者が社内で伝える言葉がぼやけます。

送信前の確認項目

アポメールを送る前に、中川さんは四つだけ見ます。会う理由が一文であるか。保管場所、探す時間、承認者のどれに触れているか。候補日が二つまでか。相手が一言で断れる文になっているかです。

断れる文にするのは、弱い営業ではありません。見込みのない相手を追い続けないためです。「今は必要ありません」と返ってきたら、中川さんは「承知しました。探す時間が増えた時にまたお声がけします」と返しました。

アポメールでは、取れる相手を探すより、会う理由がある相手を見分ける視点が大切です。

紹介先に送る時の注意

紹介先に送る時も、紹介者の名前だけに頼りません。中川さんは以前、「○○様からご紹介いただきました」と書いた後、すぐ候補日を出していました。相手は紹介者への義理で返信することはありますが、面談の目的までは決まっていません。

紹介先には、紹介者名、保管場所、探す時間、承認者を短くつなげます。「○○様から、契約書を探す時間が増えている部署かもしれないと伺いました。保管場所、探す時間、承認者の三点だけ確認できればと思います」と書きます。

この文なら、紹介者の顔を立てながら、相手が会う理由を判断できます。紹介だから会ってください、という文にはしません。紹介で聞いた困りごとが本当に近いかを一緒に確かめる文です。

中川さんは、紹介先から「今は承認者の整理が先です」と返事をもらいました。そこで、初回面談では保管場所や探す時間を広げず、承認者だけを聞く準備にしました。紹介経由でも、三語のどれを見るかを先にそろえると、面談の入口がぶれません。

営業Q&A

アポメールでは候補日を何個出せばよいですか?

候補日だけで考えると、相手が会う理由を判断できません。日程を増やす前に、相手が最近困っていそうな場面を一文で置きます。

回答

候補日は二つまでにします。その前に、保管場所、探す時間、承認者のうち一つを入れ、何を話す面談なのかを短く伝えましょう。

次の一通で変える入口

営業アポメールでは、候補日の数より、相手が会う理由を先に置きます。中川さんのように、保管場所、探す時間、承認者の三語を決めると、メールの中心が営業側のお願いから相手の判断材料へ移ります。

次の新規先には、最初に候補日を並べず、「何の確認なら10分取る意味があるか」を一文で書きましょう。相手が会う理由を判断できる一通から、無理のないアポイントが始まります。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

最新記事 by 木村まもる(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント) (全て見る)

 
営業適正