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営業の提案書が刺さらない一人社長へ|質問で「お客様の言葉」になる3つの設計コツ


なぜ提案書を作り込むほど、契約が遠のいてしまうのでしょうか?

商談用に提案書を作り込んで臨んだのに、お客様の反応が鈍く、結局「持ち帰って検討します」で終わってしまう。提案書が刺さらない原因は、提案書の「中身」ではなく「使い方」にあります。私は営業歴22年で1,000件以上の商談を経験してきましたが、提案書を分厚く作り込んだ営業ほど、契約から遠のく場面を何度も見てきました。提案書は「読ませる」道具であり、「説明する」道具ではないのです。この記事を読んでいただくことで、提案書が商談で自然と決まる流れに変わります。最後までご覧ください。

こんな人におすすめの記事です。

  • 提案書を毎回作り込んでいるのに契約に至らない一人社長
  • 商談で提案書を読み上げて、お客様の反応が薄くなってしまう方
  • 提案書のどこを直せば契約率が上がるのか分からない方

これから一つひとつ見ていきましょう。

提案書が刺さらない一人社長によくある3つの落とし穴

提案書が決まらない一人社長の多くが、共通して陥っているパターンがあります。私が現場でロープレを重ねてきた1,000人以上の営業相談から見えてきた、典型的な落とし穴を順に見ていきましょう。

提案書で「説明」しようとしている

提案書が刺さらない一人社長の共通点は、提案書を「自分が説明するための道具」と考えていることです。商品の特徴、サービスの強み、料金体系を順番に並べ、商談で読み上げる。この瞬間にお客様の心は閉じてしまいます。お客様はネットでいくらでも情報を集められる時代です。営業から一方的に説明される時間ほど、退屈で苦しいものはありません。

商談前に作り込みすぎている

もう一つの落とし穴は、商談前にカスタマイズ提案書を何ページも作り込むことです。1枚ずつ凝ったデザインで、グラフも事例も豊富。一見すごい提案書に見えますが、商談で新しく聞いた話に対応できなくなります。商談の現場では、お客様がその場で「実はこんな課題もあって…」と話してくれる瞬間がいちばんの勝負どころ。作り込んだ提案書を読み進めることに気を取られ、その瞬間を逃してしまうのです。

営業が提案書を読み上げてしまう

提案書を商談で広げると、ついつい1ページ目から営業が読み上げてしまいませんか? あなたも、お客様の前で資料をめくりながら、自分の声だけが商談室に響いた経験があるはずです。お客様は「聞いている顔」をしてくれますが、心は別のところにあります。商品が相手の心に入るのは、お客様自身が読んで納得した瞬間だけ。営業が読み上げている間、お客様の自覚は育ちません。

質問で「お客様の言葉」になる提案書の3つの設計コツ

では、商談で契約に自然と至る提案書を、どう設計すればいいのでしょうか。私が現場で1,000件以上の商談を重ねて見えてきた、提案書の使い方を変える3つのコツを紹介します。

コツ1 冒頭に「なぜ会ってくださったのですか?」を必ず入れる

提案書の最初に並べるのは、会社概要でも商品紹介でもありません。商談の冒頭でお客様に「なぜ今日、お時間を取ってくださったのですか?」と問い直すページです。そのページにはあえて中身を書きません。お客様が答えた言葉を、その場であなたがメモする欄になっています。

たとえばコーチング業の一人社長・Aさんは、提案書の1ページ目を「ご相談の背景」という空欄ページに変えました。商談の最初に「なぜ今日、お時間を取ってくださったのですか?」と聞き、お客様の答えをそのまま書き取ります。たったこれだけで、お客様は自分の課題を自分の言葉で話しはじめます。

「ご自身でどう思われますか?」「ということは、どういうことですか?」と質問を重ねていけば、お客様の中で課題への自覚が立ち上がります。これが提案書を「お客様の言葉」で進めるスタートラインです。

コツ2 「直面→静寂→テストクロージング」の流れで章立てる

提案書の章立ては、商品の説明順ではなく、お客様の心が動く順で組みます。私が長年使ってきた流れは、次の3段階です。

  1. 直面ページ
  2. お客様の現状・欲求・課題を聞き直すページ。「現状はどんな感じですか?」「本当はどうしていきたいですか?」を順に問い、お客様自身に課題を語ってもらう。

  3. 解決策ページ
  4. 商品の特徴を網羅したページではなく、お客様がいま話した課題に「解決策がここに載っています」と1枚だけ開いて見せるページ。雑に扱わず、丁寧にそっと差し出す。

  5. テストクロージングページ
  6. 「お話しさせていただきましたけど、どのように感じられました?」とお客様の感想を引き出すページ。決断を迫らず、お客様の言葉で感想を語ってもらう。

この順番で章立てするだけで、商談の流れが「営業が話す」から「お客様が話す」へ反転します。

コツ3 提案書はしゃべらず、お客様に読ませる

解決策ページを見せたら、営業はしゃべりません。「今さっき言われたお話の解決策がここに載っています。そこの文章ちょっと読んでいただけますか?」と差し出し、あとは沈黙します。お客様が読み終えたところで、たった一言だけ聞きます。「どんな感じでございますか?」

たとえば保険業の一人社長・Bさんは、20分かけて読み上げていた提案書を、お客様に1ページ静かに読ませる形に変えました。すると「まさに今のうちの課題です」とお客様自ら語りはじめ、商談の主導権がお客様側に移っていったそうです。「話す量が減ったのに、お客様の反応がグッと良くなった」とBさんは話します。次の月から、目標達成が当たり前になりました。

決まる提案書と決まらない提案書|行動対比

同じ提案書でも、使い方ひとつで結果が変わります。決まらない一人社長と決まる一人社長の違いをまとめました。

決まらない提案書の使い方 決まる提案書の使い方
会社概要から順番に説明する 「なぜ会ってくださったのですか?」から始まる
毎回カスタマイズして作り込む 標準パンフレットでも焦点が合えば刺さる
営業が読み上げる お客様に静かに読んでもらう
商品の特徴を網羅する お客様の課題に絞って1ページだけ開く
読み終わったらすぐ次の説明へ 「どんな感じでございますか?」で感想を聞く
感想が薄ければ説明を増やす 感想が薄ければ提案書を閉じて帰る

営業Q&A

●質問 提案書を毎回ゼロから作り込んでいて、商談前に疲れてしまいます

業種別に提案書を作り分けていて、商談ごとに毎回ゼロから設計しています。

1件の商談のために半日以上かけていることもあり、本来の営業活動の時間がどんどん減っているのが悩みです。

提案書を作り込まないと、商談で太刀打ちできない気がしてやめられません。アドバイスをいただけると助かります。

● 回答

提案書を毎回ゼロから作り込んでおられるのですね。商談ごとの作り込みは、おそらく半分以上が無駄になっています。

逆転営業では、提案書は「お客様の話を聞いた後で開くもの」と捉えます。標準パンフレットでも、お客様の現状・欲求・課題を十分に聞いてから開けば、ものすごく深く刺さります。商談で新しく出てきた課題に、その場で「実はここに解決策が載っています」と1ページだけ開いて見せる。これでお客様は自分の課題と提案書が一直線でつながったと感じるのです。

まずは標準パンフレットを1枚用意し、その代わりに「お客様の話を聞く時間」を倍にしてください。提案書を分厚くする時間より、お客様の現状・欲求・課題を質問で引き出す時間に投資する方が、契約率はグッと上がります。

●質問 提案書を読み上げないと、商談で何を話せばいいのか分かりません

営業をはじめて間もないので、提案書を読み上げるのが商談だと思って準備してきました。

提案書を読まないと、沈黙が怖くて何を話せばいいのか分からなくなります。

お客様に読んでもらう商談スタイルに不安があります。

● 回答

沈黙が怖いお気持ち、私も営業をはじめた頃は同じでした。商談で営業が話す時間より、お客様が話す時間のほうが長いのが本来の姿。理想は「お客様が8割、営業が2割」の会話配分です。

沈黙が怖いときは、質問の台本を持って商談に臨んでみてください。「なぜ会ってくださったのですか?」「現状はどんな感じですか?」「本当はどうしていきたいですか?」「ということは、どういうことですか?」――この4問を順番に出すだけで、商談時間の8割はお客様が話してくれます。

沈黙が怖いのは、何を聞けばいいか分からないから。質問の台本さえあれば、沈黙はむしろ「お客様が考えている時間」として味方になります。

まとめ

提案書が刺さらない一人社長へ、商談で自然と決まる提案書の使い方を解説しました。いかがでしたか? 提案書の役割の変え方のコツがつかめたはずです。
明日から変える、提案書の使い方のコツ。

  • 冒頭ページは「なぜ会ってくださったのですか?」
  • 章立ては「直面→静寂→テストクロージング」
  • 提案書はしゃべらず、お客様に読ませる

焦って提案書を分厚くしても契約は決まりません。
まずは標準パンフレット1枚から、お客様に読んでもらう商談をはじめましょう。
応援しています。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
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