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営業意思確認は申込前に本人の納得を言葉で確かめる

申込前に本人の納得を確かめる営業意思確認

営業意思確認が苦手な日は、申込書を出す前に相手の気持ちを確かめる言葉が強くなりがちです。押しているつもりがなくても、相手は答えを急かされているように感じます。

山田拓也さん(仮名、業務用コーヒー卸の一人社長)は、試飲後に「どうしますか」と聞くたび、相手の表情が固まることに悩んでいました。営業意思確認は、本人の納得がどこまで進んだかを一緒に見る会話です。契約を迫る質問に寄せないことが大切です。

この記事では、試飲後の商談を例に、感じたこと、残った迷い、次に確かめる相手を分けながら、申込前の言葉を整えます。クロージングで急に強くなる癖を直したい方に向けた内容です。

  • 提案後に相手の本音を聞けず申込書だけ出してしまう方
  • 前向きそうな相手ほど最後の一言に迷う方
  • 本人と社内確認者の気持ちを分けて見たい方

最初に聞く感想

申込前に最初から決断を聞くと、相手は身構えます。山田さんは、契約の可否を横に置き、試飲して感じた変化から聞く形に変えました。

たとえば、相手が新しい豆を試した直後に「導入されますか」と聞く代わりに、「今の味と比べて、店内で使う場面は浮かびましたか」と聞きます。答えが短ければ、まだ納得の材料が足りない状態です。

感想を聞く時間は、営業側が説得を足す時間ではありません。相手が自分の言葉でよかった点と不安な点を話せるかを確認する時間です。

聞く順番 見たいこと 次の動き
感じたこと 味や使い方の印象が本人の言葉になっているか 短く受け止める
残った迷い 価格、保管、スタッフ説明のどこで止まるか 一つだけ掘る
確認相手 店長、調理担当、経理の誰が見るか 伝える材料を分ける
次の予定 試用日、発注判断日、入替日があるか 期限を無理に決めない

本人の気持ちと社内確認

営業意思確認で混ざりやすいのは、目の前の本人の気持ちと、社内や家族に説明する材料です。本人がよいと思っていても、経理や現場責任者に説明できなければ商談は止まります。

山田さんは、本人の気持ちを聞いた後で「社内で見る方には、味、価格、保管のどれを先に伝えた方がよさそうですか」と聞きました。これなら、本人を責めずに次の確認者が見えます。

本人の納得がある時ほど、次に誰に何を説明するかを聞くと、申込前の不安が具体的になります。その場で決めない相手も、前向きさと保留理由を分けて話しやすくなります。

コーヒー卸の試飲後の場面

山田さんは、喫茶店向けに業務用コーヒー豆を提案していました。相手の店主は試飲後に「香りは好きです」と言いましたが、すぐ発注する雰囲気ではありませんでした。

以前の山田さんなら、数量と納品日を先に聞いていました。その日は「今の豆と入れ替えるなら、どのメニューで試しやすいですか」と聞きました。店主は「モーニングなら試せるが、常連客の反応が心配です」と答えました。

ここで、山田さんは追加の説明に入りませんでした。「常連の方に出す時、味の違いをどんな言葉で伝えると自然でしょうか」と聞き、店主が自分の言葉で説明できるかを見ました。申込書を出す前に、店内で使う一文を先に整えた形です。

強く見える一言の修正

申込前の一言は、言い方だけで印象が変わります。「今日決められますか」は、急がせる言葉に聞こえます。「ここまで聞かれて、進める方向の気持ちはありますか」なら、本人の意思を確認できます。

山田さんは、決断を迫る言葉を三つに分けました。感想を聞く一文、迷いを聞く一文、次の確認者を聞く一文です。三つを一度に聞かず、相手の返事に合わせて一つずつ出します。

意思確認の言葉は短くて構いません。大事なのは、相手が答えた後に営業側がすぐ結論に飛ばないことです。

ファジーに確かめる

逆転営業のクロージングでは、相手の気持ちをいきなり白黒にしません。感じる、考える、行動するの段階を見て、今どこにいるかを質問で測ります。

山田さんは「進めていこうかなという感じはありますか」と聞く前に、「今日聞いた範囲では、使えそうな場面はありましたか」と置きました。これで、相手は契約の可否から離れて使用場面から話せます。

相手が前向きなら、次は保管場所、スタッフ説明、初回数量を話します。相手が迷っているなら、迷いの中身を一つ聞きます。どちらでも、営業側が押した形になりにくくなります。

言葉にする確認表

山田さんは、商談後に使う言葉を表で見直しました。決断を迫る言葉、本人の感想を聞く言葉、次の確認相手を聞く言葉を分けると、申込前の緊張が減ります。

場面 避けたい言葉 使いやすい一文
試飲直後 今日決められますか 今の味を店で使う場面は浮かびましたか
価格提示後 高いですか 価格以外で確認したい条件はありますか
社内確認前 誰が反対しそうですか 社内で見る方には何を先に伝えるとよさそうですか
保留の返答 いつ返事をもらえますか 次に比べる材料は何になりそうですか

この表は、暗記用ではありません。自分が強く聞きそうな場面を前もって知るための確認表です。山田さんは、試飲後だけ赤線を引き、商談前に一度読みました。

使いやすい一文を決めておくと、相手の返事を待てます。言葉が決まっていない時ほど、営業側は不安になり、説明や値引きで間を埋めたくなります。

保留後の扱い

保留になった時も、意思確認は終わりではありません。保留の中には、本人は前向きだが説明材料が足りない場合、そもそも必要性がまだ薄い場合、時期だけが合わない場合があります。

山田さんは、保留を一つの失敗にまとめず、次の三つに分けました。本人の気持ち、社内で比べる材料、次に飲んでもらう場面です。本人の気持ちが残っているなら、次回は数量よりも使う場面から話せます。

保留後の連絡では、前回の結論を急がず、相手が言った迷いを一つだけ戻します。「常連客に説明する時の言葉が心配とおっしゃっていました」と戻せば、相手は自分の話を覚えてもらえていると感じます。

反対に、本人の気持ちが薄いままなら、追いかけるより見込み客として残します。三か月後のメニュー替え、季節商品、スタッフ入替のように、相手側の変化が起きる時に改めて聞く方が自然です。

声に出す練習

営業意思確認は、頭で分かっていても本番では言葉が強くなります。山田さんは、商談前に申込前の一文だけを声に出しました。長い台本を使わず、感想を聞く一文、迷いを聞く一文、確認相手を聞く一文です。

一人でのロープレなら、相手役を置かなくても構いません。目の前に試飲カップがあるつもりで、「今の味を店で使う場面は浮かびましたか」と言い、次に三秒待ちます。待つ練習まで入れると、本番で説明をかぶせにくくなります。

山田さんは、言葉が強くなる場面を一つだけ決めました。価格を出した直後です。ここで「高いですか」と聞く癖があったため、「価格以外で確認したい条件はありますか」と言い換えました。

言い換えの目的は、きれいな営業トークを作ることではありません。相手が自分の迷いを言葉にできる余地を残すことです。余地があれば、相手は断り文句に寄らず、考えている内容を話しやすくなります。

練習後は、実際の商談で使えたかどうかだけを見ます。うまく言えなかった場合も、次回の一文を短くします。意思確認は特別な話法というより、相手の納得を乱さないための普段の言葉です。

一人社長の確認

一人社長の場合、商談後に誰かが代わりに確認してくれるとは限りません。だからこそ、申込前に相手の言葉を聞き、次に動く理由を残すことが大切です。山田さんは、商談メモに「本人の納得」「残った迷い」「次に見せる相手」の三欄だけを作りました。

この三欄が埋まらない時は、申込書を出す前に聞くことが残っています。本人の納得が空欄なら感想を聞き、残った迷いが空欄なら価格以外の条件を聞き、次に見せる相手が空欄なら社内で誰が見るかを聞きます。

三欄を埋めると、追客の連絡も変わります。「その後いかがですか」という広い文より、「スタッフの方に味の説明を見せる件はいかがでしたか」と聞けます。相手の前回の言葉から始めるため、営業側の都合だけの連絡に見えにくくなります。

山田さんは、三欄のうち一つでも空いている日は、値引きや特典を出さないと決めました。条件を足す前に、相手が何を確かめたいのかを聞く方が、長く続く取引につながるからです。

本人の納得が言葉になった商談は、発注量が少なくても次につながります。反対に、納得が聞けないまま大きな注文を取ると、納品後に不安が戻ります。意思確認は売上を急がないための確認でもあります。

営業Q&A

前向きそうなら申込書を出してもよいですか?

前向きな表情だけで申込書を出すと、相手の中に残った不安を見落とします。まず本人の言葉で納得を確認します。

回答

「どの点が使えそうだと感じましたか」と聞き、価格、使い方、社内説明のどこまで言葉になったかを見ます。本人が説明できる状態なら、申込書の前に次の確認者と初回条件をそろえてから進めます。

次回につなぐ一文

営業意思確認では、最後に強い言葉を出すより、相手が話した納得と迷いを一文で返します。山田さんなら「モーニングで試せそうだが、常連客に説明する時の言葉が心配なのですね」と短く返します。

その一文が合っていれば、次に確認する材料が見えます。申込前の会話を本人の納得、社内確認、次の予定に分ければ、クロージングは急な押し込みから離れ、相手の意思を確かめる時間になります。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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