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不動産の営業がうまくいかない一人社長へ|物件ではなく暮らしを聞く3つのコツ



「内見まで案内しているのに、最後は『もう少し検討します』で終わってしまう」と悩んでいませんか? 不動産業の一人社長は、物件スペックや相場の説明に時間を割きがちです。しかしお客様が買っているのは物件そのものではなく、その家での暮らしと未来。物件ではなく暮らしを聞く営業に切り替えると、成約率と紹介件数が同時に伸びます。この記事を読んでいただくことで、来店相談から契約面談までの流れが質問だけで決まる手順がわかります。最後までご覧ください。



こんな人におすすめの記事です。

  • 来店相談や内見はあるのに契約に至らない不動産業の一人社長
  • 物件のスペック説明に頼りがちで決め手がほしい一人社長
  • 押し売りにならずにクロージングしたい一人社長

これから一つひとつ見ていきましょう。



不動産の営業で契約に至らない一人社長の共通点



私は22年間で1,000件以上の商談に関わり、1,000人以上の営業相談に乗ってきました。不動産業の一人社長から相談を受けるとき、ほぼ全員に共通する傾向があります。



それは、面談の冒頭から物件スペックや立地条件、価格相場の話に入ってしまうこと。お客様の側からすると、まだ「この営業さんに任せていいか」が決まっていないのに、物件の話だけがどんどん進んでいく状態です。面談の主役を物件にした瞬間、お客様の心は半分閉じます。



逆転営業では、面談の主役は最初から最後までお客様その人。物件は途中から登場する脇役です。順番を逆にするだけで、来店相談から契約面談までの流れが大きく変わります。



不動産の営業で成果が出る3つのコツ



来店相談・物件案内・契約面談の各場面で使える共通の鍵を3つにまとめました。



  1. 物件説明ではなく暮らしを聞くアプローチへ切り替える
  2. 面談時間の半分を「お客様の現状」を聞くことに使う。物件案内は後半でいい。

  3. 「そういうなかで」で現状→欲求→課題→解決へ進める
  4. 枕言葉ひとつで会話の場面を切り替える。お客様が自分の本当の希望に気づく流れを作る。

  5. テストクロージング=意思確認で押さない
  6. 「どのように感じられましたか?」で意思を確認する。決断を迫らずタイミングを待つ。



コツ1|物件説明ではなく暮らしを聞くアプローチへ切り替える



逆転営業のアプローチで一番大事なのは、お客様の現状を聞く時間に面談全体の50%を使うことです。物件の話に入る前に、お客様その人の暮らし・家族構成・週末の過ごし方・将来像まで丁寧に聞いていきます。



50代男性の不動産仲介の営業マンが私のところに相談に来たことがありました。それまでは物件のスペックと相場をひたすら説明していたそうです。私の助言で「物件ではなく暮らしを聞く」アプローチに切り替えたところ、成約率が前月比で1.7倍、翌月の紹介件数が倍増しました。お客様からは「ここまで話を聞いてくれる営業さんは初めてです」と言われるようになったそうです。



聞く順番は決まっています。会社や仕事の話で軽くそらしたあと、「そういうなかで、いまの住まいの暮らしぶりってどんな感じですか?」とまず現状に入ります。家族の生活リズム、お子さんの学校、ご両親との距離、週末の過ごし方。具体的な日常の場面が一通り頭のなかに浮かぶまで聞き続けます。



コツ2|「そういうなかで」で現状→欲求→課題→解決へ進める



面談の流れには順番があります。現状→欲求→課題→解決の4つを、混ぜずに分けて聞いていきます。場面の切り替えに使うのが「そういうなかで」という枕言葉です。



あなたも面談中、現状の話と希望の話が混ざってしまって、お客様も自分も何を話していたか分からなくなった経験はありませんか? 順番を意識すると、面談の密度が一気に上がります。



順番 切り出しの質問
① 現状(面談の50%) 「そういうなかで、いまの住まいの暮らしぶりはどうですか?」
② 欲求 「そういうなかで、本当はどうしていきたいんですか?」
③ 課題(現状とのギャップ) 「いまの住まいだと何が一番ひっかかりますか?」
④ 解決策 「そのために、いま何かやってらっしゃいますか?」



大切なのは、現状を聞いているあいだに欲求が混ざって出てきても、必ずいったん受け止めて改めて欲求として聞き直すこと。そうすると、お客様自身が「自分は本当はこれを叶えたかったんだ」と気づくのです。



コツ3|テストクロージング=意思確認で押さない



不動産は人生で何度もない大きな買い物です。お客様は決断を嫌がります。だからこそ、最後の場面で押してはいけません。



クロージングの入口で使うのは、ただ一言だけ。「ここまでお話をお聞きいただいて、どのように感じられましたか?」これだけです。お客様の感想・思いを引き出して、いまどの段階にいるかを質問で測ります。



感じる→考える→行動する、の順番でお客様の気持ちは進みます。「いいですね」と返ってきたら「具体的にどこがいいですか?」「なぜいいですか?」と感じている内容を深掘りする。「考えさせてください」と返ってきたら「あと、どういうところを考えられますか?」と中身を聞きます。



テストクロージングの本質は、契約を迫る技術ではなく、相手の意思確認です。お客様にまだ迷いがあるなら、無理に進めません。「売らないと決める勇気」を持ち、タイミングを待つのが逆転営業の姿勢です。



来店相談から契約面談までの会話の流れ



言葉だけだと分かりにくいので、私が現場でやっているやりとりに近い形で再現します。住宅仲介の場面です。



営業:「今日はわざわざお越しいただいてありがとうございます。お電話ではお引っ越しを考えてらっしゃるとのことでしたが、なぜいま動こうと思われたのですか?」
お客様:「子供がもうすぐ小学校に上がるので、その前にと思いまして」
営業:「なるほど。お子さん、今おいくつなんですか?」
お客様:「上が5歳で、下が2歳です」
営業:「そうなんですか。いまの住まいでの暮らしぶりってどんな感じですか? たとえば?」
お客様:「マンションの2LDKで、子供たちが走り回る音が下に響いて気になっていて」
営業:「あ~、それはお気をつかわれますよね。下の方とのご関係はどんな感じですか?」
(中略:家族の暮らしぶり・週末の過ごし方・通勤・両親の距離まで丁寧に聞く)
営業:「そういうなかで、本当はどうしていきたいですか?」
お客様:「子供がのびのび過ごせて、私も通勤が苦しくない場所がいいです」
営業:「そのために、いま何かやってらっしゃいますか?」
お客様:「ネットで物件を見たり、週末に何件か見学したりしてます」
営業:「で、しっくりくる物件には出会えてますか?」
お客様:「正直、まだ決め手に欠けるというか…」
営業:「そうなんですね。実は、いま伺ったお話そのままで考えると、選び方の鍵が1つはっきりしているんです。よければ少し見てみられませんか?」



ここまで聞き終えて初めて物件資料を出します。お客様の言葉をそのまま使って提案するので、紹介された物件は「自分のために選ばれた物件」として響くのです。



不動産の営業が変わった一人社長の事例



同じ不動産業でも、面談の入り方が変わるだけで結果は別物になります。



  • Aさん(不動産業の一人社長) 「以前は物件のスペックと相場の話ばかりしていました。内見までは案内できても、最後は『他社さんとも比較して決めます』で終わって連絡が途絶えていました」
  • Bさん(不動産業の一人社長) 「いまは家族構成や週末の過ごし方から聞いています。お客様から『こんなに話を聞いてくれた営業さんは初めて』と言われ、その場で次の物件案内のアポが取れて、紹介もいただけるようになりました」



Aさん、Bさん、どちらが身近に感じましたか?
ビフォー・アフターにギャップがあればあるほど、人は興味関心をもつもの。あなたの面談でも、まずは現状を50%聞く時間に切り替えてみましょう。



契約に至らない不動産営業 vs 自然と決まる不動産営業



同じ来店時間でも、行動の差で契約率は大きく変わります。



契約に至らない営業 自然と決まる営業
物件スペックの説明から入る 暮らしぶりの質問から入る
面談時間の7割を物件説明に使う 面談時間の50%を現状ヒアリングに使う
現状と希望をまとめて聞く 「そういうなかで」で分けて聞く
「買いますか?」と直球で迫る 「どのように感じられましたか?」で意思確認
反論には反論で返す 「あと、どういうところを考えられますか?」で中身を聞く
その場で決めさせようとする 迷いがあれば「売らないと決める勇気」で次の機会を待つ



営業Q&A



●質問 内見後に「もう少し検討します」と言われて連絡が途絶えます



不動産仲介を一人で営んでいます。問い合わせから内見までは進むのですが、内見後に「もう少し検討します」と言われてそのまま連絡が途絶えるパターンが続いています。価格相場は他社と同じ。物件の魅力もしっかり伝えています。それでも決まりません。何が足りないのか教えてください。



● 回答



内見後の離脱で困っておられるのですね。原因は内見そのものではなく、その前のヒアリング段階にあります。鍵は次の3つです。



  1. 来店相談の冒頭で家族の暮らしを30分以上聞く
  2. 物件案内の前に「本当はどうしていきたいか」を改めて聞く
  3. 内見後は「どのように感じられましたか?」とテストクロージング



なぜなら、ヒアリングが浅い状態で内見しても、お客様の頭のなかに比較の軸が立たず、「他と見比べてから」という反応が自然に出てしまうからです。逆に、暮らしぶりを丁寧に聞いた後の内見は、物件が「自分の生活に重なる場面」として見えるので、感想が具体的に出ます。



「もう少し検討します」と言われたら、引き下がる必要はありません。「ということは前向きに考えられているということですね? あと、どういうところを考えられますか?」と中身を聞きましょう。



一番の鍵は、内見の前に暮らしを聞き切ること、ではないでしょうか。



●質問 契約面談で押し切るのが苦手で価格交渉に負けてしまいます



賃貸仲介の事務所を一人で運営しています。契約面談で「もう少し下がりませんか?」と言われると押し返せず、毎回値引きしてしまいます。押すのが苦手で、こちらが折れるしかないのかと思っています。アドバイスをいただけると助かります。



● 回答



価格交渉の場面で苦しんでおられるのですね。鍵は次の3つです。



  1. 価格の前に「どのように感じられましたか?」と価値の確認
  2. 「下がりませんか?」を成果不安のサインと受け取る
  3. 押すのではなく、応援する立場として並んで歩く



なぜなら、「高い」「下げて」というお客様の反応は、価格そのものへの不満というよりも、その金額に見合う価値が腹落ちしていない不安のサインだからです。価値が腹落ちすれば、価格は二の次になります。



「もう少し下がりませんか?」と言われたら、すぐに値引きを検討するのではなく「もちろんお伝えしますけど、その前に、ここまでのお話を聞かれてどう思われましたか?」と価値の確認に戻します。お客様が「いい物件だと思っています」と返してくれたら、どこがいいのかを深掘りして、価値を本人の言葉で語り直してもらうのです。



逆転営業の立場は、押す営業ではなく、お客様の決断を支える応援の立場。お客様の隣に並んで、一緒に同じ方向を見ながら歩く感覚です。



一番のツボは、価格の議論に入る前に価値の確認に戻すこと、ではないでしょうか。



まとめ



不動産の営業で契約に至るための3つのコツを解説しました。いかがでしたか? 物件ではなく暮らしを聞く営業に切り替えると、来店相談から契約面談まで自然な流れになるとつかめたはずです。
明日の面談から取り入れる行動の鍵

  • 面談の50%を暮らしぶりのヒアリングに割く
  • 「そういうなかで」で現状→欲求→課題→解決を分けて聞く
  • 「どのように感じられましたか?」での意思確認

焦っているだけではどうにもなりません。
まずは来店相談の冒頭で家族構成と暮らしぶりを聞くところからはじめましょう。
応援しています。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
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