包装資材営業は単価前に出荷数と梱包時間を聞く
単価表前に聞く出荷現場
この記事は、次のような包装資材営業の場面に役立ちます。
- 段ボールや緩衝材の商談で単価比較になりやすい方
- 安い見積を出しても継続注文につながりにくい方
- 出荷現場の手間まで含めて提案したい方
包装資材の商談では、使用後の現場差が見えないまま単価表を早く出したくなります。段ボール一枚、緩衝材一巻、テープ一個の金額が見えれば、お客様も比べやすいと思うからです。
白石遥さん(仮名、EC向け包装資材の法人営業を担当する営業担当者)は、通販会社の倉庫担当者から見積相談を受けました。白石さんは同じサイズの段ボールで安い単価を示しましたが、担当者から「夕方だけ箱詰めが詰まります」と言われました。
担当者が困っていたのは、箱代だけではありませんでした。日々の出荷数、夕方の梱包時間、破損返品、作業台の広さが重なっていたのです。単価だけを下げても、夕方の詰まりは消えません。
包装資材営業では、単価を見せる前に、出荷数と梱包時間を聞きます。 現場の詰まりが分かると、安さだけで比べる商談から、作業が流れる見積相談へ変わります。
この記事では、包装資材の法人商談で、価格表の前に聞くべき出荷現場の見方を解説します。一枚あたりの安さより、作業時間と返品の減り方を見る話です。
単価比較で止まる理由
包装資材は数字で比べやすい商品です。そのため、営業側が最初から単価を出すと、会話は一枚いくら、一巻いくらに寄ります。もちろん単価は大事です。ただ、現場で困っていることが単価だけとは限りません。
白石さんの商談でも、倉庫担当者は最初に価格を見ていました。ところが話を聞くと、夕方の出荷前にスタッフが箱探しで止まり、緩衝材の切り方で時間がかかっていました。
この状態で安い箱を出しても、担当者は決めきれません。単価が下がっても、梱包時間が増えれば現場の負担は軽くならないからです。
出荷数と梱包時間の聞き方
最初に聞くのは、月間の購入数ではありません。今日の出荷現場で、何時に、どれくらいの件数を、誰が包んでいるかです。ここが分かると、資材の見方が変わります。
白石さんは、次の商談で「一日何件出ていますか」だけで終えませんでした。「夕方の二時間で何件まで増えますか」「箱を選ぶのに止まる商品はどれですか」と聞きました。
担当者は「小物は早いのですが、割れ物が混ざると止まります」と答えました。この言葉から、見るべき資材は最安の箱ではなく、割れ物の梱包時間を短くする組み合わせだと分かります。
現場の言葉を使う会話例
白石さんは、単価表を出す前に、担当者の言葉を短く受ける練習をしました。包装資材の専門語を増やすより、現場で起きている詰まりをそのまま扱う方が話しやすくなります。
白石さん「夕方に箱詰めが詰まるのですね。箱選びと緩衝材を切る時間では、どちらで止まりますか」
担当者「緩衝材を切る時間です」
白石さん「緩衝材を切る時間ですね。では、割れ物の出荷数が多い曜日を一日だけ教えてください」
この短いやり取りでは、単価の話を後ろへ回しています。相手が話した夕方の詰まりから入り、梱包時間に絞って聞いているからです。
包装資材の提案は、商品名より現場の詰まりを先に扱うと、価格以外の判断材料が出ます。
単価と時間の見積表
単価だけの見積表では、安い順に並べることになります。けれど包装資材の現場では、梱包時間、破損返品、保管場所も判断材料です。白石さんは、見積の見せ方を三項目に分けました。
一つ目は単価です。二つ目は一件あたりの梱包時間です。三つ目は破損返品の確認です。この三項目なら、担当者は安さだけでなく、夕方の作業がどう変わるかを見られます。
たとえば単価が少し上がっても、緩衝材を切る時間が一件あたり40秒短くなるなら、出荷数が多い日には意味が出ます。白石さんは、この計算を見積の横に小さく添えました。
保管場所も見積の見せ方に入ります。倉庫の棚に入らない箱は、単価が安くても現場で探す時間を増やします。白石さんは、よく出る三サイズだけを作業台の近くに置けるかを担当者に確認しました。
この確認によって、提案は商品説明から運用の相談に変わりました。箱の強度、緩衝材の量、棚の位置を同じ紙に並べると、購買担当にも「なぜこの組み合わせなのか」を説明しやすくなります。
| 単価だけの見方 | 現場を含めた見方 |
|---|---|
| 一枚あたりの金額だけを見る | 夕方の梱包時間も並べる |
| 同サイズの安い箱を選ぶ | 割れ物の出荷数に合う箱を選ぶ |
| 資材費の削減だけを話す | 返品と作業待ちの減り方も見る |
担当者が社内で話せる材料
法人商談では、倉庫担当者が納得しても、購買担当や経理へ説明する場面があります。その時に「少し高いけれど作業が楽です」だけでは通りにくいです。
白石さんは、担当者が社内で言いやすい材料を一つ決めました。「夕方の割れ物出荷で緩衝材を切る時間を減らすため」です。この言葉なら、資材費だけでなく作業時間の話として伝えられます。
担当者は「それなら購買にも話せます」と答えました。ここで白石さんは、商品の特徴を追加しませんでした。相手が社内で説明できる一文を整えることに絞りました。
社内説明の材料は、長い提案書でなくても足ります。白石さんは、現在の資材、試す資材、夕方に見る項目を一行ずつ並べました。担当者がそのまま転記できる形にしたため、購買確認の手間も減りました。
現場担当者は、よい資材を選びたい一方で、社内では価格の説明を求められます。営業がその橋渡しをすると、単価の安さだけで競う場面から離れやすくなります。
試し納品で見る一点
包装資材は、使ってみないと分からない部分があります。だから初回から大口契約を迫るより、試し納品で見る一点を決める方が自然です。
白石さんは、試し納品の目的を「割れ物の梱包時間を見る」にしました。商品全体の満足度を聞くのではありません。夕方の作業でどれくらい詰まりが減ったかを担当者と一緒に見ます。
一点に絞ると、試し納品後のフォローも短くなります。「使えましたか」ではなく、「割れ物の梱包で止まる時間は減りましたか」と聞けます。担当者も答えやすくなります。
試し納品の前には、見る時間帯も決めます。午前の少ない出荷では差が出なくても、夕方の集中時間なら違いが出ます。白石さんは、担当者と「翌週火曜の夕方出荷」で確認すると決めました。
見る一点と時間帯が決まると、結果の聞き方も具体的になります。作業者が迷った商品、緩衝材を切り直した回数、返品連絡の有無を聞けば、次に変える資材も選びやすくなります。
継続注文への進め方
継続注文につなげる時も、単価交渉だけで進めない方が安定します。白石さんは、初回納品後に出荷数、梱包時間、破損返品の三項目を同じ順番で確認しました。
数字を増やしすぎる必要はありません。まずは、夕方の出荷件数、梱包で止まった商品、返品連絡の有無だけを聞きます。この三点なら、現場担当者もその日の記憶で答えられます。
担当者が「夕方の割れ物は少し早くなりました」と答えたら、次は注文量の話に進めます。単価を下げる交渉から入るより、現場で変わったことを確認してから数量を決める方が納得しやすくなります。
白石さんは、最終見積で単価と梱包時間を同じ行に並べました。購買担当に出す資料でも、最安品だけを強調しません。現場が止まる時間を減らすための資材として見せました。
継続注文の相談では、次に増える出荷にも触れます。セール時期、季節商品の入荷、返品が増える月を聞くと、必要な資材量だけでなく置き場所も話せます。白石さんは、翌月のセール前に小箱と緩衝材を先に分けて置く案を出しました。
この提案は大きな変更ではありません。現場でよく使う資材を取りやすくし、迷いやすい割れ物だけ手順をそろえる小さな変更です。小さく試せるため、担当者も次の注文を決めやすくなりました。
数量の提案も、いきなり年間契約へ広げませんでした。まずはセール前の二週間分だけを区切り、足りなかった資材と余った資材を次回確認する形にしました。試した範囲が小さいほど、現場の声を次の注文に戻しやすくなります。
この積み重ねが、継続注文の根拠になります。
次の包装資材商談では、単価表を出す前に、出荷数と梱包時間を聞きましょう。 その答えから見積を組むと、価格だけの比較から現場の改善相談へ進めます。
営業Q&A
包装資材営業で価格を聞かれたら先に答えるべきですか?
お客様が最初に単価だけを確認し、他社と比べている場面です。
回答
目安は答えて構いません。そのうえで、出荷数と梱包時間も確認します。単価だけではなく、作業が止まる時間まで見ると見積の意味が伝わりやすくなります。
出荷現場を見られない時は何を聞けばよいですか?
電話やオンラインで相談を受け、倉庫を直接見られない場面です。
回答
一日の出荷数、夕方に増える件数、梱包で止まる商品を聞きます。現場を見られなくても、時間帯と商品を聞けば資材提案の起点は作れます。
現場時間から作る見積相談
包装資材営業では、単価表の前に出荷数と梱包時間を聞きます。現場の詰まりを扱うと、安さだけではない判断材料を出せます。
- 単価比較で止まる理由
- 出荷数と梱包時間の聞き方
- 試し納品で見る一点
次の見積相談では、価格表を開く前に「夕方の出荷で止まるのはどの商品ですか」と聞いてください。現場の時間が見えると、資材の選び方も絞れます。
木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント)
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