営業の商品実演では、お客様が確かめたい操作を試してもらう
自分の手で確かめる商品の使い心地
商品を実演すると、お客様から「慣れている方が使うと簡単そうですね」と言われることはありませんか? 営業担当者が手早く動かす姿だけを見ても、自分が使えるかどうかは判断しにくいものです。
営業の商品実演では、お客様が確かめたい操作を選び、本人に試してもらいましょう。途中で手が止まったら、すぐに代わって操作を終えるより、迷った箇所を尋ねてください。そこで分かる使いにくさも、商品を選ぶ時に役立ちます。
こんな人におすすめの記事です。
- 実演を見たお客様から、自分でも使えるかを尋ねられる営業担当者
- お客様の操作を待てず、途中で代わってしまう方
- 使い心地を確かめてもらう商談を練習したい方
これから一つひとつ見ていきましょう。
営業担当者の手際だけでは分からない使いやすさ
商品を扱い慣れた人は、次に押すボタンや画面の位置を覚えています。迷わず操作が進むと、お客様には便利そうに見えるでしょう。ただ、初めて使う人には、どこを見て何を選んだのかが分からないまま終わることもあります。
ここで「誰でも簡単に使えます」と説明を足しても、お客様本人の不安は確かめられません。営業側が全部操作してしまうと、お客様がどこで迷うかを見る機会を失います。使いやすさを一緒に考えるなら、操作する人を交代する時間を設けてみてください。
私のレッスンでは、プレゼン中もお客様の反応を見て、本人の感想を聞くことを大切にしています。資料を読む時間と同じように、商品を触る時間にも営業側が話し続ける必要はありません。相手が確かめている間は待ち、操作を終えてから感じたことを聞きましょう。
ただし、試してもらうこと自体は商談の目標ではありません。仕上がりだけを知りたい方には、完成したものを見てもらいましょう。自分で扱えるかが気になる方には操作を、結果を比べたい方には結果を、というように確かめ方を選んでください。
商品撮影の実演で代わってしまった操作
松本恵理さん(仮名、商品撮影用カメラを店舗に販売する法人営業担当)の架空の商談を見てみましょう。靴店の店長は、ネット販売用の写真を自分で撮れるか確かめたいと話しています。ここからは営業の対応を考えるために作った例で、特定のカメラの性能や販売実績を示すものではありません。
松本さんが見本の靴を撮影し、撮った写真を画面に出しました。店長は仕上がりを見た後、カメラを手に取ります。撮影後の写真を表示する操作で手が止まり、松本さんの顔を見ました。
松本さん「こちらを押すと写真が出ます。私がやりますね。」
店長「写真は見やすいですね。ただ、一人で撮った時に同じようにできるかが気になります。」
店長は、自分で表示できたのか、どこを押せばよかったのかを確かめられていません。手助けのつもりでも、知りたかった操作を営業側が済ませてしまったのです。
この場面では、カメラを店長に返して、途中から試してもらう対応を考えましょう。代わって操作を終えた後でも、お客様が迷ったところからやり直せます。最初からすべての機能を見せ直すより、本人が確かめたい動作に絞ってください。
松本さん「先に操作してしまいましたね。写真を表示するところを、もう一度ご自身で試していただいてもよろしいですか?」
店長「はい。撮った後、写真を見るにはどこを押すのかを覚えたいと思っています。」
松本さん「写真を表示するボタンはこちらです。押してみていただけますか?」
店長が写真を表示できたら、松本さんはカメラを受け取らず、そのまま見てもらいます。「今の操作で、迷ったところはありましたか?」と尋ねれば、店長自身の感想を聞けるでしょう。できたことを褒めて終える前に、本人がどう感じたかを確かめます。
試す範囲と手助けの了承
お客様に機器を渡す前は、何を試したいかを聞いておきましょう。商品撮影なら、撮るところを見たい人、自分で撮りたい人、撮影後の写真を確かめたい人では、準備が変わるからです。知りたい操作に絞れば、使わない機能の説明で時間を埋めずに済むでしょう。
「今日はどの操作をご自身で確かめてみたいですか?」と尋ね、返答を聞いてから準備してください。営業担当者が見せたい機能を先に並べると、お客様が選べる範囲もその中だけになってしまいます。普段の仕事で使う場面から、試したい操作を聞く順番が大切です。
操作を試す準備には、デモ用の設定やサンプルも含まれます。お客様の本番データを変更する操作は避け、どこまで触ってよいかを先に伝えましょう。機器の安全上の注意や、担当者以外が扱えない部分は、製品の説明書と社内の実演手順に従って案内します。
途中で助けがほしくなった時の声のかけ方も、渡す前に決めておくと安心です。「操作で迷ったら、お声をかけてください。手順をお伝えするか、私が代わるか、その時に相談しましょう」と伝えます。触りたくない方には無理に勧めず、見るだけで確かめられる範囲を案内してください。
手が止まった時の尋ね方
お客様の手が止まっても、理由をすぐに決めつけないようにしましょう。ボタンが見つからないのか、押した後の変化を見ているのか、操作を続けるとデータが消えないか心配なのかは、動作だけでは分かりません。迷いの中身を聞いてから手助けします。
「今、どの部分を確かめておられますか?」と聞き、相手の返答を待ってください。「分かりませんか?」と聞くより、見ている箇所を尋ねれば、相手は自分の言葉で答えられます。相手を急かさず、返答を聞く間は機器に手を伸ばさないでください。
手順を伝える時は、相手が次の動作を試せるところまでに区切りましょう。一度に最後まで説明すると、お客様は今の画面と先の操作を同時に考えなければなりません。最初の動作を試してもらい、画面や機器の変化を一緒に確かめてから続きを案内してください。
本人が操作を代わってほしいと話したら、了承を得てから代わります。その際も、どの動作を引き受けるかを伝えましょう。試したかった操作まで全部済ませず、本人が再開できるところで返せば、残りの動作を自分で確かめられます。
操作後の感想と普段の仕事との違い
操作を一度できただけで、日々の仕事でも使えると判断するのは早計です。営業担当者がそばにいる実演ではできても、一人になると手順を思い出せるか気になる方もいるでしょう。松本さんの例でも、店長が話した「一人で撮った時に同じようにできるか」は、まだ確かめたい点として残っています。
そこで「お店で一人で撮る時には、今の手順のどこが気になりそうですか?」と聞いてみてください。手順を覚えられるかが気になるなら、実演で使った案内を本人が読みながら試す方法を相談できます。撮影する商品の大きさが違うなら、今回の見本だけでは判断しにくいという話になるでしょう。
きれいな写真が撮れたからといって、すべての商品で同じ結果になると約束しないようにします。お客様が普段撮るものと見本の違いを聞き、今回確かめられた範囲を伝えてください。実演でまだ試していない条件を、確認済みの条件に混ぜると、導入後の期待と食い違います。
思ったほど使いやすくなかったという感想も、そのまま受け止めましょう。「慣れれば大丈夫です」で片づけず、どの操作が負担だったかを尋ねます。その機器が相手の仕事に合わない可能性まで含めて考えることも、お役立ちの一部です。
機器に触れずに待つ練習
私のレッスンで行う本番前のロープレも、説明を終えるところだけで区切らず、お客様役が操作する時間を入れてみましょう。営業役には実演できるサンプルを用意し、お客様役には、途中で気になる動作を一つ決めてもらいます。お客様役がどこで操作に迷うかは、営業役に事前に知らせません。
練習では、お客様役が手を止めた後の営業役を見ます。すぐに機器を取ったか、返答を待ったか、必要な部分だけ説明したかを確かめてください。説明内容を正しく言えたかだけでは、手助けのタイミングを振り返れません。
終わったら、お客様役に「助けてほしかったのは、どのタイミングでしたか?」と聞きます。営業役が助けたつもりの動作と、お客様役が望んだ手助けを比べましょう。違いがあれば、声をかけるタイミングや説明する長さを変え、同じ場面をもう一度試してください。
営業Q&A
同席者全員に操作を試してもらうべきですか?
商談に何人も同席していて、誰に機器を触ってもらうか迷う営業担当者の悩みです。
回答
全員に順番に触ってもらう必要はありません。日々使う人に操作を試してもらい、ほかの方には確かめたい点を尋ねましょう。使用者が不在なら、今日の参加者の感想だけで使いやすさを判断せず、使用者が確かめられる機会を相談してください。
機器を持参できない商談ではどうすればよいですか?
展示場所から動かせない機器を扱っていて、訪問先で実演できないという状況です。
回答
動画や写真で分かる部分と、現物でなければ確かめにくい部分を伝えます。操作の流れを映像で見ても、手の届きやすさや持った重さまでは分かりません。お客様が現物で確かめたい点を聞き、見学など可能な方法を案内しましょう。
手助けをはじめる前の声かけ
- お客様が確かめたい操作の選択
- 迷った箇所を尋ねてからの手助け
- 普段の仕事を想定した使い心地の確認
実演の準備ができたら、お客様が操作している途中で自分が手を伸ばしそうな箇所を思い浮かべてください。そこでは先に機器を取らず、相手に確かめたい点を尋ねる声かけを、サンプルを使って練習しましょう。
木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント)
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