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営業で質問が多すぎる時は一問ごとの目的を絞る

質問量より先に見る目的

商談で質問を増やしているのに、相手の答えが浅いまま終わることがあります。「課題は何ですか」「予算はありますか」「いつ決めますか」と続けるほど、相手は答える順番を失いやすくなります。

三浦健太さん(仮名、業務改善ツールの初回面談を担当する営業担当者)は、質問リストを丁寧に作っていました。ところが面談後に振り返ると、聞いた数は多いのに、次回提案で使える材料が少ないことに気づきました。

三浦さんが聞いていたのは、現状、困りごと、決裁、予算、時期、利用人数、社内説明でした。項目自体は悪くありません。ただ、一問ごとの目的が曖昧なまま続いたため、お客様は何を深く話せばよいか分からなかったのです。

営業で質問が多すぎる時は、質問数を減らす前に、一問ごとの目的を絞ります。 目的が見える質問は、相手が答える方向を決めやすくします。

この記事では、質問を増やしすぎて商談が散らかる時に、どの一問を残し、どの一問を後へ回すかを解説します。聞く量を増やす話ではありません。次に使う材料を決める話です。

この記事は、次のような営業場面に役立ちます。

  • 質問リストを使うほど会話が散らかる方
  • ヒアリング後に提案材料が薄いと感じる方
  • 一問ごとの狙いを決めて商談を進めたい方

質問が増えるほど答えにくくなる理由

質問は多ければよいものではありません。相手が考える順番に合っていない質問が続くと、会話はアンケートのような進み方になります。お客様は答えているのに、自分の困りごとを整理できません。

三浦さんは、面談の前半で七つの質問を続けていました。現状を聞いた直後に決裁者を聞き、次に予算を聞き、また課題へ戻っていました。お客様は一つずつ答えてくれましたが、話の軸は定まりませんでした。

ここで見るべきなのは、質問の良し悪しより順番です。現状を聞く一問、困りごとを深める一問、次回提案へつなげる一問。この三つを混ぜると、相手はどの話を続ければよいか迷います。

一問ごとの目的

一問には役割があります。情報を集める一問、相手の感情を出す一問、次の判断材料を決める一問です。この役割を自分の中で分けておくと、面談中に質問を足しすぎません。

三浦さんは、質問リストの横に目的を書きました。「現状を知る」「困っている作業を特定する」「次回提案の範囲を決める」。この三語を見ながら、同じ目的の質問を何度も重ねないようにしました。

たとえば「今の作業で一番時間がかかるところはどこですか」と聞いたあとに、「どんな課題がありますか」と聞くと、目的が重なります。後の質問は広すぎるため、相手はまた最初から考え直します。

目的を書いておくと、商談中に浮かんだ質問も扱いやすくなります。三浦さんは、聞きたいことをすぐ口に出す前に、今日の目的に近いかを一拍だけ見ました。近ければ聞く。遠ければメモに残して、面談後の確認や次回の冒頭に回します。

この一拍があるだけで、相手の答えを遮りにくくなります。質問が多い営業ほど、相手が考え始めた直後に次の質問を置きがちです。目的が見えていれば、相手の答えがその目的へ向かっている間は待てます。

質問の目的を一つに決めると、相手の答えも一つの方向へ進みます。

質問の目的 残す一問
現状を知る 今どの作業に一番時間がかかっていますか
困りごとを深める その作業で止まるのはどの場面ですか
次回提案を決める 次回までに確認できる範囲はどこですか

質問リストの振り返り

商談後の振り返りでは、うまく聞けたかどうかより、答えが次回提案に使えたかを見ます。三浦さんは、面談後に質問リストを三色で分けました。使えた答え、浅かった答え、聞かなくてもよかった答えです。

この振り返りで、三浦さんは予算の質問を急ぎすぎていたことに気づきました。作業の困りごとが出る前に予算を聞いていたため、お客様は金額の話だけに身構えていました。

次の面談では、三浦さんは予算を後ろへ回しました。先に「月末処理で一番人が止まる場面はどこですか」と聞き、そこで出た答えから提案範囲を決めました。質問数は減りましたが、次回に使う材料は増えました。

浅かった答えを責める必要はありません。見るのは、浅くなった理由です。質問が広すぎたのか、順番が早すぎたのか、相手の言葉を受けずに次へ進んだのか。三浦さんはこの三点だけを見直し、次の一問へ反映しました。

振り返りを一行で残すと、次の商談前にも確認しやすくなります。

小さな記録でも、質問の癖は見つけやすくなります。

答えを深める短い会話例

三浦さんは、質問を増やす代わりに、一つの答えを少し深める練習をしました。長いヒアリングシートを読む時間にしません。相手の言葉を短く受けてから次の一問へ進みます。

三浦さん「月末処理で一番時間がかかる作業はどこですか」
担当者「請求データの確認です」
三浦さん「請求データの確認ですね。入力前と承認前では、どちらで止まりますか」

この会話では、質問を二つに増やしているように見えます。しかし目的は同じです。月末処理で止まる場面を見つけることです。目的が同じなら、相手も答えを深めやすくなります。

反対に、ここで利用人数や導入時期へ飛ぶと、話は薄くなります。三浦さんは、相手が出した「請求データの確認」という言葉を使い、同じ場面の中で次の一問を置きました。

深める質問は、相手の言葉の近くに置きます。「請求データ」という言葉が出たなら、請求データの前後を聞きます。「承認」という言葉が出たなら、承認前と承認後を聞きます。別の話題へ移る前に、いま出た言葉の周辺を一段だけ見ます。

聞きすぎを防ぐ一項目

質問を聞きすぎる人は、商談前に一項目だけ決めておくと安定します。今日の面談で持ち帰る材料を一つにするのです。三浦さんの場合は「止まる作業名」を持ち帰ると決めました。

持ち帰る材料が一つなら、質問の判断が速くなります。その材料に近づく質問は残します。遠ざかる質問は後へ回します。全部聞こうとしなくて構いません。

三浦さんは、面談中に聞きたくなった質問をすべて口に出すのをやめました。まず止まる作業名を聞き、そのあと担当者が話した範囲だけを深めました。これだけで、面談後の提案書に入れる項目が整理されました。

次回提案へのつなぎ方

質問の目的が絞れていると、次回提案の約束も自然です。三浦さんは面談の最後に「次回は請求データの確認時間を減らす流れだけ見ます」と伝えました。相手が答えた場面に沿った提案です。

この一文があると、お客様は次回の意味を理解できます。導入するかどうかの前に、自分たちの月末処理がどう変わるかを見る時間になるからです。

営業側も、次回までに用意する資料が絞れます。機能一覧を全部見せなくても、請求データ、入力前、承認前の三点だけを並べればよくなります。

三浦さんは、次回提案で最初に「前回は請求データの確認が話題でした」と短く確認しました。相手の言葉から入るため、説明が始まっても押しつけに見えにくくなります。

質問を削る判断

質問を削っても、相手の話を減らす意図はありません。相手が考えやすい順番に整えるだけです。三浦さんは、導入時期、決裁者、予算の質問を消さず、困りごとが見えた後に回しました。

順番を変えると、同じ質問でも受け取られ方が変わります。困りごとが出る前の予算確認は売り込みに見えます。困りごとが出た後の予算確認は、実行できる範囲を決める相談として受け取られます。

質問の多さに悩む時ほど、聞く前に目的を短く言葉にします。現状を知る一問なのか、困りごとを深める一問なのか、次回提案を決める一問なのか。目的が曖昧なら、その質問は今日の商談から外します。

外した質問は、捨てた質問ではありません。三浦さんは商談メモの下に「後で聞く」と書き、導入時期や決裁者の確認をそこへ置きました。相手の困りごとが固まった後なら、同じ質問でも会話の流れを切りません。

この整理を続けると、質問リストは使う順番が見えるリストです。初回は現状と困りごと、次回は提案範囲、最後に実行条件。商談の段階に合わせて質問を出せます。

現場で使った後のメモも、次の改善材料です。どの一問で相手が話し始めたかを残すと、次回の聞き方を具体的に変えられます。

次の商談では、質問を増やす前に、今日持ち帰る材料を一つ決めましょう。 そこに向かう一問だけを残すと、ヒアリングは相手にとって答えやすい時間に変わります。

営業Q&A

営業で質問を減らすと聞き漏れが増えませんか?

ヒアリング項目が多く、削るのが不安な場面です。

回答

項目数をただ減らす話ではありません。その場で聞く順番です。今日持ち帰る材料を一つ決め、他の質問は次回や後半へ回すと、聞き漏れより会話の散らかりを防げます。

質問リストは使わない方がよいですか?

事前に用意した質問を全部聞こうとして、商談が長くなる場面です。

回答

使って構いません。ただし、質問の横に目的を書きます。現状、困りごと、次回提案のどれに使う一問かを見ながら、重なる質問を後へ回しましょう。

持ち帰る材料を決める質問整理

営業で質問が多すぎる時は、一問ごとの目的を見直します。聞く量を増やすより、今日持ち帰る材料を一つ決める方が商談は整います。

  • 質問が増えるほど答えにくくなる理由
  • 現状、困りごと、次回提案の役割分け
  • 商談後に使える答えを増やす振り返り

次の商談前に、今日持ち帰りたい材料を一つだけ書いてください。その材料に向かう一問を残し、重なる質問は後半へ回しましょう。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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