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営業で飲み会に行かない時は断る前に関係を残す

誘いを断っても関係を切らない返し方

取引先から飲み会に誘われた時、行かないと関係が悪くなるのではないかと迷う場面は珍しくありません。営業だから付き合いも仕事のうちだ、と考えて無理に予定を入れてしまう方もいるでしょう。

ただ、営業で飲み会に行かない判断をする時に大切なのは、参加するか断るかの二択だけではありません。相手が誘ってくれた理由を受け止め、別の形で関係を続ける姿勢です。

高橋誠さん(仮名、産業用浄水機器販売業)は、工場の設備担当者から「来週、懇親会に来ませんか」と誘われました。高橋さんは家庭の予定があり参加できませんでしたが、ただ断ると次の商談が気まずくなると感じました。

この記事では、営業で飲み会に行かない時の断り方を、相手の意図、代わりの接点、次回商談の入口から整理します。飲み会を断る場面でも、相手との関係は会話の残し方で変わります。

次のような場面で役立つ内容です。

  • 取引先との飲み会に毎回参加できず悩む方
  • 断ると関係が切れそうで無理をしやすい方
  • 商談外の誘いを営業の関係づくりに変えたい方

断る言葉だけを探す失敗

飲み会に行けない時、営業側は断り文句を探します。「予定があります」「家庭の都合があります」「またお願いします」。どれも嘘ではありません。ただ、断る理由だけを伝えると、相手が誘ってくれた理由は置き去りになります。

高橋さんも最初は、担当者に「その日は難しいです」とだけ返そうとしていました。けれど、担当者は単に人数を集めたいのではなく、現場の若手も含めて話す機会を作ろうとしていました。そこを受けずに断ると、相手の配慮に返事をしていない形になります。

営業の関係づくりでは、誘いの奥にある気持ちを見ることが大切です。相手は親しくなりたいのか、現場の声を聞かせたいのか、上司に紹介したいのか。そこを一言受けるだけで、断りは拒絶に見えにくくなります。

断る前に見るのは、自分の都合だけではありません。 相手がどんな接点を作ろうとしてくれたのかを確認します。

担当者への短い返し方

高橋さんは担当者に、「お誘いいただいてありがとうございます。今回は参加できませんが、現場の皆さんと話す機会を作ろうとしてくださったのですね」と伝えました。

担当者は「そうです。若手にも一度会ってもらえたらと思って」と答えました。高橋さんは「でしたら、次回点検後に10分だけ若手の方から使い勝手を聞かせていただけますか?」と聞きました。

この返し方では、飲み会そのものには参加していません。しかし、相手が作りたかった接点は受け取っています。担当者も、誘いを断られたというより、別の機会に置き換わったと感じやすくなります。

断る時は、参加できない理由より先に、誘ってくれた目的を一文で受けます。 その後で、代わりの接点を短く提案します。

誘いの目的を受ける会話

飲み会の誘いを受けた時、相手が求めているものは場によって違います。親睦を深めたい場合もあれば、現場担当者を紹介したい場合、上司に顔を覚えてもらいたい場合もあります。

高橋さんは、次の商談で担当者に「前回のお誘いは、若手の方とも話す機会として考えてくださっていたのですね」と言いました。担当者は「はい。現場で使っている人の声も聞いた方が早いと思ったので」と答えました。

高橋さんは「それなら、次回の納品後に若手の方へ『使いにくい点はどこですか?』と一つだけ聞かせてください」と続けました。担当者は「それなら時間を作れます」と答えました。

ここで大事なのは、飲み会に代わる場を大きく作り直さない姿勢です。10分の確認でも、相手が作りたかった接点の目的は満たせます。営業側が無理に参加しなくても、関係を前に進める接点は作れます。

参加可否と関係を分ける表

断る時の焦り 関係を残す返し方
「行けません」だけで終える 「誘ってくださった目的は受け取っています」と伝える
次の予定を曖昧にする 代わりに短い確認時間を提案する
相手の誘いを社交辞令と決めつける 誰と話してほしかったのかを聞く

参加可否と関係は分けて考えます。参加できない日はあります。けれど、相手が作ろうとした接点まで断る必要はありません。

高橋さんは、飲み会に行けない日でも、現場の若手に10分だけ話を聞く時間を作りました。そこで「フィルター交換のタイミングが分かりにくいです」という声を聞きました。この言葉が、次回の説明資料を直す入口になりました。

商談前のロープレでは、断る理由を長く話す練習をやめました。代わりに、誘いの目的を受ける一文と、次に作る短い接点だけを声に出しました。高橋さんはこの練習で、謝罪より先に相手の意図を確認する順番を体に入れました。

営業の関係づくりは、飲食の場に出ることだけで決まりません。 相手がつなごうとした人や目的を受け取り、商談に戻していくことでも関係は深まります。

次回商談に戻す一文

飲み会を断った後の次回商談では、何もなかったように本題へ入るより、短く触れた方が自然です。高橋さんは「前回は参加できず失礼しました。若手の方の使い勝手を聞く機会をいただけると助かります」と伝えました。

この一文で、断った事実と、相手の目的を受けたことの両方が伝わります。担当者も、飲み会の話を引きずらず、現場の声を聞く流れに移れます。

さらに高橋さんは、聞いた声を次回の提案に入れました。資料の冒頭に「フィルター交換のタイミングが分かりにくい」という相手の言葉を置き、交換時期を色で見分ける案を示しました。

担当者は「それなら現場にも説明しやすいです」と答えました。飲み会に行かなかったことは、関係の終わりになりませんでした。相手の誘いの目的を受け、現場の声を商談に入れたことで、むしろ次の会話は具体的になりました。

営業で飲み会に行かない日は、断る理由を整えるだけで終わらせず、次の接点まで置きます。誘ってくれた相手は、関係を作りたい、誰かを紹介したい、現場の声を聞いてほしいなど、何かの意図をもっています。

その意図を一文で受ければ、断りは冷たい返事になりにくくなります。代わりの接点は大げさでなくて構いません。10分の現場確認、次回の訪問前の電話、担当者から一つだけ声を聞く時間でも十分です。

高橋さんは、次回訪問の前日に担当者へ短いメールを送りました。「明日は若手の方が使いにくいと感じた点を一つだけ聞かせてください」と書きました。長いお詫びや近況報告を入れず、相手が作ろうとしてくれた接点を商談の目的に戻したのです。

訪問当日、若手の作業員は「交換時期が分かりにくくて、つい先延ばしになります」と話しました。高橋さんは、その場で新しい商品をすすめませんでした。「交換時期が分かりにくいのですね」と受け、「分かりにくいのは色、日付、設置場所のどこについてですか?」と聞きました。

作業員は「日付です」と答えました。高橋さんは、担当者に向けて「飲み会で皆さんと話す代わりに、今日はこの日付の見え方を確認できました」と伝えました。担当者は笑って、「それなら来てもらった意味があります」と言いました。

その日の帰り際、高橋さんは担当者に「今日は日付の見え方を次回の資料に入れます」とだけ伝えました。長く謝るより、聞いた声をどう扱うかを示したのです。担当者は、高橋さんが断った誘いを忘れたのではなく、別の形で受け止めたと分かりました。

この一連の流れで、高橋さんは飲み会に行かなかった穴を謝罪だけで埋めませんでした。相手が作りたかった人との接点を、商談の中で実際に作りました。だから、断った後の関係が薄くならず、次の提案に使える現場の言葉も得られました。

もし相手が「飲み会でしか話せない人がいる」と言った場合も、すぐ参加できない自分を責めなくて構いません。「その方に確認したい点だけ、次回までに一つ教えていただけますか」と聞けば、関係づくりの入口は残せます。

逆転営業では、相手を知る姿勢を商談の外でも大切にします。飲み会に参加するかどうかより、相手がなぜ声をかけてくれたのかを知ろうとする姿勢が、次の信頼につながります。

高橋さんは、その後もすべての誘いに参加したわけではありません。それでも、断るたびに「何のために誘ってくださったのか」を受けるようにしました。担当者から見た高橋さんは、目的を分かってくれる人に変わりました。

社内に戻った高橋さんは、商談記録にも飲み会の断り方を書きませんでした。残したのは「若手作業員の日付確認」「次回資料に表示例を追加」という二つの事実です。断った事情より、相手との接点が次の提案へどう変わったかを記録しました。

あなたも次に飲み会へ行けない時は、まず相手の誘いの目的を一文で受けてください。そのうえで、商談に戻せる接点を一つ提案すると、行かない判断をしても関係は続けやすくなります。

営業Q&A

飲み会を断ると失礼に見えませんか?

相手が親切で誘ってくれた時の不安です。

回答

失礼に見えないようにするには、誘ってくれた目的を先に受けます。「現場の方とも話す機会を考えてくださったのですね」と伝えてから、代わりの接点を提案します。

毎回別の予定を出すと避けているように見えますか?

何度か誘いを断っている場合の返し方です。

回答

予定の説明を増やすより、相手の目的に合う時間をこちらから出します。短い現場確認や次回商談前の電話など、関係を続ける行動を添えると避けている印象は弱まります。

誘いの目的を受けて残す次の接点

営業で飲み会に行かない時の返し方を解説しました。参加できない日でも、相手が作ろうとした接点の目的を受ければ、関係は切れにくくなります。

  • 誘ってくれた目的の受け止め
  • 代わりに作る短い接点
  • 次回商談で触れる一文

次に飲み会へ行けない時は、断る理由の前に相手の目的を一文で受けてください。そのうえで次回商談に戻せる接点を一つ提案すると、行かない判断をしながら関係を続けられます。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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