ご質問ご回答Q&A

営業で聞き上手になるには相づちより質問の流れを作る


相づちより次の一問で育つ聞き上手

営業で聞き上手になるには、相づちを増やすより、相手の言葉を受けた後の次の一問を整えることが大事です。

聞く営業が大事だと分かっていても、実際の商談では難しいものです。相手が話してくれたのに、次に何を聞けばよいか分からない。うなずきながら聞いていたつもりでも、会話が深まらない。そんな悩みはありませんか。

聞き上手は、黙っている人ではなく、相手が自分の考えを少し深く話せるように一問を置ける人です。

この記事では、営業で聞き上手に見られるための相づち、受け止め、次の一問の整え方を解説します。話術を増やすより、聞いた後の順番を変えていきましょう。

次のような方に向けた内容です。

  • 相づちはしているのに会話が深まらない方
  • 相手の返答後にすぐ説明へ戻ってしまう方
  • 質問が尋問のように見えないか不安な方
  • 営業初心者として自然な聞き方を身につけたい方

聞いているのに深まらない理由

営業で聞いているつもりなのに会話が深まらない理由は、相づちの量だけを増やしているからです。「なるほど」「そうなのですね」「分かります」と返しても、その後に相手が考えを広げる一問がなければ、会話はそこで止まります。

相手の話を聞くことは、相手の言葉をただ受け取るだけではありません。相手自身もまだ整理できていない考えを、もう一段だけ言葉にしてもらうことです。

聞き上手な営業は、相手の言葉の中にある引っかかりを見ています。価格が気になると言ったのか、失敗が怖いと言ったのか、社内で説明しにくいと言ったのか。同じ「不安です」でも、次に聞く一問は変わります。

聞き上手になる第一歩は、相手の返答を急いでまとめず、どこをもう少し話してもらうかを選ぶことです。

増やしすぎると逆効果な相づち

相づちは大切です。ただし、多ければ多いほど良いわけではありません。相手が一文話すたびに大きく反応すると、かえって急かされているように感じます。

特に営業側が焦っている時は、相づちが速くなります。相手がまだ言葉を探しているのに「はい、はい」と重ねると、相手は話を閉じてしまいます。

相づちは、話を聞いている合図であり、次に話す許可を渡すためのものです。大きく盛り上げるためではありません。落ち着いた声で一度受け、少し待ってから次の一問を置く方が、相手は続けやすくなります。

相づちは会話を埋める道具ではなく、相手が次の言葉を出しやすくする間合いです。

聞き上手を妨げる三つの癖

聞き上手になりたい人ほど、まず避けたい癖があります。性格を変える必要はありません。会話の順番を少し整えるだけで、聞かれ方は変わります。

すぐ要約する癖

相手が話した直後に「つまりこうですね」とまとめたくなることがあります。要約は便利ですが、早すぎると相手はまだ話したいことを閉じられたように感じます。

まずは「そこが気になっていたのですね」と受け止めます。要約は、相手がもう少し話した後で十分です。

すぐ解決する癖

役に立ちたい気持ちが強い人ほど、相手の悩みにすぐ解決策を返します。けれど、相手はまだ状況を話している途中かもしれません。

解決策を出す前に、「その状態はいつから続いていますか」「一番困るのはどの場面ですか」と聞くと、相手の言葉が増えます。

次の質問を準備しすぎる癖

質問リストを持っていると安心できます。ただ、次に聞く項目ばかり見ていると、今の相手の言葉を聞き逃します。

質問はリストの順番ではなく、相手の言葉から選びます。質問リストは支えとして使い、会話の主導権は相手の言葉に置きます。

相手の言葉から一問を作る場面

これまで数多くの商談に立ち会ってきました。聞き上手に見える人は、特別に話術がうまいというより、相手の言葉を一つ拾うのが上手です。

Cさん(コンサルティング業の一人社長)は、相づちが丁寧な人でした。ただ、商談では相手の話を聞いた後に自分の説明へ戻ることが多く、相手の本音が深まりにくい状態でした。

そこで、説明へ戻る前に、相手の言葉から一問を作る練習をしました。

営業側: 今の話で「社内で説明しづらい」とおっしゃいましたよね。

相手: はい、そこが少し引っかかっています。

営業側: 説明しづらいのは、費用のことですか。それとも、導入後に何が変わるかの部分ですか。

相手: 導入後の変化ですね。上司にそこを聞かれそうです。

営業側: では、今日は機能の説明より、上司の方に見せる変化の材料を先に整理した方がよさそうです。

相手: そうですね。それなら聞きたいです。

この会話では、相づちを増やしていません。相手の言葉を拾い、二択にして、次に聞く場所を整えています。これだけで、営業側の説明ではなく相手の判断材料へ話が進みました。

聞き上手な営業は、相手の言葉を飾らず、次に考えやすい形へ小さく分けます。

ロープレで練習するなら、うまい相づちより、相手の一語から次の一問を作る練習が役立ちます。

次の一問を作る三つの型

次の一問は、難しく考えなくて大丈夫です。相手の言葉を受けて、次のどれかに分けます。

一つ目は、具体化です。「たとえば、どの場面でそう感じますか」と聞きます。相手の言葉が抽象的な時に使います。

二つ目は、理由確認です。「なぜそこが気になっていますか」と聞きます。相手の判断基準を知りたい時に使います。

三つ目は、意味確認です。「ということは、今いちばん整理したいのはその部分でしょうか」と聞きます。相手の話を次の行動へつなげたい時に使います。

この三つを持っておくと、相づちの後に説明へ戻りにくくなります。相手の話を受け、具体化、理由、意味のどれかへ進めればよいからです。

次の一問があると、聞く営業は受け身ではなく、相手の思考を助ける時間になります。

聞き上手に見える商談後半

商談後半では、相手の話を聞くだけでなく、今どこまで納得しているかを確認します。ここでいきなり申込みや契約へ進むと、聞いていた印象が一気に薄くなります。

使いやすい一問は、「ここまで聞いて、どの部分が自分に近いと感じましたか」です。相手が近い部分を話せば、そこを深めます。遠い部分を話せば、提案を調整します。

相手が「良さそうです」と言った時も、そのまま進めず、「どこが良さそうだと感じましたか」と聞きます。相手の言葉で良さが出れば、納得は深まります。

聞き上手な営業は、最後まで相手の言葉を中心にします。前半だけ聞いて後半で一気に売るのではなく、相手の感じたこと、考えたこと、次に確認したいことを順番に聞きます。

商談後半の聞き方で、聞き上手が本物かどうかが伝わります。

一人社長が今日から直せる聞き方

一人社長は、営業担当者と経営者を同時に担っています。だから商談中に、売上、納期、利益、実務対応まで頭に浮かびます。その状態で聞き上手になろうとすると、つい頭の中で次の説明を準備してしまいます。

今日から直すなら、相手が話した直後に三秒だけ待ちます。長く黙る必要はありません。三秒待ってから、相手の言葉を一つ拾います。「社内説明のところですね」「費用より続けられるかが気になっているのですね」のように返します。

その後に、具体化、理由確認、意味確認のどれかを一問だけ置きます。これだけで、聞いている印象は大きく変わります。

聞き上手は、生まれつきの性格ではありません。相手の言葉を受ける間合いと、次の一問の作り方で育ちます。話すのが得意ではない人ほど、この順番を持つと商談が楽になります。

最初から完璧に聞こうとしなくて大丈夫です。次の商談では、相づちを一つ減らして、相手の言葉から一問作ることだけを試してください。

練習する時は、実際の商談でよく聞く言葉を三つ書き出します。「高いですね」「少し考えます」「社内で相談します」のような言葉です。その横に、すぐ説明へ戻る返しではなく、もう一段聞く一問を書きます。

たとえば「高いですね」には、「何と比べて高く見えていますか」と書きます。「少し考えます」には、「考えるとしたら、費用、時期、効果のどれが一番大きそうですか」と書きます。「社内で相談します」には、「どなたへ説明する時に、どの部分が伝えにくそうですか」と書きます。

この練習は、台本を丸暗記するためではありません。相手の言葉を聞いた後に、説明ではなく一問へ移る癖を作るためです。手元に三つだけ戻り先があると、本番で焦っても会話を深める場所へ戻りやすくなります。

商談後には、相手の言葉から作れた一問を一つだけ振り返ります。うまく聞けた一問があれば残し、説明へ急いだ場面があれば次回の一問に直します。この小さな見直しを続けると、聞き上手は感覚ではなく実務として育っていきます。

次回連絡でも同じです。新しい説明を足す前に、前回相手が使った言葉を一つ拾い、「その後、その点は少し整理できましたか」と聞きます。前回の言葉を覚えていること自体が、聞いていた証拠になります。

営業Q&A

聞き上手になるには相づちの種類を増やした方がよいですか?

相づちの言葉が少なく、会話が単調に見えないか心配です。

種類を増やせば聞いている感じが出るのか迷います。

回答

相づちの種類を増やすより、相づちの後に何を聞くかを整える方が大切です。相手の言葉を一つ拾い、具体化、理由確認、意味確認のどれかへ進めてください。

相づちは入口です。その後の一問で相手の考えが深まれば、聞いてもらえた感覚は自然に残ります。

聞き上手を育てる相づちと一問

次の商談では、相づちを増やす前に、相手の言葉を一つ拾って具体化、理由確認、意味確認のどれかを聞いてください。聞き上手は黙ることではなく、相手がもう一段話しやすくなる一問を置くことで育ちます。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

最新記事 by 木村 守(逆転営業アカデミー 営業スキルUPコンサルタント) (全て見る)

 
営業適正