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営業紹介依頼は名前を聞く前に成果確認から入る

紹介先の名前より先に聞く成果

営業紹介依頼で、いきなり「どなたかご紹介いただけませんか」と聞いてしまう人がいます。契約後の関係がよいほど、紹介をお願いしてもよい気がするからです。

水野達也さん(仮名、オフィス家具販売の営業担当者)は、納品後のフォローで紹介依頼を急いでいました。お客様が「椅子を替えて楽になりました」と言うと、水野さんはすぐ「同じように困っている方はいませんか」と聞いていました。

お客様は笑顔でしたが、「考えておきます」と答えました。水野さんは、紹介を断られたとは思いませんでした。ただ、その後に名前が出ることはほとんどありませんでした。

営業紹介依頼は、紹介先の名前を聞く前に今のお客様の成果確認から入ります。 お客様が何に助かったのかを自分の言葉で話せていない段階で名前を求めると、紹介は負担に見えます。

この記事では、紹介依頼を急がず、成果確認から自然に次の人を浮かべてもらう進め方を解説します。先に成果を聞くと、紹介はお願いではなく、同じ困りごとを持つ人へのお役立ちに近づきます。

この記事は、次のようなフォローアップの悩みに役立ちます。

  • 紹介をお願いしても相手が名前を出しにくそうな方
  • 納品後の成果確認を売り込みに見せたくない方
  • 既存のお客様との関係を崩さず紹介につなげたい方

名前を急ぐ紹介依頼

水野さんの紹介依頼が詰まっていたのは、聞く順番です。お客様が喜んでいる場面で、すぐ別の人の名前に移っていました。営業側には自然でも、お客様には少し早く感じられます。

お客様は、誰かを紹介する前に、自分が何に助かったのかを整理します。椅子を替えて楽になったのは、腰の痛みが減ったからなのか、作業に集中しやすくなったからなのか、来客時の印象が変わったからなのか。ここが言葉になっていないと、紹介する相手が浮かびにくいです。

水野さんは、紹介依頼の前に「今回、椅子を替えて一番変わったのはどの場面でしたか」と聞くようにしました。

お客様は「午後の会議後に腰を気にする人が減りました」と答えました。水野さんは「午後の会議後ですね」と受けました。ここで初めて、誰に役立つ話かが見えてきます。

成果確認から入る理由

紹介依頼は、営業担当者のためだけに行うと重たく見えます。相手は、名前を出した後に自分の関係がどう扱われるかも気にします。

成果確認から入ると、お客様は自分の変化を言葉にできます。水野さんは「導入前と比べて、社員の方の反応で覚えている言葉はありますか」と聞きました。

お客様は「長時間座っても集中しやすい、と言っていました」と答えました。水野さんは、この言葉をそのまま受け、「長時間座っても集中しやすい、ですね」と確認しました。

お客様の成果の言葉が出てから紹介先を聞くと、紹介の理由が相手の中で作られます。 営業側が便利な紹介先を探すのではなく、同じ困りごとを持つ人を一緒に探す流れです。

振り返りで見る聞き漏れ

水野さんは、紹介依頼の後に毎回振り返りをしました。見るのは、名前を聞けたかどうかではありません。成果、変化、次に役立つ人の順番で聞けたかを見ます。

成果は、何が良くなったかです。変化は、誰の仕事や体の負担が変わったかです。次に役立つ人は、その変化を必要としそうな相手です。

ある日、水野さんは成果を聞かずに「他部署でも困っていませんか」と聞いていました。お客様は「どうでしょう」と答えました。振り返ると、他部署を聞く前に、今の部署で起きた変化を聞けていませんでした。

次回、水野さんは「今回の椅子で、総務として説明しやすかった点はどこでしたか」と聞きました。お客様は「社員の声を上司に伝えやすかったことです」と話しました。

水野さんは、その言葉を聞いてから紹介先の候補を考えました。社員の声を上司に伝えやすい。この成果なら、別部署の総務担当者にも役立つ可能性があります。そこで「社員の声を上司に伝えやすい、という点で近い悩みを持つ部署はありますか」と聞きました。

この聞き方に変えてから、水野さんの振り返りは受注後の反省会ではなくなりました。お客様が喜んだ言葉を確認し、次に役立つ相手を探す準備になりました。

振り返りでは、紹介先の数ではなく、紹介する理由になる成果の言葉を聞けたかを見ます。

紹介をお願いする前の一文

成果の言葉が出たら、紹介依頼の一文も変わります。水野さんは「どなたかいませんか」と聞く代わりに、相手の成果を使いました。

水野さんは「午後の会議後に腰を気にする人が減った、という点で同じように困っている部署はありますか」と聞きました。

この聞き方なら、お客様は名前を探す前に場面を浮かべられます。紹介先を出すかどうかも、お客様の判断に任せられます。

お客様は「別フロアの企画部も長時間会議が多いです」と答えました。水野さんはすぐ担当者名を聞かず、「企画部も長時間会議が多いのですね」と受けました。

紹介依頼の入口では、名前より場面を聞きます。場面が出てから、つなぎ方を相談します。

紹介依頼の言葉の違い

次の表は、水野さんが直した紹介依頼の言葉です。相手の成果確認を挟むだけで、同じ紹介依頼でも受け取り方が変わります。

詰まりやすい依頼 進めやすい依頼
どなたか紹介していただけませんか 今回の成果と同じ悩みを持つ方はいますか
他部署にも声をかけてください 同じ長時間会議で困る部署はありますか
担当者名を教えてください つなぐならどの形が相手に失礼が少ないですか

紹介後の関係を守る確認

紹介先の候補が出ても、すぐ名前を聞かない方がよい場面があります。お客様が相手との関係を気にしている時です。

水野さんは「企画部の方にお声がけいただくなら、先に何を伝えると負担が少なそうですか」と聞きました。

お客様は「売り込みではなく、椅子の相談なら大丈夫です」と答えました。水野さんは「椅子の相談ですね」と受けました。

この確認を入れると、お客様は紹介後の関係を想像しやすくなります。営業側も、紹介先に最初から商品説明を広げず、相談の入口を守れます。

紹介後の関係を守るには、つなぎ方をお客様と一緒に決めます。

短いロープレで整える順番

水野さんは、紹介依頼のロープレを名前から始めない形で練習しました。相手役が「座っている時間が楽になりました」と言いました。水野さんは「座っている時間ですね」と受けました。

続けて水野さんは「どの時間帯で一番違いを感じましたか」と聞きました。相手役が「夕方前の打ち合わせです」と答えたら、水野さんは「夕方前の打ち合わせですね」と短く受けました。

その後で「同じように午後の会議後で困っている部署はありますか」と聞きました。これで、成果確認、場面確認、紹介候補の順番が体に入ります。

本番では、この文をそのまま読む必要はありません。相手が出した成果の言葉を受け、その言葉から次の場面を聞きます。

水野さんは、この練習を一回30秒に区切りました。長く話す練習にすると、またお願いの言葉が先に出るためです。短い練習で、成果を受ける一言だけを先に固定しました。

紹介依頼を断られた後の見方

紹介依頼をして「今は浮かびません」と言われることもあります。そこで落ち込む必要はありません。相手が紹介したくないのではなく、その場ですぐ候補が出ないだけかもしれません。

水野さんは「承知しました。今回の成果で、社内の誰かに話しやすい点だけ教えていただけますか」と聞きました。

お客様は「腰の負担が減ったことなら話しやすいです」と答えました。水野さんは、その言葉を次回フォローの入口にしました。

紹介がその場で出なくても、成果の言葉が残れば次につながります。次回の連絡では「腰の負担が減ったという点で、その後ほかに反応はありましたか」と聞けます。

水野さんは、断られた後の連絡も変えました。以前は数週間後に「その後いかがでしょうか」と送っていました。今は「腰の負担が減ったという点で、ほかの席でも話題になりましたか」と聞きます。前回の成果に結びつけるため、相手は答えやすくなります。

紹介依頼で断られたように見える時ほど、成果確認に戻ります。名前を追うより、相手が話しやすい成果をもう一度聞く方が、関係を傷つけずに次の会話を作れます。

営業紹介依頼は、名前を取る作業ではありません。お客様が体験した成果を確かめ、同じ困りごとを持つ人に役立つ可能性を一緒に見る時間です。

営業Q&A

紹介依頼は契約直後にしてもいいですか?

契約後に関係が良いと感じた場面です。

回答

契約直後より、成果を確認できた後の方が自然です。お客様が何に助かったかを自分の言葉で話せると、同じ困りごとを持つ相手の候補を挙げやすくなります。

紹介先の名前を出してもらえない時はどうしますか?

お客様がすぐ候補を挙げられない場面です。

回答

名前を追わず、成果の言葉を聞きます。「今回の成果で話しやすい点はどこですか」と聞くと、次回のフォローで紹介につながる場面を見直せます。

フォローで見つける次の相談

営業紹介依頼で名前を急がない進め方を解説しました。お客様の成果、変化、同じ困りごとを持つ相手の順番で聞くと、紹介の理由が相手の中で見えやすくなります。

  • 名前より先に聞く今回の成果
  • 同じ困りごとを探す場面確認
  • 紹介後の関係を守るつなぎ方

次のフォローでは、紹介先を聞く前に「今回一番変わった場面はどこでしたか」と聞いてください。相手の成果の言葉を受けてから、同じ困りごとを持つ人がいるかを一緒に見ましょう。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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