ご質問ご回答Q&A

営業の接客がうまくいかない一人社長へ|質問だけで来店客が常連になる3つのコツ



サロンや整体院、ショップを営む一人社長から「来店してくれたのに、その場かぎりで終わってしまうのです」というご相談をよくいただきます。接客と営業を切り離して考えていることが原因です。
来店客に商品やサービスをすすめる場面は、まさに営業そのもの。それなのに「商品の魅力を伝えれば買ってくれる」という思い込みで、お客様が本当に欲しいものを聞き逃しているのです。接客の中にこそ、売り込まずに買ってもらう「逆転営業」の出番があります。
この記事を読んでいただくことで、来店客が自然と常連になっていく接客の流れがつかめます。最後までご覧ください。



こんな人におすすめの記事です。

  • 来店客が一度かぎりで戻ってこない
  • 商品説明をしているのに反応が薄い
  • 売り込みたくないけれど売上は伸ばしたい

これから一つひとつ見ていきましょう。



接客がうまくいかない一人社長によくある勘違い



来店型ビジネスの一人社長によく見られる勘違いがあります。「接客は営業ではない」と考えていることです。来店してくれたお客様には、笑顔で迎え、商品の特徴を説明し、購入を待つ。これが多くの方の接客スタイルです。



けれども、お客様の側からすると、説明された情報をそのまま受け取って判断しているだけ。自分が本当に求めているものに気づくきっかけが、ほとんどないまま店を出ていくことになります。あなたも、自分が客の立場で訪れた店で、店員さんの説明を一通り聞いて「いったん検討します」と言って出てきた経験はありませんか?



私は22年間で1,000件以上の商談を経験し、1,000人を超える営業相談を受けてきました。来店型の業種から相談に来られる方が共通しておっしゃるのは「接客は得意なつもりだったのに、売上にはつながらない」という悩みです。



説明する接客と、質問する接客



従来の接客は、商品の特徴やキャンペーンを店員側から説明するスタイルでした。けれども今のお客様は、来店前にスマホで情報を集め終えています。店員からの説明を必要としていないのです。



そのなかで成果を出しているのは、お客様にしゃべってもらう接客に切り替えた一人社長です。理想の会話配分は「お客様が8割、店主が2割」。流暢に話す必要はありません。話術も雑学も社交性もいりません。質問さえ正しくできれば、来店客は自分の欲しいものを自分で言葉にしていきます。



来店客が常連になる接客の3つのコツ



来店客が「またここに来たい」と思う接客には、共通する流れがあります。次の3つのコツを順番に押さえてください。



  1. お役立ちの姿勢で迎える
  2. 店主の役割は「売る人」ではなく「困りごとを一緒に解決する人」だと心得ること。最初の挨拶ひとつで、お客様の警戒心は大きく変わります。

  3. 質問でお客様の本音を引き出す
  4. 「たとえば?」「なぜ?」「ということは?」の3つの質問で、お客様自身に欲しい理由を言葉にしてもらいます。説明はあとまわし。

  5. テストクロージングで意思を確認する
  6. 「どのように感じられますか?」と聞いて、お客様の準備ができているかを確かめる。決めるのはお客様自身です。



1. お役立ちの姿勢でお迎えする



接客の第一歩は、堂々とした姿勢でお客様を迎え入れることです。低姿勢すぎる接客は、かえってお客様を不安にさせます。卑屈になる必要はありません。あなたは「売る人」ではなく「お客様の悩みに寄り添うアドバイザー」だからです。



たとえばサロンを営むAさん(エステ業の一人社長)は、来店客に「いらっしゃいませ」と言ったあと、すぐに商品の話を始めていました。私は、こう聞いてみるようにとお伝えしました。「今日はどういうお気持ちでお越しくださったのですか?」



するとお客様は、肩こりがひどいとか、肌の調子が気になるとか、自分から悩みを話しはじめます。Aさんは「こんなに早くお客様の本音が出るとは思わなかったです」と驚いておられました。挨拶の直後にひとこと質問を添えるだけで、接客の質が変わります。



お役立ちの精神は、最初から完璧に持てるものではありません。お客様の喜びの声を聞くたびに、内側から段階的に湧き上がってくるものです。まずは「目の前のお客様のお役に立とう」と意識するところから始めてください。



2. 質問でお客様の本音を引き出す



来店客にとって、自分の欲しいものははっきりわかっていないことが多いものです。「なんとなく良さそうだから来てみた」「友人に勧められて」など、入り口は曖昧。だからこそ質問で、現状から欲求、課題、解決策まで段階的に引き出していきます。



使う質問はシンプルです。

  • 「最近、どのようなことが気になっていらっしゃいますか?」(現状)
  • 「そういうなかで、本当はどうなりたいとお考えですか?」(欲求)
  • 「たとえば、どのような場面で困られていますか?」(課題)
  • 「ということは、どんな解決策が合いそうですか?」(解決策)



整体院を営むBさん(整体業の一人社長)は、これまで来店客の症状を聞いたらすぐに施術メニューの説明に入っていました。質問の順番を変えてからは、お客様の方から「来月もまた来ていいですか?」と言ってもらえるようになり、リピート率が約1.5倍になったとうれしそうに話してくれました。質問は誘導するためではなく、相手のことを知るためにあります。



質問のあいだは、必ず共感をはさんでください。「なるほど」「そうなのですね」とうなずきながら聞くだけで、お客様はもっと深い話を打ち明けてくれます。営業の3つのステップは「好意→質問→共感」。このサイクルを丁寧に回していきましょう。



3. テストクロージングで意思を確認する



来店客の話を十分に聞いたら、テストクロージングに入ります。「どのように感じられますか?」「ご検討されるとしたら、どのプランがイメージに合いますか?」とたずねてみてください。テストクロージングは契約を迫る技術ではなく、相手の意思を確認するためのひと言です。



ここで大切なのは「売らないと決める勇気」です。お客様にまだ迷いがあるなら、無理に決めさせない。タイミングを待つ。これは消極的な姿勢ではなく、お客様への最大の誠意であり、結果として長期的な信頼につながります。



あるカフェ業の一人社長は、来店客に新メニューの導入をすすめるとき、即決を求めずに「今日はゆっくりお考えになってください」とだけお伝えしていました。すると後日、お客様の方から「あの時の話、お願いしたいのですが」と連絡が入ることが何度もあったそうです。引く勇気が、押す勇気を上回る場面は接客にも確かにあります。



常連を増やす接客と、一度きりで終わる接客の違い



来店型ビジネスの現場で、常連を増やしている店主と、一度きりで終わってしまう店主の違いはどこにあるでしょうか。私が現場で見てきた違いを並べます。



  • 商品説明から入るのが「一度きりで終わる接客」|お客様の現状を聞くことからはじめるのが「常連を増やす接客」
  • お客様の言葉をスルーするのが「一度きりで終わる接客」|お客様の言葉を一字一句大切にメモするのが「常連を増やす接客」
  • 一方的に話すのが「一度きりで終わる接客」|お客様の言葉を使って提案するのが「常連を増やす接客」
  • 押して決めさせるのが「一度きりで終わる接客」|テストクロージングで意思確認するのが「常連を増やす接客」
  • 会計後に連絡しないのが「一度きりで終わる接客」|成果確認の連絡を仕組み化しているのが「常連を増やす接客」



違いを生んでいるのは、トーク力でも雑学でもありません。お役立ちの姿勢と、質問の順番。これだけです。コミュニケーションに苦手意識をもっている方が約60%、自分のコミュニケーション力は不十分だと感じている方が90%以上というデータもあります。けれども質問する力は何歳からでも伸ばせます。今日の接客から、一つずつ取り入れてみてください。



営業Q&A



●質問 来店客がすぐ「考えます」と帰ってしまうのです

WEBデザイン業の一人社長です。最近、店舗に併設した相談スペースで来店客に提案する機会が増えました。けれども、商品やプランの説明をしている途中で「いったん家で考えます」と帰られてしまうことが続いています。

私の説明が長いのか、押しが弱いのか、原因がわかりません。アドバイスをいただけますと助かります。



● 回答

説明の長さや押しの強さの問題ではないと思います。ポイントは3つあります。

  1. 説明よりも質問を先にする
  2. お客様の言葉をそのまま使って提案する
  3. 「考えます」と言われても落胆しない



なぜなら、お客様の頭のなかには「自分が本当に何を求めているか」がまだ言葉になっていないからです。説明を浴びせると、お客様の思考は止まってしまい、「とりあえず帰って整理したい」となります。質問を先にすると、お客様自身が頭のなかを整理してくれるため、その場で前に進みやすくなります。



「考えます」と言われたら、それは「準備ができていない」というお客様からのサイン。引いて待つのが正解です。後日「先日のお話、いかがでしたか?」と連絡を入れる流れを仕組み化しておくと、自然な再来店につながります。一番大切なのは、お客様が安心してしゃべれる空気をつくることではないでしょうか。



まとめ

来店客が常連になる接客のコツを解説しました。いかがでしたか? 接客のなかにある「質問」の力がつかめたはずです。
今日からはじめる接客の3つのコツ

  • お役立ちの姿勢でお迎え
  • 質問でお客様の本音を引き出す対話
  • テストクロージングでの意思確認

焦って商品を売り込んでもうまくいきません。
まずはひとつ目の質問から、お客様の本音を聞くところからはじめましょう。
応援しています。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
営業適正