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営業で緊張する日は最初の一問を短く決める


初回商談前に呼吸が浅くなる日の整え方

商談開始の五分前、資料は開いているのに最初の言葉だけが決まらない。営業で緊張する日は、準備不足よりも、失敗したくない気持ちが先に立って体が固くなります。

この状態で説明を足すと、安心するのは営業側だけになりがちです。相手はまだ今日の関心を話していないのに、こちらの台本だけが先へ進みます。

必要なのは、緊張を消す方法ではなく、緊張したまま相手へ渡せる短い一問です。声を整え、姿勢を作り、最初に聞く言葉を一つに絞ると、商談の入口は少し静かになります。

この記事では、初回商談前に呼吸が浅くなる一人社長が、話す量を増やさず相手の言葉を受け取るための準備を扱います。

緊張が強くなる入口

緊張が強くなる入口は、多くの場合、商談そのものではありません。商談の前に、成功させなければいけないと考えすぎる時間です。相手が何を聞いてくるか分からない。価格を出した時に顔が曇るかもしれない。最初の挨拶で変に見られるかもしれない。この想像が先に走ります。

すると、営業側は準備を増やします。説明する順番を細かく作り、資料のページを何度も確認し、相手が聞きそうな質問への答えを足していきます。準備自体はよいことです。ただ、緊張したまま説明だけを増やすと、相手の反応を見る余裕が減ります。

商談の入口で必要なのは、完璧な説明ではなく、相手が今日何を確かめたいかを聞くことです。相手の関心が見えれば、こちらの説明も短くできます。逆に、相手の関心を聞かずに話しはじめると、緊張した営業側の都合で商談が進みます。

緊張している時ほど、自分の出来を見がちです。声が震えていないか、顔が固くないか、言葉が詰まっていないか。けれど、営業は自分をきれいに見せる場ではありません。相手の状況を知り、お役に立てる場所を一緒に探す場です。

この見方に変えると、緊張の扱い方も変わります。自分を落ち着かせるためだけではなく、相手が話しやすい入口を作るために準備するのです。

最初の一問を短くする理由

緊張する人ほど、最初の一言を長く作りがちです。本日はお忙しいところありがとうございますから始まり、自己紹介、サービス説明、実績、今日の流れまで一気に話します。本人は丁寧に始めているつもりでも、相手はまだ自分の話をする準備ができていません。

最初の一問は、短い方が相手に渡りやすいです。今日は何を一番確かめたいですか。いま気になっているのは費用ですか、それとも使う場面ですか。前回のお話から変わった点はありますか。この程度で十分です。

短い一問にする理由は、緊張した営業側が話しすぎないためだけではありません。相手が自分の関心を言葉にしやすくするためです。質問が長いと、相手は何に答えればよいか迷います。答えにくい質問は、会話の最初で小さな負担になります。

最初の一問は、相手が一息で答えられる長さにします。

商談の始まりは、営業側の緊張を見せない時間ではなく、相手の今日の関心を受け取る時間です。

この一問を決めておくと、商談前の準備も軽くなります。資料を全部覚えようとしなくても、まず相手の関心を聞けばよい。そう思えるだけで、早口になる入口を一つ減らせます。

声と姿勢で変わった初回商談

私が営業相談の現場で見てきた中でも、緊張が強い人は、準備不足の人ではありません。むしろ丁寧に準備しています。問題は、準備した内容を全部出そうとして、相手を見る時間がなくなることです。

Aさん(研修業の一人社長)は、初回商談の前にいつも台本を作っていました。ところが本番になると、台本を思い出すことに集中してしまい、相手の返事が短くなっても説明を続けていました。相手は悪い反応ではありませんでしたが、相談というより説明会の空気になっていました。

そこで、台本を短くしました。最初に言うのは挨拶と一問だけです。声も少し低めにし、椅子へ深く座りすぎず、相手の返事を待つ姿勢を作りました。実際のロープレでは、次のように変えました。

営業側: 今日はありがとうございます。最初に一つだけ伺うと、今日いちばん確かめたいのは内容ですか。それとも続けられるかどうかですか。

相手: 続けられるかですね。忙しい時期に時間を取れるかが不安です。

営業側: そこなのですね。では内容の説明より先に、忙しい時期でも無理が出にくい進め方から確認しましょう。

この短いやり取りで、商談は営業側の説明から、相手の不安を一緒に見る時間へ変わりました。Aさん自身も、全部を話さなくてよいと分かり、声の震えが少し落ち着きました。

緊張する人ほど、最初に話す量を減らし、相手の一言を待つ形にした方が商談は安定します。

本番前の30秒準備

緊張を扱う準備は、長くなくてかまいません。商談前の30秒で、声、姿勢、一問を確認します。まず、口を閉じたまま鼻から息を吸い、ゆっくり吐きます。声を大きくするためではなく、言葉の出だしを急がないためです。

次に、座り方を整えます。背中を丸めて資料に近づきすぎると、自分の準備ばかり見てしまいます。体を少し起こし、相手の顔と資料の両方が見える位置にします。対面なら真正面で押し合うより、少し斜めに座るだけでも圧が下がります。

最後に、最初の一問を声に出さず口の中で確認します。今日いちばん確かめたいのは何ですか。これだけで十分です。余裕がある日は、費用ですか、それとも使う場面ですか、のように二択にしてもよいです。

30秒準備の目的は、緊張を消すことではありません。緊張したままでも、相手を見る順番へ戻ることです。準備が長すぎると、また自分の出来に意識が戻ります。短く決めて、商談へ入ります。

本番前に整えるのは気合いではなく、急がず聞くための声と姿勢です。

相手の返事を待つ間

最初の一問を置いた後に難しいのは、相手の返事を待つ時間です。緊張していると、相手が少し考えただけで、質問が悪かったのではないかと感じます。そして補足説明を足したくなります。

ここで補足を足すと、相手が考えていた答えが出にくくなります。相手は答えを探していたのに、営業側が次の説明を始めてしまうからです。沈黙が怖い時ほど、心の中で3つ数えてください。3秒だけ待つと、相手が自分の言葉で話しはじめることがあります。

待つ時の表情も大事です。無理に笑顔を作る必要はありませんが、相手の言葉を受け取る顔で待ちます。うなずきすぎると急かして見えることがあります。小さく一度うなずき、相手の目線が戻るのを待つくらいで十分です。

相手が答えたら、すぐ提案に行かず、短く返します。続けられるかが気になるのですね。費用そのものより、社内で説明しやすいかですね。この返しがあると、相手は聞いてもらえたと感じやすくなります。

営業側が緊張しているかどうかより、相手が話しやすいかどうかを見る。そこへ意識を移すだけで、商談中の焦りは扱いやすくなります。

緊張後の振り返り

商談が終わった後は、緊張していた自分を責めないことです。声が震えた、言葉に詰まった、説明が少し飛んだ。そうした反省は出てきますが、それだけでは次に使えません。

振り返る場所は、相手の言葉が増えたかどうかです。最初の一問で相手が何を話したか。こちらが待った時に、もう一言出たか。相手の返事を短く返してから質問できたか。この3つを見ると、緊張の中でもできた行動が分かります。

もし相手の言葉が増えなかったなら、質問が大きすぎた可能性があります。今日どうされたいですか、では広すぎたのかもしれません。費用と進め方なら、どちらが気になりますか、のように小さくできます。

また、商談の途中で早口になったなら、次回は資料を開く前に一問置くと決めます。資料を見た瞬間に説明へ戻る癖がある人は、資料の一ページ目に頼りすぎない準備が必要です。

緊張した日の振り返りは、うまく話せたかではなく、相手の言葉を増やせたかで見ます。

次回に見る小さな合図

次回の確認では、成果だけを見ないようにします。契約になったかどうかだけを見ると、緊張は毎回大きくなります。まず見る合図は、相手が最初より長く話したかどうかです。

相手が一文でも長く話したなら、入口は悪くありません。質問が相手に届き、考える時間を渡せています。反対に、はい、そうですね、だけが続くなら、質問の幅をさらに小さくします。

見る合図を決めておくと、緊張中でも戻る場所があります。声が震えたかどうかではなく、相手の言葉が増えたかを見る。説明を全部言えたかどうかではなく、相手の今日の関心を聞けたかを見る。

この見方は、一人社長にとって特に大事です。自分ひとりで営業していると、商談の失敗が人格の失敗のように感じやすいからです。けれど、営業は毎回の観察で少しずつ変えられます。

次回に向けて、最初の一問を一つだけ紙に書いておくのもよいです。ここでの紙は台本ではありません。緊張した時に戻る入口です。

相手が答えた後に3秒待つ。答えを短く返す。そこから説明をはじめる。この順番を持っておくと、緊張していても商談の形が崩れにくくなります。

緊張を感じる日は、営業に向いていない日ではありません。相手を雑に扱いたくない日です。その気持ちを、説明の量ではなく聞く姿勢へ変えてください。

緊張は消すものではなく、相手を丁寧に見る合図として扱うものです。

営業Q&A

緊張して声が震える時は先に伝えた方がよいですか?

初回商談で声が震えると、相手に頼りなく見られそうで不安になります。

回答

わざわざ緊張していますと長く説明する必要はありません。最初に一問を短く置き、相手の答えを待つことに集中してください。声の震えより、相手の話を受け止める姿勢の方が印象に残ります。どうしても固い時は、今日は最初に確認したいことから伺います、とだけ添えると始めやすくなります。

緊張する日の短い入口

営業で緊張する日の準備は、話す内容を増やすことではありません。声を一段落とし、姿勢を起こし、相手が一息で答えられる一問を先に置くことです。

商談後は、声が震えたかより、相手の言葉が増えた瞬間を一つ残します。その記録が、次回の台本ではなく、緊張した時に戻れる入口になります。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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