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営業の比較検討は他社差より判断軸を聞き直す実務手順の作り方


他社差より先に判断軸をそろえる比較検討の戻し方

営業で比較検討に入った相手へ連絡すると、つい他社との違いを説明したくなります。価格、機能、実績、サポート範囲を並べれば、自社を選んでもらえるように見えるからです。

ただし、相手が迷っている時に違いを増やすほど、判断は重くなることがあります。相手は情報が足りないのではなく、どの軸で選べばよいかを決めきれていない場合があります。

逆転営業では、比較検討を説明勝負にしません。まず、相手が今回いちばん外したくない判断軸を聞き直します。他社差を語る前に判断軸をそろえると、提案は売り込みではなく選び方の相談になります。

この記事では、営業の比較検討で他社差より先に判断軸を聞き直し、相手が自分で選べる状態へ戻す実務手順を解説します。比較で止まりやすい方は、追加説明の前に聞く順番を整えてください。

次のような一人社長に向けた内容です。

  • 比較検討中の相手へ追加説明ばかり送ってしまう方
  • 他社との違いを話しても相手の反応が固い方
  • 相手の判断軸に戻して自然に提案を続けたい方

比較検討が他社差だけになる理由

比較検討と言われると、営業側は自社の強みを見直します。安いのか、早いのか、手厚いのか、実績が多いのか。選ばれる理由を探す動きは自然です。

しかし、相手の頭の中では、まだ比較表が完成していないことがあります。価格を見るべきか、導入後の手間を見るべきか、失敗した時の対応を見るべきかが決まっていない状態です。

その状態で違いを説明すると、相手はまた項目を増やして考えます。営業側は判断材料を出しているつもりでも、相手には宿題が増えたように感じられます。

比較検討で止まる原因は、材料不足ではなく、判断軸が決まっていないことです。

私が営業現場で見てきたのは、比較に強い人ほど、他社の弱点を言わないということです。相手が何を大切に選びたいのかを聞き、そこに関係する材料だけを戻しています。

他社差を語る前に、今回の判断で外したくないことは何かを聞きます。そこが見えると、説明の量ではなく順番で商談を戻せます。

判断軸を戻す三つの確認

失敗したくない点

最初に聞くのは、相手が失敗したくない点です。費用を無駄にしたくないのか、担当者の手間を増やしたくないのか、導入後に使われないことを避けたいのかで、比較軸は変わります。

聞き方は、どこが一番気になりますかでは少し広すぎます。今回外したくないのは、費用、手間、成果のどれに近いですかと分けて聞きます。

相手が一つ選べれば、こちらはその軸だけに沿って説明できます。比較表全体ではなく、相手が外したくない一点に戻すことが大切です。

社内や家族に説明する材料

次に、相手が誰に説明する必要があるかを聞きます。一人で決めるなら本人の納得が中心ですが、社内や家族に伝えるなら、相手が説明しやすい言葉が必要です。

ここで決裁者は誰ですかと聞くと、少し詰める印象になります。この話を誰かに伝えるなら、どの点が説明しにくそうですかと聞く方が自然です。

説明しにくい点が分かれば、比較資料を丸ごと送らず、一文で戻せます。相手がそのまま伝えられる言葉を用意する方が、長い資料より役に立つことがあります。

最後に迷う条件

最後に、最後まで迷いそうな条件を聞きます。価格なのか、開始時期なのか、担当範囲なのか、サポート頻度なのかを分けます。

この質問はクロージングではありません。相手がどこで立ち止まるかを先に見つける確認です。

最後に迷う条件が見えたら、そこだけ次回確認にします。全部を今決めようとしないことで、相手は比較検討を続けやすくなります。

価格と機能を並べすぎない会話

比較中の相手へ価格表や機能表を送ること自体は悪くありません。問題は、それだけで相手が選べると思い込むことです。

価格表は、相手が価格を判断軸にしている時には役立ちます。けれど、導入後の手間を気にしている相手には、価格表だけでは不安が残ります。

機能表も同じです。機能が多いことが安心になる人もいれば、使いこなせるか不安になる人もいます。相手の軸を聞く前に機能を並べると、かえって迷いが増えます。

比較資料は、渡す前にどこを見る資料なのかを一緒に決めると使いやすくなります。

たとえば、今回は費用よりも導入後の手間を見たいとのことでしたので、資料の二ページ目だけ見てください、と伝えます。これだけで相手の読む負担は下がります。

営業側が全部を説明しない勇気も必要です。比較検討中は、情報を足すより、相手が見る場所を減らす方が進むことがあります。

反応別の戻し方

止まりやすい進め方 前に進みやすい進め方
他社の方が安いと言われる 価格差より含まれる範囲を確認する
機能が多い方で迷っている 使う場面と使わない場面を分ける
社内で検討しますと言われる 説明しにくい点を一つ聞く
もう少し考えますと言われる 最後まで迷いそうな条件を聞く

他社の方が安いと言われた時に、すぐ値引きや実績説明へ戻ると、価格勝負になります。まず聞くのは、価格差の中でどこが気になりますか、です。

総額が気になるのか、初期費用が気になるのか、含まれる支援範囲が分からないのかで返し方は変わります。価格を分解できれば、値引き以外の調整も見えます。

機能が多い方で迷っている場合は、機能数を競わないでください。実際に使いそうな場面はどれですかと聞き、使わない機能を相手と一緒に外します。

社内で検討しますと言われたら、社内説明の一文を作るつもりで聞きます。どの点が一番説明しにくそうですか、と聞くと、相手は困りどころを言いやすくなります。

もう少し考えますと言われたら、考えることを否定しません。最後まで残りそうなのは、費用、手間、時期のどれに近いですかと聞きます。

反応別に聞く場所を変えると、比較検討は追いかけではなく判断支援になります。

次回確認で残す一点

比較検討中の商談を次へ進める時、次回までに全部見てくださいとは言わない方がよいです。相手は忙しく、資料を読み込む時間も限られています。

次回確認で残すのは一点だけです。費用の範囲、導入後の手間、社内説明のしやすさ、開始時期など、相手が選んだ判断軸に合わせます。

たとえば、次回は他社との違い全体ではなく、導入後の手間がどちらに近いかだけ見ましょう、と置きます。これなら相手は宿題を一つに絞れます。

相手が迷っている時ほど、営業側は全部を整理してあげたくなります。しかし全部を整理しようとすると、相手の判断まで奪うことがあります。

比較検討は、営業側が勝ち切る場ではありません。相手が自分の基準で選べるように、見る場所を一緒に決める場です。

次回確認の前には、こちらから短く戻します。前回は導入後の手間を中心に見たいとのことでした。今日はその一点だけ確認できれば大丈夫です、と始めます。

この入り方なら、相手はまた長い説明を受ける不安を持ちにくくなります。営業側も、話す内容を絞れます。

比較相手の名前をこちらから出しすぎないことも大切です。相手が話していない他社名を営業側が何度も出すと、相手はその会社との勝ち負けを見せられているように感じます。

他社名が出た時は、そこを否定せず、どの点が比較しやすかったですかと聞きます。相手が見ている軸を知るためであって、相手の選び方を直すためではありません。

もし相手が、どちらも良さそうで迷いますと言ったら、良さの比較に入らず、選んだ後に一番困りたくないことは何ですかと聞きます。良さを比べるより、避けたい失敗を見る方が判断は現実に近づきます。

その答えが出たら、提案の見せ方も変わります。良さの総量ではなく、避けたい失敗に対してどこまで備えられるかを説明します。比較検討では、勝っている点より、相手が困らない点をそろえる方が信頼に残ります。

相手が別の軸を出したら、無理に戻さず受け止めます。判断軸は商談の中で変わることがあります。変わったなら、その変化自体が大切な情報です。

判断軸が変わった時は、前回と違う話になりましたね、ではなく、今日はこちらの方が気になっているのですね、と受け止めます。

比較検討で避けたいのは、相手に返事だけを迫ることです。返事を迫るほど、相手は守りに入ります。見る一点を決めるほど、相手は考えやすくなります。

次に比較検討中の相手へ連絡する時は、他社との違いを送る前に、今回いちばん外したくない点はどこですかと聞いてください。判断軸から戻せると、営業の比較検討は説明勝負ではなく選び方の相談になります。

比較検討で迷う場面

比較検討中の相手へ資料を送ってもよいですか?

回答

送って大丈夫です。ただし全部を読ませる前に、今回はどこを見る資料なのかを一緒に決めてください。相手が見たい一点に絞る方が判断しやすくなります。

他社の方が安いと言われたら値引きすべきですか?

回答

すぐ値引きしないでください。価格差のどの部分が気になるかを聞きます。総額、初期費用、支援範囲で返し方は変わります。

比較で返事が止まった時はどう追えばよいですか?

回答

返事を迫るより、最後まで迷いそうな条件を一つ聞きます。相手が考える場所を狭めると、次回確認へ戻しやすくなります。

判断軸を戻す要点

  • 比較検討では他社差より判断軸を先に聞くこと
  • 資料は相手が見る一点を決めてから渡すこと
  • 次回確認は全部ではなく迷う条件一つに絞ること

次に比較検討中の相手へ連絡する時は、他社との違いを説明する前に、今回いちばん外したくない点はどこですかと聞いてください。判断軸を聞き直せると、比較検討は説明勝負ではなく、相手が選びやすくなる相談に変わります。

応援しています。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
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