訪問営業がつらい一人社長へ|質問だけでお客様が話してくれる4つのコツ

訪問営業で笑顔でお客様と話す一人社長

訪問したとたん、お客様の表情が固まる。用件を話しはじめると「今は間に合っています」と言われる。そんな経験を繰り返して、訪問営業が怖くなってしまっていませんか?

私は22年間で1,000件以上の商談を経験してきました。その中で実感しているのは、訪問営業がつらいのは「売ろうとしているから」だということです。売り込もうとするほど、お客様は心を閉ざします。ところが質問を中心に話を進めると、お客様のほうから「実は困っていることがあって……」と話してくれるようになるのです。

訪問営業は、質問さえ正しく使えば誰でも変わります。この記事では、私が現場で使ってきた4つのコツを順番に解説します。最後までご覧ください。

こんな人におすすめの記事です。

  • 訪問営業でいつも断られてしまう一人社長
  • 商品の説明をしてもお客様が反応してくれない
  • 何を話せばいいかわからずに訪問が怖くなっている

これから一つひとつ見ていきましょう。

訪問営業がうまくいかない本当の理由

多くの一人社長が訪問営業で苦労する理由は、じつはシンプルです。「売ろうとして訪問しているから」なのです。

お客様は、見ず知らずの人が商品を売りにきたとわかった瞬間、無意識に警戒モードに入ります。「断らなければ」「長引かせたくない」という気持ちが先に立ち、こちらの話が耳に入らない状態になります。

では、売れている営業マンは何が違うのでしょうか。私が見てきたトップ営業マンは、訪問の目的を「聞くこと」に切り替えています。商品の話は最後の最後。まずはお客様の現状、困りごと、望んでいることを質問によって引き出す。「売りに来た人」ではなく「相談に来た人」という印象をつくることが、訪問営業の出発点なのです。

あなたも「つい商品の話をしてしまう」ということはありませんか? それは決して悪いことではありません。ただ、順番が違うのです。お客様の話を聞いた後に、お客様の言葉に合わせた提案をすれば、驚くほどスムーズに商談が動きはじめます。

訪問営業で質問を活用するシーン

訪問営業で結果を出す4つのステップ

私が現場で繰り返し使ってきた4つのステップを紹介します。これはお客様の心が開くプロセスに沿って組み立てた流れです。順番が大切なので、ひとつずつ確認してください。

①挨拶で「売り込みではない」空気をつくる

訪問営業の最初の30秒が、その後の商談全体を決めるといっても過言ではありません。

ここで使いたいのが「ご挨拶にお伺いしました」という一言です。「営業に来ました」「商品のご提案に来ました」と言うと、お客様はすぐに構えます。ところが「ご挨拶に」という言葉は、売り込みの匂いを消してくれます。

  1. 「本日はご挨拶にお伺いしました」と最初に伝える
  2. 商品を売りにきたのではなく、まずお顔を覚えてもらいに来たという姿勢を示します。

  3. 「私どものことはご存知でしょうか?」と質問する
  4. これで最初の一言をお客様に話してもらいます。しゃべるのはお客様のほう。こちらは聞く側からスタートするのです。

  5. 「今日のお話は、採用するかどうかとはまったく関係ありません」と伝える
  6. 購入のプレッシャーを感じていると、人は話してくれません。この一言でお客様の肩から力が抜け、本音で話せる状態になります。

②現状を聞くことだけに集中する

逆転営業のアプローチで私が大切にしているのが「現状を50%聞く」という考え方です。

商談の前半は、お客様の現状の話を聞くことだけに使います。どんな仕事をしているか、今どういう状況か、最近どんな変化があるか。こうした質問を重ねると、お客様は「この人は私のことを理解しようとしてくれている」と感じはじめます。

ここでよくある失敗は、お客様が話しはじめた途端に「それであれば弊社の商品が……」と割り込んでしまうことです。現状を十分に聞き切らないうちに提案に移ると、お客様は「また売り込みか」と感じます。

質問の目的は、相手のことを知ることです。売るための情報収集ではなく、純粋に「この方がどんな状況にいるのか」を知ろうとする姿勢が、お客様との信頼関係を生み出します。

③「そういうなかで」で本音の欲求を引き出す

現状の話をひと通り聞いた後、私がよく使うつなぎ言葉があります。それが「そういうなかで、〇〇の状況はいかがですか?」というフレーズです。

このフレーズには不思議な力があります。お客様がいったん話しきった後に、さらに一段深い欲求や課題へと自然に話題を広げられるのです。

たとえば、リフォーム業を営む一人社長のAさんは、「最近はお客様を紹介してもらえることが少なくなりました」と話してくれました。そこで私が「そういうなかで、新規のお客様との出会い方はどうされていますか?」と続けると、Aさんの表情が変わりました。「実は、そこが一番困っているのです……」と、今まで誰にも言えなかった本音が出てきたのです。

お客様は自分の欲求をはっきり自覚していないことがほとんどです。質問によってはじめて、自分が本当に何を求めているのかに気づきます。「そういうなかで」は、その気づきへの扉を開く鍵になります。

④直面させることで、相手が自ら動く

欲求が出てきたら、次は「直面」です。これは課題をお客様自身に実感してもらうステップです。

よく使う質問はこうです。「もしこの状況が続いたら、来年はどうなっていると思いますか?」「今のままでは、いつ頃までに目標を達成できそうですか?」

人は自分で問題の深刻さに気づいたとき、はじめて動こうとします。外から「大変ですよ」と言われても心は動きません。しかし自分で「このままではまずい」と実感したとき、人は「どうすればいいですか?」と自ら解決策を求めはじめます。

これが逆転営業の核心です。営業マンが説明して説得するのではなく、お客様が自分で気づき、自分で決断する。私が22年間の商談で一貫してきた考え方です。

訪問営業Q&A

●質問 訪問して最初の一言が出てきません

訪問先のドアを開けてもらった瞬間、頭が真っ白になってしまいます。売り込みだと思われたくないのに、何を言えばいいか準備できておらず、毎回とっさにつまってしまいます。どうすればいいでしょうか?

● 回答

最初の一言で迷われているのですね。これはとても多いご相談です。ポイントはつぎの3つです。

  1. 「質問のための台本」を用意する
  2. 説明の台本ではなく、最初の3つの質問だけを書き出しておきます。「ご挨拶に伺いました」→「ご存知でしょうか?」→「最近いかがですか?」この流れを体に染み込ませておくだけで、頭が真っ白にはなりません。

  3. ロープレで練習する
  4. 私がいつもお伝えするのは「営業マンは役者と同じ。練習なしに本番はない」ということです。鏡の前でもいい、スマートフォンで録画してもいい。本番と同じ言葉を何度も声に出して練習することで、現場でも自然に言葉が出てきます。

  5. 完璧を目指さない
  6. 最初から流暢に話せる必要はまったくありません。多少つまっても、少し間があっても、誠実にお客様の話を聞こうとする姿勢があれば、相手には必ず伝わります。

訪問営業でうまくいかない原因のほとんどは、「何を話すか」ではなく「何を聞くか」が準備できていないことです。台本を質問中心に切り替えてみてください。

訪問営業の前に質問を準備している営業マン

まとめ

訪問営業でお客様が話してくれる4つのコツを解説しました。いかがでしたか? 質問を使ったアプローチのコツが掴めたはずです。

今回お伝えしたのは、次の4つです。

  • 挨拶で「売り込みではない」空気をつくること
  • 現状を十分に聞いてから次に進むこと
  • 「そういうなかで」で本音の欲求を引き出すこと
  • 直面させてお客様自身に気づいてもらうこと

訪問営業の主役はお客様です。営業マンがしゃべる量は全体の2割で十分。残りの8割はお客様に話してもらう。この順番を変えるだけで、訪問の空気はガラリと変わります。

営業は「お役立ち」です。お客様の困りごとを一緒に解決しようとする姿勢が伝わったとき、商談は自然と動きはじめます。あなたの訪問営業が、今日から変わることを応援しています。

The following two tabs change content below.
営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

 
営業適正