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営業で上司相談が出たら本人と上司の不安を分ける

本人と上司で違う不安の整理

営業で「上司に相談します」と言われた時、あなたはどんな返し方をしていますか。すぐ資料を渡す、上司同席の日程を出す、値引きの余地を探る。どれも一見親切に見えます。

大森健太さん(仮名、法人向け研修サービスの営業担当者)は、クロージング前にこの言葉をよく受けていました。担当者が「上司に相談してから返事します」と言うと、大森さんは詳しい資料を送っていました。

ところが、次回連絡では「まだ確認できていません」と返ってきました。大森さんは資料不足だと考え、導入事例や料金表を追加しました。それでも返事は遅れました。

営業で上司相談が出たら、日程を出す前に本人の納得と上司の不安を分けます。 担当者自身が前向きなのか、上司が何を気にしそうなのか。この二つを聞かずに資料だけ渡すと、相談は進みにくくなります。

この記事では、上司相談を断り文句として片づけず、次の商談につなげる聞き方を解説します。上司に会う前に不安の中身を分けると、次回日程の目的がはっきりします。

この記事は、次のようなクロージング前の悩みに役立ちます。

  • 上司相談が出ると返事待ちになりやすい方
  • 資料を送っても次回日程が決まりにくい方
  • 同席商談の前に確認すべきことを知りたい方

資料送付で止まる相談

大森さんは、上司相談を資料不足の問題として見ていました。担当者が社内で説明しやすいように、導入効果、料金、研修カリキュラム、受講者の声をまとめました。

資料は丁寧でした。しかし、担当者はその資料を上司に見せる前に止まっていました。本人がどこまで納得しているのか、上司が何を気にするのかが整理されていなかったからです。

担当者は「研修内容は良いと思います」と話していました。大森さんはその言葉を前向きな合図として受け取りました。けれど、その後に「ただ、現場の時間を取れるかは上司に聞かないと」と続いていました。

ここで聞くべきなのは、資料の追加希望より、本人が良いと思った点と、上司が不安に思いそうな点です。

大森さんは次の商談で、「上司に相談される前に、ご自身ではどの点が良いと感じていますか」と聞きました。担当者は「新人の面談練習を増やせる点です」と答えました。

本人の納得を先に確かめる理由

上司相談の前に本人の納得を聞く目的は、担当者が自分の言葉で説明できる状態かを見ることです。説得色が出ると、担当者は答えにくくなります。

大森さんは「ご自身では、進めたい気持ちはありますか」と聞きました。担当者は「あります」と答えました。そこで大森さんは「その理由を一言で言うなら何ですか」と聞きました。

担当者は「新人が現場で黙ってしまう時間を減らしたいです」と話しました。大森さんは「新人が現場で黙ってしまう時間ですね」と受けました。

この言葉が出ると、上司相談の入口が変わります。営業側の説明文より、担当者が自分で感じた理由から話せるからです。

本人の納得は、同席商談で上司に伝える最初の言葉なのです。 ここを聞かずに資料を渡すと、担当者は資料を読む係になってしまいます。

上司の不安を予想する質問

本人の納得が見えたら、次に上司の不安を聞きます。大森さんは「上司の方が一番気にされそうなのは、費用、現場時間、効果確認のどれについてですか」と聞きました。

担当者は「現場時間です」と答えました。大森さんは、そこで研修内容の説明を増やしませんでした。「現場時間ですね。どの部署の時間が一番取りにくいですか」と聞きました。

担当者は「営業一課です」と話しました。大森さんは、同席前の資料を営業一課の時間確保に絞りました。

上司の不安を聞く時は、上司を悪者にしない言い方が大切です。「上司は反対しそうですか」と聞くと、担当者は答えにくくなります。「上司が見たい点はどこですか」と聞くと、確認事項として話しやすくなります。

上司の不安は反対理由と決めつけず、同席前に準備する確認事項として扱います。

同席を急ぐ前の枝分かれ

大森さんは、上司同席を急ぐ前に三つの枝分かれを見ました。本人が前向き、本人が迷っている、本人は前向きだが上司の不安が大きい。この三つです。

本人が前向きなら、上司が見る点を一つに絞って同席を提案します。本人が迷っているなら、上司同席の前に本人の不安を聞きます。本人は前向きでも上司の不安が大きいなら、同席前に確認資料を絞ります。

大森さんの商談は三つ目でした。担当者は前向きでしたが、上司は現場時間を気にしそうでした。

そこで大森さんは、「同席の場では、現場時間の取り方を中心にお話しする形でよいですか」と確認しました。担当者は「それなら上司に声をかけやすいです」と答えました。

同席は、営業側がもう一度説明する時間ではなく、担当者が気にしている点と上司が見る点を合わせる時間です。担当者が気にしている点と上司が見る点を合わせる時間です。

同席前資料を一枚に絞る工夫

大森さんは、以前なら同席前に10ページの資料を送りました。今は一枚に絞ります。書くのは、本人の納得、上司の不安、同席で確認することの三つです。

本人の納得は「新人が現場で黙ってしまう時間を減らしたい」です。上司の不安は「営業一課の現場時間」です。同席で確認することは「研修時間をどの枠なら取れるか」です。

この一枚があると、担当者は上司に声をかけやすくなります。大量の資料を渡されるより、何のために同席するのかを説明しやすいからです。

大森さんは、資料を送る時に「ご確認ください」だけで終えませんでした。「上司の方には、営業一課の時間確保を相談したいとお伝えいただく形で進めましょう」と添えました。

同席前資料は、情報量より相談目的の分かりやすさを優先します。

短いロープレで整える返し

大森さんは、上司相談への返しを短く練習しました。相手役が「上司にも話してみます」と言った後、すぐ日程を出さずに本人の納得を聞きます。

大森さんが「上司にご相談されるのですね」と受けました。続けて「担当者として進めたい理由はどこにありますか」と聞きました。

相手役が「新人の面談練習です」と答えたら、大森さんは「新人の面談練習ですね」と受けました。その後で「上司の方に先に見ていただくなら、時間、費用、効果のうち何から話すとよさそうですか」と聞きました。

このロープレで体に入れるのは、本人の納得と上司の不安を分ける順番なのです。

本番で使う言葉と完全に同じにしないのもコツです。練習では流れを覚え、本番では相手が出した言葉を受けて聞き方を少し変えます。

大森さんは、商談前にこの流れを30秒だけ声に出しました。すると、本番で「では資料を送ります」と反射的に言う回数が減りました。

後日連絡の書き方

上司相談になった後の連絡文も変えました。以前の大森さんは、資料添付と日程候補だけを送りました。担当者にとっては、上司へどう話せばよいかがまだ曖昧でした。

今は、本文の最初に担当者の言葉を書きます。「本日は、新人が現場で黙ってしまう時間を減らしたいという点を伺いました」と書きました。

次に、上司が見る点を書きます。「同席時には、営業一課の現場時間をどう確保するかを中心にご相談できればと思います」と続けました。

最後に日程を出します。順番は、本人の納得、上司の不安、日程です。この順番なら、担当者は上司へ転送する時にも意図を説明しやすくなります。

日程だけを送ると、同席の目的が相手任せです。 本人の言葉と上司の確認点を添えることで、次回の商談が準備された場になります。

相談後に見る次の行動

大森さんは、上司相談後の返事待ちも変えました。待つだけだと、担当者が上司へ話せたのか、どこで止まったのかが分かりません。

二日後の連絡では、「上司の方とは、営業一課の時間確保についてお話しできましたか」と聞きました。担当者は「話せましたが、繁忙期を避けたいと言われました」と答えました。

大森さんは、すぐ別日程を出さず、「繁忙期を避けるなら、候補は来月前半と月末後のどちらが現実的ですか」と聞きました。

担当者は「月末後です」と答えました。ここで次回同席の時期が見えました。

さらに大森さんは、「月末後なら、上司の方に先に見ていただく資料は一枚で足りますか」と聞きました。担当者は「一枚なら見てもらえます」と答えました。次回までに準備する量も決まりました。

上司相談は、返事待ちで終えず、本人の納得、上司の不安、次の行動を順に見ます。後日連絡も商談の一部になります。

営業Q&A

上司相談が出たらすぐ同席を提案していいですか?

クロージング前に決裁者が出てきた場面です。

回答

提案して構いません。その前に、本人が何を良いと感じているか、上司が何を見そうかを聞きます。同席の目的が決まると、日程提案も自然になります。

上司が反対しそうな時はどう聞けばいいですか?

担当者が上司の反応を不安にしている場面です。

回答

反対しそうかと聞くより、上司が確認したい点を聞きます。費用、現場時間、効果確認のどれを見るかを分けると、担当者も答えやすくなります。

次回日程前に決める相談目的

営業で上司相談が出た時の進め方を解説しました。本人の納得、上司の不安、次の行動を分けると、同席商談の目的が決まります。

  • 本人が良いと感じた理由
  • 上司が見そうな確認点
  • 同席前に送る一枚の相談目的

次に上司相談が出たら、本人が良いと感じた点を一つ尋ねてください。その答えを受けてから、上司が見る点を一つ確認しましょう。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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