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IT営業は機能説明より導入後の不安を先に聞く

導入後の不安を聞くIT営業

IT営業では、機能を説明するほど相手が安心するとは限りません。

便利な機能、管理画面、連携、サポート体制。伝えたいことはたくさんあります。けれど相手が知りたいのは、機能の数ではなく、自分たちの現場で無理なく使えるかどうかです。

一人社長や小規模な会社の商談では、導入後に誰が触るのか、入力が増えないか、既存のやり方とぶつからないかが本音の不安になります。

逆転営業では、ITの説明に入る前に、導入後の不安を相手の言葉で聞きます。

この記事では、IT営業で機能説明へ急がず、相手の運用不安を聞いてから提案へ進める実務を解説します。

次のようなIT営業の方に向けた内容です。

  • デモを丁寧にしても、最後に検討しますで止まりやすい方
  • 機能説明が長くなり、相手の本音が見えにくい方
  • 導入後の運用不安を商談中に聞き出したい方
  • ITサービスを一人社長や小規模会社へ提案している方

機能説明で商談が重くなる理由

IT営業の商談では、営業側が真面目であるほど説明が増えます。便利な機能を見せたい。導入後の価値を伝えたい。競合との違いも知ってほしい。こう考えるのは自然です。

ただし、相手の頭の中では別の問いが動いています。今の仕事が増えないか。スタッフが使えるか。途中で止まった時に誰が助けてくれるか。費用に見合うだけ続けられるか。これらが言葉にならないままデモを見ると、相手は便利そうだが決めにくい状態になります。

相手が『便利ですね』と言っても、導入後の不安が消えたわけではありません。むしろ便利なほど、使いこなせるかという不安が強くなることもあります。

IT営業で先に聞くべきなのは、どの機能に興味があるかではなく、導入後にどこで止まりそうかです。

この順番を変えるだけで、同じデモでも見せ方が変わります。相手が入力作業を心配しているなら、入力の少なさを見せます。現場定着を気にしているなら、サポートの流れを見せます。費用を気にしているなら、使う場面と削れる手間を一緒に確認します。

導入後の不安を分ける質問順

IT営業では、導入後の不安を一つの言葉でまとめない方がよいです。相手の不安は、操作、時間、社内説明、費用、切り替え時期に分かれます。

最初に『何か不安はありますか』と聞くと、相手は答えにくくなります。不安がまだぼんやりしているからです。そこで、選びやすい聞き方にします。

たとえば『導入後で心配になりやすいのは、操作の手間、今のやり方との違い、社内への説明のどれに近いですか』と聞きます。この聞き方なら、相手は自分の不安を選びやすくなります。

不安を選べる形にすると、相手は断るためではなく、判断するために話してくれます。

操作の手間

操作の手間を心配している相手には、すべての機能を見せないでください。日常で必ず使う画面だけを見せます。最初の一週間で触る場所を絞ると、相手は導入後の自分を想像しやすくなります。

ここでの質問は『普段この作業をするのは、社長ご本人ですか。それともスタッフの方ですか』です。使う人が分かると、説明の深さも変わります。

今のやり方との違い

今のやり方とぶつかる不安がある相手には、変更点を小さく見せます。最初から全部を置き換える話にすると、相手は大変そうだと感じます。

『今のやり方で、残したい部分はどこですか』と聞くと、相手は安心します。否定されるのではなく、今の運用を尊重されたと感じるからです。

社内への説明

社内説明が不安な相手は、機能よりも伝え方を気にしています。上司やスタッフに何と言えばよいかが見えないままでは、商談後に止まりやすくなります。

『社内で最初に聞かれそうな反応は、費用ですか。手間ですか。現場の慣れですか』と聞いてください。ここで出た言葉が、提案資料の一枚目になります。

デモ前に止まった商談の再生

IT営業でよくあるのは、デモの前にすでに相手の不安が出ているのに、そのまま画面を開いてしまう場面です。営業側は準備した流れを見せたい。相手はまだ運用後の心配を抱えています。このズレで、商談の温度が落ちます。

次のように、デモ前に一度止まるだけで流れは変わります。

営業側: 画面をお見せする前に、導入後で一番心配になりそうな点を伺ってもよいですか。

相手: スタッフが使えるかですね。新しいものが苦手な人もいるので。

営業側: ありがとうございます。では今日は全機能ではなく、スタッフの方が初日に触る画面だけを先に見ます。

相手: それなら見やすいです。

営業側: 見た後で、どの操作が不安か一緒に確認しましょう。

この会話では、機能説明を減らしています。減らした分だけ、相手が本当に知りたい場面へ集中しています。デモは営業側の発表ではなく、相手の不安を確かめる道具になるのです。

ここでの順番は、現状、欲求、課題、解決です。現状を50%ほど聞けるまで、解決策に入らない方が安全です。営業側が「そういうなかで、何が一番止まりそうですか」と聞くと、相手は現場の言葉で不安を出しやすくなります。

その後のデモは、しゃべらないプレゼンに近づけます。画面を説明し続けるのではなく、相手に使う場面を想像してもらい、お客様の言葉で「ここなら使えそう」「ここは不安」と確認してもらいます。必要なら沈黙を置き、「今どこで手が止まりそうですか」とテストクロージングのように聞けば十分です。

IT営業のデモは、全部を見せる時間ではなく、相手が使えると思える場面を一緒に確認する時間です。

私が現場で見ていると、デモがうまい営業ほど、デモの途中で止まれます。『ここまでで、操作が重たそうに感じたところはありますか』と聞けるからです。相手の反応を見ながら止まれる人は、説明ではなく確認で商談を進めています。

提案を絞るための確認材料

導入後の不安を聞いたら、提案も絞ります。ITサービスは機能が多いため、相手に合わせたつもりであれもこれも出しがちです。けれど、相手が一番心配していることが分かったなら、提案の中心は一つで十分です。

操作が不安なら、初期設定とサポートを中心にします。時間が不安なら、今の作業がどこで減るかを一緒に見ます。社内説明が不安なら、判断者に伝える一文を一緒に作ります。

ここで使う確認材料は、機能名ではありません。誰が使うか、いつ使うか、最初に止まりそうな作業はどこか、失敗した時に誰へ聞くか。この四つです。

提案は、相手が不安を言葉にした後で、その不安に答える範囲へ絞るほど伝わります。

BさんというIT支援業の一人社長は、以前は初回デモで主要機能を順番に見せていました。相手は『すごいですね』と言うのに、次回の予定が入りませんでした。

Bさんは最初に『導入後に止まりそうな場面はどこですか』と聞くように変えました。ある相手は『現場スタッフが入力を忘れそうです』と答えました。そこで、デモは入力画面と通知の流れだけに絞りました。

相手は機能の多さではなく、自社で使う場面を見られたため、次回はスタッフ同席で確認する予定になりました。デモの量は減りましたが、商談の目的ははっきりしました。

IT営業では、提案の広さよりも、相手の導入後の景色が見えることが大切です。使う人、使う時間、止まりそうな場所、助けを求める先。この四つを聞くと、提案は自然に絞れます。

次回相談へつなげる確認

IT営業で次回相談へ進めたい時は、日程を先に押さえるより、次回に確認する意味をそろえます。相手が『もう少し考えます』と言った時も、すぐに追いかけないでください。

ここで聞くのは、『考える時に、一番引っかかりそうなのは操作、費用、社内説明のどれですか』です。相手が考える中身を言葉にできれば、次回相談の目的ができます。

操作が引っかかるなら、次回は実際に使う人と一緒に画面を見る場にします。費用が引っかかるなら、費用が変わる条件と削れる手間を確認します。社内説明が引っかかるなら、判断者に伝える一枚を一緒に作ります。

この流れなら、次回は営業側の再提案ではありません。相手が前に進むための確認会になります。

ITサービスは、導入前より導入後に不安が出やすい商品です。だからこそ、契約前の商談で『導入後に止まりそうな場所』を聞いておくほど、相手は安心して次の確認へ進めます。

相手が『スタッフにも見せたいです』と言ったら、すぐクロージングの合図だと受け取らないでください。『スタッフの方には、操作の簡単さ、仕事が減る部分、困った時の相談先のどれを先に見てもらうとよさそうですか』と聞きます。

次回相談の目的を相手の不安から作ると、IT営業は押し込みではなく導入支援に変わります。

次回までに送る資料も、機能一覧だけにしない方がよいです。相手が気にした不安ごとに、見てほしい箇所を一つだけ添えます。

たとえば操作が不安な相手には、『次回は初日の入力画面だけ確認しましょう』と伝えます。社内説明が不安な相手には、『判断者の方が最初に気にしそうな費用と手間の部分だけ見ましょう』と伝えます。

こうして次回の焦点を絞ると、相手は準備しやすくなります。営業側も、全部をもう一度説明する必要がなくなります。

IT営業で信頼される人は、詳しい人というだけではありません。相手の現場で本当に止まりそうな場所を、契約前に一緒に見つける人です。

営業Q&A

IT営業でデモはいつ見せるのがよいですか?

初回商談で相手が早く画面を見たいと言うこともあります。

回答

画面を見せる前に、導入後で心配な点を一つだけ聞いてください。その答えに合わせて、最初に見る画面を絞ると自然です。

相手が機能を全部見たいと言ったらどうしますか?

機能一覧を求められると、営業側も全部説明したくなります。

回答

全部見せる前に、今日の判断に必要な機能から確認しましょうと伝えてください。必要なら最後に一覧を渡す流れで十分です。

IT営業で導入不安を聞く要点

次のIT商談では、デモに入る前に、操作の手間、今のやり方との違い、社内説明のどれが一番心配かを相手に選んでもらってください。選ばれた不安に合わせて最初に見せる画面を一つに絞り、機能説明ではなく導入後の安心を確認する流れへ変えましょう。

応援しています。

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営業指導歴22年。1000件以上の顧客との商談経験。1000人以上の営業相談に応じてきた。ある経営者との出会いを機に営業ノウハウを体系化。元ニートの落ちこぼれ営業を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させた。営業経験・実績に基づいた、わかりやすい営業ノウハウ・セミナーでの解説に定評がある。

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